介護というには大袈裟ですが。

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寒くなると思い出す あの人 (15)

2023-02-11 13:32:24 | 日記
我が社の営業部は直行直帰が横行していたため、朝礼や全体会議は基本なかった。その代わり何かあると上司が個別に呼び出し、激しい恫喝 ではなく、愛のムチ、熱のこもった指導を体が吹っ飛ぶほど頂き、文字通り体に染み込ませる慣習があった。(30年前の話しで今ではないですよ。)
そんな中、ツネ師匠の退職日の朝、営業部の面々は営業で外回りをすることも控え、お昼の送別会に出るため全員9時に勢揃いしていた。年度末で数字が固まってきた気安さや、お昼を会社持ちで食べられる事に関する損得勘定。そして何よりツネ師匠に最後の挨拶をしたいという思いが重なりあい、全員直行をしなかったのだ。
朝9時になるかならないかのタイミングで営業責任者である部長が大きな声を無駄に張り上げて叫んだ。
『少しみんないいかな、少し話しがあるんだ。』
営業部の従業員の視線が自分に向いているのを確認し、彼は声を張り上げた。
『知っての通りツネさんが今日で退社され、お昼に近くの中華屋で送別会を開く、社長を始め、お偉いさんも、いらっしゃるから宜しく。以上。』
近くの豪華な宴会が出来る位の大広間なスペースをとってあり、社長を始め他の部の方もいらっしゃるとのことだった。
『随分派手にするんですね。』
私が隣の席の先輩に話しかけると。
『平日の昼間から、何か飲み会みたいだね。』
とかなり嬉しそうに言った。
今日は仕事しないで良さそうだ、私は心が弾んだ。