お盆は何かと忙しい。
13日
自宅にやって来た坊さんの後ろで、何を言ってるのか皆目分からないお経を、家族一同で鹿爪らしい顔をして聞く。
14日
午前中、我が家の墓参りを済ませ、その足で家内の実家の菩提寺へ。
前日と同じく欠伸を噛み殺しつつ、神妙な顔で坊さんのお経を聞く。
その後は、義兄姉とそれぞれの子供や孫との、20数人での賑やかな会食だ。
そうこうしているうちに、もう15日である。
この日、娘の一人は帰ってしまう。
ならばと、海の幸を求め神湊へ。
玄関ロビー正面には、紺碧の空と海が広がる。
「魚匠御膳でーす。」
私と娘二人は、王道の刺身定食だ。
中身は、
刺身の盛り合わせ、
鯛のあら炊き、
天麩羅と茶碗蒸し、味噌汁に香の物と言ったところ。
一方、家内はと言うと、
メニュー選びに関しては、臆病なくらいに慎重な家内が、珍しくこの日は攻めた。
期間限定メニューの、
「穴子茶漬け御膳でーす。最初は塩だけで。その後は、だし汁をご飯にかけて、お召し上がり下さい。」
マジか。
聞いただけで涎が垂れそうだ。
何たる事だ。
これだ。
これだったぜ。
家内の前に置かれた膳を見て、一人唇を噛む。
気を取り直し、先ずは好物のカンパチから。
パクリ
モグモグ
いかん、どうにも気になる。
「よこせ。」
「あー、なにすっだ!」
淡泊な身はコリッコリだ。
すんげえ。
私からの窃盗被害を防ぐべく、そそくさと自分のご飯の上に穴子を乗せ、そしてだし汁をかける家内。
それを口に運んだ途端、ヤツの目がこれ以上無いくらい大きく見開かれた。
(クソッタレ!激ウマだったようだな)
帰路は長女のリクエストで、
志免炭鉱竪坑跡や、
太刀洗の掩体壕を見て回る。
長女はこの手の物が大好物。
どうにもこうにも私の娘なのだ。
げにもDNAとは恐ろしい。