「大人になったな」
優一の言葉は、簡潔だった。
それを聞いて私は本当に嬉しくなった。
初めて優一を見た時、雑誌から抜け出したのかと思ったくらい、かっこよかった。一瞬で恋に落ちた。
でも優一は、いつも友だちに囲まれていて、私は近づくこともできなかった。
偶然。
ほんとに偶然、ハンズの文具コーナーで出くわした。
慌てた。
焦った。
それから二度惚れした。
レジ前で、お財布ひっくり返した私を、思い切り笑い飛ばしてくれたよね。多くの人が、何をやっているんだと責める視線を浴びせてくる中で、優一だけが私を守ってくれたように感じた。
「笑わせてくれたお礼をするよ、だったっけ」
「うん――」
レポート用紙やサインペンを山のように買いこんだ私に、そう云ったね。私は夢でも見てるんじゃなかろうかと、自分のほっぺをツネッて、それも又笑われたっけ。
地下の喫茶でアイスコーヒーを頼んで、いつもの3倍はゆっくり飲んだ。少しでも長く一緒にいたくて。
「可愛かったんだ」
そう云って、優一は私を見た。
「あんなに我が儘だって、噂があったのに?」
「我が儘かもしれないけれど、自分の気持ちに素直なだけだろ。こっちが、それを受け入れられれば問題ないと思ったから、だから付き合おうと思ったんだ」
私の気持ち、全然聞いてくれなかったもんね。
でも嬉しかった。今も、あの時の気持ちは忘れてない。
プロポーズしてくれた時も、本当に嬉しかった。涙が出ないくらい、嬉しかった。
「何だ、それ」
私の人生で、最高にラッキーだったのは優一と出逢えたこと。そして、今の自分が生きていること。
「もう逢わない」
優一の潤んでいた瞳から、涙が一筋流れた。
「うわっ、かっこ悪!」
そんなことないよ。こんな私のために泣いてくれるなんて、女冥利に尽きるもの。
「今まで本当に有難う。さよなら」
私は涙がこぼれる前に、優一の前から姿を消した。。。
To be continued
優一の言葉は、簡潔だった。
それを聞いて私は本当に嬉しくなった。
初めて優一を見た時、雑誌から抜け出したのかと思ったくらい、かっこよかった。一瞬で恋に落ちた。
でも優一は、いつも友だちに囲まれていて、私は近づくこともできなかった。
偶然。
ほんとに偶然、ハンズの文具コーナーで出くわした。
慌てた。
焦った。
それから二度惚れした。
レジ前で、お財布ひっくり返した私を、思い切り笑い飛ばしてくれたよね。多くの人が、何をやっているんだと責める視線を浴びせてくる中で、優一だけが私を守ってくれたように感じた。
「笑わせてくれたお礼をするよ、だったっけ」
「うん――」
レポート用紙やサインペンを山のように買いこんだ私に、そう云ったね。私は夢でも見てるんじゃなかろうかと、自分のほっぺをツネッて、それも又笑われたっけ。
地下の喫茶でアイスコーヒーを頼んで、いつもの3倍はゆっくり飲んだ。少しでも長く一緒にいたくて。
「可愛かったんだ」
そう云って、優一は私を見た。
「あんなに我が儘だって、噂があったのに?」
「我が儘かもしれないけれど、自分の気持ちに素直なだけだろ。こっちが、それを受け入れられれば問題ないと思ったから、だから付き合おうと思ったんだ」
私の気持ち、全然聞いてくれなかったもんね。
でも嬉しかった。今も、あの時の気持ちは忘れてない。
プロポーズしてくれた時も、本当に嬉しかった。涙が出ないくらい、嬉しかった。
「何だ、それ」
私の人生で、最高にラッキーだったのは優一と出逢えたこと。そして、今の自分が生きていること。
「もう逢わない」
優一の潤んでいた瞳から、涙が一筋流れた。
「うわっ、かっこ悪!」
そんなことないよ。こんな私のために泣いてくれるなんて、女冥利に尽きるもの。
「今まで本当に有難う。さよなら」
私は涙がこぼれる前に、優一の前から姿を消した。。。
To be continued