『君戀しやと、呟けど。。。』

此処は虚構の世界です。
全作品の著作権は管理人である紫草/翆童に属します。
無断引用、無断転載は一切禁止致します。

花見

2009-04-20 21:19:15 | 詩歌
 毎年 桜が緑に変わる頃
 その木は 綺麗な花を咲かせる
 誰が名付けたのか
 それは空気が澄んだように感じる 花水木だった

「今年も、ちどりさんの花水木が咲いてたよ」
 ソファに深く身を沈め 雑誌をめくる音がする
 その人の背に 声をかけた

 ん!? と首をこちらに向けてくる
「もう、そんな時期か。早いなぁ」
 彼の近くまで寄っていって 顔を見上げる
 ちどりとは 近所でやってる和食屋さん
「ちょっと、お散歩。どう?」
「今からかぁ!?」
 時計の針は 午前一時をさそうとしている

 諦め顔で その場を離れようとすると
「花見に行くか、花水木の」
「それ、駄洒落のつもり!?」
「まぁな」
 そう言いながら立ち上がり 頭をポンと叩かれた

                    著作:紫草

*続篇「徒然に」へ

*ホームページ(PC)孤悲物語り
「花見」
コメント    この記事についてブログを書く
« 雨のなかに | トップ | 『躑躅』1 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

詩歌」カテゴリの最新記事