日帰りで何度も登山をしている方の中には、「テント泊登山に挑戦してみたい」と考える方もいるでしょう。
しかし、登山は経験しているもののテント泊自体はやったことがなく、どんなものが必要なのか、テント泊をする際にはどんなルールやマナーがあるのかなど、知らない方もいるかもしれません。
テント泊登山は突発的に行うものではなく、計画をきちんと立てることが大切です。
そこで今回は、初めてテント泊登山をする方に向けて、必要なアイテムから知っておきたいルール・マナーまで解説します。
これからテント泊登山をしようと検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
■山小屋では感じられない!テント泊の魅力
登山では日帰りの他にも山小屋に宿泊して、2日かけて登山するケースもあります。
山小屋への宿泊も楽しいものですが、そこでは感じられない魅力がテント泊にはあるのです。
まずはそんなテント泊の魅力についてご紹介しましょう。
・大自然を体感できる
テント泊における最大の魅力は、大自然を肌で感じられることです。
登山をする中でも自然を感じられますが、テント泊ではテントはあるものの、布1枚を隔てて自然の中に横たわることになります。
山の大自然を感じつつ、普段とは異なる時間を過ごせるのはテント泊ならではと言えるでしょう。
・山小屋よりも自由度が高い
山小屋では食事の時間などがある程度決められているものです。
しかし、テント泊であれば少し早めに食事をとっても良いですし、過ごし方は自由です。
また、山小屋だと他の宿泊者もいることから夜間や早朝の騒音には注意しなければなりません。
テント泊は近くに同じくテント泊をしている人がいなければ、そこまで音に気を遣わずに済みます。
ただし、周囲に他の人がいれば、迷惑をかけないように音への配慮は必要なので注意してください。
・山小屋泊よりもお得
テント泊はテントを張る場所によっても異なりますが、数百円~数千円程度で宿泊できるため、山小屋泊と比較すると安く抑えられます。
食事なども自由になるため、できるだけ金額を抑えられるように工夫することも可能です。
経済的に登山を楽しみたい方には、テント泊を選択した方が良い場合もあるでしょう。
■テント泊登山に必要なもの
テント泊登山を始めるためには、用意しなくてはならないものもあります。
具体的にどのようなアイテムが必要になるのか、ここで確認しておきましょう。
・テント周りのアイテム
まず必要になってくるものは、宿泊するためのテントと寝るためのギアです。
まずテントはキャンプ場などで使用する一般的なものではなく、「山岳テント」と呼ばれる登山用のテントを使用します。
山岳テントは一般的なテントとは異なり、防水性や強度が高く、なおかつバックパックで背負っても登れるよう、軽量であるものが多いです。
どのような山岳テントを選べばいいか迷ったら、ポールを本体に組み込んだ際にテントの形状が出来上がる「自立式」で、インナーテントとフライシートに分かれている「ダブルウォール」のテントを選ぶようにしましょう。
さらに、テント内には強度の高いグラウンドシートを敷き、寝やすいようにマットも用意します。
さらに快適な睡眠に欠かせない「シュラフ」も用意しておきましょう。
シュラフにも様々な種類がありますが、登山をするシーズンに合わせて選ぶのがおすすめです。
・テント内外で必要なアイテム
テント泊で一晩過ごすことになるため、明かりや衛生用品などが必要です。
例えば夜間にテント場やトイレ、水場などを移動する際やテント内で活躍する「ヘッドライト」は、使用する時間も考慮して予備の電池も一緒に持参するのがおすすめです。
また、テント内で周囲を照らしてくれる軽量のLEDライトなども持っておくと良いでしょう。
衛生用品は携帯トイレや汗拭きシート、歯磨き用品などを準備してください。
特に歯磨き用品は自然に優しいものを選んでくと良いです。
日中は暑かったとしても、夜になると冷え込み、寒くなるケースも少なくありません。
夏でも気温差が激しくなる場合があるため、防寒着は持って行くようにしましょう。
おすすめなのは、保温性に優れていて持ち運びもしやすい、中綿入りの防寒着です。
・テント泊をより快適に過ごすためのアイテム
上記でご紹介したアイテムに比べて必須ではないものの、より快適に過ごしたい方は以下のアイテムも持参してみましょう。
1つはサンダルです。
テントから少しだけ外に出たい時に、わざわざ登山靴を履くのは大変なものです。
しかし、サンダルを持って行けば外での調理やトイレへ行くのにも登山靴を履かずに済むため、より快適に過ごせます。
また、テントではマットを敷いても足先が冷えてしまうこともあるため、足先を冷やしたくない人にはテントシューズがおすすめです。
特に秋の少し寒い時期にはテントシューズで足先が冷えないようにしておきましょう。
さらに、せっかくテント泊をするならクッカー類などの調理ギアを持参して、温かいご飯を作って食べるのも良いでしょう。
■テント泊登山をする前に知っておきたいルール&マナー
テント泊登山を実際に行う前に、周りの人に迷惑をかけないようルールやマナーについても知っておくことが大切です。
ここでは、テント泊登山のルールやマナーをご紹介していきましょう。
・テントは指定された場所に張る
まず、テントだからといって山の中で好きに張っていいものではありません。
基本的にはテントを張れる指定地(テント場)が用意されており、それ以外の場所にテントを張ることは禁止されています。
緊急避難時でのテント泊は認められていますが、そうでない場合はきちんと指定された場所にテントを張るようにしましょう。
・テント場によって予約が必要になる場合もある
それぞれのテント場によって異なるものの、事前予約が必須の場所もあります。
また、テント場によっては当日受付時に現金払いとなるケースもあるでしょう。
前もって予約が必要か、支払い方法はどうなっているかを確認しておくことが大切です。
・テントを張る場所は先着順で決まることが多い
オートキャンプ場とは異なり、山のテント場では区画などが決められていません。
そのため、基本的には事前予約をしていたとしても設営場所は先着順で決まることが多いです。
より良い場所を確保したいとなった場合、早めにテント場へ到着する必要があります。
初めてだとテントの設営にも時間がかかってしまうことから、なるべくテント場には14時頃に到着しておくと良いでしょう。
・水場で食器を洗わないようにする
テント泊で調理をするのは問題ありませんが、食べ終わったクッカー類などは水洗いが禁止されています。
基本的には汚れをペーパーなどで拭き取り、袋に入れて持ち帰るのが基本です。
紙皿や紙コップを使ったり、汚れをなるべく出さないようパンで食器を最後に拭って食べたりするなど、洗わなくてもいいように工夫しましょう。
・テント場での騒音に注意する
テント場では他にも同様にテントで宿泊している人がいます。
起床時間・就寝時間にルールはなく、それぞれの登山者によって異なりますが、基本的には20時までにはテントに入り、翌日に備えて休むことが大切です。
この時、周りの明かりや話し声が気になってしまう場合もあることから、耳栓も持参しておくと良いでしょう。
今回は、テント泊登山に必要な持ち物やルール&マナーを解説してきました。
初めてのテント泊登山は不安に感じてしまうことも多いかもしれませんが、しっかりと準備をしていき、事前にルールやマナーについて理解しておけば失敗する可能性は低いでしょう。
ぜひ今回ご紹介したことを参考にしつつ、大自然を肌で感じられるテント泊登山に挑戦してみてください。