オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

月百姿 竹生島月

2017-05-26 | 月百姿

月岡芳年 月百姿

『竹生島月 経正』 

(ちくぶしまづき つねまさ)

明治十九年届

 

平経正(たいらのつねまさ)は平安時代末期の武将。父は平経盛。

生年不詳~寿永3年2月7日没(1184年3月20日)

 

木曽義仲討伐のために北陸へ向かうなか

琵琶湖竹生島に渡り、戦勝祈願をした

国立国会図書館デジタルコレクション 067

 

平家物語 巻七 竹生島詣 より

経正が竹生島明神の御前にひざまづき読経していると

だんだんと日が暮れ居待の月が湖上を照らし社殿もますます輝きます。

まことに趣き深かったので常住の僧が「これは名高い琵琶です」と

琵琶を差し出してきました。

受け取った経正は、秘曲・琵琶三曲の中から「上玄」「石上」を弾きます

お宮の中も澄み渡り 明神も感動に耐えなかったとみえ

経正の袖の上に白龍が姿を現しました。

経正はあまりのかたじけなさに琵琶を置き詠いました

『ちはやぶる神に祈りの叶へばや しるくも色のあらはれにけり』


まもなく朝敵を成敗し、凶徒を退けることは疑いないと喜び

船に乗り竹生島をあとにした。


原典「平家物語」 竹生島詣/菊川怜  くだり