携帯電話をプレゼントされた長男は、早速友達とメールをしたり、動画を見たりしていた。
そんな中、一つ気になる点があった。
学習塾に週3日通うが、その日は何故か髪の毛を整える時間が長かったのだ。
私としては同じ様にしか見えなかったが前髪の感じが気に入らないのか、鏡の前でクシを使って、髪を右にしたり左にしたりしていた。
また腕時計も、そのあたりから着け始め、大人ぶりたい年頃なのかと妙におかしかった。
そんなある日、母が私に小声で言った。
『あの子、ガールフレンドが出来たんだよ。』
『携帯で、その子と毎日連絡とっているみたい。携帯を欲しがっていたのは、そのためよ』
なるほど、中学になれば異性に特別な感情を持っても不思議はない。私は特に驚かなかった。
後でわかるのだが、母の見立ては正しい。
ガールフレンドは、塾の同級生で、隣の町の学校に通う子だった。
ボーイッシュで活発なイメージの子で、長男よりも勉強は出来た。長男は、どうしてもガールフレンドと同じ学校に行きたくて勉強に勤しんでいたのだ、またガールフレンドも長男に勉強を教えてくれていたらしく、それがまた、二人の距離が近づくキッカケになった。
そしてその子が、長男の今後に今でも大きく関わって来るのだが、まだ、そこまで私も、母も奥さんも感じていなかったのである。