星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

間違いの喜劇  観劇メモ

2006-02-25 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)

 公演名 間違いの喜劇
 劇場 シアター・ドラマシティ
 観劇日 2006年2月24日(金) 
19:00開演
 座席 1階 1列(補助席)

○観劇を決めた理由
 蜷川幸雄さんの演出だから。キャスト(小栗旬さん)。
○販売グッズ
 公演パンフレット、ポスター

少しネタバレです。

音楽と舞台装置など

劇場に入った途端、どこからか生演奏の音が・・・。
ロビーでパンフレットを買って、さあ席に着こうと扉の方に向かったらそこには
楽器を持った人たちがいた。よく見ると、アレ?蜷川さんもそこにいて、にこや
かにその人たちに声をかけている。
その一人がこの人♪(彩の国シェイクスピア・シリーズ公式ブログ)
蜷川組の音楽をたくさん手がけてこられた笠松さんという人だ。
音楽を聴きながら、ああ、もう始まってるんだ~とウキウキしながら席に向かう。
舞台装置を見たらやっぱり、生演奏のセットが用意されていた。

舞台には大きな壁があり、そこには彫刻や扉のような絵が施されている。前方席
だったので何か落ち着かない感じだと思ったら、壁は全体が大きな鏡になってい
た。舞台からつながる劇場全体がそこに映っている。
パンフレットには、舞台がイタリアの都市の劇場を再現したものであるとか、鏡
を用いた狙い等について詳しく書かれている。
鏡の扉が開くたびに風景が見えるのも、城塞のような昔の街並みが想像でき、芝
居の奥行きが感じられてよかった。

ライブなライブな喜劇♪

お芝居にはあとから余韻に浸ったり、いろいろ思い出して引きずるタイプの作品
もあるけれど、この「間違いの喜劇」は言ってみれば完全に劇場完結型の楽しさ
だと思う。カンタンにいってしまうと、笑って楽しくなってそれでオシマイ。
胃もたれするようなメインディッシュではなく、後味のよいデザートワインを飲
んだような感じ。心地よい高揚感。それが観劇後の気分だった。

2組の双子が登場し、その双子がお互いに間違えられることからどんどん話が広
がっていくというシェイクスピアの喜劇。
原作を読んでいなくても大丈夫だった。実際にナマで観ていると、いま目の前で
リアルタイムで起こっている出来事として面白かった。特に役者さんたちが真剣
になればなるほどおかしさはアップする。普通なら顔もそっくり、名前も同じ、
服も(一部を除いて)同じなんてこと双子でもあり得ないんだけど、自然とその
世界に入り込むことができた。
(独特の言葉遊びに関する知識があればもっと楽しめたかもしれないけれど。)
昔っぽい喜劇の手法に、ちょっとした台詞の間合い。それから、たぶん一番ウケ
たのは、役者さんたちが客席全体にアクションを投げかけたり、ときには特定の
観客と絡んだ時だと思う。絡んだ後に謝ったりする役者さんもいたりで、ますま
すライブ感を増長させ、いつのまにか舞台上のややっこしい間違い事件の中に自
分が取り込まれたような感覚を味わってしまう。
登場人物たちが頻繁に客席のほうに下りてくるのもナマの楽しさ。実は私自身も
ある役者さんが自分の体の上に落ちてきそうになってヒヤリ!

印象に残ったキャスト

蜷川さんのオールメール(全員男性)の作品を観るのは、今回が初めて。
特にエイドリアーナの内田滋さん、ルシアーナの月川悠貴さんの妖しい美しさに
は驚き。内田さんの場合、怒れば怒るほど客席がわくという役どころを心得てい
てすごく頑張っていた。月川さんは本当の女性には絶対にできない女性を全身で
演じていて怖いぐらい。パンフレットの月川さんの言葉は、私には一語一語が耳
に、心に痛い(ほんとうに)。
アンティフィラス役の小栗旬さんは立ち姿がきれい。声も通るし、何より華があ
る。兄弟二役の演じ分けも観ていてちゃんとわかった。途中、台詞を間違えたか
スッ飛ばしたか、つながってないところが1か所あったけれど、そんな間違いに
も客席は笑って反応してしまうから不思議。
ドローミオ役の高橋洋さん。ここまで見事な道化役とは思わなかったのでビック
リ。他の人がしゃべっている時も体は休むことなく、つねにお茶目に動いている。
体も柔らかそうだし、動きがなめらかで巧い。いい役者さんだとは思っていたけ
れど、あの二枚目顔でこんなこともできるのか。その器用さにマイッタ。
小栗さんと高橋さんが、いっこく堂みたいなことをしないといけない、と雑誌の
トークで言ってた部分。パンフレットには腹話術指導いっこく堂と書かれている
から本当に稽古してたんだ! 今回は逆にヘタさを楽しませてもらったけど(笑)。
鶴見辰吾さんは女性にしては体がデカい気がして笑ってしまったけれど、あれは
尼僧院長としての威厳を表現していたのかもしれない(笑)。
吉田鋼太郎さんのイジーオン。最初に登場してシリアスな演技をするのだけれど、
悲劇を一人で背負って立つその存在感がスゴイ。
たかお鷹さんのアンジェロは金細工師だけれど、きっとこの人はお茶を飲む時に
小指を立てるタイプだろうなと思わせるこまやかな演技が光っていた。


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4 コメント

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いい舞台でした! (かずりん)
2006-02-26 15:17:51
金曜日にご覧になったのですね~~!

私は土曜日に観てきました♪

シェイクスピアだし、蜷川さんだし

もしや笑えないのでは・・・という不安を

ぶっ飛ばしてくれる舞台でした!

単純に「面白いっ!」と思えることが

素晴らしいと再確認しましたわ・・・。

返信する
はいっ! (ムンパリ)
2006-02-28 00:07:31
かずりんさんは土曜日でした? 今回は公演期間が短かったですね。

でも、面白かったですネ!「天保~」に引き続き、たっぷり気持ちよく笑わせてもらいました。ホンマにお芝居らしいお芝居でスゴク楽しかったです~。

返信する
今度は! (しろう)
2006-02-28 01:41:16
いつも観劇メモを楽しませていただきつつ、指をくわえて「映像で見るからいいもん」と拗ねておりましたが、これは観に行けます!やっと参加できる(笑)

楽しそうですね♪わかりやすそうだし。何よりです、わたしには。
返信する
しろうさん、いらっしゃ~い! (ムンパリ)
2006-03-01 01:01:56
これで同じお芝居の観劇仲間ですね。このお芝居は頭を空っぽにして行ったほうが楽しめるんじゃないかなあって思います。(よく知ってる人はそれなりに面白いでしょうけどね。)

名古屋での反応、観劇レポを楽しみにしてますから。あ、レミゼの豪華ランチ報告もお願いしまーす(笑)。
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