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『サピエンス日本上陸』にワクワク♫

2020-05-30 | 2022夏まで ~本~
海部陽介『サピエンス日本上陸-3万年前の大航海』(講談社)を読み終わりました。
3万年前、サピエンスが台湾から与那国島へ渡ってきた・・・という
仮説に立って、当時の航海を再現するプロジェクトです。

去年7月、プロジェクト終了後すぐに
ご存じの方も多いのではないでしょうか。

ニュースで、過去の失敗も、今回の成功も知ってはいましたが、
残念!「クロ現」は観ていません。

でも、この本の著者であり、プロジェクト代表の海部陽介氏が
「エフヨコ」こと、FMYOKAOHAMAの「Futurescape」に
ゲスト出演されていたときは聴いていました。

小山薫堂さんと柳井麻希さんがパーソナリティを務める、この番組は
土朝9時のお楽しみです♫

そのとき海部さんが「台湾から一瞬、与那国島が見えたんです」とおっしゃいました。
プロジェクトが終わって半年、本を書き終えてもなお、
この興奮ってすごいなぁと、聴いている私もワクワクして・・・

遅ればせながら、本で、追体験した次第。


・・・いつもながら、前置きが長くて、すみません。

台湾から与那国島へ、丸木舟で渡るという、このプロジェクトを
報道でご存じなくても、この一冊だけで十分、ドキドキ、ワクワクできます。

冒険譚ではなく、文化人類学の研究の一環なので、
知的好奇心も、満足すること、請け合いです。


さて・・・
「最初の日本列島人は、当時陸続きだった大陸から、
動物を追いかけて歩いてやってきた」

これが、私のイメージ・・・というか、以前は、これが常識でした。
でも、今では、大陸と九州、琉球列島はつながっていなかったことが
明らかになっています。

「ホモ・サピエンスは3万5000年前頃に琉球列島へ進出し始め、
3万年前までにその全域に広がった」...私はそう理解したとき、
これはただごとではないと感じた。(59頁)

というのは、列島は1200キロに及び、その全域に、突然人が現われた、
しかも、琉球の海を渡ることは難しく・・・著者にとっては衝撃でした。

これが、台湾から与那国島への実験航海につながります。
黒潮を横断し、海上から見えない島影を探しながらという難ルートです。

じゃ、九州から南下したのでは?という、当然の疑問には、
「黒潮を逆行するという離れ業に挑まなければならない」ので
現時点で支持する証拠にはならないのだとか。(限りなくムリ)

こうして始まった実験航海の準備は、2013年スタート。
クラウドファンディングで支援を募り、台湾の研究者らと協力しながら
進められました。

3万年前の航海に使った舟は?材料は?道具は?ルートは?
・・・など、膨大な課題を、それぞれのプロフェッショナルである人々の
協力で乗り越えていきます。

(なんと謝辞だけで3頁に及ぶ!)



実験航海の詳細なレポートも、ワクワクするのですが、
一番は、最終章「祖先達はなぜ島を目指したのか」でした。

おそらく、海部氏自身が、台湾から与那国島が見えることを発見したように、
後期旧石器時代の人々も、未知なる島への挑戦を決めたのでしょう。

「与那国島は太陽が出てくる方向にあり、
時期によっては太陽が島の背後に現われる。
そして山の上からでも朝夕しか見えず、山を下りれば視界から消える“幻の島”だ。

たとえ小さく遠くとも、そこに行けば素晴らしいことがあると、
人によっては信じたかも知れない。」317頁

それ、アタクシが、その人なら信じますw

海部氏によると、「ホモ・サピエンスは地球上の他の動物の感覚からみれば、
やらなくてもいいことに情熱を注ぐ、不思議な存在」(321頁)だそうです。

「生命を維持し命を継承する以外のこと」、
アート、スポーツ、旅や冒険などに現代人も、一生懸命・・・
与那国島へ渡ったホモ・サピエンスも同じということですねw

でも、一度で島へ行き着けるはずもなく・・・
現代の科学の力を借りつつ進めらられた、このプロジェクトですら、
立ち上げ準備から成功までに6年もかかっています。

ましてや旧石器時代は・・・
どれだけの失敗が繰り替えされたことか・・・
おそらく何(十?百?千?)世代もかけての成功でしょう。

気が遠くなりそうです・・・

そうして日本人が誕生したのかと思うと、感動・・・
そしてまた励まされました。

私の中のどこかに、その不屈の精神が宿っている・・・
なんだか、物事に頑張れる気がしませんか?w

(書影は版元ドットコムより貼らせていただきました)

「Futurescape」は、パーソナリティである薫堂さんと、柳井さんが
お上手なのか、毎回、魅力いっぱいのゲストがおいでです。
ゲストさんの本を読むのも、これが初めてではありません・・・

今回は忘れないうちに、まとめることができました♫

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