『君戀しやと、呟けど。。。』

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『未練』の結末

2009-07-21 22:15:32 | 作品b 【掌編】
 独占欲には限りが無い。それは、はっきりと分かっていた。
 理穂を自由にはしてやれない。
 でも頭の何処かで、警鐘が鳴っていたのも事実だ。理穂も自分も駄目になる、と…

 離れていこうとした理穂を、婚姻という紙切れで縛りつけ、そして閉じ込めた。
 文字通り、自宅の地下に軟禁し誰の目にも触れさせることなく、そして独占した。
 理穂は最期まで、笑いかけてくれた。
 好きにしていいからと、笑ってた。

 何度も何度も、手離そうと思った。
 でも…、できなかった。自分は、すでに壊れていたから。
 理穂が死んで初めて、本当に彼奴を手に入れたと喜んだ自分が恐ろしかった――。
                        【終わり】

                            著作:紫草
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