「老後2,000万円問題」など、老後資金に対する世間の関心が高まっています。
年金だけでは老後の生活を支え切れないとの懸念もあり、どのように老後資金を貯めていけばいいのか不安に感じている人も多いでしょう。
そこで今回は老後資金に関して、本当に必要となる金額やよくある悩み、信頼できる相談先について解説します。
■老後資金の相談ができる窓口とは?
老後のお金に関する相談ができる場所はいくつかあります。
それぞれ窓口がありますが、メインで取り扱う事業が異なるため、違いをしっかり把握しておく必要があるでしょう。
・銀行
銀行は預金やローンなどで多くの人が利用する金融機関です。
資産運用などの金融商品も取り扱っているので老後資金に関しても相談が可能ですが、銀行員は転勤が多く、担当者が頻繁に変わります。
一人の担当者と時間をかけて信頼関係を築きたいという人には向かないかもしれません。
・証券会社
株式や社債、投資信託など、さまざまな金融商品を扱う証券会社でも老後資金の相談が可能です。
投資を軸にした資産運用を提案してくれるでしょう。
ただし証券会社も銀行員同様に転勤が多いため、突然担当者が変わるといったことが起きやすいです。
・保険会社
保険会社または保険代理店でも老後資金について相談できます。
とはいえ、資格が必要となる株式や投資信託の販売はできないことがほとんどで、多くの場合が貯蓄型保険などによる資産形成になります。
投資による老後資金を殖やしていきたい場合は不向きかもしれません。
・ファイナンシャルプランナー(FP)
家計管理や住宅資金、保険や資産運用といったお金に関する知識を持ち、相談者の要望に応じたアドバイスや資産設計ができるのがファイナンシャルプランナー(FP)です。
お金に関する知識が幅広い一方で、得意不得意が出やすい側面も。
また、FPの資格だけでは金融商品の取り扱いはできません。
相談する際は老後資金の運用についてどの程度対応できるのかよく確認することをおすすめします。
・独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)
金融商品の取り扱いが可能で、なおかつ資産運用の専門家であるのが独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)です。
実はIFAとして活躍する人は証券会社や保険会社での経験者が多く、金融商品や保険の販売資格を持っています。
会社などの組織に属していないため、フラットなアドバイスを受けることができるうえに、転勤などもないので継続した相談ができます。
■老後資金の相談先はIFAが確実?
老後資金の相談をするなら、会社などの組織に属さず、独立したアドバイザーがおすすめです。
銀行や証券会社にもFPの資格を持っている人がいる場合がありますが、組織に属している以上、どうしても自社商品を提案しなければならず、フラットなアドバイスがもらいにくくなります。
そのため、老後資金の相談はIFAが安心といえるでしょう。
とはいえ、個人で活動するIFAから相性のいい一人を探し出すのは簡単ではありません。
どうしても迷ってしまう場合は資産形成コンサルタントを利用してみてもいいでしょう。
資産形成コンサルタントとは、FPやIFAが在籍するコンサルタント会社のこと。
もちろん老後資金に関する相談にも対応しており、内容に合わせて最適な担当者を選任してもらえます。
■そもそも老後資金の相談って必要なの?
老後資金の相談先はいろいろとあり、自身の状況に合わせて窓口を選べることがわかりました。
とはいえ、そもそも老後資金について相談する必要はあるのでしょうか?
・老後にかかる生活費は単身世帯でも月平均15万円超
総務省がまとめた「家計調査報告家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、平均的な老後の生活費は単身世帯で月15万円超、夫婦世帯では28万円超になるとのことです。
これを年に換算すると単身世帯では約190万円、夫婦世帯では約340万円になります。
仮に老後30年生活すると想定した場合、単身世帯では約5,700万円、夫婦世帯では約1億140万円もかかることになり、年金や貯金だけで賄うには難しい金額といえるでしょう。
・不足分は資産運用で乗り切る
とはいえ、老後も働いたり、年金を当てたりすることで支出を抑えることができます。
「家計調査報告家計収支編2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、貯金で生活費を賄っている金額は単身世帯では約37万円、夫婦世帯では約46万円だそうです。
つまり、老後30年で必要になる生活費の不足分は単身世帯で約1,100万円、夫婦世帯で約1,360万円という計算になります。
ただし貯蓄状況は人によって異なるうえに、老後に必要な資金も同じではありません。
自分にはどのくらいの資産があり、今後どの程度増える見込みがあるのかなど、専門知識を持つ人からアドバイスをもらうのは老後資金を貯めるうえでとても重要なことといえるでしょう。
■老後資金でよくある悩みとは?
ここからは老後資金に関してよくある悩みや疑問についてみていきます。
・結局どれくらい必要なの?
政府の調査や試算などはあくまでも平均値でしかないため、自身の状況には当てはまらないという人も多いです。
そのため、「結局どのくらい用意したらいいのか」「本当にそんなに必要なのか」と悩んでしまうことも。
確かに家族構成やライフスタイルによって必要となる資金は変わってくるため、早めに資産形成を始めた方が精神的にも落ち着けるでしょう。
・どのタイミングで相談したらいいのか
老後の話といわれても今一つピンとこないという人もいます。
とはいえ何事も早めに着手した方が取れる選択肢も多く、有利です。
もちろん老後資金も当てはまるので、なるべく早めに相談することをおすすめします。
「まだ早いと思われるかも」「もっと早く相談すべきと言われるかも」などと不安になるかもしれませんが、思い立ったタイミングで行動に出てみましょう。
■老後資金の相談で気を付けた方がいいこととは?
最後に、老後資金の相談について気を付けるべき点をいくつかみていきます。
・IFAへの相談は費用について確認してから
家計収支の把握からローン、保険、資産運用まで幅広く相談できるIFAは老後資金の相談先としてピッタリな存在です。
しかし相談やアドバイスには相談料と呼ばれる費用がかかることも。
初回相談は無料な場合が多いですが、どこから費用が発生するかはIFAによって異なります。
また、費用の対象も回数であったり、期間であったりと料金体系自体にバラつきがあるので公式サイトなどで事前に確認しておいた方が無難です。
相談の際は必ず、費用についてもよく確認し、納得の上で契約するようにしましょう。
・詐欺に注意する
老後資金に限らず、お金の相談にのると言って金銭を騙し取る詐欺が横行しています。
ネット広告などで「すぐに稼げる」「必ず殖やせる」などの謳い文句で資産形成の情報を有料で提供する詐欺も増えています。
ネットは便利である一方で、詐欺に遭う危険もはらんでいます。
騙し取られてしまったお金はまず戻ってきません。
相談先を決める際はサイトをよく確認し、身元が確かな専門家を選ぶようにしましょう。
老後資金についてどれくらい用意すればいいのか、不足分はどうしたらいいのか心配になってしまう人も多いでしょう。
一人で悩むよりもお金の専門家に相談した方が的確なアドバイスをもらえます。
IFAであれば包括的なサポートを受けられるのでまずは一度相談してみるといいでしょう。