星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

赤い城 黒い砂 京都南座公演(5)大ネタバレ編その2

2009-04-12 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)

『シアターガイド』のインタビューによれば、「現代の芝居は言葉が痩せて
いる。その流れに逆行して」書きたいと思ったと話す蓬莱さん。
ジンクには叙事的な言葉使いを、カタリにはその場で生まれた感情を、それ
ぞれ得意に見せるように演出する、と話すのは栗山さん。
ちょっと大仰に聞こえる台詞を臆せず場内に響き渡るように話す愛之助さん
の芝居と、現代言葉を混ぜながら感覚的にしゃべる獅童さん。
二人の台詞回しの違いもちょっとした見どころだった。
2回目の観劇からは、歌舞伎役者という肩書きも忘れてしまうほど、ジンク
とカタリであろうとしている二人。
東京ではどうなってるんだろう?

ここから先、爆ネタバレ大会の続きです。くれぐれもご注意ください!!
※場面の名前は私が勝手につけたものです。


<ナジャ親衛隊長アルグ誕生>の場
(↑ 名前をアルグに訂正しました。4/14追記 )

●ジンクの衣裳(3)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
試合用装備。
釈放されたジンクが、ナジャの親衛隊長を決める試合で着用。
城外の市場(スークのイメージ)で調達した、最高級の装備。
(2)の衣裳の上から袖を通していたのはライトブラウンのジャケット(防具)。
胸が鎖帷子を模したようなデザインになっていた。
記憶がおぼろげだけど、防具の手袋を自分でつけてたような・・・?
(王の御前試合。服は立派なのに顔が汚れたままなのが気になるぞ。)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

国外追放になったジンクが地下牢の階段を昇る。
舞台が回転して反対側。こんどは城の階段を降りてくるジンクが見える。
ジンクが故国である黒い国には戻らず、赤い国で頂上をめざす場面だ。

赤い国の新兵器といい、活気のある市場といい、自国とは大違い。
「黒い国はもう色褪せた」と絶望的な言葉を吐き、地面にへたり込む。
そこで盗賊団から、ナジャの親衛隊長を募っている話を聞くジンク。
赤い国を外からではなく中からのっとる近道だ、と考えたジンク。
「幸い誰にも顔は見られていない。はは。神が俺を生かしてくれたのだ」と、
包帯をとりながら不気味に笑い、喜ぶ。
(今回の愛之助さん、低音で太い声が多い。ブキミな顔して笑っていたり、
脅したり。文四郎や治兵衛とは正反対のキャラだ。どこまで悪くなるのか
追いかけて見たかったナ~。)

盗賊団のアネゴ役は「紙屋治兵衛」で小春を演じた新派の瀬戸摩純さん。
ここでも愛之助さんに迫る! あら、ボクちゃーん、ナンテ言いながら、
ジンクに低い体勢でササッと近づき、カモ~ンのポーズ。やるやん♪
その勢いにコワッ!と言いながら後ずさりのジンク。まるで治兵衛だ(笑)。
盗賊のボス以下、モダンスイマーズの人たちも頑張っている。
(が、関西人にはチトうけないのが残念っ。間? 笑いのセンス?)

渡りに船のジンク。戦いに勝ち残り、一気に親衛隊長となる。
名を尋ねられ、言い淀んですぐ「アルグ」だと答える。
紳士か?と聞かれ、父にそのように育てられ、馬術に優れていると皆が言っ
てくれ、鷹を飼っていた・・・ウンヌンの台詞は原作通り。
そんなジンクにひとめ惚れしたのは、ナジャの姉カイナだった。
(カイナを演じる馬渕さんがいいと思った。妾腹の義姉という屈折した役だ
が、ときには笑いをとりつつ、惨めで切なく痛い女を好演している。)


<ジンクとナジャ カタリとココ>の場

●ジンクの衣裳(4)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナジャ親衛隊長アルグの赤い服。
冒頭の黒い服と同じようなロングワンピース風。
胸と背中のマント(長い布)は同じ赤だが光沢がある。
注目はメイク。一気に凄みの加わった、ちとワルイ顔になっている。
目、特にカイナへの冷たい目が愛之助さんとは思えない。でもそれが好き♪
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ここはジンクとカタリが初めて敵対する場面だ。

地下牢。ヨムが申し訳なさそうにカタリに告げる。
「処刑がきまりました」。なんでだよーっ!とカタリ。
運よく、カタリを慕う牢番の娘ココの案内で脱獄するが、ココは地上に出た
途端に失明する。地下生活に戻ったココは精神を病んでしまう。
(愛する人に会えなくなって精神に異常をきたすのは原作の設定と同じ。
だが、ココの発する言葉が兵士を倒すという設定は蓬莱脚本オリジナル。)

脱獄したカタリを追って来たのは、アルグ隊長以下、ナジャ親衛隊。
カタリをその場で処刑しようとする。
目が開けられない状態でその声を聞くカタリ。ジンクの声に気づく。
祖国を裏切り、俺を裏切ったのか?
知らん!
ついに二人の対決となり、カタリはジンクに右腕を斬られ、川へと逃れる。

【ここが疑問】
ワタシ的にはこのシーンがどうもひっかかる。
ジンクは本当にカタリを殺そうとしたのだろうか?
(もちろん見た目にはそうに違いないけれど。)
アルグは最初、処刑せよと部下に命じるが自分では手を下さない。
直接対決となっても、結局は殺さず、急所ははずしている。
・・・芝居をプレイバック。
アルグの正体を知る者はただ一人。王になりたいなら邪魔者を消せ!
そう吹き込んだのは武器商人モトの声だ。
モトはジンクにどんどん悪を注入してゆく悪魔そのもの。ときおりジンクの
語る言葉にモトの声がかぶっていたし、最期にも「私はどこにでもいる」
というナゾの言葉をモトの声とともに語り、死んでいった・・・。
きっと悪魔がジンクの体を借りてコントロールしていたのに違いない。
うーん、オカルトだ!(笑)
(それを「人間じゃない」と気づいていたのは王一人だったけど。)
悪魔がかったジンクを演じる愛之助さんの顔が、目が、コワァ~イ!
(でも素敵♪)
ジンクはカタリを本心では裏切ってはいない。そう思いたい私なのだった。
いや、悪魔が宿るからこそ人間らしいといえるのか?

 
捕虜の様子を見にきたナジャ。カタリのことを気にしているのだろうか?
急にナジャに、先日の求愛の返答を求めるジンク。
「お前は私の夫になりたいのか、それとも王になりたいのか?」とナジャ。
ただ想いを伝えたかった、あなた様への想いで焼かれてしまいそうだから。
ナジャが去った途端、笑い出すジンク。「この国がもうすぐ手に入る!」
その影に悪魔がいた。


いやー、ぐずぐずしている間に舞台写真が公式サイトにアップされ、衣裳
も見られ、ほとんど無意味になってしまったこのコーナー。
まだ続くのだろうか?(笑)


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6 コメント

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濃密~ (桜扇)
2009-04-12 10:50:16
こってりとしたレポ、ありがとうございます♪
愛ちゃんジンクは本当に獣のように本能の赴くままに駆け抜けている人物のように私には映りましたが、当たっていますかね?
歌舞伎に比べるとやっぱり自由に演じておられるでしょうね。
この舞台の後にどんな歌舞伎役者に戻っていくのか興味深々です~。
返信する
続けてくださぁい♪ (ちづる)
2009-04-12 19:35:01
ムンパリレポート読みたいです!

アネゴの開脚イロじかけ(爆)わたしはかなりウケました。
思わず声を出して笑ってしまい、周囲がそうでもないのに気づいてハッ!とする始末・・・(苦笑)
ほんとに。小春と治兵衛を思い出しましたね(笑)

可愛さ余って・・・カタリをうとましく思うジンク。
意地悪でかわいそうなカイナ。
共に太陽のような存在の陰として。
この二人は共通項ありましたね。
わたしも馬淵さんのカイナ、好きです。

どうやらわたしは、性格悪い人たち(笑)に共感してしまったようです。
返信する
私もやっと見られました (とみた)
2009-04-13 00:48:18
アルグだと思ったんですが、違いますかねー
返信する
こってり~♪ (ムンパリ)
2009-04-13 12:08:58
桜扇さん、あはは。
とんこつスープのようなレポになってますかねー(笑)。
本能というか、まるで悪魔に操られているかのように、1つの
目標に向かって突っ走っている感じでした。
あて書きということですけど(笑)、いつもの愛之助さんの引き出し
にある役とは思えないです。
歌舞伎と違ってどう演じてもいいだけに、かえってムズカシイ役
ではないかと思います。

> どんな歌舞伎役者に戻っていくのか興味深々です~。
ほんとにね。6月の博多座も楽しみですね。

返信する
はあ~い。 (ムンパリ)
2009-04-13 12:10:13
ちづるさん、ありがとうございます♪
もうやめよ、と思いかけました(笑)。
ほな続けまひょかと思い、きばって書き出したら長くなって
しまったので分けることにしました(笑)。
瀬戸さんのアネゴ、いいですよね。体当たりで。好きです。
他の舞台でも見たくなりました。

> 性格悪い人たち(笑)に共感してしまったようです。
おお、これは私もそうかもしれないです。
悪役とかクセのある役にやっぱり惹かれますよね。
だからよけいにこの舞台が気に入っちゃったんですねぇ。
返信する
きゃはっ! (ムンパリ)
2009-04-13 12:12:05
とみたさん、ようこそ。ネタバレ編へ♪
ほほう、アルグですか。その名前もありそうですねー(笑)。
さっそく新ネタバレページに書かせていただきました。
ありがとうございます!
あれほど滑舌もよく、大声でハッキリとしゃべっているのに
なぜか食い違っている私たち。なんか笑ってしまいます。
また行かれましたらお気づきの点などコメントしていただければ。
よろしくお願いいたしまする~♪

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