『君戀しやと、呟けど。。。』

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『残り香』

2008-06-11 14:01:04 | 作品b 【掌編】
 確かに、下心が全くないとは言わない。
 でも、そのあからさまに獣を見るような目で、俺を見るのは止めてくれ。
 少なくとも初めて会った女性を、いきなりホテルの部屋へ誘うような男じゃない。
 それとも何か。怒ってる、その化粧の下で俺の事、誘ってる?

「失礼ね。私は昔の知り合いに似ていると思って…見ただけよ」
 よくある口説き文句だな。
「本当よ。私はそいつに…」
 何だよ、言えよ――。

 その後、何も言わずにパーティ会場から去った女。
 彼女の残した甘い匂いが、やけに記憶の奥に残った。
                    【終わり】

                        著作:紫草

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