3月30日付の河北新報総合面に、高校教科書検定結果へのコラムが掲載されていた。検定結果からは様々なトピックも盛り込まれたそうだが、「ジェンダー 理系にも」という見出しで「逃げぬピーチ姫」議論が紹介されており、その“議論”には啞然とさせられた。以下はコラムの前半。
「魔王クッパに捕まったピーチ姫がマリオの助けを待つばかりで、自力で逃げなかったのはなぜか。理学部に進む女性が少ない理由は―。生徒に身近な話題を通じてジェンダーの問題を考えさせられる記述が、理系科目を含む多くの教科書に盛り込まれた。
文部科学省によると、性差に対する思い込みや性差別といったテーマは地理歴史や公民の教科書で特に多く取り上げられ、国語や英語でも目立った。
論理国語には、人気テレビゲーム「スーパーマリオブラザーズ」で、主人公マリオが捕らわれのピーチ姫を助ける物語に「伝統的な男女の性別役割分業間に基づいている」とする文章が掲載された。姫が自ら脱出するといったシナリオも考えられるはずだとし、「違う角度から世界を捉える視点に接することは、新鮮な驚きをもたらす」と強調した。
多くのページを数式が占める物理でも、日本では大学で物理学や数学を学ぶ女性が少ないとするデータが特集で掲載された。理由として、こうした学問に求められる計算力や論理的思考力が男性的な力だとのイメージが広まっていると紹介。実際は男女差はないと考えらているとし、「特定のグループが勉強しにくい環境は改善をする必要がある」と指摘した。」
未だにゲームをしたことのない私でも「スーパーマリオブラザーズ」とマリオ、クッパのキャラは知っていたが、ピーチ姫は先のコラムで初めて知った。wikiでクッパから何度となくさらわれるキャラであることを知ったが、物語にはこのようなヒロインは珍しくない。
「魔王クッパに捕まったピーチ姫がマリオの助けを待つばかりで、自力で逃げなかったのはなぜか」という問いは、知的遊戯にも値しない愚問にしか見えなかった。自力で逃げればマリオの出番はなく、ゲームは成り立たない。
確かに私的にも違う角度から世界を捉える視点に接する機会になった。ゲームとジェンダー問題をこじ付け、人気ゲームの影響により大学で物理学や数学を学ぶ女性が少ないと結論付ける連中が教科書検定に関係していたことには慄然となる。
古代から主人公が捕らわれの美女を助ける物語は数多くある。インドの叙事詩ラーマーヤナも、主人公ラーマ王子が魔王に誘拐された妻シータ―を取り戻すための戦争がラーマーヤナの主題なのだ。
敵役にヒロインがさらわれずとも、ギリシア神話に登場するペルセウスや日本神話のスサノオは、生贄に捧げられる美女を救出している。これを「伝統的な男女の性別役割分業間に基づいている」とするのは、安易で短絡的としか言いようがない。魔王や化け物と対峙するのに女では力不足であり、先に挙げた英雄たちも猿の援軍や神々の支援を受けなければ勝てなかっただろう。
ペルセウスやスサノオも化け物退治ばかりではなく、様々困難な冒険を果たし、多くの試練を乗り越え成長していく。読者はその過程をワクワクしながら読んでおり、美女と結ばれるのはそのご褒美なのだ。
スーパーマリオゲームはしたことがないが、多くの試練と冒険が待っているのは想像がつく。簡単にクリアできるゲームならば、これほど人気は出なかっただろう。
姫が自ら脱出するといったシナリオも考えられるが、試練と冒険を乗り越えた主人公に比べると、やはり面白みが少ない。捕らわれの姫が脱出するのは自衛と自己生存行為だが、スサノオやペルセウスは他にも冒険譚があって能動的なのだ。
むしろ悪玉に捕らわれた姫は自ら脱出すべきだといった視点は、勇ましさよりも犯罪被害者への冷淡さが感じられた。捕えた魔王のみならず捕らわれた側も悪い、自ら脱出を行わなかった者にも落ち度があると言わんばかりに聞こえる。
つまり、自己責任論に繋がる可能性も出てくる。捕えたのは雑魚鬼ではなく最強の魔王だから脱出自体が極めて難しく、魔王側も簡単に逃亡できぬよう監禁しているはず。
その二に続く
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あれってよく考えると当然至極なんですよね。
誰もが対抗できない武力に対してそれを打倒しうる力を持っている人物を放置しておけば、その牙が自分たちに向いたエライこと。自分たちには対抗不能ですからね。一族の美女と報酬で身内に取り込んで権力基盤を強化するなんて当たり前。取り込めないなら粛清してしまう方がいいですからね。英雄の物語はボスを倒した後は悲劇か栄光で中葉はあり得ないでしょう。
しかしまあこんなバカなことで突っ込むバカに呆れます。私もマリオで遊んだ口ですが、それで男女の役割だの何だのは考えた少年少女がどんだけいたのやら。
>むしろ悪玉に捕らわれた姫は自ら脱出すべきだといった視点は、勇ましさよりも犯罪被害者への冷淡さが感じられた。捕えた魔王のみならず捕らわれた側も悪い、自ら脱出を行わなかった者にも落ち度があると言わんばかりに聞こえる。
突き詰めるとそうですよね。女も男並みのリスクを背負って戦え!てことですよね。そういう手合いに限って戦いで女性がと抜かす。
北朝鮮人やイスラエル人の様に男女共に公民権を持つ成人は戦士たれという社会にしなきゃあ矛盾ですよ。
聖書、コーラン、仏典には男尊女卑がバンバン出てくる。尤もジェンダー云々を言い立てる輩に限って、差別の根源である宗教にはダンマリ。所詮宗教組織が怖いのです。
ジェンダー論(藁)者憧れの国スウェーデンは、ロシアの脅威に対応し徴兵制復活、女性も対象です。女性からも特に反対はないようで。
https://www.afpbb.com/articles/-/3119940
戦いで女性がと抜かすウマシカこそ、「伝統的な男女の性別役割分業間に基づいている」。
見張りや巡回役がいるはずなので、隠密行動と気配察知も欲しいところ。
罠もあるだろうから、それらを見つけて解除する知識や経験。
道無き道を進む事もあるから、パルクールも習得しておく。
回避できない敵は暗殺するしかないな。
これはもう潜入工作員です。007やソリッド・スネークもびっくりだよ。
あるいは犯罪者予備軍?堅気が使う技術じゃない。
マリオゲームをしたことがないので、ピーチ姫がどのように監禁されているのかは知りません。しかし、部屋のドアには鍵が掛かっている程度は想像がつきます。当然見張りや巡回役もいる。
にも関わらず「逃げぬピーチ姫」議論をしている連中って、想像力が完全にありませんね。一般女性でもこんな状況なら逃げられません。まして深窓の姫君なら。高校生よりも想像力のない連中が教科書検定に関与しているのは絶望します。