空見上げ、漆黒の闇に星を探す。彼奴の好きだった星。
あれは何て名前だったろう。
『たかが惑星だろ』
と言った俺に、ふくれっ面の彼奴の頬を思い出す。
朔。
何処かで彼奴もこの星を、見上げているのだろうか――。
芸能人なんて、くそくらえだ。
辞めたって構わない。
本気で思ったその思いを、何故、言葉にしなかったんだろう。
愚かとは、後悔する奴のことだ。つまり、俺…
二人で擁き合った、最後の夜。
珍しく彼奴から腕を絡ませた。そして黙って、ただ長い間、見つめ合っていた。
我慢できなくて、目を逸らしたのは俺。
あの時、どうして最後まで彼奴の顔を見ていなかったんだろう。
そうだ。
恥ずかしさに背けた顔を戻されて、キスされたっけ。
彼奴は何も言わない、いつも。
でも何か意味があったんだろうか。
今となっては、もう聞くこともできない。
姿を消した彼奴。
捜す術(すべ)を、俺はもたない――。
【終わり】
著作:紫草
あれは何て名前だったろう。
『たかが惑星だろ』
と言った俺に、ふくれっ面の彼奴の頬を思い出す。
朔。
何処かで彼奴もこの星を、見上げているのだろうか――。
芸能人なんて、くそくらえだ。
辞めたって構わない。
本気で思ったその思いを、何故、言葉にしなかったんだろう。
愚かとは、後悔する奴のことだ。つまり、俺…
二人で擁き合った、最後の夜。
珍しく彼奴から腕を絡ませた。そして黙って、ただ長い間、見つめ合っていた。
我慢できなくて、目を逸らしたのは俺。
あの時、どうして最後まで彼奴の顔を見ていなかったんだろう。
そうだ。
恥ずかしさに背けた顔を戻されて、キスされたっけ。
彼奴は何も言わない、いつも。
でも何か意味があったんだろうか。
今となっては、もう聞くこともできない。
姿を消した彼奴。
捜す術(すべ)を、俺はもたない――。
【終わり】
著作:紫草