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モーニングサテライト・ウォッチ

2017.1.11 Newsモーニングサテライト

2017年01月11日 13時42分47秒 | MS
■マーケット

NYダウ続落 31ドル安
10日のNY株式市場の株価は底堅い動きですが、一段高のきっかけを待ちたいムードもただよっています。11日のトランプ氏の会見をやはり警戒しているようです。大統領選以降のいわゆるトランプラリーの勢いが若干衰えてきたタイミングだけに、記者会見で減税、財政、規制緩和などに関する詳細なヒント探しが活発になりそうです。10日は雇用指標や中小企業の景況感など良好な経済指標を受けて上げ幅を拡大する場面もあったものの、週末に銀行大手の決算を控えていることもあり、引けにかけて慎重な姿勢が強まっています。株価終値は、ダウが続落し31ドル安の1万9,855ドル。ナスダックは6日続伸し20ポイントの上昇で5,551。S&P500は変わらずの2,268でした。
  
 
【NY証券取引所中継】米 金融決算の落とし穴
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏

--株価上下していますね。

材料難の中、トランプ氏の政策への期待感が意識され、底堅く推移しています。またゼネラルモーターズによる業績見通し引き上げをきっかけに、自動車関連銘柄の上昇も目立っています。

--さて銀行決算が注目を浴びていることは、先日このコーナーでもお伝えしたんですが、注意したい点もあるみたいですね。

はい、それは規制緩和に対する過剰ともいえる期待感です。13日から始まる銀行決算ですが、金利上昇がトレーディングの好調を受けて、10-12月期金融決算については問題ないものの、今後の見通しが注目されます。

--その見通し、先行きを考えると、この規制緩和が好感されていたわけですよね。

はい、確かにそうですが、トランプ氏の優先事項は地方の雇用創出と経済成長で、規制緩和されれば地方銀行への恩恵はあります。一方、今後の金融規制のベースになる共和党が提案している「金融選択法案」の中では、以前として大手金融機関に対する厳格な姿勢が示されています。結果的に銀行全体として、規制が緩和されるというよりも、これ以上厳しくならないという程度であることは念頭に置いておくべきだと思います。
 



【NY証券取引所中継】“焦らずじっくり”がリターン大
解説は三井住友アセットマネジメントNYの三浦仁孝氏

--結果的には様子見が強まった形でしたね。

そうですね、材料難の中、引き続きトランプ氏への政策の期待感が意識されたものの、力強さには欠ける展開でした。またゼネラルモーターズによる業績見通し引き上げをきっかけに、自動車関連銘柄の上昇が目立っていました。

--さて決算が始まりますが、その決算の実績を元に証券会社のアナリストなども銘柄の売買推奨を変更するんですが、このアナリストの判断に関して興味深い論文があるようですね。

結論から言うと、推奨銘柄の変更頻度の低いアナリストほど、高いリターンをもたらすようです。これはフランスとカナダの有力ビジネススクールの研究者たちが発表した論文で、先週末のアメリカ・ファイナンス学会でも取り上げられました。この論文「推奨銘柄の変更頻度と株価リターン」は、1996年~2012年の長期にわたり、2万人以上のサンプルから導き出された結果です。

--何故こういった傾向になるんでしょうか。

変更回数の少ないアナリストは、金融市場のノイズに惑わされない、真の意味で企業価値に即した推奨を、周りを気にせずにできているからです。中には、投資家に売買を促したいがために、不必要に推奨を変更するといった動きも見受けられるなか、変更の少ないアナリストは企業と長期目線で向き合っていて、それがパフォーマンスの良さにもつながっているようです。

--具体的にはどのぐらい違うのでしょうか。

(フリップ:変更回数少ないとリターン大)
売買推奨の変更は引き上げ引き下げともにありますが、変更してからの時間経過ごとのリターン推移を見ても、変更回数の少ないアナリストは、変更回数の多いアナリストを上回っています。足下、市場は変化のスピードが速く、ともすると頻繁にポジションを変えたくなるものですが、統計的にはじっと耐えたほうが良いと言えそうです。 

 

【為替見通し】注目ポイントは「トランプ次期大統領記者会見」
解説はFPG証券の深谷幸司氏

--まずはNY市場を振り返っていかがでしょうか。

昨日は経済指標の発表もなく、リスク選考は鈍い中で一旦116円を戻したんですが、上値の重い展開になりました。

--今日の予想レンジが、114.50~116.80円です。

今日は何といっても、トランプ次期大統領による記者会見が最大の関心事ですね。それまではやはり様子見で115円後半を中心として値動きの鈍い展開がよそうされます。

--はい、その注目の記者会見はどういったところが焦点になりそうですか。

期待感そのものが強まるのか、維持されるのか、あるいはそれが後退するのか、というのがポイントになると思います。

--そしてアメリカの10年債利回りとドル円、トランプ相場に一服感が出ていますか。
(フリップ1:トランプ相場に一服感)

そうですね、アメリカの株高、長期金利上昇、そしてドル高というトランプ相場にはやや一服の兆しが見えてきていると思います。マーケットの関心が徐々に期待から現実に、あるいは政策実行の成否が問われる就任後へと移っているということからかもしれません。また本日の記者会見で保護主義的な側面が強調されるようであれば、警戒感とか失望感から調整局面が深まってドル円相場115円割れもありうると見ています。

--そして期待感も高いですよね。

そうですね、期待感が高いだけに、上乗せというのは難しくて、良くて現状維持と・・・、あるいはこれが中期的にはアメリカの経済やドル高に関しては、維持されるとしても、むしろ一旦はピークアウトして長期金利、あるいはアメリカの株価の天井が意識されると、ドル相場の調整局面は長引く可能性があるというふうにみています。
(フリップ2:円売りぼじしょんは過去最高に迫る)
またシカゴ先物の円売りポジションもなお過去最高水準に迫っているために、やはり短期的なリスクというのは、ドル高円安方向が高いというふうに見ています。 
 
 

【日本株見通し】注目ポイントは「ドル/円と日経平均の連動性」
解説はDZHフィナンシャルリサーチの東野幸利氏

--予想レンジは19250円~19450円です。日経平均3日続落ですが、今日はどうでしょうか。

 はい、トランプ氏の記者会見を前に様子見姿勢を強める展開と見ています。主力輸出株はドル円が116円を下回ったことで手掛けづらく、週末に米金融機関の決算を控え、銀行株への押し目買いも限定的と思われます。一方で来月から本格的な決算発表を控え、業績の上振れ期待が支えとなっていますので、足下、良好な業績や株主還元を発表する企業には買いが入りやすい局面ではないかと思っています。

--注目ポイントは「ドル/円と日経平均の連動性」です。

(フリップ:連動性が薄れる局面へ)
安倍政権が誕生してからの動きを見ますと、日経平均とドル円はおおむね同じ動きをしていますけれども、2014年と2015年は1月からしばらく連動性が薄れる傾向がみられました。去年も夏場まで円高が進んだ一方で、株価は下げを戻しています。今年も現時点では連動性が強いですけれども、とランプ氏の記者会見や来週の大統領就任などを受けて、次第に連動性が薄れていく可能性があると考えることもできそうです。つまり会見内容でドル高をけん制する発言があり、円高ドル安になったとしましても、米国企業の業績改善が連想され、売国株式が上昇すれば、日本株の上昇要因になりますので、円高が極端に悪い材料にはならないと考えております。
 



■【プロの眼】FRB出口戦略の変化
今年に入ってFRBの連銀総裁が資産縮小の話題を講演でする機会もある中、FRBの出口戦略に変化が見えるといいます。そもそも、FRBのバランスシートは金融危機以降拡大を続け、利上げは行われましたが、バランスシートの縮小は手つかずの状態。去年の12月のFOMCの時でも縮小については慎重な姿勢が見られました。こうしたFRBがバランスシート縮小に慎重姿勢を見せるなか、資産を膨張させる日銀の今後はどうなるのでしょうか。解説は東短リサーチの加藤出氏です。

--「FRB出口戦略の変化」ということですが、アメリカは今年は年3回の利上げを見込む一方で、「金利」と「量」とありますよね。
量的緩和として膨らませてきたバランスシート、「量」のほうはどうなっているんでしょうか。

(フリップ1:バランスシートの縮小、手つかず)
リーマン危機の時から増え始めて、今だいたい5倍になっています。QE3はこの辺(2015年のあたり)ぐらいで終わったんですけれども、持っている証券が満期が来ると、普通は減ってくるんですけれども、減らないようにまた再投資、また買うということをやって残高を維持しています。従って短期金利は引き上げ始めたんですけれども、「量」のほうは全く手つかずという状態ですね。

--ですから今だに実はものすごい緩和状態が続いているということですよね。この後どのような出口戦略をとるのかというと、利上げは今言ったように3回ほど見込んでいると・・・。「量」はどうするんですか。

FRBの方針がたびたび変わっていまして、2011年に基本方針を出したときは、短期金利の引き上げを始めたら、その後ほどなくして住宅ローン、担保証券などを売り始めて、3~5年でこれをゼロにするという正常化策を言っていたんですが、2014年になりましたら、それをやると住宅ローンや長期金利が跳ね上がってしまうので、満期が来たら自然に減るということで売らないという方針に変わったのですが、最近のFOMCの議論はまたもっと慎重になっていて、再投資はいずれ辞めていくんですけれども、もう元に戻すのは難しいという議論になってきています。

--ずっとこのまま抱え込んでいくかもしれないということ・・・?

ある程度減らすんですけど、もと(06年~08年のころの状態)には戻らないと・・・。それが何故かというと、債権を減らすと、長期金利を押し上げる方向に力が働きますので、短期金利を上げて長期金利も上げてしまうと、経済にブレーキがかかりすぎる、あるいは金利上昇でドル高が進み過ぎる恐れもありますから、当面は短期金利を上げるというほうに注力するという、慎重にやっていこうということのようですね。

--トランプ政権によって景気が過熱するんじゃないかという懸念もあるものの、そこにはちょっと・・・

実際に議会で財政刺激策などが決まってくれば、もうちょっと減らすという議論が今年に出てくる可能性があると思うんですが、今年中は短期金利引き上げをメインにして、減らすというアクションは今年はやらないのだろうと思います。

(フリップ2:日銀バランスシート膨張継く)
--それだけFRBも苦労しているということを考えると、日本はいまだに80兆円をめどにまだ膨らましているわけですよね。これを見てください、どんどんと・・・。

経済規模比の中央銀行の資産の規模(バランスシート規模)ですが、どんどん大きくなっているわけです。今はFRBが小さく見えてしまうわけですが、これの正常化でFRBがすごく慎重な議論をしているぐらいですので、日銀のほうの正常化策というのは非常に難しそうなんですが、ただこれを減らすという議論はちょっと当面できないです。なにぶんインフレ目標2%を掲げていますからね。ただせめてトランプラリーなど、いい風が吹いている間に若干の正常化、長期金利を少し引き上げるとか、少しそういうことを着手しておかないと、海外から逆風が先行き吹いてきたときに、追加緩和の打つ手がなくなってしまいますから、何かできることは少しづつやっておくほうがいいと思うんですがね。

--今年そういうことができるでしょうか。

たぶん来年以降かなと思いますけれどもね。
 
 


■NY便り 2017年世界のリスクは
先週発表された「2017年の世界の10大リスク」を詳しく分析します。これは国際政治学者のイアン・ブレマー氏が率いる調査会社ユーラシア・グループが毎年発表しているものです。ブレマー氏は世界はいま「後退期」に入りつつある、と指摘します。

(フリップ:2017年世界のリスク)
--これらすべてを貫くテーマとしてブレマーが挙げたのは「世界は地政学的後退期に入る」。後退期とは、これまで機能してきた国際的枠組が弱体化していくということ。世界の中でとりわけ力を持つ国と国の間の不審が高まるリスクが有るというものです。その国々というのが、1位~3位にある米国、中国、ヨーロッパなどということなんですが、ではなぜ今、地政学後退機なのか、イアンブレマーに聞きました。

「世界が最後に『地政学的後退期』に入ったのは第2次世界大戦だ。大戦後、超大国アメリカが国際秩序を形成し、世界平和が維持されてきたが、一国が世界の基準を定めるのはそもそもおかしいのです。歴史を振り返ってもこのようなことはあまり起きていません。このような状態がいつまでも続かないのは明らかでしたが、米国第一主義を掲げるトランプが大統領になることで、地政学的後退期がすぐに起こる可能性が出てきたのです。」

--一方、ブレマー氏は10大リスクの6位に中央銀行の政治化を挙げました。トランプ氏は去年FRBのイエレン議長に対し、政治的配慮で低金利政策を続けていると非難しました。しかし実際には、逆にトランプによってFRBが政治色を強めてしまうことこそ、重大なリスクだと指摘します。

「トランプ氏は利上げが経済成長の妨げになると判断したら、イエレン議長らに圧力をかけるでしょう。問題はイエレン議長の任期が終わった後です。中央銀行の総裁は本来、独立性を保つテクノラート(専門官僚)であるべきですが、トランプ氏は自分に従順で自分の経済政策に従う人をFRB議長に任命するでしょう。一方ヨーロッパには別の形の『政治化リスク』があります。ECBのドラギ総裁は危機の時ヨーロッパやドイツのメルケル首相のために、あえて政治的役割も果たしてきましたが、メルケル政権が弱体化し危機が続く事態となれば、ドラギ総裁に批判の矛先が向くことになります。FRBとECBは難しい局面を迎えるでしょう。」

--そしてトランプ大統領誕生で揺れる米国と世界、懸念されるのは利益主義に走るアメリカの行く末だとブレマー氏は指摘します。

・ アメリカの国内情勢は心配していないですか?

「私はトランプ氏が掲げる『経済成長のための政策』によって、アメリカの長期的安定が犠牲になることを恐れています。例えば、大学を営利団体にした場合、経営者は多くの利益を得ることができ、政府も財政コストを削減できますが、そこではいい教育は行われません。また刑務所が営利団体になれば、受刑者に社会復帰のための支援を行わなかったり、より多く儲けるために、できるだけ長く受刑者を刑務所にとどめようとするところが出てくるでしょう。『利益が目的になる』のが心配なのです。しかしトランプ氏は利益第一主義を掲げているため、長期的にはアメリカは危機に直面すると見ています。」

--6位に挙げられていた中央銀行の政治化について、ブレマー氏は「自地銀は該当しない」としています。というのもこの問題はすでに日本で何度も取り上げられているうえ、安倍首相の人気が高いことで日本の政治はとても安定しているからだということです。
 
・トランプ次期政権のリスク、短期的視野に限界?

--利益第一というところの項目もありましたけれども・・・

《東短リサーチ/加藤出氏》
「ビジネス出身者の主要閣僚、過去を振り返ると必ずしも閣僚にビジネス経験があると経済成長をしたかというとそうでもないことが多くて、あまりに短期的な視野になると、成長が意外に阻害されてしまうこともあるようですから、ブレマーさんが心配しているのも、視点が(利益)第一主義と言っても、あまりに手前んお所に集中してしまうと良くないということなんでしょう。そういう点では今日の記者会見はなおさら注目ですね。」


 
 
■日経朝特急

航空機に日本の新素材
次世代航空機のエンジン機関部品に日本発の新素材が採用される。軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(SIC繊維)で、アメリカのGE(ゼネラルエレクトリック)が最新エンジンに導入、宇部興産など国内2社が素材を供給する。航空機の軽量化により燃費を改善できる。ロケットや発電設備など幅広い分野で採用が進む可能性があり、炭素繊維に続き日本発の新素材が技術革新を牽引しそうだ。
 


皇位継承、2019年元日に
政府は天皇陛下の退位に伴う皇位継承の時期について、2019年元日を念頭に制度設計する検討に入った。皇太子さまの即位に備え、新たな元号の検討にも着手した。
 


インターン採用、解禁案
企業の人材確保が柔軟になるかもしれない。学生が就職前に企業で働くインターンシップが採用につながる可能性が出てきた。現在はインターンと採用は原則切り離しているが、文部科学省など3省は、企業がインターン時に得た学生の評価を採用時にも生かせる案を検討。経団連などとの調整を急ぐ。
 


公的年金、運用益10兆円超
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する公的年金の運用成績が、去年10~12月期に2四半期連続でプラスになった。野村証券の試算によると運用益は10兆700億円で、トランプ相場で株価が上昇したことなどを背景に、国内株で4兆円、外国株で5兆2000億円の利益をあげた。
 



■日刊モーサテジャーナル

クシュナーが上級顧問に“縁故採用”で論争
トランプ次期大統領が長女イバンカさんの夫クシュナー氏をホワイトハウスの上級顧問に採用したことについて、米新聞各紙は縁故採用である点を強調して伝えている。
ウォールストリートジャーナルによると、クシュナーはどの閣僚候補よりトランプ氏から信頼があると言われていて、例えば次期副大統領のペンス氏選出にも大きな影響を与えた人物。ホワイトハウスの上級顧問として中東や貿易政策など、幅広い分野でトランプ氏にアドバイスをすると伝えている。ただクシュナー氏の起用が、反縁故法という「公職にある者は親族を政府機関の職に付けることを禁止する法律」に抵触するかどうかをめぐり専門家の意見は分かれている。
一方、ニューヨークタイムズによると、実はクシュナー氏はこれまでずっと民主党員でリベラル、トランプ氏をなだめて政策をリベラル寄りにすることができるのでは、と期待する声も上がっている。


 
トランプ次期大統領の記者会見、就任式よりも重要?(フィナンシャルタイムズ)
トランプ次期大統領は11日、大統領選に勝利して以来初めての記者会見に臨む。投資家にとって20日の就任式より重要なイベントになるかもしれないと報じている。記事によると、投資家がこの記者会見に期待するのは、大統領選直後に行った勝利演説と同じ効果。トランプ氏は演説で礼儀正しく融和姿勢を見せたことから、それまで急落していたドルや株価が急上昇した。今回はトランプ氏が財政出動などの中身を明かし、安心感を与えることで、新たなドル高の流れを作るのではないかという見方が出ている。
 


アメリカ脱原発の流れ、背景に経済効率性(ウォールストリートジャーナル)
マンハッタンからわずか56キロほどのところにあるインディアンポイント原発の内部の写真。9日、ニューヨーク州のクオモ知事が2021年までに閉鎖すると発表した。ニューヨーク市民の安全を考えたことが一因だが、記事は、それ以上に経済効率性が大きな要因だったと指摘。過去4年に4基の廃炉が決まったように、米国全土で脱原発の流れができているようだと報じている。記事によると、とりわけ原発ビジネスを苦しめているのが、天然ガスの価格下落。一昔前まで原発の閉鎖理由で多かったのは安全性だったが、最近は単純に利益面から閉鎖に追い込まれるケースが多いという。こうした事態について、天然ガス事業は十数人の雇用しか生まないが、原発は1000人ほど雇えるのにという懸念の声もあがっているという。
 




■今日の予定
11月景気動向指数
12月社名別新車販売
決算(ローソン・イオン)
ブラジル中銀政策金利発表
米トランプ次期大統領記者会見
 




■ニュース

米 中小企業楽観指数 12年ぶり高水準
全米自営業者連盟が発表した去年12月の中小企業楽観指数は105.8と、前の月より7.4ポイントの大幅上昇となり、12年ぶりの高水準となりました。項目別にみると景況感改善や販売増加への期待が前の月から大幅に伸びています。トランプ次期政権への期待感から中小企業の経営者の間で経済の先行きに楽観的な見方が強まっていることが示された形です。
 


米 11月求人数 7万人増
アメリカの労働省が発表した雇用動向調査によりますと、去年11月の求人数は552万2,000人と、前の月からおよそ7万人増え、市場の予想も上回りました。また、労働者の雇用市場に対する自信を示す離職者数は、前の月からおよそ4万人増えて306万4,000人と、金融危機以降、2番目の多さとなりました。
 


16年世界販売台数 VW トヨタを抜き初の首位へ
ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは10日、2016年の世界販売台数が1年前に比べ3.8%増の、1,031万台になったと発表しました。トヨタ自動車を抜き初の世界首位となります。2015年9月に発覚した排ガス不正の影響が懸念されましたが、規模の大きい中国市場が全体を押し上げました。4年連続で首位だったトヨタの販売見通しが1,009万台のため、フォルクスワーゲンの首位はほぼ確実です。一方、排ガス不正の捜査は現在も続いています。アメリカの司法省は9日、逮捕した幹部を、大気浄化法違反などの疑いで訴追したと発表しました。
 


東芝 銀行に支援要請
アメリカの原発事業をめぐり最大数千億円規模の損失が生じる見通しとなった東芝は、きのう、取引銀行向けの説明会を開き再建の支援を要請しました。東芝本社で行われた説明会には、およそ100人の銀行関係者が集まりました。東芝は今回の事態に至った経緯を説明した上で再建に向けた融資の継続を要請しました。今回の説明会では、東芝から融資額の具体的な提示はありませんでしたが、主力取引銀行の三井住友銀行とみずほ銀行は支援を表明し、三井住友信託銀行は「融資を検討する」と述べるにとどめたということです。東芝は今後、巨額損失で減少する資本の増強策についても金融機関側と協議したい考えです。
 


安倍総理と小池都知事 都議選をめぐり協議
安倍総理と東京都の小池知事はきのう、5ヵ月ぶりの会談を行い、夏の東京都議会選挙をめぐり協議しました。東京都の小池知事は、安倍総理大臣と会談し、夏の東京都議会選挙で、自らを支持する都議で議会の多数派を形成したい考えを伝えました。小池氏周辺によりますと、会談は、安倍総理から持ちかけられたもので、表向きは2020年の東京オリンピックの予算を議論する形をとりましたが、実際は都議選の対応について話し合ったもようです。小池知事側に多少譲歩しても対立を避けたい安倍総理に対し、小池知事は自民党とは距離を置く考えで、新党設立も視野に準備を進める構えです。
 


消費者心理3ヵ月ぶり改善
内閣府が発表した、去年12月の消費動向調査によりますと、消費者心理を示す指数が前の月に比べて2.2ポイント上昇し、43.1となり、3ヵ月ぶりに改善しました。株価の上昇で、保有する資産価値が膨らんだことや、円安で、企業の業績が回復するとの見方が広がったためとみられます。ただ内閣府は、長期的に見れば横ばい圏内の動きだとして基調判断は「持ち直しのテンポが緩やかになっている」に据え置きました。
 


トランプ氏のトヨタ批判 経団連会長 冷静対処を強調
(経団連・榊原会長)「ツイッターに過剰反応すべきではない」経団連の榊原会長は、きのうの会見で、アメリカのトランプ次期大統領がトヨタ自動車のメキシコ工場建設をツイッターで批判した事に対してこう述べ、「就任後にどういう政策を出すのか注視したい」と冷静に対処する必要があるとの考えを示しました。
 


中国 16年GDP「6.7%前後」
中国の国家発展改革委員会の徐紹史主任は2016年のGDP=国内総生産が6.7%前後になるだろうとの見通しを発表しました。これは「6.5%~7.0%」という政府目標の範囲内ですが、26年ぶりの低い伸びとなります。今年2017年のGDP成長率はこれを下回る6.5%前後になるとの予想が相次いでいて中国経済がさらに減速することが懸念されています。
 


中国 16年消費者物価↑2.0%
中国の国家統計局が発表した2016年の消費者物価指数は、前年比で2.0%の上昇と政府目標の3.0%を下回りました。景気減速で消費の勢いが政府の想定ほど強まらなかったことや、供給過剰で物価が上がりにくい状況が続いたためです。
 


安倍総理と長嶺大使が対応協議
韓国で慰安婦を象徴する少女像が設置されたことへの対抗措置として一時帰国している韓国駐在の長嶺大使はきのう安倍総理大臣と面会しました。これまでの経緯を報告するとともに韓国政府への今後の対応方針などについて指示を仰いだとみられます。長嶺大使は、きょう岸田外務大臣とも協議しますが今後、韓国側に改善の動きが見えない場合は、日本政府として新たな措置も視野に検討する方針です。
 


米 閣僚承認に向け 波乱のスタート
閣僚になるためには議会上院の承認が必要で、そのための公聴会がきょうから始まりました。司法長官に指名されたセッションズ上院議員が出席しましたが、波乱のスタートとなりました。保守強硬派のセッションズ氏は、トランプ氏の方針通り、不法移民を厳しく取り締まる方針を強調しました。これに対し野党・民主党の議員は、セッションズ氏の過去の人種差別発言を指摘、また傍聴席からも起用に抗議する人が相次ぎ、議場から連れ出される事態となりました。公聴会はあすも続きます。
 


ECB総裁などにハッキングで逮捕
イタリアの警察当局は10日、ECB=ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁やイタリアのレンツィ前首相など多数の電子メールをハッキングした疑いで、イタリア人2人を逮捕しました。被害に遭ったアカウントは、少なくともおよそ2万件にのぼり、銀行関係者やローマ法王庁の枢機卿などのものも含まれていたということです。容疑者の1人は投資会社を経営していたことから、投資情報に利用していた疑いも指摘されています。
 


妻を殺害した疑い 講談社の編集次長を逮捕
大手出版社・講談社のコミック誌、「モーニング」の編集次長を務める男が妻の首を絞めて殺害したとして警視庁に逮捕されました。殺人の疑いで逮捕された朴鐘顕容疑者は取り調べに対し、「妻に手をかけるようなことはしていません」などと容疑を否認しています。朴容疑者は去年8月、東京・文京区の自宅から「妻が倒れている」と自ら119番通報しましたが、警視庁の事情聴取に対しては「階段から転落した」「首を吊って自殺した」などと内容が変遷していたということです。朴容疑者は人気漫画「進撃の巨人」を担当し現在は「会長島耕作」などを連載する「モーニング」の編集次長を務めています。朴容疑者の逮捕を受けて講談社は「本人は無実を主張しており、慎重に対処してまいります」とコメントしています。
 
 
 

■【コメンテーター】東短リサーチ/加藤出氏

・ 米雇用は上向き、今後の見通しは

--アメリカのニュース、離職者数が非常に多いということですが、これは雇用市場に対する自信なんですか。

「これはアメリカの場合、賃上げというのがベースアップよりも、転職を繰り返しながら所得が上がっていくというケースが多いので、ですから採用も増えて、自発的な離職も多いというのが先行きの所得の増加につながっていくという点で、ポジティブにとらえられるという、日本とは違う状況ですね。」

--確かのこの間の雇用統計で、賃金の上昇が2.9%と強かったですけれども、これは信じていいんですか。

「トレンドとしては上向きであるのは間違いないんですが、ただ12月の数字はカレンダー要因で、曜日の関係で押し上げられている面がありまして、来月、再来月は同じ調子ではいかないと思うんですが、上向きではあるということですね。」

--となると利上げ見通しは3月という人が増えていますが・・・

「一旦たぶん統計上、伸びが落ちると思うので、利上げはもうちょっと後かなと思っている。今年は2回かなと今のところ思っています。」
 
 

・日刊モーサテジャーナル/クシュナーが上級顧問に“縁故採用”で論争

--反縁故法問記事もありましたけれども、こういう流れをどう見ればいいですか。

「ワシントンで論争になっていますね。あとはトランプさんのファミリーのビジネスと政治の利益相反の問題とか、閣僚にビジネス経験者が非常に多いわけですけれども、その人たちの今までのビジネスとちゃんと縁を切れるかとか、そういう問題が先行きいろいろと出てきそうですね。」

--ビジネス経験者が多いんですね

「ビジネスの経験年数を足すと83年だそうで、前のオバマ政権の場合は5年だったそうで、それが良し悪しどっちに出るかということですけどね。」
 
 
 

・きょうの経済視点 「強権主義?」

「今日のトランプさんの記者会見の1つの注目点で、『俺がルールだ』みたいな感じで今までツイッターでいろいろ話されていますが、そういった強権主義的な傾向がより強まるようですと、やはり長い目で見ると企業も委縮してしまい、アメリカの良さが失われてしまいますので、強面だけれども実際はバランスをとっていくというのであればいいんですけれども・・・。」

--でも実際その片鱗はツイッターなどで出てきて、企業などもそこに対応を迫られるような事態にもなりかねません。

「アメリカの政治学者などはこの傾向が強まると、危険だという議論が結構出てきていますね。」