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ベルト・モリゾのことなど・・・

2023-06-21 | おでかけ
先週、出かけたポーラ美術館の企画展
「部屋のみる夢 ― ボナールからティルマンス、現代の作家まで 」


ベルト・モリゾの作品が展示されていると聞き、
馳せ参じたののですが・・・
本当は、娘のジュリー・マネが目当てでした。



・・・ほら、ありました!

ジュリーを描いた
ベルト・モリゾ「ヴェランダにて」(1884)。
このとき、ジュリーは6歳くらいでしょうか。(↓)

直線の向こうにある庭の眺め、
ジュリーの柔らかな肌や髪の輝きが素敵です♥



もう10年以上前、
オープニングは「マネとモダンパリ」展。

(ただいま同館はメンテナンスのため休館中)

エドゥアール・マネ
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」(↓)に
たちまち魅了され・・・

「この美しい人は誰!?」と、
キュンキュンしてしまいました。

今思えば、
この絵はポスターにも使われており、
美術展の目玉作品のひとつだったのでしょう・・・




ベルト・モリゾ(1841-1895)。

印象派の画家として活躍、
マネの弟ウジェーヌ・マネと結婚し、
一人娘ジュリーも誕生・・・

夫に支えられ、
仕事も家庭も順調・・・

でも、ウジェーヌが亡くなると、
髪が真っ白になるほど衝撃を受け・・・

4年後には、風邪をひいた娘を看病していて、
自分も感染、あっという間に亡くなってしまう。

ひとり残されたジュリーは16歳・・・



そんなジュリーの境遇に涙したのは、
ルノアールの描いたジュリーの肖像画(↑)を見たせいか・・・
なんとも寂しげな表情ではありませんか?


その頃、読んだ、
ジュリーの日記『印象派の人びと』に登場するのは、
ルノアールさん、ドガさん、マラルメさん・・・

教科書に登場するような
当時のパリを代表する芸術家、
綺羅、星の如く・・・

その方々がみな、ジュリーにとっては
食事に招待してくれたり、散歩を共に楽しんだりの、
すてきなおじさま達なのです・・・


(表紙はルノアールによるモリゾ母子。モリゾは既に白髪。)



それから10余年。
今回、ジュリーの日記を読み返しています。

わたしのなかで、
ジュリーは、あの寂しげな少女のままでしたが、
日記は、20代の婚約直前まで書かれていました。

「わたしはすっかり彼のとりこ」
という恋のお相手は
エルネスト・ルアール。

裕福で美青年。
父親は、ミレーとコローに師事したアマチュア画家にして
美術蒐集家。自身も芸術への造詣が深いのです。

なんて、すてきなパートナー♥

ジュリーは、彼と結婚し、
子どもや孫に恵まれ、80年を越える人生を
幸せに生き・・・(1878-1966)

晩年のジュリーの写真は、美しいマダムでした!



日記を読んで気づくのは、
ジュリーがウジウジ、グダグダしないこと・・・
(見習いたい😓

年齢なりに悩むことはあっても、
基本は前向きで思慮深いのです・・・

ここからも、
その後の人生を、聡明に生き抜いたことがうかがえます。


でも、このあたりのことが
わたしの記憶には、まったくないのです!


あの頃は、
ジュリーの聡明さに、気づかなかったのか!?

・・・まさか!😫 


あれから10余年。

あの頃のわたしと、今のわたしの
見えるもの、見たいものが
違ってきているってことなのでしょうね・・・



📷 冒頭画像はマネ「横たわるベルト・モリゾの肖像」。

📖参考
●ロザリンド・ドゥ ボランド・ロバーツ ジェーン ロバーツ (編集)
 橋本 克己 (翻訳)
『印象派の人びと―ジュリー・マネの日記』中央公論社
●坂上桂子『ベルト・モリゾ―ある女性画家の生きた近代』小学館

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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。

今日は夏至、
こちらでは日の長さを実感できそうです。
皆さまに「優しい風が吹きますように」


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4 コメント

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Unknown (naotomo3451)
2023-06-21 08:25:43
おはようございます!
素晴らしいお話し、本当に有り難うございました。引き込まれて拝読しました。知っていた事はほんのわずかだったので「印象派の人びと」を是非読みたいと思いました。
美しい絵画にも、沢山のドラマが有る事を知ると、また別の感情で鑑賞出来ますね。

朝から良質な文章を拝読し、美しい絵画を見る事が出来、今日は一日良い日になりそうです。有り難うございました。なおとも
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Unknown (あっこちゃん)
2023-06-21 19:47:08
私も多分その展覧会、『マネとモダンパリ展』を鑑賞しに三菱一号館美術館に行ったと思います。
私も「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」に魅了された一人です。
モリゾが描いた娘ジュリーの絵『ベランダにて』は
モリゾのジュリーへの愛情がヒシヒシと伝わってきます。
私も今すぐにでもポーラ美術館に駆け付けてこの絵を拝見したいです。
そして、私も是非『印象派の人びと』を読んでみたくなりました。
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naotomo3451さま (ぴあ野)
2023-06-22 08:06:29
naotomo3451さん、おはようございます。
あたたかなコメントをどうもありがとうございます。

物語が好きで、もはや、妄想なのかもしれませんがw
歴史でも芸術でも、すぐに背景にある物語を作ってしまいます。
(妄想?w)
人が、どんな風に生きてきたのか、とっても興味があって、
何事もそこから入ってしまうようです。

『印象派の人びと』は、古き良き時代に書かれた、
欧米の児童書のような格調があります。
そこに登場する人物が、素晴らしすぎるので、
きっと、おたのしみいただけることでしょう。
口絵や写真もふんだんに掲載されているのも、うれしいところです。
どうぞ、これからもよろしくおつきあいくださいませ。
返信する
あっこちゃんさま (ぴあ野)
2023-06-22 08:12:27
あっこちゃん、おはようございます。
連日のコメントを、どうもありがとうございます。

そういえば・・・
「マネとモダンパリ」、わたしも、あっこちゃんの東京へお出ましの記事で、
拝読したかも・・・
またまた長いお付き合いゆえですね、嬉しいです♫

「ヴェランダにて」はジュリーへの愛がうかがえますよね~~
たしか、ひろしま美術館にも所蔵があるのですが、
テーマがジュリーではないのが残念です。
『印象派の人びと』は、古き良き時代の児童書のようです。
写真や絵画もふんだんに掲載されているので、
いろいろな意味で、お楽しみ頂けると思います。
たぶん、眺めているだけでも楽しいような一冊でした♥
『印象派の人びと』
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