20XX年・クエスチャン (-10-)
佐伯は確信があるかのように、熱く語った。
警部達は目を円くし、他の皆も驚いた様に呆然と見ているだけだった。
「これは驚きましたな。先生は作家さんだとお聞きしましたが、霧島明さんと言う名は本名ですか、それともペンネームですかな」。
すると、田島婦警が小首を倒し、佐伯の顔を覗き込む様に見詰めて居る。
「ヤッパリそうだ。似ているなって思っていたんです。佐伯博士ですよね、海洋気象学と地球物理学者の佐伯博士ですよね」。
「海洋気象学と地球物理学の博士ッ・・・田島君、本当かね」。
佐伯は素性が知れた事より。何故婦警が自分を知って居たのか不思議だった。
「はい、もう四年になりますね。私、先生の飛んでもない理論が好きで、あのHホテルでの、地球規模における環境異変と人類の破滅、と題した論文を拝聴させて頂いていました。あの日から先生居なくなっちゃったんだもの」。
「そうでしか。確かに田島さんが言う様に自分は佐伯です」。
「こりゃたまげた、先生は作家さんじゃなかったんか。その海洋何とかと地球物何とかって言う偉い先生だったんかね」。
「俺はそんな偉くなんかないですよ。今は唯の作家です。それより気象庁か地震予知連で調べて下さい。今日の午後15時30分前後にこの用宗港沖で強い磁場が観測されていないか。警部さん、いいですよね」。
「その必要はありません」。と、背後から何処かで聞き覚えのある声が.そんな馬鹿なと耳を疑いながら振り向いた。
そには、紺のスーツに身を包み、ニッコリと微笑む早瀬真由美が立っていた。
「・・・真由美・・君なのか」。
「もう~っこんな近くにいたのっ!、おバカッ!大バカよ。あれっきり連絡もくれないで。探したんだよ、探したんだから」。泣きながら抱き付く真由美だった。
佐伯は人目も気にする事なく自然に受入れ、ギュウッと胸に抱き締めた。
「佐伯君・・・」。真由美をそっと胸から離し、顔を上げた。
真由美は恥かしそうに佐伯の腕を取り、一歩、二歩と歩み寄る。
学会の ドン 首領、神宮寺勝彦であった。
「今更こんな事を言えた義理ではないが、是非とも君に戻って来て欲しいんです。早瀬君から電話を貰ってね。彼の居所が分かったと。
直ぐTVを見ろといわれて。この惨事をTVで観て驚いたよ、惨事にも驚いたが、君が映っているじゃないか。それも墜落を知らせに走ったとか。・・・
どうだね怪我の方は」。
パチパチパチパチッと、田島婦警は事情が分かっているだけに拍手を贈り、一人涙を流し、佐伯の復帰を願う一人だった。
「アノオ~ッ早瀬先輩、私も居るんですけど」。
「エッ・・・礼子ちゃんッ、エ~ッどうして静岡にいるの。貴方警視庁でしょう」偶然にも早瀬真由美と田島礼子は東京のA大の先輩後輩の仲であった。
田島は今年の警部補の昇進試験に合格しこの三月に研修で静岡県警に配属されたばかりであった。
「そうか、それでさっき見たとき何処かで会ってると思った筈だ。礼子ちゃんか、綺麗になって。それにしても警部補さんとは出世が早いね」。
綺麗さは早瀬先輩には負けますけど、先輩、婚約者に逢えて良かったですね。佐伯先生、今度黙って姿を消したら逮捕しちゃうから。ウフッ」。
「もうッ礼子ちゃんったら。晃さん、怪我は大丈夫?・・・」
「俺は大丈夫だよ」。
「あ~熱い熱い、あの頃の儘ですね」。
「礼子ちゃんったら。それはそうとさっきの話しだけど。警察の方にも聞いて頂きたい事があります。ここでは何ですから、どうぞ」。
真由美は佐伯の腕の怪我を気遣いながら港を出た。
緊急自動車から離れた人気の少ない一角に国旗が描かれ、JESと入った見慣れない大型トレーラーが二台止められていた。
一台の屋根には大小様々なパロボラアンテナが着いて居た。佐伯には観測用の移動基地である事は直ぐに分かった。
しかし、これ程の設備を備えた観測車は見た事がなかった。すると、ドアが開いた。
現れたのは誰あろう、副大統領、大友良三。そして、佐伯の大学の先輩出もあり国家航空安全局、新田則夫だった。そして、もう一人は公安警察次長、角田平だった。
これは只ごとではない、そう思いながら三人の前で足を止めた。
「探したぞ。お前が作家の霧島明だったとはな、そより怪我は大丈夫なのか」。
「はい、ご無沙汰して済みません。副大統領と航空安全局のお二人と公安の先輩が何故ここに」。NO-10
佐伯は確信があるかのように、熱く語った。
警部達は目を円くし、他の皆も驚いた様に呆然と見ているだけだった。
「これは驚きましたな。先生は作家さんだとお聞きしましたが、霧島明さんと言う名は本名ですか、それともペンネームですかな」。
すると、田島婦警が小首を倒し、佐伯の顔を覗き込む様に見詰めて居る。
「ヤッパリそうだ。似ているなって思っていたんです。佐伯博士ですよね、海洋気象学と地球物理学者の佐伯博士ですよね」。
「海洋気象学と地球物理学の博士ッ・・・田島君、本当かね」。
佐伯は素性が知れた事より。何故婦警が自分を知って居たのか不思議だった。
「はい、もう四年になりますね。私、先生の飛んでもない理論が好きで、あのHホテルでの、地球規模における環境異変と人類の破滅、と題した論文を拝聴させて頂いていました。あの日から先生居なくなっちゃったんだもの」。
「そうでしか。確かに田島さんが言う様に自分は佐伯です」。
「こりゃたまげた、先生は作家さんじゃなかったんか。その海洋何とかと地球物何とかって言う偉い先生だったんかね」。
「俺はそんな偉くなんかないですよ。今は唯の作家です。それより気象庁か地震予知連で調べて下さい。今日の午後15時30分前後にこの用宗港沖で強い磁場が観測されていないか。警部さん、いいですよね」。
「その必要はありません」。と、背後から何処かで聞き覚えのある声が.そんな馬鹿なと耳を疑いながら振り向いた。
そには、紺のスーツに身を包み、ニッコリと微笑む早瀬真由美が立っていた。
「・・・真由美・・君なのか」。
「もう~っこんな近くにいたのっ!、おバカッ!大バカよ。あれっきり連絡もくれないで。探したんだよ、探したんだから」。泣きながら抱き付く真由美だった。
佐伯は人目も気にする事なく自然に受入れ、ギュウッと胸に抱き締めた。
「佐伯君・・・」。真由美をそっと胸から離し、顔を上げた。
真由美は恥かしそうに佐伯の腕を取り、一歩、二歩と歩み寄る。
学会の ドン 首領、神宮寺勝彦であった。
「今更こんな事を言えた義理ではないが、是非とも君に戻って来て欲しいんです。早瀬君から電話を貰ってね。彼の居所が分かったと。
直ぐTVを見ろといわれて。この惨事をTVで観て驚いたよ、惨事にも驚いたが、君が映っているじゃないか。それも墜落を知らせに走ったとか。・・・
どうだね怪我の方は」。
パチパチパチパチッと、田島婦警は事情が分かっているだけに拍手を贈り、一人涙を流し、佐伯の復帰を願う一人だった。
「アノオ~ッ早瀬先輩、私も居るんですけど」。
「エッ・・・礼子ちゃんッ、エ~ッどうして静岡にいるの。貴方警視庁でしょう」偶然にも早瀬真由美と田島礼子は東京のA大の先輩後輩の仲であった。
田島は今年の警部補の昇進試験に合格しこの三月に研修で静岡県警に配属されたばかりであった。
「そうか、それでさっき見たとき何処かで会ってると思った筈だ。礼子ちゃんか、綺麗になって。それにしても警部補さんとは出世が早いね」。
綺麗さは早瀬先輩には負けますけど、先輩、婚約者に逢えて良かったですね。佐伯先生、今度黙って姿を消したら逮捕しちゃうから。ウフッ」。
「もうッ礼子ちゃんったら。晃さん、怪我は大丈夫?・・・」
「俺は大丈夫だよ」。
「あ~熱い熱い、あの頃の儘ですね」。
「礼子ちゃんったら。それはそうとさっきの話しだけど。警察の方にも聞いて頂きたい事があります。ここでは何ですから、どうぞ」。
真由美は佐伯の腕の怪我を気遣いながら港を出た。
緊急自動車から離れた人気の少ない一角に国旗が描かれ、JESと入った見慣れない大型トレーラーが二台止められていた。
一台の屋根には大小様々なパロボラアンテナが着いて居た。佐伯には観測用の移動基地である事は直ぐに分かった。
しかし、これ程の設備を備えた観測車は見た事がなかった。すると、ドアが開いた。
現れたのは誰あろう、副大統領、大友良三。そして、佐伯の大学の先輩出もあり国家航空安全局、新田則夫だった。そして、もう一人は公安警察次長、角田平だった。
これは只ごとではない、そう思いながら三人の前で足を止めた。
「探したぞ。お前が作家の霧島明だったとはな、そより怪我は大丈夫なのか」。
「はい、ご無沙汰して済みません。副大統領と航空安全局のお二人と公安の先輩が何故ここに」。NO-10
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