小説・鉄槌のスナイパー・3章・NOー(81)&デッサン
鉄槌のスナイパー3章
三河昇はその報告を受けて取り調べ室に向かった。
宮崎は取り調べ室でも手錠を掛けられ、両脇に巡査が立っていた。三河は椅子に座ると手錠が外された。そして供述を書き留める刑事が隅の椅子に掛けて書類を広げた。
「私は責任者の三河警視です。なんで逮捕されたのか分かりますね」。
男は顔を上げて三河を見た。そして黙って頷いた。
「では単刀直入に聞きます。二月二十七日、北海道釧路市にある釧路ビラホテルに滞在していた東京の闇金の社長、堂島ローン堂島岩雄さん58才を射殺しましたね」。
「ええ、自分が殺しました」。
驚く程淡々と答え、サッパリした目をしていた。三河はあまりにもアッサリ罪を認めた事に驚いていた。
「殺害の理由は恨みか、それとも誰かに頼まれたのか」?
「ああ、頼まれた」。
「誰に頼まれたんだ。依頼したのは誰だ」?
「そんな事を言うと思うのか、自分はプロの殺し屋だ。殺したのは自分だと言っている、死刑にでもなんでもしろ、覚悟は出来ている」。
そう言う西崎の顔は堂々として一片の曇りもなかった。
「では、訊くが。此の銃とライフル、それに特種な弾丸だが、何所から手に入れたか話して貰おうか」。
「そんな事は話せない、ただ日本国内じゃない事は確かだ。後の事は何も喋らない。それが殺し屋の鉄則だからな」。
「笑わせるな、一端の口を利くんじゃない。プロの殺し屋が防犯カメラに撮られたりするか。アホが」。すると、西崎の目付きが鋭くなり、顔色が変わった。
「まあそれも良いだろう。我々が見た所、貴様はまだ見習いだろう。一端の口を利くのは十年早いんだよ。何がプロだ、貴様はただの人殺しに過ぎない。では仲間は?・・・リーダーが居るだろ」
「勝手に探せ」男はふて腐れた。するとドアが空いて小川警部が三河を呼んだ。
三河は外に出た。
「警視、この写真と名前が西崎の部屋から押収したパソコンに入っていました。例の亀石峠で事故死した三人と一致しました。先程静岡県警に問い合わせして確認を取りました」。
「分かった、この名前が本名なんだな」。
小川警部は頷くと書類と三枚の写真を渡すと戻って行った。三河は椅子に座ると写真を西崎の前に並べた。
「これを見ろ、長谷川五郎35才、菊地民雄32才、戸部裕也同じく32才。お前の仲間だな」。
「馬鹿な奴等だ。事故で死にやがった。死んだ奴等まで隠す事はないからな、自分の仲間だよ。それで全員だ」。
「お前はどうしてその車に乗っていなかったんだ」?
「自分はオーストラリアにいた。奴等が事故死したのは帰国して知ったんだ。ついでに言っておくが、どうして三人は伊東に向かっていたのかは知らない」。
「そうか。話は変わるが、去年の十二月二十二日の晩、暴走族を八人殺したのもお前か。ピース同盟鉄槌の輩とか言う過激派の名前で犯行声明を出したろ」。
「あれは自分じゃない。でも良い事じゃないか、そのお陰で暴走族は次々に解散したんだろ。警察の手を省いて貰ったじゃないか」。
「確かにそれはある、では亀石峠で事故死したこの三人はお前と同じ銃やライフルは持っていたのか?・・・」
「そんな事は知らないよ。何所かへ隠したんだろ」。
「では、お前白馬に何をしに行った。目撃されているんだ」。
「ああ、その事か。お宅ら警察が調べていたろ、紺野とか言うペンションの息子の事をさ。あの三人が事故死した時も伊東にいたし、なんだっけ、大浜だったっけ。二人のヤクザが殺された時も近くにいたらしいじゃないか。
警察の動きなんか手に取るように分かっていたよ。それでどんな男か見たくなって行ったまでさ。調べるならもっと隠密に調べないとな、笑っちゃうよ公安にはよ。アッハハハ・・・」。
「勝手に笑っていろ、ではもう遅いから今夜は此れくらいにして明日からみっちり調べるからゆっくり寝ておけ」。
三河は廊下にいた巡査を呼んで手錠を掛けさせた。そして西崎は立ち上がって知り調べ室を出た。すると止まって振り向いた。
「一つ言っておくが、自分が死刑になっても殺し屋はまた送られてくるよ。じゃあなお休みなさい三河警視殿。アッハハハハハ」。
西崎は京平達の事は興味本位で顔を見に行ったと言う言葉で心ならずもホッとしていた。そして西崎の笑い声が廊下に響き渡っていた。
三河はデカ部屋に戻ると明日からの捜査方針を指示して警視庁を出た。
そして腕時計を見ると十一時を廻っていた。背広のポケットから携帯を出すと家に電話した。NO-81-3
鉄槌のスナイパー3章
三河昇はその報告を受けて取り調べ室に向かった。
宮崎は取り調べ室でも手錠を掛けられ、両脇に巡査が立っていた。三河は椅子に座ると手錠が外された。そして供述を書き留める刑事が隅の椅子に掛けて書類を広げた。
「私は責任者の三河警視です。なんで逮捕されたのか分かりますね」。
男は顔を上げて三河を見た。そして黙って頷いた。
「では単刀直入に聞きます。二月二十七日、北海道釧路市にある釧路ビラホテルに滞在していた東京の闇金の社長、堂島ローン堂島岩雄さん58才を射殺しましたね」。
「ええ、自分が殺しました」。
驚く程淡々と答え、サッパリした目をしていた。三河はあまりにもアッサリ罪を認めた事に驚いていた。
「殺害の理由は恨みか、それとも誰かに頼まれたのか」?
「ああ、頼まれた」。
「誰に頼まれたんだ。依頼したのは誰だ」?
「そんな事を言うと思うのか、自分はプロの殺し屋だ。殺したのは自分だと言っている、死刑にでもなんでもしろ、覚悟は出来ている」。
そう言う西崎の顔は堂々として一片の曇りもなかった。
「では、訊くが。此の銃とライフル、それに特種な弾丸だが、何所から手に入れたか話して貰おうか」。
「そんな事は話せない、ただ日本国内じゃない事は確かだ。後の事は何も喋らない。それが殺し屋の鉄則だからな」。
「笑わせるな、一端の口を利くんじゃない。プロの殺し屋が防犯カメラに撮られたりするか。アホが」。すると、西崎の目付きが鋭くなり、顔色が変わった。
「まあそれも良いだろう。我々が見た所、貴様はまだ見習いだろう。一端の口を利くのは十年早いんだよ。何がプロだ、貴様はただの人殺しに過ぎない。では仲間は?・・・リーダーが居るだろ」
「勝手に探せ」男はふて腐れた。するとドアが空いて小川警部が三河を呼んだ。
三河は外に出た。
「警視、この写真と名前が西崎の部屋から押収したパソコンに入っていました。例の亀石峠で事故死した三人と一致しました。先程静岡県警に問い合わせして確認を取りました」。
「分かった、この名前が本名なんだな」。
小川警部は頷くと書類と三枚の写真を渡すと戻って行った。三河は椅子に座ると写真を西崎の前に並べた。
「これを見ろ、長谷川五郎35才、菊地民雄32才、戸部裕也同じく32才。お前の仲間だな」。
「馬鹿な奴等だ。事故で死にやがった。死んだ奴等まで隠す事はないからな、自分の仲間だよ。それで全員だ」。
「お前はどうしてその車に乗っていなかったんだ」?
「自分はオーストラリアにいた。奴等が事故死したのは帰国して知ったんだ。ついでに言っておくが、どうして三人は伊東に向かっていたのかは知らない」。
「そうか。話は変わるが、去年の十二月二十二日の晩、暴走族を八人殺したのもお前か。ピース同盟鉄槌の輩とか言う過激派の名前で犯行声明を出したろ」。
「あれは自分じゃない。でも良い事じゃないか、そのお陰で暴走族は次々に解散したんだろ。警察の手を省いて貰ったじゃないか」。
「確かにそれはある、では亀石峠で事故死したこの三人はお前と同じ銃やライフルは持っていたのか?・・・」
「そんな事は知らないよ。何所かへ隠したんだろ」。
「では、お前白馬に何をしに行った。目撃されているんだ」。
「ああ、その事か。お宅ら警察が調べていたろ、紺野とか言うペンションの息子の事をさ。あの三人が事故死した時も伊東にいたし、なんだっけ、大浜だったっけ。二人のヤクザが殺された時も近くにいたらしいじゃないか。
警察の動きなんか手に取るように分かっていたよ。それでどんな男か見たくなって行ったまでさ。調べるならもっと隠密に調べないとな、笑っちゃうよ公安にはよ。アッハハハ・・・」。
「勝手に笑っていろ、ではもう遅いから今夜は此れくらいにして明日からみっちり調べるからゆっくり寝ておけ」。
三河は廊下にいた巡査を呼んで手錠を掛けさせた。そして西崎は立ち上がって知り調べ室を出た。すると止まって振り向いた。
「一つ言っておくが、自分が死刑になっても殺し屋はまた送られてくるよ。じゃあなお休みなさい三河警視殿。アッハハハハハ」。
西崎は京平達の事は興味本位で顔を見に行ったと言う言葉で心ならずもホッとしていた。そして西崎の笑い声が廊下に響き渡っていた。
三河はデカ部屋に戻ると明日からの捜査方針を指示して警視庁を出た。
そして腕時計を見ると十一時を廻っていた。背広のポケットから携帯を出すと家に電話した。NO-81-3