閃光が瞳の奥を貫いた。
長年、漆黒の闇の世界に生きてきた。
物心ついた頃には瞳は光を失い、私はそれを不幸だと思ったことはなかった。
何も見ることがなければ、傷つくこともない。
ただ年頃になれば、視力がなくても人を好きにはなる。楽しい時を過ごしても、世界は暗闇に閉ざされた。
だから愛情を受けられるとは思っていない、私がいる。
巡り巡って私の瞳に光りが宿り明るい世界が取り戻されると知った時も、私は拒否をした。
汚い世界を見たくなかった。自分の浅ましい気持ちに気付きたくなかった。私を気遣う、みんなの説得が辛かった。
ただ一言。たった、ひと言。
『俺の顔、見たくない?』
私は、彼の顔を見たくって、まばゆい光りの只中に生きることを決めた――。
【終わり】
著作:紫草
【作品b】のHPを立ち上げました。
これまでの作品を全て移行してのスタートです。
時間が許しましたら、覗いてみて下さい。
本家サイト共々、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
紫草 拝
長年、漆黒の闇の世界に生きてきた。
物心ついた頃には瞳は光を失い、私はそれを不幸だと思ったことはなかった。
何も見ることがなければ、傷つくこともない。
ただ年頃になれば、視力がなくても人を好きにはなる。楽しい時を過ごしても、世界は暗闇に閉ざされた。
だから愛情を受けられるとは思っていない、私がいる。
巡り巡って私の瞳に光りが宿り明るい世界が取り戻されると知った時も、私は拒否をした。
汚い世界を見たくなかった。自分の浅ましい気持ちに気付きたくなかった。私を気遣う、みんなの説得が辛かった。
ただ一言。たった、ひと言。
『俺の顔、見たくない?』
私は、彼の顔を見たくって、まばゆい光りの只中に生きることを決めた――。
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