「宅配便でーす。」
「ほいほい。」
届けられた荷物は、相模原に住む私の長兄からだった。
今年九月で百歳を迎える、お袋へのお祝いの品である。
桐箱を開けると、
折り紙で作られた、くす玉が詰められていた。
こちらの地方で言う『下げもん』だ。
70歳を過ぎても東芝一筋に働き続けたこの兄も、2年前にようやく第2の人生をスタートさせた。
以来、折り紙を趣味とした。
見事である。
大したもんだ。
色とりどりの『下げもん』を前にして、腕を組んで感心する私である。
これをあの兄貴がねえ。
ここ最近、認知症が飛躍的に進んでいるお袋の目に、この力作がどう映るのかは分からない。
いずれにせよ、
お袋にとって、そして私達にとっても、9月6日は特別な日となる。