岡山県は15日、2014年度当初予算の各部要求を発表しました。伊原木知事の県政総合計画「晴れの国おかやま生き活きプラン」に掲げる3つの重点戦略――「教育県岡山の復活」「地域を支える産業の振興」「安心で豊かさを実感できる地域の創造」――を盛り込んだものです。
私ども日本共産党岡山県議団は、発表された各部要求をもとに、要求活動をいっしょにとりくんでいる市民団体などとの懇談し、意見をうかがいました。以下は、いただいた意見もふまえ、私なりの感想をまとめたものです。
いま、教育分野では学力低下や児童生徒の問題行動が指摘されています。経済や暮らしの分野では、長期にわたる不況の影響を受けて事業者の経営も、県民の暮らしも深刻な状況です。そういうなかで掲げられた重点戦略の3つの分野はいずれも重要な分野です。問題はその中身ですが、私は、予算付けされた各事業が「県民の苦難解決」「県民の切実な願い実現」という、いわゆる県民目線で見ることが大切だと思っています。そういう視点に立つと、各部要求に具体化された事業から、多くの問題点が浮かび上がってきます。
たとえば、教育分野では、「学力向上推進事業」としておこなう小学校4年、5年、中学校2年生の「たしかめテスト」は、「全国学力テスト(小6、中3で実施)」の順位向上を目的にしたもので、点数競争に拍車がかかり、子どもたちを苦しめるだけで肝心の学力がつく保証はまったくないという問題があります。「スーパー〇〇ハイスクール」「〇〇エキスパート」等の事業は、競争・選別・エリート育成をすすめる国の教育「再生」策を具体化したもので、教育に格差をもちこむ点で大きな問題があります。産業振興の分野では、もっぱら大企業の誘致、規制緩和による水島コンビナートの強化、もうかる分野への強力な支援に偏っており、地域で普通に働く多数の中小零細事業者、農林漁業者は除外されているという問題があります。社会保障の分野は、国の悪政を県民に押しつけるだけで、県民の苦難を解消する独自の施策はほとんどありません。さらに、重度心身障害者医療費補助制度――7年前に「原則一割負担」が導入(以前16~17億あった予算が今5~6億に。差額は障害者の負担に)され障害者を苦しめています――のように改悪を先取りした施策について(来年度の改悪は当事者が反対の声を上げたために見送るられましたが)、さらなる改悪をねらっていたことも重大な問題です。また、巨大な想定で開発を強行した苫田ダムのために、余水(捨てるだけの水)を「調整水」と称して6億円も投入し続けるなどムダ遣いも残されています。
私は、これまでの県民要求をふまえ、少なくとも以下の通り施策の改善を求めたいと考えています。
1.県民の暮らしを支える施策の充実を
県民の暮らしが悪化している原因は単に景気悪化にとどまらず、福祉施策、労働施策の後退にあります。したがって、国の社会保障改悪、労働分野の規制緩和に反対し、県民の命と暮らしを守る事業、人間らしく働き安心してくらせる事業の実現こそ必要です。
①県として、介護保険料の減免制度を創設すること。利用料の軽減をはかること。
②低所得者が入居できるケア付き高齢者・障害者住宅を整備すること。
③障害者の医療費補助制度の拡充をはかること。せめて以前の無料化制度に戻すこと。
④子ども医療費補助制度の拡充をはかること。早期に県制度の対象年齢を中学校卒業まで拡大すること。
⑤国民健康保険料の軽減のため、県として市町村への財政支援を充実すること。
⑥65歳を過ぎた障害者も総合支援法の制度が利用できるようにすること。
⑦障害者の雇用支援を充実すること。
⑧全高校生に「ヤングサポートガイド」を配布すること。
⑨「ブラック企業」情報を収集し、県の相談所や高校の就職担当者等に情報提供すること。
2.真に子どものための教育へ
多くの親御さんが学校教育に期待するのは、子どもたちが基礎基本を理解でき、毎日が楽しく過ごせるようになること、社会に出て当たり前の市民生活を送れるようになることではないでしょうか。「子どものための教育」をすすめるためには、国がすすめる競争と選別、評価主義の教育を排し、「楽しく学べる学校」づくりのための条件整備こそ必要です。
①正規の教員を増やすこと。
②すべての学級に35人編成をすすめること。高校にも拡大すること。
③通級指導教室を増やすこと。
④「学力テスト」「たしかめテスト」は中止すること。市町村別の公表はしないこと。
⑤不登校の児童生徒に対する支援は、「親の会」「フリースペース」等との連携を強め、個々の実情に応じた内容にすること。
⑥父母負担軽減のため、私学助成を拡充すること。
3.地域に根ざしてがんばる中小零細企業、農林漁業、地場産業の重視を
デフレ不況からの脱却には県民の所得を増やす施策が不可欠です。そのためには内需主導の産業振興策こそ必要であり、県はすべての事業者を視野に入れた振興・支援を講じるべきです。そうしてこそ地域に活力をよびおこし、内需を中心とした健全な経済発展を実現できると考えます。
①住宅リフォーム補助制度を創設すること。
②太陽熱温水器・断熱による省エネへの補助制度の具体化にあたっては、地元業者の仕事をふやす工夫もおこなうこと。
③新規就農者への各種支援、その他の農業・農地整備等の支援策について、より多くの方々や地域に対し柔軟に対応できるように工夫すること。
④林業の担い手確保を強めるとともに、「循環型林業」をさらに促進すること。
⑤県産材を活用し、住宅・事業所を新設・改修する際の補助を増額すること。
⑥希望する個々の商店、個人事業者がもれなく各種制度が活用できるよう啓発を工夫すること。
4.その他
①倉敷まきび支援学校開校にあたり、井原線・吉備真備駅にエレベーターを設置すること。
②人権に関するアンケート作成にあたって、同和問題においては時代にそぐわない内容にならないよう熟慮すること。
③苫田ダム建設にともなう調整水(余水)への支出は中止し、水利権を国に返上すること。
④倉敷駅付近連続立体交差事業の中止を決断すること。
⑤消費を冷えこませ景気に悪影響を及ぼす消費税の増税中止を国に求めること。消費税増税分を県施設使用料等へ付加しないこと。
⑥原発の再稼動を行わないよう国に求めること。
⑦TPP交渉の中止を国に求めること。
私ども日本共産党岡山県議団は、発表された各部要求をもとに、要求活動をいっしょにとりくんでいる市民団体などとの懇談し、意見をうかがいました。以下は、いただいた意見もふまえ、私なりの感想をまとめたものです。
いま、教育分野では学力低下や児童生徒の問題行動が指摘されています。経済や暮らしの分野では、長期にわたる不況の影響を受けて事業者の経営も、県民の暮らしも深刻な状況です。そういうなかで掲げられた重点戦略の3つの分野はいずれも重要な分野です。問題はその中身ですが、私は、予算付けされた各事業が「県民の苦難解決」「県民の切実な願い実現」という、いわゆる県民目線で見ることが大切だと思っています。そういう視点に立つと、各部要求に具体化された事業から、多くの問題点が浮かび上がってきます。
たとえば、教育分野では、「学力向上推進事業」としておこなう小学校4年、5年、中学校2年生の「たしかめテスト」は、「全国学力テスト(小6、中3で実施)」の順位向上を目的にしたもので、点数競争に拍車がかかり、子どもたちを苦しめるだけで肝心の学力がつく保証はまったくないという問題があります。「スーパー〇〇ハイスクール」「〇〇エキスパート」等の事業は、競争・選別・エリート育成をすすめる国の教育「再生」策を具体化したもので、教育に格差をもちこむ点で大きな問題があります。産業振興の分野では、もっぱら大企業の誘致、規制緩和による水島コンビナートの強化、もうかる分野への強力な支援に偏っており、地域で普通に働く多数の中小零細事業者、農林漁業者は除外されているという問題があります。社会保障の分野は、国の悪政を県民に押しつけるだけで、県民の苦難を解消する独自の施策はほとんどありません。さらに、重度心身障害者医療費補助制度――7年前に「原則一割負担」が導入(以前16~17億あった予算が今5~6億に。差額は障害者の負担に)され障害者を苦しめています――のように改悪を先取りした施策について(来年度の改悪は当事者が反対の声を上げたために見送るられましたが)、さらなる改悪をねらっていたことも重大な問題です。また、巨大な想定で開発を強行した苫田ダムのために、余水(捨てるだけの水)を「調整水」と称して6億円も投入し続けるなどムダ遣いも残されています。
私は、これまでの県民要求をふまえ、少なくとも以下の通り施策の改善を求めたいと考えています。
1.県民の暮らしを支える施策の充実を
県民の暮らしが悪化している原因は単に景気悪化にとどまらず、福祉施策、労働施策の後退にあります。したがって、国の社会保障改悪、労働分野の規制緩和に反対し、県民の命と暮らしを守る事業、人間らしく働き安心してくらせる事業の実現こそ必要です。
①県として、介護保険料の減免制度を創設すること。利用料の軽減をはかること。
②低所得者が入居できるケア付き高齢者・障害者住宅を整備すること。
③障害者の医療費補助制度の拡充をはかること。せめて以前の無料化制度に戻すこと。
④子ども医療費補助制度の拡充をはかること。早期に県制度の対象年齢を中学校卒業まで拡大すること。
⑤国民健康保険料の軽減のため、県として市町村への財政支援を充実すること。
⑥65歳を過ぎた障害者も総合支援法の制度が利用できるようにすること。
⑦障害者の雇用支援を充実すること。
⑧全高校生に「ヤングサポートガイド」を配布すること。
⑨「ブラック企業」情報を収集し、県の相談所や高校の就職担当者等に情報提供すること。
2.真に子どものための教育へ
多くの親御さんが学校教育に期待するのは、子どもたちが基礎基本を理解でき、毎日が楽しく過ごせるようになること、社会に出て当たり前の市民生活を送れるようになることではないでしょうか。「子どものための教育」をすすめるためには、国がすすめる競争と選別、評価主義の教育を排し、「楽しく学べる学校」づくりのための条件整備こそ必要です。
①正規の教員を増やすこと。
②すべての学級に35人編成をすすめること。高校にも拡大すること。
③通級指導教室を増やすこと。
④「学力テスト」「たしかめテスト」は中止すること。市町村別の公表はしないこと。
⑤不登校の児童生徒に対する支援は、「親の会」「フリースペース」等との連携を強め、個々の実情に応じた内容にすること。
⑥父母負担軽減のため、私学助成を拡充すること。
3.地域に根ざしてがんばる中小零細企業、農林漁業、地場産業の重視を
デフレ不況からの脱却には県民の所得を増やす施策が不可欠です。そのためには内需主導の産業振興策こそ必要であり、県はすべての事業者を視野に入れた振興・支援を講じるべきです。そうしてこそ地域に活力をよびおこし、内需を中心とした健全な経済発展を実現できると考えます。
①住宅リフォーム補助制度を創設すること。
②太陽熱温水器・断熱による省エネへの補助制度の具体化にあたっては、地元業者の仕事をふやす工夫もおこなうこと。
③新規就農者への各種支援、その他の農業・農地整備等の支援策について、より多くの方々や地域に対し柔軟に対応できるように工夫すること。
④林業の担い手確保を強めるとともに、「循環型林業」をさらに促進すること。
⑤県産材を活用し、住宅・事業所を新設・改修する際の補助を増額すること。
⑥希望する個々の商店、個人事業者がもれなく各種制度が活用できるよう啓発を工夫すること。
4.その他
①倉敷まきび支援学校開校にあたり、井原線・吉備真備駅にエレベーターを設置すること。
②人権に関するアンケート作成にあたって、同和問題においては時代にそぐわない内容にならないよう熟慮すること。
③苫田ダム建設にともなう調整水(余水)への支出は中止し、水利権を国に返上すること。
④倉敷駅付近連続立体交差事業の中止を決断すること。
⑤消費を冷えこませ景気に悪影響を及ぼす消費税の増税中止を国に求めること。消費税増税分を県施設使用料等へ付加しないこと。
⑥原発の再稼動を行わないよう国に求めること。
⑦TPP交渉の中止を国に求めること。