朝から風が強い。
逆風に向かって、自転車を漕ぐのは、ヘナチョコ自転車乗りの私には、かなり辛い事である。
何しろ、漕いでも漕いでも、中々前に進まないのだ。
こんな日は、何か目標が無いと、モチベーションが保てない。
今日は、あれだな。
うん、そうしよう。
てな事で、タイトル通り黒木町を目指した。
黒木町に入ると、立派な楠木が目に入った。
何度も車でこの通りを通っていながら、今まで気づきもしなかった。
ロードバイクならではの発見と言えよう。
樹齢は800年以上、根本部周囲36m、幹周り12m、高さ40m、枝張は40m以上という巨木である。
黒木のメインストリート。
正面に見えるのが、素戔嗚神社の大藤だ。
さすがに藤の花は、一つも垂れてはいない。
征西将軍良成親王お手植えの大藤である。
幾多の戦火の中を潜り抜け、620年経った今日でも、樹勢を保ってきた。
酒蔵が二軒並ぶ通りの水路には鯉が泳ぐ。
草むしりをしているオジサンに、この辺の饅頭屋さんを訪ねると、
「こういって、あーいくと、駅前饅頭があるたい。」
あった。
「ごめんくださーい。ジャガイモ饅頭の塩と醤油を2個づつ下さーい。」
100円のジャガイモ饅頭4個の為に、遥々、23km余りを強風の中を漕いできたのだ。
なにか?
え、もっと買って帰ればいいじゃないかって?
だって、
肩に下げたバッグに入るのは、それが限界なんだもん。
これでいいのだ。
それにしても、何で駅前饅頭?
「以前は、店の前に線路が通ってて、駅があったんですよ。」(店員)
あ、あれね。
行ってみた。
ちょいと休憩しよっと。
ジャガイモ饅頭の塩を取り出す。
おほ、まだ暖かいや。
塩ゆでされたジャガイモを、半透明の生地に包んで蒸した、何とも素朴な饅頭である。
はむ。
ほっこりする味って、まさにこれだな。
目的達成!
かーえろっと。