~おかけになった電話番号は、お客様の都合により、お繋ぎできません~
最初、何を意味するメッセージが流れたのか、理解できなかった。暫くして改めて発信する。
今度こそ、はっきりした。
私からの番号は受け付けられないって云っているんだ。
怒り、だろうか。それとも別の、何か気持ちの悪い感情。一瞬のうちに私を包み込んだ、そのよく分からないモノに支配され、私は意識を失った。
気付いたら、病院のベッドに眠っている。ベッドのふちに顔を伏せ母が寝ていた。
少し動くと、母も動き、そして目が合った。
「魅子。魅子、ママが分かる」
どうして、そんなこと聞くんだろう。頷きながら、変な感じがした。母が備え付けのナースコールを押し、私の意識が戻ったと告げている。
暫くして、ナースと医師がやってきた。
「魅子さん。自分のしたこと、憶えていますか?」
一通りの診察を終えると、医師は人払いをし、こう聞いてきた。
私のしたこと?
…
…
…
あれ、何も思い出せない。
「魅子さん、今、何歳ですか?」
「それくらいは分かります。… … … 分かりません。先生、私、記憶喪失になっちゃいました」
半分苦笑いをして、半分泣いて、やっと答えた。
「無理をするのはやめましょう。今は、ゆっくりと怪我を治すことです」
「怪我? 私、怪我してるんですか!? でも、どこも痛くないんですけど」
「大丈夫。急がないで、ゆっくりやりましょう」
山崎と名乗った医師は、優しいマスクでそう云った。
母が戻ってくると、私は何があったのか、と聞いた。
すると母は小さく首を横に振るだけで泣き出してしまい、その母に手を伸ばそうとして初めて、下半身に違和感を覚えた。
「ママ、私、起き上がれない」
驚いた私は頭の中が真っ白になってしまい、目の前で泣く母も、ただ泣き続けていた。
その時だった。
スライドの扉が、スウ~っと開いて、そこに優一が現れた。
「優一、大変、私、起き上がれない」
そう云う私の言葉に重なるように、彼が云う。
「魅子、意識が戻ったのか」
思わず自分のことより、うん、と返事をしていた。
母が病室を出ていくと、替わりに優一がベッドのすぐ近くにきて座った。
「よかったな、意識が戻って」
「どうして皆、そんなに大袈裟なの? 私、何かしたの!?」
「何かしたって… 憶えてないのか」
頷く私に、優一の手が伸びてきた。左の頬を触られる。優しい手。
あれ、私って振られたんじゃなかったっけ
「ごめん。混乱してる。どうして優一がここに来てくれるの? 私、振られたんだよね。それは憶えてる。どうして、優一が」
その時、ふわっと彼の体が覆いかぶさってきて、私はKissされた。
「ごめんな」
そう残して、彼は病室を出て行った。
To be continued
最初、何を意味するメッセージが流れたのか、理解できなかった。暫くして改めて発信する。
今度こそ、はっきりした。
私からの番号は受け付けられないって云っているんだ。
怒り、だろうか。それとも別の、何か気持ちの悪い感情。一瞬のうちに私を包み込んだ、そのよく分からないモノに支配され、私は意識を失った。
気付いたら、病院のベッドに眠っている。ベッドのふちに顔を伏せ母が寝ていた。
少し動くと、母も動き、そして目が合った。
「魅子。魅子、ママが分かる」
どうして、そんなこと聞くんだろう。頷きながら、変な感じがした。母が備え付けのナースコールを押し、私の意識が戻ったと告げている。
暫くして、ナースと医師がやってきた。
「魅子さん。自分のしたこと、憶えていますか?」
一通りの診察を終えると、医師は人払いをし、こう聞いてきた。
私のしたこと?
…
…
…
あれ、何も思い出せない。
「魅子さん、今、何歳ですか?」
「それくらいは分かります。… … … 分かりません。先生、私、記憶喪失になっちゃいました」
半分苦笑いをして、半分泣いて、やっと答えた。
「無理をするのはやめましょう。今は、ゆっくりと怪我を治すことです」
「怪我? 私、怪我してるんですか!? でも、どこも痛くないんですけど」
「大丈夫。急がないで、ゆっくりやりましょう」
山崎と名乗った医師は、優しいマスクでそう云った。
母が戻ってくると、私は何があったのか、と聞いた。
すると母は小さく首を横に振るだけで泣き出してしまい、その母に手を伸ばそうとして初めて、下半身に違和感を覚えた。
「ママ、私、起き上がれない」
驚いた私は頭の中が真っ白になってしまい、目の前で泣く母も、ただ泣き続けていた。
その時だった。
スライドの扉が、スウ~っと開いて、そこに優一が現れた。
「優一、大変、私、起き上がれない」
そう云う私の言葉に重なるように、彼が云う。
「魅子、意識が戻ったのか」
思わず自分のことより、うん、と返事をしていた。
母が病室を出ていくと、替わりに優一がベッドのすぐ近くにきて座った。
「よかったな、意識が戻って」
「どうして皆、そんなに大袈裟なの? 私、何かしたの!?」
「何かしたって… 憶えてないのか」
頷く私に、優一の手が伸びてきた。左の頬を触られる。優しい手。
あれ、私って振られたんじゃなかったっけ
「ごめん。混乱してる。どうして優一がここに来てくれるの? 私、振られたんだよね。それは憶えてる。どうして、優一が」
その時、ふわっと彼の体が覆いかぶさってきて、私はKissされた。
「ごめんな」
そう残して、彼は病室を出て行った。
To be continued