オオカミになりたい(遺言)

ずっとそばにいるよ

新形三十六怪撰より 「貞信公夜宮中に怪を懼しむの図」

2018-07-29 | 新形三十六怪撰

~ おほやけの勅宣承りて、定に参る人 とらふるは何者ぞ ~

『貞信公夜宮中で怪を懼しむの図』

(ていしんこう よるきゅうちゅうに もののけをあやしむのず)

 

大蘇芳年筆

 

 貞信公は平安時代中期の政治家

藤原忠平(ふじわらのただひら)の諡(おくりな)

 

『大鏡 上』 太政大臣忠平 貞信公

忠平が醍醐天皇か朱雀天皇の頃、宣旨を受けそのことを執り行う為に

紫辰殿の御帳台の後ろを通ろうとすると、何者かがいるかのような気がし

太刀の石突をつかまれ、奇妙だと思い探ってみると

毛むくじゃらの手で、爪は長く、刀の刃のようだったので鬼だと気づく

忠平は恐ろしいと思うが、おじけついた様子をみせてはならないと思い

「天命の勅命をいただき、その公事の評定のために参る者をつかまえるとは何者だ

もしその手を離さぬと、身のためになるまいぞ」と言い

太刀を引き抜きその者の手を捕まえると、鬼はうろたえ手を離し

鬼門の丑寅(北東)の隅の方へ逃げて行ってしまった。

 

出典先:立命館大学アート・リサーチセンター