月岡芳年 月百姿
『嵯峨野乃月』
明治二十四年印刷
小督(こごう)は平安末期の高倉天皇の女房。藤原成範の娘。
保元2年(1157年)~没年不詳
美貌と音楽の才能で名高い才女。
平家物語 巻6 小督 より
小督の局は高倉天皇の深い寵愛を受けていたが
娘徳子が天皇の中宮である平清盛に憎まれ
宮中を去り姿を隠してしまいます。
小督が嵯峨野のあたりにいるという噂を聞いた天皇は
早速捜し出すように弾正大弼・源仲国に命じます。
折から八月十五夜
仲国は嵯峨野を馬で馳せめぐりますが捜しあぐねますが
やがて法輪寺のあたりでかすかに琴の音が聞こえ
耳をすますと「想夫恋」の曲です
横笛を抜き出しちらっと鳴らし 門をたたくが
清盛を恐れる小督は戸を閉じて中へ入れようとしません。
国立国会図書館デジタルコレクション 085
源仲国の説得によって宮中に戻った小督は
治承元年(1177年) 天皇との間に範子内親王を儲けるが
清盛に知られ 治承3年に出家させられ嵯峨付近に隠棲した。
ここでの主役は笛を合わす仲国ではなく
嵯峨野の隠れ家で琴を弾く小督の局のようです。
雅楽 想夫恋(拍子二まで)~平安時代末期・鎌倉時代の古楽譜にもとづく再現~