先週、出かけたポーラ美術館の企画展
「部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで 」
ベルト・モリゾの作品が展示されていると聞き、
馳せ参じたののですが・・・
本当は、娘のジュリー・マネが目当てでした。
・・・ほら、ありました!
ジュリーを描いた
ベルト・モリゾ「ヴェランダにて」(1884)。
このとき、ジュリーは6歳くらいでしょうか。(↓)
直線の向こうにある庭の眺め、
ジュリーの柔らかな肌や髪の輝きが素敵です♥
もう10年以上前、
丸の内、三菱一号館美術館の
オープニングは「マネとモダンパリ」展。
(ただいま同館はメンテナンスのため休館中)
エドゥアール・マネ
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」(↓)に
たちまち魅了され・・・
「この美しい人は誰!?」と、
キュンキュンしてしまいました。
今思えば、
この絵はポスターにも使われており、
美術展の目玉作品のひとつだったのでしょう・・・
ベルト・モリゾ(1841-1895)。
印象派の画家として活躍、
マネの弟ウジェーヌ・マネと結婚し、
一人娘ジュリーも誕生・・・
夫に支えられ、
仕事も家庭も順調・・・
でも、ウジェーヌが亡くなると、
髪が真っ白になるほど衝撃を受け・・・
4年後には、風邪をひいた娘を看病していて、
自分も感染、あっという間に亡くなってしまう。
ひとり残されたジュリーは16歳・・・
そんなジュリーの境遇に涙したのは、
ルノアールの描いたジュリーの肖像画(↑)を見たせいか・・・
なんとも寂しげな表情ではありませんか?
その頃、読んだ、
ジュリーの日記『印象派の人びと』に登場するのは、
ルノアールさん、ドガさん、マラルメさん・・・
教科書に登場するような
当時のパリを代表する芸術家、
綺羅、星の如く・・・
その方々がみな、ジュリーにとっては
食事に招待してくれたり、散歩を共に楽しんだりの、
すてきなおじさま達なのです・・・
(表紙はルノアールによるモリゾ母子。モリゾは既に白髪。)
それから10余年。
今回、ジュリーの日記を読み返しています。
わたしのなかで、
ジュリーは、あの寂しげな少女のままでしたが、
日記は、20代の婚約直前まで書かれていました。
「わたしはすっかり彼のとりこ」
という恋のお相手は
エルネスト・ルアール。
裕福で美青年。
父親は、ミレーとコローに師事したアマチュア画家にして
美術蒐集家。自身も芸術への造詣が深いのです。
なんて、すてきなパートナー♥
ジュリーは、彼と結婚し、
子どもや孫に恵まれ、80年を越える人生を
幸せに生き・・・(1878-1966)
晩年のジュリーの写真は、美しいマダムでした!
日記を読んで気づくのは、
ジュリーがウジウジ、グダグダしないこと・・・
(見習いたい😓 )
年齢なりに悩むことはあっても、
基本は前向きで思慮深いのです・・・
ここからも、
その後の人生を、聡明に生き抜いたことがうかがえます。
でも、このあたりのことが
わたしの記憶には、まったくないのです!
あの頃は、
ジュリーの聡明さに、気づかなかったのか!?
・・・まさか!😫
あれから10余年。
あの頃のわたしと、今のわたしの
見えるもの、見たいものが
違ってきているってことなのでしょうね・・・
📷 冒頭画像はマネ「横たわるベルト・モリゾの肖像」。
📖参考
●ロザリンド・ドゥ ボランド・ロバーツ ジェーン ロバーツ (編集)
橋本 克己 (翻訳)
『印象派の人びと―ジュリー・マネの日記』中央公論社
●坂上桂子『ベルト・モリゾ―ある女性画家の生きた近代』小学館
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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
今日は夏至、
こちらでは日の長さを実感できそうです。
皆さまに「優しい風が吹きますように」
素晴らしいお話し、本当に有り難うございました。引き込まれて拝読しました。知っていた事はほんのわずかだったので「印象派の人びと」を是非読みたいと思いました。
美しい絵画にも、沢山のドラマが有る事を知ると、また別の感情で鑑賞出来ますね。
朝から良質な文章を拝読し、美しい絵画を見る事が出来、今日は一日良い日になりそうです。有り難うございました。なおとも
私も「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」に魅了された一人です。
モリゾが描いた娘ジュリーの絵『ベランダにて』は
モリゾのジュリーへの愛情がヒシヒシと伝わってきます。
私も今すぐにでもポーラ美術館に駆け付けてこの絵を拝見したいです。
そして、私も是非『印象派の人びと』を読んでみたくなりました。
あたたかなコメントをどうもありがとうございます。
物語が好きで、もはや、妄想なのかもしれませんがw
歴史でも芸術でも、すぐに背景にある物語を作ってしまいます。
(妄想?w)
人が、どんな風に生きてきたのか、とっても興味があって、
何事もそこから入ってしまうようです。
『印象派の人びと』は、古き良き時代に書かれた、
欧米の児童書のような格調があります。
そこに登場する人物が、素晴らしすぎるので、
きっと、おたのしみいただけることでしょう。
口絵や写真もふんだんに掲載されているのも、うれしいところです。
どうぞ、これからもよろしくおつきあいくださいませ。
連日のコメントを、どうもありがとうございます。
そういえば・・・
「マネとモダンパリ」、わたしも、あっこちゃんの東京へお出ましの記事で、
拝読したかも・・・
またまた長いお付き合いゆえですね、嬉しいです♫
「ヴェランダにて」はジュリーへの愛がうかがえますよね~~
たしか、ひろしま美術館にも所蔵があるのですが、
テーマがジュリーではないのが残念です。
『印象派の人びと』は、古き良き時代の児童書のようです。
写真や絵画もふんだんに掲載されているので、
いろいろな意味で、お楽しみ頂けると思います。
たぶん、眺めているだけでも楽しいような一冊でした♥
『印象派の人びと』