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寺地はるな『雨夜の星たち』~義母と重ねて

2021-07-12 | 2022夏まで ~本~
おはようございます。

本日のお題も、寺地はるな小説の感想文です。
なんと最新刊を図書館に予約していたことを、すっかり忘れていました。
どうぞ、おつきあいくださいませ。

寺地はるな最新刊『雨夜の星たち』(徳間書店)。
読み始めすぐに「なに、この主人公!?」と投げ出しそうになりました。
寺地・小説史上、我が最悪の相性です。


お話は・・・

時はコロナ禍の昨年、主人公は三葉雨音(ミツバアマネ)、26歳、女性。

喫茶店の二階に住み、オーナー霧島に頼まれ「お見舞い代行業」をしている。
昔から「他人に興味がない」ので「共感もしないし、感情移入もしない」。
そこを霧島に見込まれたのだ。病人の相手をしても、心が潰れないからと。

そんな彼女は、あちこちで呆れられ、時に怒られる・・・
世は、「頼みもしないのに仲間に入れようとし」「眩しい程の善意や
協調性の大切さを教えたいという正しさにあふれ」(91頁)ているから・・・

そうして彼女は、お見舞い代行業を続ける・・・
時に家族や、かつての同僚とも関わりをもちながら・・・という、お話。



読んでいるうちに、「最悪の相性」と感じた主人公が、
決して人が言うような「冷たい」のでも「怠慢」な人間でもないことが
わかります。

終盤で彼女の本質を突く、ある人物の発言があり、
ああ、なるほど・・・と、「感じ悪いなぁ」と思いながら、
投げなかった理由として納得できました。

一方で、やっぱり読んでいて苦しいのです。

・・・わたしは、きっと彼女のかつての会社の人間と同じ、
自分の「正しさ」を振りかざし「善意」を振りまいてきたのだろうなぁ・・・

寺地氏に限らず、最近注目している、私よりずっと若い世代の作家さん
凪良ゆう氏、町田その子氏の本も読む度に、胸がキリキリとしてしまいます。
毎度毎度、反省。




さらに、本作の「お見舞い代行業」という「しごと」も
わたしには、響きました。

「家族だからすべてを自分たちで解決する必要などないのに」
「どうして金銭で得たつながりを、そうでないものより一段下のように
決めつけるのだろう」

こういった部分に、ガツンガツンやられました。

お見舞い代行を頼む家族は、どこか後ろめたさがある・・・
と、雨音が見る通り、それは、まさに今の私です。

・・・というのも、我が家では・・・
敷地内別居をしていた義両親が、春、シニアマンションへ引っ越しました。
「自立」ながら93歳、もう二人きりの生活は無理だと夫が判断して、です。

そして、口には出さないけれど、夫は、私のことも慮ってくれたのでしょう。
勝ち気な義母に疲れ果て、わたしが、どんどん追い詰められていくのを
見ていられなかったのだと思います。

けれど・・・あれから、わずか数ヶ月の間に、義母は二度も高熱を出し、
コロナ感染の疑いで、救急搬送されています。

幸い、二度とも検査結果は陰性でしたが
入院生活ののダメージは大きく、あっという間に、寝たきりになりました。

以来・・・
敷地内別居で、私がうまく立ち回れば、こんなことにならなかったのではと、
グダグダ、考え続けてしまって・・・。

でも、雨音の言うとおり
「家族だから」と解決しようとしてできなかったのだし・・・
「金銭で得たつながり」は決して低く見なすものではないのだし・・・

義母にとっては、ヨメの世話になるより、
マンションのスタッフさんに見守られる方が幸せなのかも知れません。


もしかしたら・・・

今、わたしが寺地はるな小説ばかりを読んでいるのは、
医師に指摘されて初めて気づいたほど、
疲れ果てているからなのではないかと・・・




いやいや・・・!
そんなヤワではありませんね、わたしw

もちろん、いっつもいっつも、反省ばかりしていません。
義父母のことだって「コノヤロウ!」と腹の立つこともあります。
日々の暮らしでは、普通にお腹も空くし、仕事にも出かけます。

もちろん、寺地はるな小説以外の本も読んでるのです。

『雨夜の星たち』を読み終わって、
すぐに阿部智里『烏百花 白百合の章』(文藝春秋)↑を読み始め、
ワクワクしているし・・・ 

人間って、こんなものなのね・・・
年齢を重ねても、ずっと変わらないのね・・・
あっちに揺れたり、こっちに揺れたり・・・

・・・ということで、なんだか、愚痴めいた感想文になってしまいました。
エンエン、おつきあいいただいた皆様、ありがとうございました。


そうそう。

図書館から連絡があり、予約していた「ほたるいしマジカルランド」
(ポプラ社)の用意ができたそうです。
『雨夜の星たち』にも「ほたるいし」が出てきたので、楽しみにしています。

・・・まだまだ続きそうな、我が「寺地はるな」モードですw

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