介護というには大袈裟ですが。

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寒くなると思い出す あの人 (19)

2023-02-17 21:14:14 | 日記
お昼のツネ師匠の送別会及び年度末の慰労会はワイワイ楽しく中華料理を堪能した。社長も上機嫌で小林旭を数曲歌い、お偉いさんも、自らの贔屓にしているプロ野球チームの応援歌を歌った。
一定の盛り上がりを見せ、予定の1時間を20 分程度オーバーした時だった。社長はツネ師匠に話しを振った。
『ツネ、一曲いけ。』
ツネ師匠は断ったが、社長は、この前歌った あれ聞かせてくれよ、とおねだりし、一曲だけならとマイクを握った。
彼は静かに美空ひばりの愛燦燦を歌った。
とても静かな歌い方でサビの部分も抑揚はつけず、最初から終わりまで一定のトーンで歌い上げた。
派手さを好まない彼らしい歌い方だった。
ツネ師匠が歌い終わると大きな拍手がおこった。
そして社長が言った。
『良いねツネ、お前の歌良いよ。』
そしてひと呼吸おいて社長は続けて言った。
『皆んな盛り上がっているところ悪いが、予定を30分オーバーしていて、店員さんに怒られちゃうんで、今日はとりあえずお開き。又近いうちにやろうな。では解散。ツネは話しあるから残れ。』
私達はお腹いっぱいで、すっかりリラックスムードでゾロゾロと会社に向かった。
そんな中、社長とツネ師匠は最後の別れを惜しむかのように話していた。ツネ師匠の瞳に光るものが見えた。

寒くなると思い出す あの人 (18)

2023-02-17 12:08:10 | 日記
お昼の12時を少しまわり、宴会会場に他の部署の方々も、ほぼ集まった頃、社長は声をあげた。
『みんな集まったかな?、とりあえず皆さんご苦労さんな、今日は短い時間だが昼を沢山食べてくれ。後知っての通りツネが今日で巣立つ。だがツネはいつまでも我が社の人間だから、ふらっと戻るかもしれないよ、その時は又宜しくな、とりあえず一旦ツネとは、お別れするから、区切りだな。ツネひと言言え。』
社長に託されツネ師匠は、少し照れくさそうに挨拶をした。
『短い間でしたが、お世話になりました。』
言葉少なくシンプルな挨拶だったが、実直な彼らしい最後の言葉だった。その後、各自手元にあるジュースや、お茶の類を持ち、社長の音頭で乾杯となり、ワイワイガヤガヤ楽しいお昼となった。
社長は時間がたっと少しだけとビールを飲み始め、カラオケを始めた。
アルコールに手をつけたのは彼だけだったが。
それでも食事は美味しく私は満足だった。