トーキング・マイノリティ

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学者のナショナリズム

2007-07-30 21:27:58 | 世相(外国)
 釈迦といえば、インドが生んだ世界宗教の開祖と思われる方が大半だろう。しかし、インドではなく自国の人間だと主張する国民がいる。インドの隣国ネパール人 だ。釈迦=ネパール人論は何も最近唱えられたのではなく、何世紀も前から同じく自国人説を曲げないインドとこの件で争っている。釈迦の生国は現代ネパール 領タラーイ盆地のカピラヴァットウであり、インドとの国境に近いヒマラヤ山麓の都だった。ただ、釈迦が活動した場は全てインドである。

  紀元前から様々な民族が混在していたインドだが、釈迦がどの人種の出なのか意外にも分かっていない。漢訳で父は浄飯王、弟は白飯王、甘露飯王と訳されてい るから、米作りが巧みな民族だったようだ。日本人の学者には釈迦はインド・アーリア族とは違う民族の出で、それゆえ伝統的なバラモン教の思想に対抗する新興宗教が説けたのではないかと考える人もいる。
  日本人学者の説はタイ人の学者ばかりか一般人にも支持され、釈迦はアジア人と解釈するタイ人まで出るに至った。それだけならまだしも、釈迦族とタイ人は同 根の民族であり、だからインドで仏教が廃れてもアジアでは信仰されたのだと主張。釈迦が后となるヤソーダラー姫のハートを射止めたのも、ムエタイで競争者に勝ち抜いたから、に至っては我田引水気味のファンタジー。いずれにせよ、大和民族と釈迦族は何の関係もない。

 敬虔な仏教徒の国であるタイ人が、自分たちのルーツに釈迦を結び付けたいのは微笑ましいが、新興国家だと民族にアイデンティティを求める場合もある。旧ソ連邦が崩壊して間もない頃、名は失念したが日本人学者がある国際会議の場で、アゼルバイジャンの学者と話をする機会があり、そのアゼルバイジャン人はサファヴィー朝ペルシアを トルコの王朝であると主張したそうだ。サファヴィー朝の王族がアゼルバイジャンと同じくトルコ系だったは確かだが、歴史の流れからしてイランの王朝であ り、血筋のみでは根拠、説得力がないと日本人学者は反論する。この理屈なら、清王朝は中国でなく満州族の国家となる。アゼルバイジャンの学者も歴史は十分 理解しているが、新たに独立したばかりの国ゆえ、偉大な文明を誇った王朝に自分たちの祖を求めたかったのだ。学会の場で日本人学者は、何とかサファヴィー 朝=トルコ人王朝説に同意を得たい心情を痛いほど感じたそうだ。

 学者による国際会議と聞いて、名だたる学者が集う場なので、さぞ学識あ る格調高い論議が行われると思いきや、結構ナショナリズムむき出しの意見がでるのも珍しくないらしい。ゾロアスター教研究家の青木健氏は国際学会の場で、 それを感じたと言う。欧米(特にドイツ系)の研究者の一部は、ゾロアスター教研究に「自らと同祖である高貴なアーリア民族の宗教研究」の意識で望んでいる 節があり、しばしば「ゾロアスターはアーリア民族がもった唯一の預言者であり、ゾロアスター教は世界最古の創唱宗教である」と説くそうだ。青木氏は「アーリア民族にも預言者があって然るべき」との、セム族に対する劣等感が欧米人学者に影響しているのではないか、と推測している。

 同じゾロアスター教研究でも、インド人ヒンドゥー学者となればまた解釈が異なり、ヒンドゥーの聖典ヴェーダアヴェスター(ゾ 教の聖典)の類似性を強調、アヴェスターを“第五のヴェーダ”とまで呼ぶ者もいるそうだ。過激なヒンドゥー・ナショナリストならずとも、欧米人の学説に反 論し、インド文明との関連を主張、多神教的側面を訴える。インド、欧米双方の学者とも自説を曲げず、ナショナリズムの影響も無縁ではない。「和をもって尊 しと為す」が通るのは、せいぜい日本の学界内くらいだろう。

 現代の日本なら、学者とは狭量なナショナリズムと最も無縁で中立な思想をす る人種と一般にイメージされているが、御用学者などいつの時代もいるし、学問が民族意識の高揚に利用されるのもしばしばだ。『ナショナリズムの由来』の著 者・大沢真幸教授はインタビューでこう指摘されている。
例えば自由や民主主義などの普通理念を信奉する知識人が、たいした自覚もなしに思想的には無内容のナショナリズムに転校してしまうことがよくある

 ナショナリズムの旗振り役は権力者だけではなく、その協力者だった学者によるところも大きい。その類は敵対陣営をナショナリストと糾弾することで、己の狭量で歪んだナショナリズムを増長させていく。

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10 コメント

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RE:コーカソイドのアジア人 (mugi)
2011-10-18 21:32:08
>こんばんは、Will様。

 個人差もあるでしょうけど、イラン・アーリア人の大半は自分たちは欧米人と同じ系統に属すると考える人が大半だと思います。古代にはメソポタミアやギリシア、ローマの影響を受けており、イラン人には西方への憧憬が強い傾向がある、とゾロアスター教研究家の青木健氏も述べていました。
 アラブ人となれば、さらに西方志向があるような…彼らは東方よりも欧州に強い関心を示していたし、一般に日本人より色黒でも、彫りの深い顔立ちをしている。中世の文献ではイラン人やアラブ人が黒人に強い蔑視感情を抱いていたことが載っています。ただし、中国への評価は高いのですけど。

 インドもかなり混血が進んでいるし、それを防ぐためにカースト制度がありましたが、その効果は薄かったのが実情です。中国同様インドも幾度も異民族の侵入があり、今でもギリシア風の名前の人がいるそうです。まさか、アレキサンダー大王の部下の子孫ではないでしょうけど。
 異民族侵入ではイランも全く同じであり、「陸の橋」と呼ばれる地勢から東西双方から異民族が侵入してくる。イラン人もかなり混血が進んでおり、テュルク系の民族もイランには多いのです。中央アジアなど、かつては紅毛碧眼のアーリア系住民の地でしたが、今では「トルキスタン」、トルコ人の地になりました。

 トルコ共和国の人々は日本人から見れば、あまり欧州人と変わりないように見えます。オスマン帝国時代も支配層は自らをトルコ人と言わなかったし、当時トルコ人と呼ばれた人々はアナトリア中部にいる色黒で、非欧州風の顔立ちの百姓を指すこともあったとか。トルコもかなり西欧志向ですよ。

 ネパールについても私は全く浅学ですが、おそらくインドから移民して住み着いたヒンドゥーも少なくないのではないでしょうか?それでもやはり、「アンチ・インド」ですか。隣国は仲が悪いのが常だし、同じ文化圏ゆえに同類嫌悪も強いと思われます。インドも大国ゆえ、周辺諸国にはデカい顔をするし、もし日本の隣国ならば、かなり嫌な国になるでしょう(笑)。

 ヒンドゥー教の最高神の一人ヴィシュヌは様々な姿に化身し、一般にその9番目の化身(※異説もあり)が釈迦と考えられています。ただ、明らかにいい役割ではなく、正統派ヒンドゥーから見れば仏教は似非宗教となるでしょう。それでもインドの政治家及び知識人は、異教徒にイメージの良い釈迦を利用したりします。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8C

 モスクワのロシア人はともかく、ウラジオストックの人達はアジア人だと称する人が多かったのでしょうか??モンゴロイドの“アジア人”へのリップサービスもあるのかも。大陸のためロシアも混血しているようです。一般にロシア人は西欧人よりも異民族との結婚に抵抗が薄い様な…

 仰るように、世界の三大宗教の開祖はいずれもが「アジア人」です。ただし、これらの信徒たちはいずれも開祖を「アジア人」とは見なさず、殆ど神同然に思っているでしょう。日本人と違い、感傷的なアジア主義には無縁ではないでしょうか。
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RE:釈迦族とタイ人は同根? (mugi)
2011-10-17 21:38:05
>Willさん、

 私は「タイ諸族」の歴史には全く浅学なので、情報を有難うございました。中国の「広東語」も基層言語がタイ語だったとは、初めて知りました。

 ヒマラヤの先住民がチベット・ビルマ系なのは聞いていましたが、釈迦が仮にこの先住民の出自だったとしても、タイ族同根説はかなり眉唾でしょう。先に室長さんがコメントされたように、そうあって欲しいという「夢想主義史観」が実態のような。
 西欧の学者が釈迦はインド・アーリアンと力説するのも、「夢想主義史観」も入っています。自分たちと“同根”の出自だと思い込みたいのではないでしょうか。

 中国人の一部ネットユーザーには、「チンギス・ハーンは実は漢族」と言う者もいると聞いたことがあります。北狄に支配されたのは耐え難いのやら。
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RE:過去の歴史を捏造 (mugi)
2011-10-17 21:35:11
>こんばんは、室長さん。

 貴方の記事「スコピエ市における英雄像建立問題」に、マケドニアとブルの確執が描かれてありましたね。民族が複雑に混在するバルカンらしいですが、アレクサンダー大王ばかりかサムイル王までも自国の祖にしてしまうのもすごい。もっとも、アレクサンダー大王を除いてしまえば、マケドニアには偉大な過去の歴史物語がないのでしょうけど。
http://79909040.at.webry.info/201106/article_5.html

 ネットでは中韓の歴史捏造を嘲笑、非難するネタも多いですが、何もこのようなケースは日本の隣国に限らないということでしたか。「反米嫌日」を名乗るブロガーがいて、以前、思い切りこのサイトをコケにした記事を書いたことがあります。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/85cedbefead691b5c024ed771b72ac9f

「天皇家も母系をたどると朝鮮半島に広がりますからね」の箇所だけで、この管理人の想いと出自が知れるでしょう。ならば、モンゴルの姫君を后として押し付けられた朝鮮王家はモンゴルに連なるとなりますが、もちろんこの史実は無視。孔子や朱元璋は朝鮮族、ヨガや将棋、ピザさえ朝鮮発祥等…何でも自分たちがルーツと主張するところに、この民族の異様な歴史観が伺えます。

 ここの駄ブログにも怪しげな自称日本人のコメンターが湧いて出ることもあります。しかし、その感性は一般日本人とはかけ離れている。中国系に成り済ました者もいました。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/70bbd53acceb9d52bb123e06eb1958db
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コーカソイドのアジア人 (Will)
2011-10-17 03:00:23
Mugi様、こんにちは。
「コーカソイドの“アジア人”」、いろいろ興味深いですね。
イラン・アーリア人とかは、欧米人と同じ系統に属すると自分たちでは考えているのでしょうか。。。
アラブの人たちはどうなのでしょうか。。。
まあ、人類史的には、アフリカから移動してきたホモ・サピエンスが現在のイランあたりで西進してヨーロッパに進入し、ヨーロッパのコーカソイドになったとされているそうですから。。。
それに比し、インド・アーリアンは、先住のトラビダ語族の人達や、後にやって来たモンゴル系の人達(かつてインドを支配したティムール&ムガール帝国の支配者たちは、モンゴル貴族の末裔<チンギス・ハーンの子孫も多し>でしたね)などとの混血が進んでいます。
私が知っているネパールのインド・アーリアン系の人たち(バフンやチェトリなどのカーストの人達)は、アーリアンっぽい顔立ちでも物腰や仕草はすご~く日本人っぽい(インドのアーリアンと比べても)気がします。また、彼らはアジア人意識が強いように思います。
知人のネパール人たちは、みな一様に「あこがれるのは(西ではなくて)東<太陽が昇ってくる方>」とおっしゃいます。そして、民族を問わず、みな「アンチ・インド」です。<笑> ヒンドゥー教徒のネパール人たちもそうです。ネパールのヒンドゥー教徒たちは、釈迦(仏陀)を非常に尊敬していて、首都のカトマンズ<文殊菩薩がもとあった湖の水をぬいて盆地にしたとの伝説あり>などは同じ敷地内にヒンドゥー寺院と仏教寺院が同居しているということもあるそうですが、インドのヒンドゥー教徒の中には、釈迦は神が化身したもので、人々を惑わすために(・人々の信仰をためすために)、似非宗教を広めたのだと考える人もいるそうです。
西アジアも興味深いですね。。。トルコ(テュルク系)の人たちは、出自はモンゴル高原あたりで、モンゴロイドが基層にはあるけれども、コーカソイドとの混血が進んでいるので、ヨーロッパっぽい容貌の人も多いようですが、東アジア人っぽい容貌の人もいる。
ロシアも何人か知り合いがいますが、モスクワの人達は自らをヨーロッパ人と称し、ウラジオストックの人達は(容貌はヨーロッパ人でも)自分はアジア人だと称する人が多かったような。。。
ちなみに、ロシア王朝の貴族たちは、チンギス・ハーンとその長男の血筋<長男はチンギス・ハーンが実の父親ではないとの説有>をはじめとして、モンゴル貴族の血をひいている人が多かったそうで、いわばコーカソイドとモンゴロイドとの混血ですが、ロシアはモンゴルとは決別したということで、その事をはっきりとは言わない。。。ただ、知人のロシア女性はまるっきりヨーロッパ人の容貌ですが、スラブ民族ですね。。。と尋ねると、「実は、いろいろまざっているんです。。。」と。
ハンガリー人やフィンランド人も古はモンゴロイドであったとの説が有力ですが、後のコーカソイドとの混血によって、今ではまるっきりヨーロッパのコーカソイドの容貌(時々、日本人にもこんな顔立ちの人がいるな。。。という人もいるようですが)
話がとりとめもなくなり、失礼いたしました。
「アジア」と言えば、釈迦もキリストもムハマンドも、世界の三大宗教の開祖はいずれもが「アジア人」ですね。
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RE:釈迦はアジア人 (mugi)
2011-10-16 21:38:39
>Willさん、

 仰る通り、釈迦の生誕地を巡ってインドとネパールが争っていると言っても過言ではありません。例え生誕地がネパールだったとの考古学的証拠が発見されたところで、インドが引き下がるとは思えない。だからインドも怪しげな遺跡をこしらえ、我が国こそ釈迦の生誕地だ!と歴史を捏造しようとしているような。大国のごり押しですね。

「釈迦はアジア人と解釈するタイ人まで出るに至った…」の箇所ですが、どうも不適切な表現だったと思います。誤解を招いたようで、失礼致しました。
 この場合の“アジア人”とはモンゴロイドを指しており、一般の日本人も“アジア人”といえばモンゴロイドを連想するのではないでしょうか?一概に“アジア人”といえ、日本人やタイ人のようなモンゴロイドと、人種的にはコーカソイドのインド・アーリアンやアラブ人のようなセム族では容貌が全く違います。コーカソイドの“アジア人”は内心は欧州人と同じ系統に属する人種という意識があるそうで、“アジア人”と呼ばれるのを好まない者も少なくないとか。

 現代のネパールに「シャキャ族」がいると聞いていますが、古代の「釈迦族」と関係があるのかは不明です。ネパールも様々な民族が混住するし、インド・アーリアンやモンゴロイド系もいて混血が進んでいるはず。現代の「シャキャ族」の祖先に「釈迦族」がいたことも考えられますが、こじ付けの可能性もあります。タイ人と同じく偉大な人物を祖先に持ちたいという願望で。
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釈迦族とタイ人は同根? (Will)
2011-10-16 18:03:26
たびたび失礼いたします。
「タイ諸族」は、紀元前は中国南部(長江流域・長江南部)に居住(アルタイ山脈の麓を故地と自称することもあるそうですが。。。)していたそうですが、漢民族の南下により圧迫され、紀元前後あたりから徐々に南下・拡散したとされているそうですね。中国雲南省にもタイ族が居住していますし、インドのアッサム(かつては、ネパール領だったことも。。。)にまで西進した部族もいるそうです。
中国の歴史において「百越」と称される諸民族があり、稲作を行なって長江文明の担い手でもあった彼らは、現在のタイ、ベトナム、ミャンマー(ビルマ)の人々を構成する諸民族の出自のひとつであるとされますが、言語学の分野でも、例えば中国の「広東語」は基層言語がタイ語で、後に漢語が大量に流入した結果により成立したとされているそうです。
なお、ヒマラヤの先住民(キラート、キラタス)は、チベット・ビルマ系とされています。釈迦がキラートだったとしても(インド・アーリアンの可能性が高いとは存じますが、釈迦族が米作りにたけていて、バラモン教を信奉しなかったかも?というあたりが。。。もしかして。。。ですね)、タイ族が西進した時期よりも、釈迦はもっと前の時代の方でしょうから、同根とまで言えるかどうか。。。
タイ(タイ族?)の方が同根と言うと、さらに中国の方でも「釈迦は、古代中国人の末裔」などと言いそうな気もします。<笑>
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過去の歴史を捏造 (室長)
2011-10-16 09:46:54
mugiさん、こんにちは、
 この記事におけるアゼルバイジャン学者の学説は、面白いですね。
 これとの関連で、小生が最近ブログに書いた、マケドニアが、「ギリシャ系」とされるアレクサンダー大王について、自国の歴史の中に組み入れて、まるで現在のスラヴ系のマケドニア国の祖先、昔の英雄扱いして、巨大銅像を首都に建造したことが想起されます。

 やはり、どの国でも、偉大な過去の歴史物語を、捏造してでも主張したい、そうしないと、自国民の愛国心涵養の道具立てが不足する、と言う心理になるのでしょう。
 中世ブル第2王国時代のサムイル王が、マケドニアの初代の王様、とはいえ、古代のアレクサンダー大王も、その頃のギリシャ系マケ人の血液も、現代のマケ人の血管には、ある程度流れているはずだ・・・との主張のようです。

 これに比べれば、アゼリ人達が、サファビー王朝の血液はトルコ系だ、というのなら、その限りにおいては、正しい主張と言えるでしょう。

 ともかく、どの程度の捏造か、強引な解釈か?と言う側面と、そうあって欲しいという「夢想主義史観」との接点というか、難しいですね。一部の大国のみに、偉大な歴史を主張されるのも、小国には嫌味だし。

 マケドニア人のように、本来はブルガリア人として、共通の歴史を歩めれば良かったろうけど、英独仏などの欧州列強が、バルカン半島における大国ブルガリアの成立を嫌ったせいで、最後はクロアチア人のチトーによって、人工的に「新民族としてのマケ人」として、20世紀になって、新たに「民族」登場した訳ですから。 しかも、色々な経緯から、最近独立国にまでなってしまったのですから、「俺たちは、遠くはアレクサンダー大王の子孫に当たる」と自己主張したくなる気持ちは、分からないでもない??!!
 現代のマケ領土は、フィリップ王、アレクサンダー王時代の古代マケドニア王国の版図の一部であったし、故に古代の「ギリシャ系マケ人」の血液が、今の「スラヴ系マケ人」の血管内に、少しは混じっていても、残っていてもおかしくはない・・・拡大解釈すれば、後はごり押しすれば良い・・・と言う程度が、現地の歴史学者の立場でしょう。
 政治家と学者が、小国では、本当に近所の友人、同じ大学の同窓生でもあるし、飲み仲間でもあるから、共同作戦でしょう。迷いはないはず。
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釈迦はアジア人 (Will)
2011-10-16 08:02:40
釈迦の生誕地が、現在のネパールの「ルンビニ」だというのは定説ですね。仏教の八大聖地のひとつでもあり、1997年にはユネスコの世界遺産に登録されてもいます。
釈迦が「インド人なのか、ネパール人なのか」(「~人」には、いろいろな定義・意味がありますし。。。)ということよりも、釈迦の故郷のカピラヴァストゥ国および生誕地が、現在のインド側にあるのかネパール側にあるのかということで互いに譲らないのではないでしょうか。
ルンビニが「(ネパールの)世界遺産」として登録された後も、インドではルンビニの名を冠した(なーんちゃって)遺跡?をインド領内の別の地にせっせとこしらえているという話も聞きます。
ところで、「釈迦はアジア人と解釈するタイ人まで出るに至った」とのお話ですが、釈迦がアジア人ではないという話があるのでしょうか。。。初耳です。
釈迦がインド・アーリアン(人種的にはコーカソイド)であったのか、或いは、ヒマラヤの地に紀元前より住んでいるキラート(またはキラタスとも。。。現在のネパールの地に最初に国家を作った民族とされている。。。人種的にはモンゴロイドで、宗教的にはシャーマニズム)であったのかは諸説あるようですが、いずれにせよアジア人(南アジア人)であることにはかわりがないはずなのですが。。。
「釈迦はインド・アーリアンではなく、モンゴロイドと解釈」なら、話はわかります。ちなみに、ネパールには(ネワール民族の一種なのだそうですが、)「シャキャ族」という人たちがいるそうです。ネパールの生き神クマリは、シャキャ族から選ばれるとのこと。
釈迦の出自「釈迦族」と、ネパールのシャキャ族が関係があるのかないのか。。。調べてみましたが、よくわかりません。何かご存知でしょうか?
長文、失礼いたしました。
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領土 (mugi)
2007-08-02 00:12:12
>mottonさん
仰るとおりナショナリズムといえ、国家主義と人種主義は様相が異なってきますね。どうもゴッチャにして記事にしてしまいました。
私の手元にある国語辞典(小学館)ではナショナリズムを、国家主義、国粋主義、民族主義となっています。よく批判されがちな日本人のナショナリズムと言えば、国家、国粋主義を指しているのだと思います。

北海道は元はアイヌの土地だったのは事実ですが、インディアンと同じく今更彼らに領土返還も出来ないし、既に同化も久しい。
ただ、アイヌやインディアンがいい例ですが、いかに数千年から同じ土地に住んでいた正統性を持つにせよ、武力で掃討されることもあるのが世界史の現実です。

中東でもクルド人は紀元前から同じ場所に住んでいましたが、国家建設が出来なかったので、周辺諸国との軋轢は複雑ですね。
2千年前にパレスチナを追われたユダヤ人は、20世紀ついに“約束の地”に戻りましたが、これは例外中の例外。根拠が聖書だけなのですが、キリスト、イスラム両教徒とも聖書を持ち出されると正当性を認めざるを得ません。宗教が介入すると、正統性さえ出てくるのだから厄介です。
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正統性 (motton)
2007-08-01 13:47:23
ナショナリズムといっても、近代国民国家に基づくもの(国権主義)と、人種主義に基づくものは全く違いますからね。
同様に国史と民族史と地域史も違いますね。例えば、トルコ共和国の歴史、テュルク民族の歴史と、アナトリア半島の歴史は全く違います。
アナトリア半島のテュルク民族にトルコ共和国の国民としてのアイデンティティを確立したケマルは偉大です。(そのケマルでもトルコ語純化運動とかやっちゃってますが。)

ただ、日本の場合は現在の日本国民が日本列島を専有していることの正統性は磐石です。
日本国民の多くが数千年から日本列島にいた人々の血を引くのは確実ですし“最初の”統一国家の王家が少なくとも 1500年から存在しています。
日本列島から追い出されたと言う権利があるのはアイヌくらいですがもう日本国民ですし。

でも、世界では数千年から同じ場所に住んでいた民族は少なく、今いる土地を専有することの正統性は弱いです。だからナショナリズムが出てくるのでしょう。でも、人種主義に基づけば基づくほど正統性が弱くなるのですがね。
中国なんか春秋時代の“中華”なら黄河中域だけになりますし、韓国は三国時代の新羅部分だけでしょう。
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