エンターテイメント、誰でも一度は憧れる。

PCグラフィック、写真合成、小説の下書き。

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(71)&CG合成

2008-10-19 02:01:04 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(71)&CG合成

「京平さん異状無しで~す。順調ですって」。
「うん、お帰り。良かったな、ちょっと出掛けて来ていいかな。マホロバのマスターが話があるって電話があったんだ」。
「うん、じゃあお義母さんと留守番している。時間かかるの」?
「そんなに掛からないと思うけど、何かあったら電話して」。京平は美保から小銭を貰うと車で出掛けた。そして喫茶店に入ると奥のテーブルでコーヒーを飲んでいた。
マスターに紅茶を頼むと席に着いた。三河警部はニヤッと笑うと立ち上がり、京平が座るのを待って座った。
「お待たせしました。女房が妊娠して定期検診なんです。それで、今度は誰です」?京平はそっと聞いた。
「そうでしたか、それは御目出とうございます」と話し掛けると店員が紅茶を運んで来た。そして置いて戻ると口を開いた。
「実は此の十二月から本庁に栄転になりましてね。一階級昇格しまして、東京から来たんです」。
「そうですか、御目でとうございます。警視ですか」。
三河は恥ずかしそうに頭に手をやり頷いていた。
「まあその事は良いとして、私に小さい方を貸して頂けませんか」そう言う三河の目は至極真剣だった。
「事情話してくれますね。そうでないとお貸し出来ません」。
「勿論です。ここでは何ですから場所を移しませんか」。
「そうですね、では別荘へ行きましょう。あそこなら誰にも聞かれませんから」。京平は紅茶を飲み干すと支払いを済ませて喫茶店を出た。
そして携帯を持つと家に電話した。そして二台で別荘へ向かった。
そして十時過ぎには別荘に着くと冷え切った室内に身震いしながら暖房に火を点けた。二人は暖炉に手をかざして暖まるのを待った。そのあいだ口を開く事もなくじっと炎を見ていた。
「紺野さん、実は暴走族のリーダーと幹部がターゲットなんです。幾ら取締を強化して検挙しても道交法だけで免許証を取り消しになっても彼等には関係ありません。見せしめの為です」。そう熱く語る三河の目は暖炉の炎が反射していっそう鋭く輝いていた。京平は計画を聞いた。
「ええ、もうアジトは調べてあります。中には暴力団とつるんでる奴もいます。それに、ああ言う奴等は人気のない所を隠れ家にしますから、こちらに執っては好都合です。全部で二十五人」。
「25人、それを一人で始末する気ですか」?
「ええ、その為に嫌いだった射撃の訓練を進んでして来ました。駄目でしょうか、貸して頂けませんか」。
「いえ。お貸しします。ちょうど弾薬を少しここへ移した所です」京平はそう言うと地下室の鍵を開けると降りて行った。
そして間もなく弾薬の箱とブリーフケースを持って上がって来た。そして手袋をすると三河にも手袋を渡した。そして銃を取り出すと消音器を装着し、カートリッジに二十発の弾をいれると装填した。
そして窓を開けると百メートル先の切り株目掛けて発射した。
三河は双眼鏡を手に切り株を見た。
「此れは凄い、私なんかとても適わんですな」。
京平は全弾打ち終わるとカートリッジを出すと代わりのカートリッジを入れ、装填して三河に渡した。
初めて持つ大型の銃に三河は慎重に切り株を狙った。そして一発づつ全弾撃って感触を見ていた。しかし腕は悪かった。
すると京平はライフルに消音器を取り付けるとスコープを着け、弾を装填した。そして三河に渡した。
三河は安全器を解除すると切り株を狙った。そして数発撃つと安全装置を掛けて京平に渡した。
「難しいですよ私にライフルは。しかし、奥さんがこのライフルを扱うとは驚きですな。私は銃の方がいいです」。
「三河さん、こう言ってはなんですが、その腕では無理です。確実性に殺らないと。いま撃った命中率は50パーセントそこそこ。もし的を外して関係の無い人間にでも当たったら大変です。自分も此れから忙しくなりますから家は明けられません」。NO-71-69

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(70)&CG合成

2008-10-19 01:59:09 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(70)&CG合成

二人は誰なのか予約してくれた人の名簿を見ていた。
「やったわね京平さん、問い合わせだけでも十二件。三組みで十人もお正月に使ってくれるなんて嬉しいね」。
「うん、これだから営業って止められないんだよな。直ぐに結果が出るから」。
すると、美保は京平に教わった営業の仕方や、京平が取引先に意かに信用があるか自慢気に説明していた。
そんな美保の話を義父は腕を組み、母は「うん、うん、そう」と頷きながら真剣に話す美保に暖かな視線を送っていた。
京平はそんな話しに照れ笑いを浮かべ、黙って聞いていた。
こうして何事もなく平穏な日々が流れ、十一月も終わろうとしていた。
寒さも本格的になり、八方や穂高連邦の峰々には薄っすらと白い物が望む季節になった。
しかし、美保には底冷えのする京都に比べると白馬の冬は暖かくさえ感じていた。
そして十二月に入った一日、美保が身体の異変に気付き、義母良江と産婦人科を訪ねていた。美保は診察台に横になっていた。そして診察が終わった。
母義は嫁の妊娠に気付いていた。しかし確実に分かるまではと黙っていた。
そして母良江も呼ばれ、診察室に入った。すると美保は嬉しそうに顔を上げた。
「お義母さん、三ケ月ですって」。
「そう、お目出とう。良かったわね、先生、宜しくお願いします」。
医師は笑顔で頷いていた。そして注意事項を聞き、受付で母子手帳を貰うと佐久間婦人科を出た。そして帰りは義母の運転で五分ほどの道程を帰った。
そして夫の待つ部屋に行った。「京平さん、赤ちゃん、三ケ月ですって」。
京平は驚いた。パソコンの手を止めて立ち上がった。
「そうかっ!やったな美保。やったやった」。
「うん。予定日は来年の六月二十三日だって」
京平は屈むと美保の両足と背中に手を廻すと、そっと抱き上げた。美保は真っ赤になって首につかまった。
「お目出とう美保、元気な子供を生んでくれよな」。
「うん、頑張って元気いっぱいの赤ちゃん生むから」。
そこへ父良平が母親から聞いて階段を駆け上がって来た。そして空いていた部屋へ入って来た。
「美保さん母さんから聞いたよ、御目出とう。京平、美保さん良かったな」。
「はい。お義父さん有り難うございます」。
「京平、落としたらどうする。早く美保さんを降ろしなさい」。
京平は抱き上げた美保をそっと降ろした。
「京平、階段に手刷りと滑り止めを直ぐに着けるように手配しなさい。そうか、孫が出来たか。良かった良かった。此れからは無理はしないようにな美保さん。京平分かったな」。
「ああ、分かった」。
「お義父さん、でも先生がある程度動いた方が良いって言っていましたから。疲れた時は言いますから仕事はさせて下さい」。
「うん、分かったよ」と目を細め、満面な笑みを浮かべながら出て行った。
そして階段を降りる義父の足音もトントントンと軽やかだった。
美保は電話を持つと京平を見ながら京都の母の元へ電話した。
「あっ、お母さん。美保、お母さん赤ちゃん出来たよ」。
「そう~良かったわね、御目出とう美保。京平さんや御両親には話したの」?
「うん、お義母さんに着いて行って貰ったの。京平さんに代わるね」京平は嬉しそうに受話器を取ると改めて報告した。
美保は受話器に耳を近付けて母の話しを一緒に聞いていた。
そして京平は京都の義母に遊びに来る事を約束させて受話器を置いた。こうして紺野家は美保の身体を第一に、美保中心に流れ始めていた。
そして、正月の予約も一杯になり、気を抜ける時期に入っていた。
そんな十二月の半ば、父良平は寄り合いで出掛け、母良江は病院に連れ添って美保の定期検診に出掛けていた。京平は一人で事務所にいると、突然連絡も無く静岡から三河警部が一人で訪ねて来た。
「紺野さん、少し時間を頂けませんか」?
「ええ、いま僕一人なんです。時期に母も美保も帰って来ますから、この先のマホロバって言う喫茶店で待っていてくれませんか」。
「分かりました。では後程」。そう言うと三河は出て行った。京平はどんな用件で三河が来たのか分かっていた。
そして妊娠している美保にはもう手伝わせたくないと心に決めていた。そして十五分もすると母と美保が帰って来た。
NO-70

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(69)&CG合成

2008-10-19 01:57:11 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(69)&CG合成

「美保、ああ言う店員がいると遠回りしても来たくなるな」
「うん、心から有り難うって言ってくれているもの。あの店長さんなら店員さんにもそう言う教育しているんだろうね」。
「そうだろうね、しかし美保の腕はたいしたもんだ。負けたよ」。
「いや~もう、今日はたまたまついていただけよ。でも楽しかった」。
すると、映画が終わったのか、続々と人が出て来た。そんな中を二人は縫うようにホテルに帰った。すると、ロビーには三河警部が待っていた。
「どうも、パチンコ儲かりましたか」?
「ええ妻がね。どうしたんです、こんな遅くまで、まだ仕事ですか」。
「ええ、堂元が恐喝するネタを流していた人間がこのホテルに泊まってる事が分かりまして。それで、共犯の容疑で逮捕したばかりです」。
「京平さん、私アイスクリーム預けて来る」。美保はそう言うとフロントへ預けに行った。京平と三河警部は椅子に座ると事件の話を始めた。
「あの堂元と言う男は我々が調べた以上の事をしていましたよ。ガサ入れして分かったんですが、押し入れからビデオテープや写真が出て来る出て来る、段ボール箱で三十箱も出てきました。みんな全裸の女性と性行為をしている現場写真や隠し撮りしたDVDしてね。それをネタに威していたんですな。
大学教授や医師、会社の役員。あれでは被害届けは出せませんな。中には女子高生との性行為のビデオや写真もありましてね。警察としては厳重注意と言う事で不問にするつもりです」。
「そうですか、それで司法解剖の検案は」。
「ええ、遺体の弾痕から侵入角度を計算して堂元の家の裏にあるビルの建設現場から発射されたものではないかと言っていました。まあ、あの距離ですから誰も信じませんでしたがね」。
すると美保はニコッと笑って警部を見た。
「そうよね、普通のライフルじゃ無理よね」そっと言うのだった
警部は眉を細め、二度三度と頷くと笑っていた。
「それで白馬にはいつ戻られるんです」?
「ええ、営業は今日一日で終わらせてしまいましたから。明日ゆっくり戻ろうと思っています」。
「そうですか、気を付けて帰って下さい。そうだ、大事な事を聞くのを忘れていました。誰かに遭わなかったでしょうか」。
「それが、あのビルに入って五階の部屋に入ると、中学生ぐらいのアベックが裸で抱き合っていましてね。叱って返しました。顔は懐中電灯の逆光で見られていません。服も現場の人間に見せ掛けて作業服の上下とヘルメットに安全靴で行きました」。
「そうですか、奥さんもその恰好で」?
「はい、私だってあの恰好なら男に見えるでしょう。背だって165あるもの。京平さんは大きいから小さく見えますけど」。
「ええ、奥さん女性にしては大きいですから。そうですか、中学生のアベックですか。でも届けて来ないでしょう。どうしてそんな所にいたのか聞かれますからね。
まさかエッチしていたなんて言えないでしょう。それは問題にしなくても良いですな。では私は此れで、遅くに済みません」。三河警部はフロントに行くと何か話していた。そして二人に頭を下げると帰って行った。
二人はフロントに行くと明日チェックアウトする事を告げ、預けたアイスクリームと買い物袋を受け取ると部屋に戻った。
二人はシャワーを浴びると美保は湯上がりにアイスを食べていた。そして京平の口へ運んでは口移しに貰い、ジャレ合っていた。
翌日、朝食を済ませ二人は荷物をまとめてフロントに降りた。
支払いを済まようとすると、既に支払いは済んでると言うのだった。二人は誰が宿泊料を払ったのか聞く事もなく、三河警部の気持ちに甘えた。
そして、フロントに預けたブリーフケースを受け取るとホテルを後にした。二人は駅に向かうと駐車場に預けた車に荷物を移し、京平はレンタカーを返しに行った。
そして車を返し、表に出ると美保のBMWが待っていた。京平は運転を代わると白馬に向かった。
そして静岡を出て五時間、天気の崩れもなく、二人は午後一時過ぎには実家に戻った。すると、車を見た父親が飛び出して来た。
その顔は満面な笑みだった。そして母親も。
「お帰りなさい美保さん、京平。もう問い合わせの電話が十何件かあってね。三組で十人の予約を頂いたわよ。御苦労様」。母良江は美保の肩を抱く様に中に入った。父良平は嬉しそうに頷くと荷物を持ってラウンジへ運んだ。
そして話しもそこそこに部屋に行くとシャワーを浴び、事務所に顔を出した。
すると、母が予約の入った名簿を美保に渡した。
NO-69

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(68)&CG合成

2008-10-10 00:09:28 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(68)&CG合成

「どうも、御苦労様でした。全く鮮やかなものですな。額の弾は貫通して反対の窓を貫通して見付かりません。胸部の弾は粉々でした。息がピッタリですな。捜査本部は一人の犯行だと決め付けています」。
「ええ、いまニュースを見ました。パンフレット届けましたよ」。
「ええ、後で皆んなに渡して宣伝しておきます。窓は空いてたようですな。それから、一階のテーブルの上に防弾チョッキが置かれていました。堂元のやつ、帰るまで着ていたようです。誰かに狙われている事を察していたんでしょうな。これで苦しめられていた女性や恐喝されていた人間はホットしたでしょう。本当に御苦労様でした」。
「いいえ、また何かありましたら電話下さい」。
「はい、奥さんに宜しくお伝え下さい。ではまた」。
携帯を切ると渡した、そして警部の話を伝えた。
「そう。堂元は家に帰って安心したんでしょうね。まさかあんな所から狙われるなんて夢にも思わないもの」。
「それにしても一階はカーテンを閉めきりで二階は閉めてなかったと言うのは甘いよな。それに空気を入れ換えるなんてさ。防弾チョッキまで用意して用心していたならもっと気を使うべきだ。そこが堂元の自信の中の隙だろうけど」。
美保は頷きながらじっと京平の顔を見ていた。そして服を着替え、ジャージを着ると「ねえ京平さん、私パチンコやってみたいな」。と言い出した。
「いいよ、そうか、したこと無いのか。行こう」。二つ返事で部屋を出た。
ホテルを出て通りに出るとネオンが見えた。美保は初めて遊ぶパチンコに妙にはしゃいでいた。京平の手を握ると引っ張るように南に歩いて映画館の向かえにある銀座会館と書かれたパチンコ店に入った。
京平は販売機で千円のプリペードカードを二枚買うと美保に渡した。そして適当に台に並んで座ると美保に教えていた。
初めのうちは玉が飛び過ぎたり、釘に届かなかったりと美保はグリップを調整しながら真剣な眼差しでやっていた。
そして玉を目で追いながら一つ入っては出て来る玉に喜んでいた。すると美保の台の音が変わった。「ねえ京平さん、壊れたよ。どんどん出てきちゃう」。美保はフィーバーも知らずに出る玉を見て驚いていた。
「やったな、それはフィバー掛かったんだよ」。とランプを付けると係員が箱を持って走って来た。
「フィーバー・・・じゃあ貰ってもいいの?・・・」。
「うん、ラッキー7だから続けて打っていて良いんだよ。凄いじゃないか、また来た」。
そして、あれよあれよと美保は連続フィーバーして八箱も取った。
そして閉店の音楽が流れ、台車に八箱の玉を乗せてカウンターで清算して貰った。美保はお金が良いといい、バンドと交換した。
駐車場の奥の両替所に京平は景品を抱えて小さなカウンターに乗せた。すると小さな窓から手が伸び、計算して八枚の一万円札を出した。美保はただ驚いて手を出すのをためらっていた。
「エ~ッこんなに頂いて良いんですか。おじさん有り難う、頂きます」。そう言って頭を下げて受け取った。そして数えると半分の四万円を京平に渡した。
「いいよ、此れは美保が稼いだんだから。お前の物だよ」。
「でも凄いね、私二百円だけだよ使ったの。初心者ってこんな事あってパチンコに嵌まっちゃうんだね。京平さん、そこのファミリーへ寄って行こうよ」。
二人はパチンコ屋の隣にあるコンビニに入った。
「いらっしゃいませ」。と元気の良い顔立ちのしっかりした眉の濃い男性だった。美保は目を合わせると軽く頭を下げた。
すると店員は丁寧に頭を下げ、レジに来た若い女性と話していた。
「ねえ京平さん、あの人幾つくらいかな。感じのいい店員さんね」。
「うん、コンビニに来ていらっしゃいませ、なんて余り言ってくれないからね。三十半ばって所かな」。そんな話しをしながらカゴにスナック菓子を入れた。そしてグルッと店内を廻り、品数の多さに驚いていた。
「こんなに品数のあるコンビニも珍しいね」。
「うん、町中じゃ此れくらい揃えないと営って行けないんだろうな」そして奥にある冷蔵庫から紅茶のボトルと隣のフリーザーから美保はハーゲンダッツのアイスクリームを篭に入れた。
そしてバカチョンのカメラと電池を入れてレジに出した。
すると一つ一つ読み上げて会計してくれた。はきはきした口の運びは美保たちの気持ちをスッキリさせる応対振りだった。
「有り難うございました。またどうぞお越し下さいませ」。
店員はつり銭を渡すと袋の持ち手を広げて頭を下げた。美保は店員の胸の名札を見た。「店長コバヤシ」と入っていた。
「小林さん、有り難う。また来た時には寄らせて頂きます」。
美保はそう言うと頭を下げてて店を出た。京平も店員に頭を下げてコンビニを出た。
NO-68-63

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(67)&CG合成

2008-10-10 00:05:48 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(67)&CG合成

「あのゴリラ帰って来ないわね、もう一時過ぎたでしょう」。
「うん、もう二時になる。二時になったら諦めて明日にしよう」。
「来た!灯りが着いたわよ、堂元が帰って来た」。
見ると家の明かりが付いた。二人は急いでライフルを構えた。
「風呂かトイレに入ってくれると狙い易いんだがな」。
「うん。でも影に照準を合わせているからいつでもいいわよ。撃つときは合図してね」。
美保のライフルの銃口が微かに動いていた。
「ああ、僕も準備はOKだ」。
すると家の二階の明かりが付いた。そしてカーテンの引いてない窓に人影が。そして京平は堂元をスコープに捕らえた。
「G0!」。「パシュッ」静まり返った室内に一度聞こえた。
二人はすぐに窓を閉めるとライフルを分解してブリーフケースに入れた。そして転がった二つの薬莢を拾うとベニヤ板を立て掛けた。そして廊下にあったゴミ袋を開けてばらまくとビルを出た。
そして辺りを見ながら車に乗るとその場を去った。そして安倍川の河川式に向かうと車を止めると無言で着替えた。
「フ~ッ・・・やったね。あの大きな身体が部屋の端まで吹っ飛んだね」美保は着替えると溜め息を漏らし、緊張を和らげるように口にした。
そしてヘルメットで乱れた髪を手櫛で整えていた。
「うん、待った甲斐があった。最高の条件だったからね、窓から上半身が丸見えだった。おまけに明かりまで付けてくれたから。しかし呼吸がピッタリだったな」。
「うん。発射の音が一度しか聞こえなかったもんね」。
美保は着替えた作業服をきちんと畳むとスポーツバックに入れた。そしてホテルに戻リ、今度はホテルの駐車場に車を入れた。
二人は何もなかったような顔をしてフロントでキーを受け取ると部屋に戻った。
そしてジャージを脱ぐと風呂に入った。
二人は微かに匂う工事現場のコンクリートと硝煙の匂いをボディーシャンプーで洗い流した。美保の豊満な乳房はシャワーのお湯を弾いていた。
京平は後ろから乳房を掴んで抱き締めた。
美保はそっと目を綴じると後ろに身体を預け、唇を合わせた。風呂から出ると互いの身体を拭き合い、美保を抱き上げるとベッドに入った。二人は深く愛し合い、そして眠った。
翌朝、二人は六時にはいつものように目を覚ましていた。美保はバスローブを羽織るとカーテンを明けてベッドに戻った。
そしてバスローブを落とし、抱き合い、唇を合わせ、脚を絡ませた。そしてそのまま上に乗ったまま横になった。すると耳元で呟いた。
「私を下にして」。京平は密着させ、入れたまま美保を下にした。
そして暫く抱いていた。
「こうしていると妊娠しやすいんですって。私赤ちゃん欲しい」。
「うん、もう使うの止そうな」。
京平は頷いて美保の首に腕を回すとしっかり抱き締めた。そして七時の時報を知らせるベルが鳴り、美保を抱き上げて風呂に入った。
熱いシャワーを浴びて美保は先に出た。美保は出るとバスローブを纏ってバックから夫の下着を出し、ベッドの上に並べて身体を拭いていた。
そしてバスローブを落とすと真っ白な絹のショーツを穿き、フロントホックのブラを付けた。そして夫が出て来ると体を拭いてトランクスを穿かせた。
そして揃いの荼系のスーツを着ると美保は鏡台の椅子に掛け、薄化粧をし、朝食にレストランへ下りた。京平はテレビの前で立ち止まるとニュースを見ていた。しかし変わったニュースはなかった。
そんな京平の手を握ると美保はフロントに行くと朝事を頼んでレストランに入った。
「まだ発見されてないようだな、確か七時には家政婦が来る筈なのに今朝はまだ来てないのかな」?
「うん、変ね。でも間違いなくヒットしたわよ」。
「それは間違いない、そのうちニュースになるさ」。
二人は運ばれた朝食のトーストにバターを着けると口に運んだ。そしてサラダ、生ハム、紅茶と食事を済ませた。
部屋に戻るとブリーフケースを下げてフロントに預けると営業に二人で出た。美保は初めて京平と営業に付いて行った。
市内にある旅行代理店に次から次へと寄ると所長に面会してペンションの内容と設備を説明し、パンフレットを置かせて貰っていた。
そして前の会社で世話になった取引先に顔を出すと、担当者は快く迎え、時間を裂いて話しを聞いてくれた。
そして良い感触を得てパンフレットを置いて回った。
そんな慌ただしい一日が過ぎるのはあっと言う間だった。美保は京平がいかに取引先に信用があったのか初めて知った一日だった。
そしてホテルに戻るとそのままレストランで食事を済ませ、ロビーでコーヒーを飲みながらテレビを観ていた。そして五時のニュース始まった。
「ただ今入りました殺人事件のニュースからお伝えします。今日午後四時半ころ、静岡市中村町にある堂元勝雄さん五十六才方の二階で血まみれになっているとの通報が静岡中央署に入り、駆け付けた警官が行くと、二階の六畳の部屋で血まみれになって既に絶命しているこの家の主人、堂元勝雄さん本人である事が判明しました。
遺体を発見し、通報したのは、この家のお手伝いさんが発見したもので。いつもは朝七時に行っていたと言う事ですが。今日に限って夕方来て欲しいと言われ、仕事に出掛けて発見したと言う事です。
尚、警察の発表では、額と胸部に銃で撃たれた後があり、ほぼ即しだったと言う事です。尚、詳しい事は司法解剖を待たなければならないと言う事です。
亡くなった堂元さんは輝かしい職歴があり、検察庁検事を経たのち、弁護士としても活躍され、数年前に弁護士として事務所も構えていたと言う事です。
そしてまた、別の顔があったとも噂されており。目下警察では恨みに因る犯行として捜査を始めると共に、堂元さんに雇われていた二人の男性から話を聞いていると言う事です。では次のニュースを」。
二人はそこまで聞くと席を立った。そして部屋に戻った。
すると直ぐに携帯に電話が鳴った。美保が出ると三河警部からだった。
京平が電話を代わった。
NO-67

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(66)&CG合成

2008-10-08 04:41:35 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(66)&CG合成

部屋の前に来ると京平はポケットに手を入れて二つ折にした札を出して渡して礼を言うと部屋の前で荷物を受け取った。
ベッドの隣にバックを置いて部屋の時計を見ると七時を回っていた。
美保は風呂場に行くとバスタブに湯を入れていた。
京平はそんな美保を見て心に感じていた。結婚して四ケ月、仕事でもプライベートでも嫌な顔を一つ見せた事がない。自分にも両親にも未だ見せた事がない。何を聞いても素直に答えてくれる。そして何事に関しても気が利く優しい女性だ。京平は風呂場から出てくる美保を見て改めて惚れ直していた。
「うん?・・どうしたの、そんなに見て?・・・」。
京平は両手を広げた。すると小走りに来ると胸に抱き着いた。
「お風呂入ろう、もう入れるよ」。と美保は京平の唇を見ると目を綴じてキスした。そして抱き合い愛し合い、お互いの身体を流し合い、風呂から出ると着替えて食事に出掛けた。
美保は寿司が食べたいと言い、京平は両替町にある寿司屋に連れて行った。
街には茶髪でマイクロミニの女の子がたむろし、路上に座ってお喋りに明け暮れていた。耳には携帯電話を充て、訳の分からない言葉で話していた。
そして目のやり場に困るほど股を広げ、下着が見えているのも気にせず話に没頭していた。
そして顔は真っ黒で目と唇が異様に白く化け物の様だった。そして聞こえて来る言葉は、もとかれ、まじきれ、ちょう・・・
「やあねあんな娘は、同じ女だけど神経が分からないわ」。美保は目を背けるように京平の手を引いて反対側の道に亙った。
そんな女の子が至る所にいた。そして七間町から両替町商店街に入り、ビルの一階に店舗を持つ寿司屋に入った。
景気の良い勇ましい接客に美保は目を丸くしていた。そしてカウンターに腰を降ろし、美保は好きなアナゴや赤身を注文しては堪能していた。
そして中トロにイクラと思い思いの握りを頼んでいた。そんな美保の口が止まった。「京平さん見ないでね。一番隅にいる男、堂元じゃない?・・・」。と京平に寄り添うように小声で言うのだった。
京平はお手洗いに立つとそっと顔を伺った。ズバリ堂元勝雄だった。そしてお手洗いに入って戻ると美保の目を見て頷いた。
堂元の隣に座っている女性はホステスのようだったが迷惑そうな顔をしていた。
そして寿司を堪能し、勘定をしていると人相の悪い男が二人入って来た。
そして堂元の所に行くと耳打ちしていた。
二人は店を出た。「嫌なものを見た感じだ。あの二人が堂元の用心棒だな。あれじゃ堂元同様で睨まれたらビビルよな」。
「うん、でもさ、何でああ言う顔になるんだろうね。ヤクザとか暴力団の人って同じ目をして顔も似てくるんだ。やだやだ。ねえ京平さん、ああ言う人達ってみんな落ちこぼれなの」?
「どうかな、たまに大卒のインテリヤクザなんて言葉を聞くけど、若い時にいい事してなかった人達だろうな」。
そんな話をしながら裏通りに入った。十時過ぎと言う中途半端な間もあって人通りもまばらで数人の酔っ払いがたどたどしい足取りで歩いているだけだった。
そして青葉公園通りに出てテレビ局の通りに出た。
そして向かいにあるサークルKに寄ってドリンクと軽いスナック菓子を買ってホテルに戻った。
部屋に戻った二人はジャージに着替え、テレビを見ながら時間を待った。そして十一時になると美保は携帯で自分の泊まっているホテルに電話し、紺野京平を呼び出した。すると間もなく電話が鳴った。
京平は受話器を取ると美保の顔を見ながら笑うと適当に話して受話器を置いた。
「OK、さあ出掛ける口実が出来たから出掛けようか」。
「うん」。美保はウエストポーチを着け、京平はスポーツバックを持って部屋を出た。そしてフロントに行くと電話があって出掛けると告げた。
「スポーツジムですか」。とニコッと笑って頭を下げた。
そしてホテルを出ると駐車場から車を出して中村町に向かった。
美保は走る車の中でジャージを脱いで作業服に着替えた。そして安全靴を履て靴紐を結んでいた。
そして車を止めて運転を代わると走り出した。今度は京平が作業服に着替えた。そして安全靴を履くと車を止めた。
そして京平に代わると堂元勝雄の家に向かった。すると、堂本の家は門灯だけで家の中は真っ暗で帰っていなかった。
京平はそのまま家の前を通ると後方にあるビルの建設現場に向かった。そこは六階建てのオフィースビルだった。都合良く警備員もなく、少し離れた空き地に車を止めると二人は黒い二本線の入ったヘルメットを被り、顎紐を着けるとブリーフケースを下げてビルに入って行った。
二人は中に入ると暫く止まっていた。
暗いビルの内部に目を慣らせていたのだ。そして階段を五階まで上がるとほぼ完成している部屋のドアを開けて入った。
すると人の気配がして懐中電灯を点けると、床にベニヤ板を敷いてアベックが全裸で抱き合っていた。驚いたのかポカ~ンと見ていた。
「コラッ、こんな所で何をしている。立ち入り禁止だ、出ていけ」。
「す、済みません。出ていきますから勘弁して下さい」。
アベックは下着も着けずに服を抱えると一目散に出て行った。
そして窓から下を見ていると、アベックはビルから出ると振り向きもせず走って暗闇に姿を消した。
「参るよな、でも少し可哀相だったかな」。
「あの子達まだ中学生くらいよ、女の子なんかまだ生え揃ってなかったもの。これに凝りて暫はしないわよね。それより顔は?・・・」。
「いいや、逆光になって相手からは顔は見えないさ」。
京平はブリーフケースをベニヤの上に置くと鍵を開けた、そしてライフルを組み立てて消音器を装着した。そしてスコープを取り付けると印のあるカートリッジを入れて美保に渡した。そしてもう一丁のライフルを組み立てた。そして二人して堂元の家の窓に照準を合わせた。
そして時計を見ると十二時を少し回っていた。そして窓を締め、ドアを閉め、堂元の帰りを待った。京平はライフルを立て掛けると美保の身体を後ろから抱き締めた。
「どう、少しは暖かいか」。
「うん、あったかい、京平さん有り難う。これが長野じゃなくて良かったね。長野じゃ凍えちゃうもん」。
「うん、本当だ」。そして三十分、一時間。午前一時を過ぎた。
京平は今夜は駄目か、半分諦め始めていた。寿司屋で堂元といた女と何処かにしけ込んで帰って来ないのかと思い始めていた。
NO-66-58

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(65)&CG合成

2008-10-08 04:39:10 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(65)&CG合成

その晩、食事を済ませた二人は部屋に閉じこもった。そして三河警部から渡された写真を前に堂元の日課を読んでいた。
「堂元の住まいは中村町か、一匹狼といいながら用心棒を二人雇っている。前川大輔三十才と大谷衛三十才か、二人は通いで堂本は一人住まい。
六時起床で安倍川の土手を毎日二十分のジョギングを欠かさず走っている。ここは無理だな、隠れる所がない。
六時四十分には家に戻って、通いの家政婦が七時に来て食事を作って、夕方四時には帰るのか」。
「京平さん。毎週火、木、土と十三時には必ず出掛けているわね。後は月、水、金と十五時に出掛けている。何しに行っているのかな」
「いや、それは書いてない」。
すると、美保は別の書類を広げた。それは堂元の自宅から二百メートル周辺の地図だった。美保はじっと見ていた。
「京平さん、この地図って正確だよね」。
「たぶん正確だと思うけど、何か良い場所あったのか」。
京平は地図を覗き込んだ。すると美保は或一点を指さした。
「堂元の家を正面に東と西に工事中のマンションがあるわよ。この地図からだと百五十メートルはないと思う」。
「よし、西のビルにしよう。寝室は二階だ、一度や二度は窓際に立つだろ、そこを狙う。鉄鋼弾と炸裂弾を同時に発射する。鉄鋼弾は頭、炸裂弾は胸部。確実に仕留めるにそれしかないな」。
「うん」。すると
「コンコン、入っても良いかしら。美保さんお茶」ドアを開けると母良江トレーを持って立っていた。
「二人して何を相談しているのかしら」。母良江は中には入らず二人の顔を見ていた。
「母さんちょうど良かった。二人で静岡へ行って来てもいいかな」。
「ええ、それは良いけど。警察に呼ばれているの」。
「うん、一度現場に来て話をしてくれないかって言うからね、ついでに営業もしてこようと思ってさ」。
「いいわよ、京平たちの都合の良い時に行ってらっしゃい。パンフレットはどれくらい用意したらいいのかしら」。
「うん、三百部もあれば良いかな。三河さんが部下や関係者を紹介してくれるって言うからさ、ついでに前の会社の取引間系の会社を廻って来るよ。それから美保が勤める事になっていたスーパーもね」。
「そう、分かった。それでいつ行くの」。
「早い方がいいから月曜日に出て二~三日行って来るよ」。
母良江は頷くと戻って行った。
そして二日、十月十九日月曜日。朝から小雨交じりの寒い朝だった。京平と美保の二人は午前中は仕事をし、昼食を済ませると支度を始めた。
京平は作業服の上下と安全靴、そして白いヘルメット二人分をスポーツバックに入れていた。用意が出来ると車に積んで戻ると着替え、事務所に降りた。
「支度出来たのか」。父良平はニコッと笑うとパンフレットが入った袋を渡した。「うん、じゃあ行ってくる」。
「美保さんこれは経費、持って行きなさい」。
「父さんいいよ、給料二人分貰っているんだから。なあ美保」。
「うん、お義父さん本当に大丈夫ですから。それより松達の事お願いします」。
「分かった。大事な狸さんは任せなさい。気を付けてな」。
二人は両親の見送りで美保のBMWに乗り込むと出発した。
両親は二人の車が見えなくなるまで見ていた。
「なんかお義父さん達に後ろめたいね」。美保は後ろを見て、見えない義父母を見るようにボソッと言った。そして京平の横顔を見詰めていた。
「仕方ないさ、でも営業する事は確かだから気にするな」。
「うん。ねえこの車で堂元の家を下見するの?・・・」。
「いいや、静岡に着いたら駅の駐車場に入れてライトバンを借りる。ライトバンなら目立たないし、夜の建設中のマンションの前に止めても疑われないだろ、作業服にメットに安全靴なら尚更だ」。
「アッハハハハ・・・本当ね。でも此れって凶悪犯罪なんだよね」。
こうして豊科に出ると中央自動車道に乗った。そして山梨へ入り、韮崎インターで降りた。そして国道52号線に入ると走りなれた国道を静岡へと向かった。
そして夕方、西陽を浴びながら清水区へと入った。
そして東名高速に乗って二十分。静岡インターを降りる頃には真っ暗になっていた。インターを出ると右折して堂元の家のある中村町に向かった。
そして、SBS通りのT字路を真っすぐに南幹線を「そこ右折よ、二つ目の交差点をまた右折」と美保は三河警部から渡された地図広げナビしていた。
そしてカーナビを見ながら照らし合わせ「そこよ、その正面の家がそう」。
目的地に車を止めた。そして堂元勝雄の自宅を確認するとその場を離れた。
そして堂元の家の裏の後方にあるビルの建設現場を下見して駅に向かった。
「美保はどっちが良いと思う」?
「私は裏のビルからの方が狙い易いと思う。それに、マンションの通りより人通りが少ないもん」。
「僕もそう思う。今から車を駅の駐車場に入れてレンタカーを借りる、ホテルにチェックインして食事して、着替えたら見に行こう。それでいいかな」?
「うん、でも京平さんは疲れてないの?・・・」。
「疲れてないよ」。
そう言うと手を延ばして美保の左手を握った。そして車を預け、荷物を持つとタクシーに乗り込んだ。そして千円を渡すと頼んだ。
「運転手さん近くて悪いけど此れでその先のレンタカー会社までお願いします。荷物が多いもんだから」。
「はい、こちらそこ目と鼻の先で千円も有り難うございます」。若い運転手は嫌な顔一つ見せないで車を出した。
そしてレンタカー会社の前に着くと、すかさず降りると後ろに廻り、美保の荷物を持って運んでくれたのだった。
「有り難う運転手さん、近くて済みませんでした」。
「いいえ、困っている時はお互い様ですから。失礼します」。
運転手は帽子を取って頭を下げUターンすると駅に向かった。
そして白のライトバンを借り、静岡駅の表に廻ると県庁に向かった。中央署と県庁の交差点を左折、静岡伊勢丹、直ぐ先にある北ワシントンホテルに向かった。そして車はホテルではなく、別の駐車場に入れてホテルに入った。
京平はフロントで名前を告げた。
「いらっしゃいませ。紺野様、奥様お待ちしておりました。お部屋は4012号室スイートでございます。ごゆっくりお過ごし下さいませ」。
するとベルボーイが横に来て、ペコッと頭を下げ、美保から荷物を受け取ると、部屋に案内してくれた。NO-65

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(64)&CG合成

2008-10-04 16:10:09 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(64)&CG合成

「此れは!・・こんなライフルとチャカは見た事がありませんな」。京平は警部に手袋を渡した。すると警部は手袋をするとライフルを手にして構えた。そして置くと銃を持った。
「これは凄い、特注で作らせた物ですな。それで弾は?・・・」。
「ええ、銃弾は別の所にあります。もし泥棒でも入って万が一の事があると大変ですからね。銃だけでしたら怖くありませんから」。
「なるほど、それで何処で此れを?・・」。
京平は銃の入社経路を総て話した。そしてじっと顔を見た。
「ではあの亀石峠の三人が殺し屋だと言うんですか?・・・」。
「間違いないでしょう、しかし、大浜の二人を撃った銃弾のライフルマークと九州や大坂で要人を狙撃したライフルマークが一致しなかったと言う事は、僕等が使ってないこのライフルの可能性もあります。また、三人の外にも居るって事も」。
「なるほどね、しかし奥さんがこのライフルを扱うとは信じられませんな。では軽井沢ではこの消音器を使って狙撃したんですな」。
「ええ、二人で七発。それ以上無駄弾は撃っていません。二人とも二百メートルの距離なら絶対に外しませんよ」。
「に、二百メートルですか!・・紺野夫婦に睨まれたら終わりって事ですか。それだけこのライフルの性能が良いって事にもなりますが。それで弾薬が無くなったら」。
「僕は火薬取り扱いの免許もありますし、僕も美保も銃砲の免許を持っていますから弾は自分で作れます」。
「奥さんも猟銃の免許を取ったんですか。凄い夫婦ですな」。
「はい、この間の試験で一回で受かったんです。今年は家族で猟に行くんです。お義父さんが猟銃を買ってくれるそうです」。
美保は嬉しそうに言うと急須を差し向けた。そして京平の隣に座ると手袋をして、あっと言う間に銃を分解して組み立てた。
「此れは素早いですな」
京平は笑いながら立ち上がると地下室に降りて行くと直ぐに戻って来た。そして手には札束が握られていた。
「警部、私達の仲間になった証にこれを貰ってくれませんか」。
「こ、此れは。ひ~、ふ~、み~、よ~、一千万。こんな物を貰わなくてももう共犯ですよ。まあ信用して貰う為には頂きますかな。金は幾らあっても邪魔にはならんですから」。
「そうですよ、娘さん時期結婚なんでしょう。良かったね」。
「どうしてそんな事まで知ってるんです。そうか、聞く方が野暮ですな」。
「警部さん、ほんと言うとね。京平さん警部を仲間にしたくて仕方なかったんですよ。それで調べさせて貰ったの。
まさかこんな事になるとは思わなかったから。警部は人一倍犯罪を憎んでいますよね、そう言う人なら私達のしている事を分かってくれると思ったんです」。
「美保の言う通りです。悪い事をして儲けている奴から金を頂いて困っている所へ回す。なあ美保」。その話に警部の眉が釣りあがった
「待って下さい、じゃああのユニセフとアフリカや福祉施設に寄付したのは」「ええ、ユキワリ草。僕らの名称です」。
「なるほどね、三団体で確か五億四千万。思い切った事しますな。署内でもああでもないこうでもないって噂していたんです。紺野さんでしたか」。
「ええ、じゃあ遅くなると小森さんが心配しますから戻りますか」。
「そうですな、しかし此れはどうやって持っていこうかね」。
「うん、だったら私が預かって。明日の朝お土産の中に入れて渡します。小森さんとは袋を別々にしますから」。
そして京平はブリーフケースを綴じると密閉し、地下室に閉まった。そして別荘を出ると途中の土産店に寄った。そして二人の土産にワサビや野沢菜、ワインなど、山ほど買うとペンションに戻った。
美保は部屋に行くと現金を新聞紙で包んで黒いビニール袋に入れた。袋の底に入れ、土産で隠して部屋を出た。
そして喫茶室で京平と話している警部に届けた。
「警部さん、此れお土産です。小森さんのもありますからどうぞ」。美保は何もなかったように名前を入れて二人に渡した。
「いや、此れは済みませんな。お土産まで頂いて。警察官たる者こう言う物は頂けないんですが。小森、せっかくだから良いか」。
「そうですね叔父さん。奥さん済みません」。
その晩、刑事を交えて歓談は盛りあった。三河警部補が扱った事件や間抜けな犯人の話しなど、両親も笑いが溢れていた。
そして十時を過ぎると部屋に戻った。美保と京平は風呂に入るとベッドに入った。「でも驚いたよ、警部が大浜で僕の会社のバッヂを拾っていたなんてさ。でも力強い見方が加わった」。
「本当ね、まさか現役の警部から殺しの依頼が来るとは思わなかったわね。やっぱり警察でもどうにもならない悪っているのね」。
「それはいるさ。美保、今度のターゲットは策を練らないで直接狙った方が良いかも知れないな」。
「うん、私もそう思う。変に策を要して電話したら警戒して引き篭もる恐れがあるものね。場所を設定したら一発で仕留めよう」。
二人はそんな会話をしながらどちらともなく抱き合い、愛し合った。
翌日、朝からカラット晴れた秋晴れだった。
日差しが眩しいほど窓から射していた。そんな中、泊まり客の朝食は庭のテラスに出され、パラソルの下で食べていた。そこには男二人で食事をしている三河警部と小森刑事の姿もあった。
京平と美保は客に食事を出し終えると、二人のテーブルに着いた
「いや~っいい温泉ですな。まさかペンションに温泉があるとは思いませんでしたよ。それに食事も美味いです」。
「有り難うございます。警部、近い内に静岡へ遊びに行きますよ」。
「そうですか、その時は是非電話を下さい」。
小森は妙に親しくなった叔父の三河警部を見て不思議に思っていたに違いない、京平と三河の顔を交互に見ていた。
そして、食事を済ませた二人は手荷物と土産の入った袋を下げ、九時には静岡へ帰って行った。
「三河警部は本気なのかしら?・・・」。美保はぼそっと言った。
「警部はマジだから大丈夫だよ、もし引っ掛けだったら夕べ別荘で交わした会話を聞かせるから」。
「えっ、夕べの会話を録音していたの」?
「念のために録音させてもらった。余りにも話が唐突だったからさ、用心に越した事はないからね」。
「流石ね京平さん。それで静岡へはいつ行くの?・・・」。
「警部が調べた堂元の日課を調べてから決めよう」
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小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(63)&CG合成

2008-10-04 16:07:51 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(63)&CG合成

「見なかったよね、そんな荷物を背負ってたら私でも気が付くもの」。
「そうですか、あの転落事故の現場とは離れていますから、事件性もない事故ですから関係ないと思いますが、どうも何か引っ掛かりましてね」。
「何かってなんです?・・・それよりその医者が何をしたんです。こんな所まで業々調べに来るんですから、それなりに大きな事件なんでしょう。訊くだけ聞いて後は隠すって警察のやり方ですか」。
「適いませんな紺野さんには、まあ良いでしょう。あの吉原医師は麻酔薬のバルビタールを横流ししていましてね。その上覚醒剤にも手を出していた事が調べで分かったんです。その矢先でした」。
「そうですか。じゃあ大浜で取引しようとしていたと言う相手は・・・」
「いいえ、今となっては死人に口なしです。ですからこの転落事故も何者かの手でと思ったんですが。不注意に因る事故でした。所で、伊豆の事と大浜の事で何か思い出された事はあのませんか?・・・」。
京平も美保も黙って首を振った。
二人の刑事は揃えたように腕を組み、真一文字の唇からフ~ッと溜息を吐いた。
「全く、こんなに目撃者や犯人の遺留品がない事件も珍しいです。紺野さん、これは私の勘なんですがね。亀石峠の交通事故と大浜の殺人、どうも繋がっているような気がしてならないんです。
距離的には離れている事件と事故なんですがね。それからね、軽井沢の大量殺人事件は鮮やか過ぎるんです。素人の出来る仕事ではない気がするんです。この間お邪魔した時に紺野さんに言われました。
機関銃でもなければ一度に七人は殺せないって。でも機関銃では音を聞かれてしまいます。だとすれば、七人の狙撃手が一度にライフルを発射させたら音は一度だけです。
観光客は暑さで窓を締め切ってクーラーを効かせていますからね。音は聞いても微かな音です。どうですこの推理は」?
「それじゃあゴルゴ13んだ。インターネットのCIAなんかのサイトには自動小銃にも消音器が着けられるそうですよ。
でも警察は宿泊客を全員調べたんでしょう。それに有料道路を入る車も。それで犯人らしい車や人はいなかったんですか?・・・ゴルゴ13は?・・・」。
美保はクスクス笑いながら聞いていた。
「これは参りましたなゴルゴ13ですか。ええ。確かに大浜で射殺された弾は九州で狙撃された要人の弾とにていますが、ライフルマークが違うんです」。
「なにライフルマークって?・・・」。美保は身を乗り出した。
すると三河警部は得意そうな顔をしてペンを取ると広告を見付けると裏に図を書いても美保の前に差し出した。そして説明していた。
そこへ母がお茶とお菓子をもって入って来た。
「なんか今日はにこやかね。美保さんの笑い声がしたりして。遅くなってごめんなさい。どうぞお茶でも」。母良江は美保にトレーを渡すと出て行った。
「紺野さんトイレをお借り出来ませんか」。
「はい、自分も行きますからどうぞ」。
京平は席を立つと三河警部と応接間を出た。そしてトイレに行くと並んで用を足していた。そして手を洗うと「紺野さん」。と呼び止めた。そして庭に出た。
するとポケットから一枚の写真を出して京平に渡した。人相の悪い初老の男が写っていた。良く見ると隠し撮りしたような写真だった。
「紺野さん、此の写真の男は堂元勝雄56才、とんでもない男でしてね。恐喝揺すりたかり、人身売買となんでもする男です。この男はその昔検事をしていました。
そして弁護士になって事務所を起こしたんです。落検です。そして三年で廃業して今は用心棒を二人抱えて一人で動く一匹狼です。
検事や弁護士時代に入手した個人の秘密を種に金品を威し取るハイエナみたいな男です。この男を片付けて欲しいんです」。
京平はその一言に唖然とした。そして背中が凍るおもいになった。そして覚悟して答えた。「分かりました、知っていたんでか?・・・」。
「ええ、でも私だけです。あの大浜で貴方は会社のバッヂを落としたでしょう。私が拾って捨てました」。
「そうでしたか、じゃあ軽井沢の件も僕だと?・・・」。
「ええ、何があったかなんて事は詮索しません。それはそれ。こちらも仕事ですから一応調べませんとね。この男は警察でも手に負えないんです。
決してボロを出さない。被害者も告訴しても直ぐに撤回してしまう。威しが凄まじいようでしてね。ですから、思い切って貴方にお願いする事にしたんです。軽井沢は奥さんと二人でやったんですね」。
「ええ、妻は自分より腕は上です。決して外しませんよ」。
「そうですか、紺野さんより上ですか。それは怖いですな、国体に出られる腕の貴方より上だとは。やり方場所はお任せします。それから此れが堂元の一週間の日課です。まず変化はありません」。
そう言うと内ポケットから封筒を出して京平に渡した。京平は見る事もなく二つに折るとポケットにしまった。
「京平さん、刑事さん。何話しているの、お茶が冷めちゃうよ」。美保が戻って来ない二人を庭に見付けると声を掛けた。
京平は美保を呼んだ。そして三河警部からの依頼を告げた。
「え~っ、警部さんも人が悪いね。任せてゴルゴ13だから、ウフッ・・・」。
美保はあっけらかんとして驚きもしなかった。
「奥さんには参りましたな、え~っ、アッハハハハ・・・」。
「でも警部さん、いつ何処でやるか話しませんよ。その方がお互いに良いでしょう。ねえ京平さん」。
「その方が良いと思う。でも何か変わった事があったら知らせて下さい」。
「ええ勿論です。その方は任せて下さい。では戻ってお茶を御馳走になりますか。それから部屋は空いていますかな」。
「はい、ございます。御宿泊有り難うございます。ウフッ・・・なんか嬉しくなっちゃった。警部さんが仲間なんてさ」。
「宜しくお願いします。夫婦のスナイパーさん、アッハハハハ・・・」。
「所で小森刑事と言う人はどんな人です?・・・」。
「小森は私の兄の息子で甥です。でもこの事は話してありません」。
「そうですか、それでいつも一緒だったんですか。詳しい話しを聞きたいですか」?
「ええ、どんな訳があってこうなったか聞きたいですな」。
そして二人の刑事は宿泊の手続きを済ませ、部屋へ案内した。そしてその晩、仕事を終えた京平と美保は小森刑事を残して出掛けた。
そして三河警部を別荘へ案内したのだった。
着くと警部は呆然とロッジを見ていた。
「此れは凄い別荘ですな、ここは紺野さんの別荘ですか」?
「ええ、親友と家族以外の人を連れて来た事はありません。どうぞ」。そして中へ入ると美保はお茶の支度をした。
京平は地下室にいくと密閉された予備のライフルと銃を入れたブリーフケースを持って来た。そして鍵を明けて開いた。NO-63

小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(62)&CG合成

2008-10-02 01:58:30 | 小説・鉄槌のスナイパー(第二章)
小説・鉄槌のスナイパー・二章・NOー(62)&CG合成

その話しを元に、警察では身元を探しております。そして現在、長野県警山岳救助隊では天候が良くなり次第、救助に向かう準備を整え、待機していると言う事です」。京兵はテレビを消した。
「あの六人じゃない。天罰だよ、私達が手を下さなくても罰が当たったのよ」。
「こんな事ってあんのかな。まさかあんな所で滑落するなんてさ。道幅も十分あるし、何もロープを結び付けて歩くほど危険な所じゃないぞ。不意を憑かれたんだ。遭難する時ってそんなもんだ」。
「それで六人が落ちた所ってどんな所なの」?
「うん、下はガレ場で鋭く尖った石がゴロゴロしていてさ。落ちたらまず助からないだろうな。あんな所で落ちたなんて話しは聴いた事がないよ」。
「そう、今日はもう捜索は無理ね。もう時期真っ暗になるもの」。
「いや、あそこなら暗くても天候さえ良くなれば行けるよ。下は灘かで何にもないから、ヘリも着陸できる」。
しかし、その夜は一晩中激しい雨が降り続き、捜索は断念された。
翌朝、その朝もまだ激しく大粒の雨は振っていた。「こりゃ捜索は無理だな」。
現地の捜索隊は成す術がなかった。
激しい雨はようやく昼前には雨が上がり、今度は濃霧が辺りを包み込んでいた。
そしてガスっていた霧も晴れ、山々が目視されるようになったのは午後になってからだった。捜索隊は重装備で山へ向かった。
上空には救助に向かうヘリの爆音が山岳に鳴り響いていた。
そして二時間、午後二時に滑落した現場に辿り着いた救助隊が目にしたのは、無残な遭難者の六人の姿だった。
滑落のショックで頭部が割れ、大雨で脳が流されていたのだった。そして、或者は手足が折れ曲がり、身体は砕け、腹部は裂けて体がバラバラになり、滑落の恐ろしさをまじまじと物語っていた
誰一人として生存者はなかった。救助隊員は手足を拾い集めては六人全員の死亡を確認し、遺体を収容した。
翌日の晩、京平の元へ救助に向かった山岳救助隊隊員の山田が来た。その話を聴いた。美保は目を細めて聴き入っていた。
「それで身元はやっぱり登山者が聴いた人達だったよ。なんでも大学の同期で六人とも開業医の院長さんだってさ。
なんであんな所から落ちたのかな。ザイルが六人の命を奪ったようなもんさ。じゃあ奥さん御馳走様」。と、山田政晴は帰った。
「なんか残酷な話しね、でも死に様がその人の人生の縮図って言うけど。あんな事さえしなきゃ長生き出たのに」。
「それもそうだけど、まともな病院経営さえしてれば僕等の罠に嵌まる事もなかった。例え事故死とは言え、千五百人だからな、その女性の恨みを背負って死んだんだよ。
六人の中の宮田輝雄と言う医者を通して話を進めていたろ。あの男が上高知の話を出した時に、そこで私達を殺すんですかって聞いたんだ。覚悟していたと思うよ」。
「そう、そんな事言ったの。じゃあ身辺整理して来たのかも知れないね。最後に何か悟って死んだんなら良いけど」。
「ほら、中の湯温泉でダンボール箱を抱えて来たろ、あの声が宮田だってすぐに分かった。患者を騙してあんな卑劣な事をしていたような顔には思えなかったけど、人間って分からないもんだな」。
「京平さん・・・」。そう言うと自分を指さしている美保だった。
「エ~ッ・・・本当だ、僕達も一緒か。顔や見掛けでは判断できないって事か。こいつ~っアッハハハハ」。京平は美保を抱き締め、そっと唇を重ねた。
そして二日が過ぎた。京平と美保は食事を済ませ、テレビを付けた。午後のュースが始まっていた。画面では割谷山から転落死した遺体の司法解剖も済んだ事を伝え、遺族が遺体を引き取りに来た事を流していた。
すると、美保が突然立ち上がってテレビに走った。そして画面を食い入るように見ていた。
そして映像が切り替わって外のニュースになると京平の隣に座った。
「いまの遺族の女の子、私の同期の子よ。大学では殆ど話した事なかったけど顔は覚えている。佐野加奈江さん、まさか佐野吉晴の娘だったなんて皮肉ね」。
「そうか、美保の同期か」。
そんな話しをしていると「お二人さ~ん!」と京平と美保は母良江に呼ばれて事務所に降りた。すると静岡県警の三河警部と小森刑事が立っていた。
「どうも、お休みの所済みません。少し良いですか」?
刑事は済まなそうに頭をかいていた。京平は家の応接間に通した。
「またですか、今日はなんです?・・また大浜の事ですか」?
「いいえ、今日は割房山で転落死した東京の医師の吉原信次さんの事で来ました。実はあの吉原医師は大浜で殺害された二人の一人、堀田俊也と関係がありましてね。驚きましたよ、我々が調べていた或事件の容疑者が突然転落死ですから。それで事実確認と滑落したその時の状況を調べに来たんです。後に続いて登山していた人から聞くと事故だったようです。
それで調べていたら、当日お二人が登山に行かれていた事をお聞きしましてね。それであの人達の事で何かご存じかと思いまして、また叱られるのを覚悟でお邪魔した次第です」。
「確かに行っていました。警部は僕たちの行く所死人ありですか」。
「いいえ、そう申し上げている訳ではありません・・・」。
「あの日は前以て予定していた登山なんです。今年最後の登山をと思いましてね。妻も初めてでしたから。行動から話しますか?・・・」。
「いえ、それは結構です。何か見たとか聞いたとかありませんでしたかね」。
「それは何に着いてですか?・・・登山者はいつもの休日より少なかったですが大勢いましたから。何か見たかと聞かれても漠然として何を話していいのか分かりませんよ」。
「では到着した時間は何時ころですか」?
「九時ごろですが、勿論車でですが。止めたのは中の湯温泉の北にある駐車場です。それで直ぐに山に入りましたけど」。
「そうですか、では歩荷さんと会いませんでした。その歩荷さんと一緒に上って行ったと言う女性は知りませんか」?
「いいえ、美保は見たか」?
「刑事さん、その歩荷さんってなんですか。私は初心者もいいとこで山の事は何も知らないんです」。
刑事は薄笑いを浮かべると説明した。美保はうんうんと身を乗り出して聞いていた。NO-62-46