「あなたは…」
絶句する彼女の躯からは、あの日と同じ香りが漂っていた。
再び逃げ出そうとする彼女の腕を、思わず掴んだ。
悲鳴を上げられても無理はない。それをよく分かっていた心算だったのに、失敗した。
救護室で彼女を介抱していると、派遣の上司という人間が来た。
彼は複雑な事情を知らないようだ。
自分が介抱しているからと引き取ってもらい、意識の戻るのを待つ。
やがて彼女は目を覚ました。
「話をしたい。今は、それだけだ」
驚きすぎたのだと、後に彼女は語った。それでも確かに、彼女は頷いた。
【終わり】
著作:紫草
絶句する彼女の躯からは、あの日と同じ香りが漂っていた。
再び逃げ出そうとする彼女の腕を、思わず掴んだ。
悲鳴を上げられても無理はない。それをよく分かっていた心算だったのに、失敗した。
救護室で彼女を介抱していると、派遣の上司という人間が来た。
彼は複雑な事情を知らないようだ。
自分が介抱しているからと引き取ってもらい、意識の戻るのを待つ。
やがて彼女は目を覚ました。
「話をしたい。今は、それだけだ」
驚きすぎたのだと、後に彼女は語った。それでも確かに、彼女は頷いた。
【終わり】
著作:紫草