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20XX年・クエスチャン (-11-)

2010-06-18 12:49:26 | 20XX年・クエスチョン
20XX年・クエスチャン (-11-)

「今日は政府としてでは無く、大友個人として非公式で来てます。佐伯さん、皆さん、ともかく中へどうぞ」。
警部の林と婦警の田島警部補がどうして?・・・二人は互いに顔を見合わせ、そう言っている様にも見えた。
中は計器がズラリと並び、まるで戦闘機のコックピットの様でもあり、イージス鑑の管制室にも思えた。グレーのメッシュのツナギを着た職員が十人程がいた。
皆その儘続けて下さい、大友は立ち上がろうとする職員達を制した。
何処かで何か飛んでもない事が起きている、だからこんな車を。佐伯は直感する。通路の奥には重厚な扉が開いていた。                   
中に誰か居るような、人影が動いた。林警部が小走りにドアの前に立つ。
「署長ッ、どうして署長がここに」。
「林警部、田島警部補、突然だが新しい任務に就いてくれたまえ」。と静岡県警本部長、本間和夫は机の茶封筒を取る。中には辞令が入っていた。
林警部と田島警部補は突然も突然の辞令に唯呆然と突っ立って居る。
佐伯や真由美達は二人を囲むように席に着いた。
「本日四月三日付けで林信一警部は警視正に昇進、並びに田島礼子警部補は警視に昇格。以後、公安警察特捜室へ移籍、国家保安環境対策室勤務を任づる。
では諸君、頑張ってくれたまえ」。と、二人に辞令を渡すのだった。
「ありがとうございます。期待に添える様頑張ります」。
「未熟者ですが、職務遂行に邁進して頑張ります」。
「うん、そう気を張らずに頑張ってくれたまえ。では私はこれで」。本間署長は一同に敬礼し、去った。「意気なり連れて来てこれはどう言う事です。二人も戸惑っているじゃないですか。国家保安環境対策室とは何です?・・・」。
すると、副大統領の大友が机に置かれた分厚い封筒を紐解いた。         
「佐伯博士、林警視正、田島警視、驚かれるには無理もありません。この組織は、例の異常気象が大陸から南下を始めた頃に大統領直轄の元に設けられた特殊な組織です。目的は佐伯博士、博士か研究された論文です。
そんな時に神宮寺博士が大統領官邸を訪れたんです。この論文を出されて、何も可も私に責任がある。そう言われて佐伯博士を探してくれと懇願されました。
論文は全て読ませて頂きました。勿論大統領も目を通されました。
言っておられました。こんな論文があるにどうして今の今迄発表されなかったのか。 知っていたらもっと早く組織を作っていた。あの異変であれだけの犠牲者を出さずに済んでいたと。
佐伯博士、探しました。しかし、手掛かりが全く掴めないでいたら作家の霧島明とい名前が浮かんできました。
捜査チームを静岡へいかせました。やはり博士でした。後はこちらの準備が出来るのを待つだけとなり、準備を急がせました。
そして、三日前に全ての準備が整い、さあと言う時にこの惨事が起きてしまった。そこえ早瀬博士から電話で彼が静岡の墜落現場にいると一報が入ったんです」。
真由美「酷~い、じゅあ大友さんはとっくに彼の居所を知っていたんですか。私に知らせてくれないで。もう知らない」。
唇を尖らせ、プ~ッとホッペを膨らませた。そして、佐伯の腕を抱き締めると、まるで少女の様に拗ねて見せた。
「これは参りましたな、失礼しました」。
「じゃあ神宮寺博士も共犯?・・・知ってたんですか」。       
「いいえ、神宮寺博士にも知らせてありませんでした。黙っていた事は謝ります。只、この組織の存在はまだ世間には知られたくなかったものですから。では本題に入ります。この組織の責任者は佐伯博士にお任せします」佐伯は腰を上げた。
「待って下さい、意気なりそんな事を言われても」。
「いいえ、話しは最期まで聞いてからにして下さい。このチームは観測クルーと各分野の専門化達、勿論早瀬博士も代表の一人です。神宮寺博士は年だから皆の足手纏いになるから事態させて頂くと、その代わり自分より優秀な佐伯博士をと進言されましてね、丁重に断られました」。と、皮切りに説明を始めた。
チーム編成と装備、二台の観測移動車は国内はおろか、全世界を走り回れるよう、国連を通して許可を取ってあると言う。そして、調査は地球上の全てだと言うのだ。
観測用船舶、観測機が書かれた表を見た佐伯は驚愕する。これでは準備に時間が掛かった訳だ。それにしてもどれも聞いた事がない飛行機ばかりだった。
「これは凄い、まるで戦争に行くようですね」。
NO-11-22

20XX年・クエスチャン (-10-)

2010-06-14 11:18:03 | 20XX年・クエスチョン
20XX年・クエスチャン (-10-)

佐伯は確信があるかのように、熱く語った。
警部達は目を円くし、他の皆も驚いた様に呆然と見ているだけだった。    
「これは驚きましたな。先生は作家さんだとお聞きしましたが、霧島明さんと言う名は本名ですか、それともペンネームですかな」。
すると、田島婦警が小首を倒し、佐伯の顔を覗き込む様に見詰めて居る。

「ヤッパリそうだ。似ているなって思っていたんです。佐伯博士ですよね、海洋気象学と地球物理学者の佐伯博士ですよね」。
「海洋気象学と地球物理学の博士ッ・・・田島君、本当かね」。
佐伯は素性が知れた事より。何故婦警が自分を知って居たのか不思議だった。

「はい、もう四年になりますね。私、先生の飛んでもない理論が好きで、あのHホテルでの、地球規模における環境異変と人類の破滅、と題した論文を拝聴させて頂いていました。あの日から先生居なくなっちゃったんだもの」。
「そうでしか。確かに田島さんが言う様に自分は佐伯です」。
「こりゃたまげた、先生は作家さんじゃなかったんか。その海洋何とかと地球物何とかって言う偉い先生だったんかね」。                
「俺はそんな偉くなんかないですよ。今は唯の作家です。それより気象庁か地震予知連で調べて下さい。今日の午後15時30分前後にこの用宗港沖で強い磁場が観測されていないか。警部さん、いいですよね」。
「その必要はありません」。と、背後から何処かで聞き覚えのある声が.そんな馬鹿なと耳を疑いながら振り向いた。
そには、紺のスーツに身を包み、ニッコリと微笑む早瀬真由美が立っていた。

「・・・真由美・・君なのか」。
「もう~っこんな近くにいたのっ!、おバカッ!大バカよ。あれっきり連絡もくれないで。探したんだよ、探したんだから」。泣きながら抱き付く真由美だった。
佐伯は人目も気にする事なく自然に受入れ、ギュウッと胸に抱き締めた。
「佐伯君・・・」。真由美をそっと胸から離し、顔を上げた。
真由美は恥かしそうに佐伯の腕を取り、一歩、二歩と歩み寄る。
学会の ドン 首領、神宮寺勝彦であった。

「今更こんな事を言えた義理ではないが、是非とも君に戻って来て欲しいんです。早瀬君から電話を貰ってね。彼の居所が分かったと。
直ぐTVを見ろといわれて。この惨事をTVで観て驚いたよ、惨事にも驚いたが、君が映っているじゃないか。それも墜落を知らせに走ったとか。・・・
どうだね怪我の方は」。
パチパチパチパチッと、田島婦警は事情が分かっているだけに拍手を贈り、一人涙を流し、佐伯の復帰を願う一人だった。
                      
「アノオ~ッ早瀬先輩、私も居るんですけど」。
「エッ・・・礼子ちゃんッ、エ~ッどうして静岡にいるの。貴方警視庁でしょう」偶然にも早瀬真由美と田島礼子は東京のA大の先輩後輩の仲であった。
田島は今年の警部補の昇進試験に合格しこの三月に研修で静岡県警に配属されたばかりであった。                        
「そうか、それでさっき見たとき何処かで会ってると思った筈だ。礼子ちゃんか、綺麗になって。それにしても警部補さんとは出世が早いね」。 
綺麗さは早瀬先輩には負けますけど、先輩、婚約者に逢えて良かったですね。佐伯先生、今度黙って姿を消したら逮捕しちゃうから。ウフッ」。
「もうッ礼子ちゃんったら。晃さん、怪我は大丈夫?・・・」
「俺は大丈夫だよ」。
「あ~熱い熱い、あの頃の儘ですね」。
「礼子ちゃんったら。それはそうとさっきの話しだけど。警察の方にも聞いて頂きたい事があります。ここでは何ですから、どうぞ」。
真由美は佐伯の腕の怪我を気遣いながら港を出た。              
緊急自動車から離れた人気の少ない一角に国旗が描かれ、JESと入った見慣れない大型トレーラーが二台止められていた。
一台の屋根には大小様々なパロボラアンテナが着いて居た。佐伯には観測用の移動基地である事は直ぐに分かった。
しかし、これ程の設備を備えた観測車は見た事がなかった。すると、ドアが開いた。
現れたのは誰あろう、副大統領、大友良三。そして、佐伯の大学の先輩出もあり国家航空安全局、新田則夫だった。そして、もう一人は公安警察次長、角田平だった。
これは只ごとではない、そう思いながら三人の前で足を止めた。
「探したぞ。お前が作家の霧島明だったとはな、そより怪我は大丈夫なのか」。
「はい、ご無沙汰して済みません。副大統領と航空安全局のお二人と公安の先輩が何故ここに」。NO-10

20XX年・クエスチャン (-9-)

2010-06-05 02:34:23 | 20XX年・クエスチョン
20XX年・クエスチャン (-9-)

照れくさい様なこそばゆいような、ともかく体の節々がヒリヒリと痛み出した。
林警部「ともかく先に治療をしてもらって後で話しを聞かせて下さい」。林警部は佐伯の足元から全身を見ると、救急車に乗り込んだ。ストレッチャーの上にある毛布を取ると、ずぶ濡れの肩に掛けた。
「どうも、・・・」,言葉を返すと、僅か数分前の出来事を話した。
二人の刑事は頷きながら手帳に記している。周りには治療を終えた漁師達がいつの間にか集まって来ていた。佐伯にはまだ気になる事があった。それは突然消えた貨物船の事であった。
「刑事さん、実は・・・・」そう切り出すと話した。刑事も漁師達も半信半疑のまなざしで聞いていた。
「一応海上保安庁に連絡を取ってみます。三時半頃この用宗沖を航行したタンカーがあったかどうか。石野、海上保安庁へ連絡取ってくれ」。
「はい、3時半頃ですね」。

まだ新米刑事だろう、このクソ暑いのに汗だくになりながらスーツを着て居る、石野は軽く敬礼すると駆け出していった。治療を終え、一応の事情聴取を済ませた佐伯は消火活動と同時に行われて居る救助作業を見て居た。
港の土真ん中に墜落した航空機は跡形もなく大破し、海面らから上部が僅かに出て居る。千切れた翼は四階建ての魚協の建物を半分破壊し、粉砕して散らばっている。
海面に立ち上ぼって居た炎は化学消防隊に因って消火され、真っ白な泡が港一面を覆って居た。続々と到着する警察車両、救急車、自衛隊の車両。
墜落現場を少し離れた上空には、マスコミだろう、何機ものヘリが旋回している。
そこへ制服制帽の消防署の人間らしい、小柄な中年男が敬礼をしながら現れた。
消防隊員の誰もが直立し、敬礼している。

「ご苦労様です、南の神崎です。一報が入った時は会議で焼津だったもので。これ  は酷いですな。それで生存者は」。
「今の所60体の遺体が収容されましたが男女の区別が着かない程痛んでます。不謹慎ですが、現状から観て絶望でしょうな」。
そこへ、制服の綺麗な婦警が駆け寄る。何処かで会った様な気がした。胸には田島と書かれている。神崎に一礼し、林警部には敬礼した。
そして、佐伯の顔を見ると、何故か深々と頭を下げるのだった。        
「警部、分かりました。墜落機は日本製のKOMADORI555型で、札幌発静岡行き627便です。乗員10名と乗客は270人。満席だったそうです。関係者がこちらへ向かったそうです。それが変なんです」。と、付け加えた。 
「・・・変・・何がどう変なんだ」。
婦警は神崎と佐伯を見上げ、ここで話して良いのか迷っていた。

「この人は墜落を皆に知らせてくれた人だ。いずれ分かる事だから話せ」。
「はい。それが、問い合わせしたら内の機は一機も行方不明になった機は無いって言うんです。全てレーダーで捕らえてると言うんです。
そしたら、無線が入ったらして。静岡から627便が到着時間が過ぎても機影が現れないって連絡があって、それで知ったと言うんです」。        
「そんな事あるのか、じゃあ静岡でも墜落した事は分からなかったのか」。
「はい、双方の管制塔のレーダーにはちゃんと機影は映っていたって話しています。ネエ、変でしょう」。佐伯はその話しの内容に目を輝かせていた。
「まさか・・・相対性立体残存作用」。と、ポツリと口にした。
「エッ、相対性立体残存作用?・・何ですかそれは?・・」。 
   
相対性とは、その昔ドイツ系ユダヤ人の物理学者、アイン・シュタインが創唱した特種相対性理論、一般相対性理論の総称である
アイン・シュタインはその後、電磁気学と一般相対性理論を統一しようとしたが解明には至らず、この世を去った。
後にアメリカの物理学者、ホーキンス博士によって一般相対性理論は解明された。
佐伯はその理論の中から、時間と空間とは密接に結び付けられていると言う4次元の空間リーマン空間を研究していて偶然発見した佐伯の理論であった。
簡単に言うと。今回の旅客機の機影が札幌と静岡の両管制塔のレーダーに映し出されていた現象は4次元の空間、リーマン空間が存在する事を実証した物でもあった。
航空機は静岡空港に接近し、自動着陸システムを作動させた。その時、磁場の関係で空路に4次元空間リーマン空間が出現したと思われる。

航空機は一種の電波の固まりと同じであり、航空機全体から発する電波と自動着陸用誘導システムの電波と空港の誘導電波とがリーマン空間を通り、機影ごとレーダーがキャッチしていた。リーマン空間に残って居る飛行機の残存機影を双方のレーダーが捕らえていた。だから墜落したのにレーダーに機影がいつまでも映っていた。
NO-9-18