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お酒のお供Y・・・144

2015-04-21 14:13:25 | 日記


六尺棒

夜遅くほろ酔いで帰ってきた若旦那の幸太郎。

家に入ろうとすると、使用人を先に寝かせて一人で

待っていた親父殿が怒って戸をあけてくれない。

「わたしです、幸太郎です、あけてください」

父親はどうやら本気で腹をたてている様子。

戸をあけるどころか、まるで他人のような口の聞き方で冷たく突き放す。

幸太郎というせがれがいるが、どうしようもない道楽者の

ヤクザ野郎で店をメチャクチャにする、家においておけないから

勘当しようと思っているだのと言いだした。

幸太郎は、もう二度と道楽はしないと詫びをいれるが、相手にしてもらえない。

「入れてもらえないのなら、この場で死にます」

この手も今夜の父親には通用しない。イライラしてきた幸太郎、とうとう

「道楽者だのヤクザ者だの言うが、そのヤクザ者をこしらえたのはどこのどいつだ」

とタンカをきって開き直った。

売り言葉に買い言葉で、父親だってがぜん威勢がよくなる。

「いい気になるな。せがれらしいことを一度でもしたことがあるのか。馬鹿野郎」

と、どうしても家に入れない構え。夜中に戸をはさんでの親子ゲンカだ。

幸太郎がそれなら家に火をつけるぞと息まくと、頭に血がのぼった父親は

息子をぶん殴ろうと六尺棒を持って飛びだしてきた。

「待て―っ」と追いかけるが、悲しいかな若い幸太郎の逃げ足にはとてもかなわない。

とうとう見失いハアハア言っている隙に、隠れていた幸太郎がサッと

家に入って戸を閉めてしまった。  あきらめて戻ってきた父親は誰か店の者が

戸を閉めたと思い、中へ声をかけた。「戸を叩くのはどなたでございましょう」

今度は幸太郎が父親をコケにする。お前の父親だと言っても、知らんぷり。

うちの親父はどうしようもない野郎で、店をメチャクチャにすると言いだし、

さっき自分が言われたセリフをそっくり繰り返し、あげくに勘当だと言い渡した。

「親を勘当するやつがあるか」 再び戸を挟んでの親子ゲンカ。

いきりたつ父親に対して、世間並みの親父らしいことを一度でもしたことがあるのか、

とそっくりショー。

あきれた父親が最後に一言。

「俺の真似ばかりしやがって。そんなら六尺棒持って、もう一ぺん追いかけてこい」


                      立川志の輔   古典落語100席引用



親子ってぇ~のは煮るものです。はぁ~地鶏の親子丼たべったいなー。



親子丼でもそら・あかね