事件から二年、母が小さな瓶に入った香水を買ってきた。
私は、いつの頃からか自分の体から腐った臭いがするような気がしていた。
外に出られない。何処にも行けない。
高校は、卒業証書だけを母が取りに行った。
「美沙ちゃん。あなたを表現して作ってもらったの。気分のいい時につけてみたらいいわ」
そう言って瓶を差し出す。
性格的に前向きで、いつも明るい母。その明るさは本当に希望の光り。
蓋を外すと、特別に調合してもらったという優しい匂いが漂った。
「名前はね、美沙ってつけてくれるって」
驚いて顔を上げる。同じ名を持つこの香水に、私はその後の人生を救ってもらうことになる。
【終わり】
著作:紫草
私は、いつの頃からか自分の体から腐った臭いがするような気がしていた。
外に出られない。何処にも行けない。
高校は、卒業証書だけを母が取りに行った。
「美沙ちゃん。あなたを表現して作ってもらったの。気分のいい時につけてみたらいいわ」
そう言って瓶を差し出す。
性格的に前向きで、いつも明るい母。その明るさは本当に希望の光り。
蓋を外すと、特別に調合してもらったという優しい匂いが漂った。
「名前はね、美沙ってつけてくれるって」
驚いて顔を上げる。同じ名を持つこの香水に、私はその後の人生を救ってもらうことになる。
【終わり】
著作:紫草