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昨日の朝ドラ「ちむどんどん」で、
新聞記者の和彦(宮沢氷魚)が、沖縄で遺骨収集作業の現場を
訪ねています。
わたしも、沖縄の遺骨収集作業で見つかった、
慶應大学の校章・ペンマークのついた万年筆の展示を
先週、見てきたばかり。(→沖縄、ペンマークの万年筆)
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その後、以前から気になっていた本を読み始めています。
具志堅隆松『ぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。
ーーサトウキビの島は戦場だった』(合同出版)。
昨日、ちょうど読み終えました。
予想以上の驚愕と衝撃の連続でしたが、
ざっくりと、まとめておきたいと思います。
おつきあいいただければ、嬉しいです。
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まず、タイトル「ガマフヤー」のガマとは、
「沖縄本島南部に多く見られる自然の洞窟」のこと。
太平洋戦争中は、「日本軍の戦闘陣地や野戦病院、宿舎として、
また住民の避難壕として利用」されています。
そこに、遺骨がそのままになっている・・・
それを掘り起こす人が「ガマフヤー」であり、
そのまま、具志堅氏の代表を務めるボランティア組織の名です。
ガマフヤーのメンバーは、遺骨をそのままの形で掘り起こしています。
その方が亡くなった状況を分析することで、
身元が分かる可能性があるからだとか。
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(ひめゆり平和祈念資料館にて。当時のガマも残る)
遺骨の状態は、さまざまです。
上半身は吹き飛ばされたものの千人針を身につけていた人、
瀕死の状態で運び込まれ、自爆のあおりによる落盤で生き埋めになった四人、
落盤後、死を待つだけだったかもしれない、うずくまった少年・・・
具体的な遺骨の例を、写真入りで読んでいたときは、
なかなか、先を読み進めることができませんでした。
おひとり、おひとりの無念の想いはいかばかりだったか・・・
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(記念碑近くに残るガマ)
衝撃の連続でしたが、中でも、やるせなく、憤りを感じたのは
遺骨に対する、アメリカと日本との、国としての姿勢の違いです。
アメリカ兵の遺骨は、同じ場所で戦っていたはずなのに、
出てこないのだとか。
ここに日米の違いが出ています。
本書によると・・・
アメリカは「戦死者の遺体を…どんな危険を冒しても収容」するのが
伝統、その後、調査を重ね、身元を特定し、家族の元へ返す・・・
国のために戦った遺体を、自宅に返すのは、当然でしょう。
今でも、第二次世界大戦で行方不明になっている兵を
探しているそうです。95頁
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(聖地・斎場御嶽 にて)
一方、日本では「国は遺骨を収集しょうとは」せず、
東南アジアや太平洋の島々で行われた、遺骨収集作業は
戦友会や遺族会、ボランティアが行ってきた・・・
国は、それを支援する立場をとり、その後の遺骨収集も、
家族の元へ戻すのではなく、持ち帰って、
「国立千鳥ヶ淵戦没者墓園」に納骨するのが目的とのこと。
この違いは・・・
宗教の差?それとも敗戦国だったから?
いやいや、何十年も時間はあったし、
みんな、けっこう豊かに暮らせてきたよね?
・・・ちょっと待って!
わたしは、どうだった?
沖縄での遺骨収集作業を、きちんと知ろうとしていた?
この本の存在だって知っていたのに、
読むまでに、何年が過ぎた?
エラそうに言える立場ではありません。
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(久高島を望む)
「ちむどんどん」では、昨日の話を見る限り、
ヒロインの母・優子(仲間由紀恵)が
長年、遺骨収集作業に参加していたようです。
これから、いよいよ、優子さんの前半生が語られるはず・・・
それは沖縄戦の辛い歴史と重なるのでしょう。
今週のタイトルは「ウークイの夜」。
「ウークイ」とは沖縄のお盆のこと・・・
戦後77年経った今、遺骨収集は
ドラマの中に盛り込まれるほどになったのですね・・・
生々しい傷を持つ当時を知る人々が減ってきたからかもしれませんが・・・
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昨日の朝刊で「DNA鑑定」の小さな広告を見つけました。
『ぼくがガマフヤーになったわけ。』では、
遺骨は、千鳥ヶ淵戦没者墓園に送るだけとされていたけれど・・・
今、政府は遺骨を遺族に戻そうとしているようです。
2012年の出版から、10年が経ちました。
時代の流れや、科学の進歩などによって、
いろいろが変わってきているようです。
それを支えたのは、ガマフヤーの方々をはじめとした、
地道な活動なのでしょう。
そういったことを胸に、
今週の「ちむどんどん」を観たいと思っています。
本日も、おつきあいいだき、どうもありがとうございました。
📷 沖縄の画像は2020年1月に撮影しました。