「ごんぎつね」で知られる、
新美南吉(1913-1943)。
春になると、南吉の詩集を読んでいる気がします。
愛読している、ハルキ文庫『新美南吉詩集』は
春の詩が多いからかもしれません。
去年も、電車の中や待合室で
この本を開いていたのを思い出しました。
本日、2月24日。
ロシアのウクライナへの軍事侵攻から
1年が経ってしまいました。
当初は、すぐに終わると言われていたけれど・・
一年後の今、
長期化は避けられない見込みだとか。
・・・・・・
以下は、去年、心惹かれた南吉の詩です。
幸福<A>
氷雨のあとの
空に
涙
のごはれた眼のやうに
光を澄む星たち
わたしは鉄砲風呂に
ひたりながら
湯の中へ かじかんだ
指を花のやうに 開く
ああ こんな幸福も
あったのか
わたしが虫ならば
こんなときだ
ころころと唱ひだすのだ
注:「鉄砲風呂」とは鉄砲(鉄の筒)の中で火をたき
湯を沸かす風呂のこと。
結局のところ・・・
いつの世も、庶民は、こんなささやかなことに
「幸福」を感じられるのでは?
今、切実に、この「幸福」を願っているのは
ウクライナの人たちだけではなく、
きっと、トルコやシリアで被災された人たちもでしょう。
天災と違い・・・
戦災は、指導者の考えひとつで、避けられるはず・・・
それができないのは、なぜ?
北の大国、彼の大統領の言動が報じられるたび、
戦争を終わらせることが、
いかに難しいかを思い知らされます。
最後に、もうひとつ、南吉の詩を・・・
明日(あした)
花園みたいにまつてゐる。
祭みたいにまつてゐる。
明日がみんなをまつてゐる。
草の芽、
あめ牛、てんと虫。
明日はみんなをまつてゐる。
明日はさなぎが蝶になる。
明日はつぼみが花になる。
明日は卵がひなになる。
明日はみんなをまつてゐる。
泉のやうにわいてゐる。
らんぷのやうに点つてる。
本日も、おつきあいいただき、
どうもありがとうございました。
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📷思いがけず咲いてくれた、我が家の福寿草・・・
次々に花が開いています。
📖 引用
新美南吉『新美南吉詩集』(ハルキ文庫) 角川春樹事務所
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