天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

1/14 新春浅草歌舞伎 昼の部

2012年01月18日 | 歌舞伎
先週の土曜日(1/14)浅草公会堂の「新春浅草歌舞伎」昼の部を観に行ってきました。



毎年1月に公演があるのは知っていましたが、特に行きたいと思ったことがなくて行かなかったのですが、今年はなんと!
愛之助さん伊佐衛門、壱太郎さんの夕霧で吉田屋があるということで、これは絶対行かないと!って思いました。
ちょうど一年前に、藤十郎さんと扇雀さんので観たときに、10年後ぐらいに愛之助さんと壱太郎さんで見てみたいなあと思った(と記事にも書きました)ところでした。
こんなに早くに実現するなんて!思ってみるもんですね。

会場の浅草公会堂はほんとに浅草寺の近く、商店街?の真ん中にあって、どこかの巡業の会場になるようなこじんまりとした素朴な雰囲気の劇場でした。
でもちゃんと花道があって、これはすごいと思いました。
最後列と花道脇にパイプ椅子がずらずらっと並んでいました。いつも追加されているのかしら?

11時開演。

1.お年玉 年始ご挨拶 市川亀治郎(約5分間)

裃姿の亀治郎さん、中央にお一人座ってご挨拶。
今年6月に猿之助襲名を控えた亀治郎さん。
もう10年くらい浅草歌舞伎に出演されていたが、亀次郎としては最後になります。
若手にバトンタッチするみたいなお話。
そして、平均年齢もぐっと下がったけれど、竹三郎さんで上がってしまいました。と笑い。
年始の挨拶は獅童さん、勘太郎さん、七之助さん、亀治郎さんで始めたことだが、最初はしどろもどろで、おしまいには何をしゃべっているのかよくわからなくなったそう。
しかし、今年初めての後輩はとても上手いということでした。
そして昼の部の演目の説明。八犬伝ですが、昔角川の映画のお話とは全く違います。なんとなく最後に8人そろって終わりです。
廓文章は上方の所作事ですね。という解説。
おしまいは「ずずずいっと~」というご挨拶でしたが、ますます猿之助さんにそっくりやなあと思った次第です。


2.南総里見八犬伝 2幕

発端 富山山中の場

浅黄幕で花道から所化さん二人「きいたか、きいたか。」と登場。
伏姫がどうして、八房という犬と一緒に山の中にこもっているかという説明。
今年は辰年だから、鳴神かというお笑いもあり。

さて、山の中。伏姫(春猿)は愛犬八房の執念により懐妊している。
自害しようとしているところに、ぱーんと銃声が。
里見家家臣の金碗大輔(男女蔵)が八房を撃ったつもりが、伏姫にもあたってしまった。
彼から里見家没落を聞いた伏姫はお家再興のために自らのお腹を裂いた、すると八つの光る玉が飛び出した。

春猿さん、きれいでした。お姫さまですね。
しかしまあ金碗大輔、なんで自分で撃っといて、お家が没落なんていうのかしら。
そうしないと八犬士が誕生しませんけどね。
黄緑の蛍光色の玉をお二人後見さんが飛ばしてました。
犬はどうしても狐に見えて仕方なかったです。はは。

序幕 大塚村庄屋蟇六内の場

八犬士の犬塚信乃(歌昇)と犬川荘助(薪車)は里見家再興を願い八犬士を探しているが、信乃は庄屋に隠棲、荘助は信乃の下僕に身をやつしている。庄屋の養女の浜路(壱太郎)は信乃と恋仲。しかしすでに父から代官に嫁入りするよう言われているし、信乃は宝刀村雨丸を持って御家再興のために出仕しなければならない。その様子を伺っていた左母二郎(亀鶴)は浜路に横恋慕しているが、仕返しに信乃の村雨丸を偽物に摩り替える。そこへ、祝言の手はずを整えた蟇六(亀治郎)と女房亀篠(竹三郎)が帰ってくる。

信乃と荘助が話しているところに、浜路登場。「どうして、ここにあんた(荘助)がいるの。邪魔なんだけど。」の壱太郎さんの目が良かったなあ。ほんと、好き、すき、スキ、のお芝居がお上手です。

蟇六と女房亀篠コンビ、最高でした。
花道から登場されたんですが、七三で「あけましておめでとうございます。」のご挨拶。

代官との縁談が決まってうれしい二人。
言うことを聞かない浜路にこれで自害するぞ!ほれ、さあ、という場面は、ほんとコントでした。
さっきまでの、浄瑠璃の信乃と浜路のラブシーンが吹っ飛んでしまいました。
おじいさんの亀治郎さんは初めて観たかも。うまかった。本当意地の悪~い役がお上手。
あ、じいさんばあさん、見たいかも。

なんの前触れもなく登場の左母二郎の鶴亀さん、コントと化している舞台で一人歌舞伎をしているみたいで。
かっこいいんだけど、やってることただのやきもちでしょ。これまた笑えます。

もっとコントしてたのが、代官の宮六(男女蔵)。お化粧もコント。
信乃の存在を知ってから、持参金を返せのだんまり。
4人揃ってのEXILEのchuchuトレインのダンスとか、おしまいの長崎くんち?みたいな龍踊りも面白かった。何なんですか。一体。面白かったけど。


二幕 円塚山の場

円塚山に籠でやってきた左母二郎と浜路。浜路はすりかえられた(左母二郎がすりかえた)村雨丸を信乃に渡すために左母二郎にだまされていた。
不審に思った浜路。浜路に迫る左母二郎。抵抗する浜路は左母二郎を斬ろうとすると、逆にやられてしまう。とどめを刺そうとしたそのとき、火が燃え盛るあなから犬山道節(亀治郎)が。左母二郎を斬った道節。実は彼は浜路の実の兄だった。実の兄の腕のなかで浜路は息絶える。

左母二郎の亀鶴さん、悪いです。浜路の帯を持ってうりゃうりゃ逃げるなよ、って。
でも、さあて、とどめだあってところに、火の中から道節が。あっけなくやられてしまいました。
目の前で妹が斬られてるのに何してたの?って感じです。
そしていきなり、兄妹の名乗りでしょ。すごい展開ですわ。

さっきコントの亀治郎さん、今度はすごみのある道節。知らない方だったら同じ役者さんってわからないかも。

もっとすごいのが、いきなり八犬士登場。
お人形さんがずらっと並んでるみたいでした。
犬飼現八(愛之助)がちょっとだけ台詞が多いだけで、あとの方は名乗りだけ。
見得はかっこよかったなあ。

個人的に毛野の衣装が好きです。かわいい着物で片方の肩を脱いで帷子?みたいなアミアミの格好。
このお役の米吉さん、初めて見たかも。
大好きな巳之助さんは大角で、山伏みたいな格好でちょっと地味。残念。

主人公(だと思う)信乃の肩脱ぎ後の朱色に考の刺繍のお衣装が一番目にいきました。

本当に、亀治郎さんのご挨拶の通り、なんとなく8人そろっておしまいでした。
八犬伝というより、亀治郎さんと竹三郎さんのコントを見に来たみたいでした。

こんなに大笑いするお話でしたっけ?八犬伝ってって。面白かったです。


3.廓文章 吉田屋

本命も本命、大本命。
このためにわざわざ浅草まで観に来たのです!

伊佐衛門に愛之助さん、夕霧に壱太郎さん、喜左衛門に竹三郎さん、おきさに春猿さん。
好きな役者さんだらけ。すごすぎ。

遊女夕霧に入揚げて7百貫の借金を背負って勘当された、藤屋の若旦那伊左衛門。
夕霧が病に臥せっていると聞いて、居てもたってもいられず、吉田屋へやって来る。
すると他の客の相手をしているので、すねたり、こたつにふて寝したり。
伊左衛門と夕霧がごちゃごちゃしゃべっていると、勘当が解かれて夕霧の身請け金も
届いた。ああめでたいな。

シャッと揚幕があく音と同時に「松嶋屋ぁ。」と。
そして、編み笠かぶった伊佐衛門がとぼとぼと。なんか、「うぅん?」と思ってしまいました。何か違う感じがして。何かわからないのですが。

若い衆にほうきで殴られそうになって、喜左衛門が、あ、若旦那。
そして編み笠とったら、ひょお~、美しい愛之助さんがっ!

でも台詞をしゃべられると、ちょっと世之介ちっくだったかなあ。すみません。

さっきのコントのおばあちゃんと同じ役者さんとは思えない竹三郎さん。
伊佐衛門を憐れむ様子がやっぱりいいなあ。

春猿さんの眉なしお歯黒初めて見たかも。上方の女房、意外にしっくりはまっていてびっくり。
上方チームの中に不自然なくなじんでたというか(えらそーですみません)。
特に、「おほっほっほっ。」が良かった。「ちっともおかしあらへん。」の伊佐衛門のやり取りが面白かったです。

夕霧は別のお座敷にいると聞いて、ふすまを何枚もばたんばたん開ける件。
竹本さんが愛之助さんを見ながら、ちろちろちろりろ…っと三味線弾かれてました。
そのときの愛之助さんのお尻がかわいいなあと。どこ見てるんでしょうか、すみません。

ふすまから懐紙で顔を隠して夕霧登場。
伊佐衛門の編笠といい、どうしてこんなにもったいぶるかなぁ。

そして、懐紙を懐になおした瞬間、ひやぁあ!なんとまあっ!
お衣装や重たそうな頭にも負けてない、壱太郎さんの美しさ。
先月、「めりいくりすます」のアップリケの前掛けしてた丁稚さんと、同一人物とは思えません!
そりゃあ、若いから綺麗ってのはありますが、それだけじゃない美しさがありました。
見返り美人みたいな、身体をくねらせて内掛け見せる格好があるじゃないですか(何ていうのかわからない)、うわぁっ、うぁわ、どうしようって思いました。
あんな、目つきを見たのは初めてです。
懐紙を触るしぐさが、いい意味でいやらしくて。
壱太郎さん好きとしては本当、初役の夕霧を観れて幸せな気分です。

竹本さんで伊佐衛門が、常磐津さんで夕霧がそれぞれじゃらじゃらじゃらと踊って、んもおどないやねん、というところで、なんと!

黄緑色の着物を着た、吉太朗くん登場。
手紙を持って、夕霧や伊佐衛門に見せたり、遊んだり。二人が持った間に入って破いたかと思うと、ほっかむりしたり。唄の歌詞がわかればもっと面白かったんでしょうが。
いじいじして、煮え切らない二人の仲を、取り持ってほんとに太鼓持ちでした。

しかし、まあ、踊りの上手さ、間の取り方、なんですか!凄すぎ。
愛之助さんと壱太郎さんがなんかおかずになってましたよ。
いや、わざとそうした踊りなんでしょうけど。

恥ずかしながら、一昨年の永楽館から気になった役者さんなのですが、観るたびにすごくなってるような気がします。いや、なってるんでしょう。

なぜか、伊佐衛門の勘当が解かれて、藤屋から夕霧の身請けのお金が届いて、いや、めでたいな。なんですが、そのときの吉太朗くんも二人のほうに扇子をあおいでいてかわいかった。

伊佐衛門と夕霧が背中合わせになるところ、この世のものとは思えぬ美しさでした。

いつもは後見さんとか三味線さんとか、セットがどーの、衣装がどーのって細かいところが気になるのですが、今回はずっと、
「きれーやなあ、ああ、キレイ。」
おしまいのほうは「吉太朗くんええわあ。」
そればっかりでした。

今年、関西のどこかの劇場で再演希望です。
早く、もう一回観たいです。
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12/24 南座『吉例顔見世興行』夜の部

2011年12月25日 | 歌舞伎
昨日(12/24)南座顔見世夜の部に行ってきました。


昨年もそうでしたが、3時半前には着いたのですが、人、ひと、ヒト…。
3時半過ぎに昼の部のお客さんが出てこられて、もうしっちゃかめっちゃか。
3時50分に開場でした。
すぐ番附を購入。写真入でした。

1.楼門五三桐(さんもんごさんのきり)(16:15~16:30)

浅黄幕で大薩摩さんの演奏のあと振り落とし。
桜咲く、南禅寺の山門。舞台いっぱいの朱塗りと桜、山門の上で「絶景かな、絶景かな。」と煙草をふかす石川五右衛門(我當)。
ほんとに観てるこちらも絶景かな。

そこへ一羽の鷺が飛んできて、遺言が書かれた片袖を読んだ五右衛門。
自らの素性を知ったと同時に真柴秀吉の敵意をあらわに。
我當さん、かっこいいや。

そこへ真柴家臣の進之介さんと壱太郎さんが襲い掛かるも、軽々払いのける。
男っぽい壱太郎さん初めて。いや、ちゃんとした、きゃんきゃんしてない男の声初めてかも。
ひとことふたことでしたが、かっこよかったです。

すると、セリがずずずずずっと上がり、下には巡礼姿の真柴久吉(秀太郎)。
五右衛門がうりゃっと小柄?手裏剣?を投げると、持ってる柄杓で受け止める久吉。

じぃぃぃぃぃぃっと見据える二人。

そこで幕。

あっという間の15分でした。
続きが気になるところです。


2.実盛物語(16:45~18:10)

実は今回の一番の本命がこの演目。
一度観たことがありましたが、菊五郎さんで観てみたいと思っていました。
10月に「義賢最期」を観たばかりですので、それも含めてとても楽しみにしていました。

義賢の子を身ごもっている葵御前(孝太郎)は百姓九郎助に助けられ匿われている。
九郎助の娘小万(時蔵)は源氏の白旗を持って琵琶湖を泳いでいるところに、斉藤実盛(菊五郎)に腕を斬られる。
九郎助と小万の息子が葵御前のために鮒を捕ろうと漁にでると、網にかかったのは女の片腕。
その手にはなにやら白絹が硬く握られている。
それはなんと、源氏の白旗。
そこへ、詮議のために平家の侍、実盛と瀬尾十郎兼氏(左團次)がやってくる。

前回観たときも面白いと思ったのですが、その前のお話(「義賢最期」)を知らなかったので、時たま睡魔が襲ってきたりして。
しかし、今回はしっかり観てました。
あの壮絶な戦いを逃れてきた一行ですからね、幕が開いた途端、「よくみんな生き延びたねえ。」という気分でおりました。

それゆえ、小万の亡骸が出てくる場面では、「なんで腕斬り落としたの!」という葵御前や九郎助の気持ちと、「いやいや、白旗を守るためだから」という元は源氏の実盛の気持ちがよくわかりました。
そして、小万の亡骸に九郎助が「男勝りがあだになったなあ。」と言った台詞も確かにそうやなあ。と同情してしまったり。

しかしまあ、瀬尾の首切り場面は残酷ですね。
実の孫と一緒に自分の首を斬る瀬尾、その首は産後の葵御前の前に。
すごいなあ、この感覚。
まあ、斬られた腕を亡骸につなげたら一瞬生き返るってのもすごいですけど。

菊五郎さんのお声があまりにも良すぎて、聞きほれっぱなしの1時間半でした。
お声だけでなく、太郎吉を優しく見守る様子、葵御前がお産の最中には「つねつねするぞ。」という台詞や、そして最後の馬上での見得も貫禄と品とそして優しさもあって、素晴らしすぎます。
想像以上に大満足な一幕でございました。


3.元禄忠臣蔵 仙石屋敷(18:40~19:50)

赤穂四十七士が吉良邸に討ち入り、本懐を遂げた12月15日早朝。
泉岳寺へ引き上げる途中、公儀へ届けるため仙石伯耆守(三津五郎)の屋敷に訪れた吉田忠左衛門(團蔵)と富森助右衛門(男女蔵)。

その日の夜、大広間には幕府の上使もやってきて、内蔵助(仁左衛門)以下四十六名が討ち入り装束のまま伯耆守の詮議を受ける。(四十六名っていうのも芸が細かいなあと)

大広間にずらっと並んだ浪士たち。31,2人でした。
ずっとうつむいて、あぐらをくんで、時たま悲しそうにしたり、大変だろうなあ。
主税(壱太郎)は一人正座だもんなあ。
と睡魔に襲われながら考えておりました。

磯貝十郎左衛門の愛之助さん、久しぶりに二枚目な声の台詞が聞けてうれしかったです。

いやあ、三津五郎さん良かった。
意地悪な質問したけど、内蔵助を見送るときに「良い家来を大勢お持ちで。」という台詞がすべてを物語ってましたね。

それから、壱太郎さんも良かった。
15歳の元服したての初々しいお侍さんに見えました。
父上、父上とお慕い申す雰囲気が出てました。

仮名手本忠臣蔵と比べるとまさに写実的。
伯耆守が徒党を組んでのあだ討ちだとか、内匠守は法によって裁かれたのであって、討ち入りは誤りではなかったか。などの問いに反論する内蔵助。
伯耆守と内蔵助の質疑応答がほとんどを占めるお芝居なので、その二人を演じる役者さんの技量によって良し悪しが決まってくると思いました。

別の内蔵助さんで、また観てみたいと思いました。


4.六歌仙容彩 喜撰(ろっかせんすがたのいろどり きせん)(20:10~20:41)

一昨年に東京の歌舞伎座で六歌仙で観て、すごく楽しかったので、今回も楽しみにしていました。

舞台は桜まみれ。舞台奥には長唄さんたちが桜の肩衣でずらずらずら~、下手には清元さんが。

花道から桜の枝を持ったほろ酔い加減の喜撰法師(三津五郎)。

程なくして、茶汲み女のお梶(時蔵)を口説いたり、お梶は手ぬぐいを使って喜撰をあしらったり。

お梶が去るとわらわらわら~っと所化たち(團蔵、男女蔵、壱太郎、梅枝、萬太郎…)が。

お坊さんばかりですが、たくさんで踊られると華やかですね。

衣装がお坊さんなので、腰から下の動きが良く見えて、いやあ、大変やなあと思ってしまいました。

六歌仙のときはお梶さん一瞬でしたが、こんなに長く踊られてるんですね。
短い踊りかと思っていたら30分もあってうれしかったです。

三津五郎さんの踊りはやっぱりいいです。大好き。
また観たいです。


5.らくだ(20:56~21:41)

時刻も9時となり、やはり途中退場されるお客様もおられ、ちょっと空席が目立つ劇場内。

三津五郎さんの楽しい踊りでほくほく気分で続く滑稽話。

初代桂文枝口述を元に書かれた上方歌舞伎。
番附によると上方版は昭和40年以来のようです。
私が以前観たのは富十郎さんと勘九郎(現勘三郎)さんのなので、江戸版だったようです。
今年、南座新装開場20周年記念と銘打っての顔見世ですが、前回観たときは新装開場記念十月大歌舞伎だったんですよね。シミジミ。

大坂の貧乏長屋、ばあさんが念仏を唱える声がする。横たわっているのはらくだというあだ名の宇之助(亀鶴)。ふぐにあたって死んでしまった。
そこへ、一緒にふぐを食べたが大丈夫だった熊五郎(愛之助)が花を持ってやってくる。
やがて、紙屑屋の久六(翫雀)が通りかかる。
久六に近所や家主に香典や供物を集めさせようとするが、らくだは嫌われ者だったから無理だという。
そこで熊五郎は死人にかんかんのうを踊らせるといって脅かせと家主の家へ行かせる。
帰ってきた久六。かんかんのうが見てみたいと家主は言っていたと。
久六にらくだを背負わせて、家主の家に向かう熊五郎。
家主の家でらくだに舞やかんかんのうを踊らせ、酒と供え物をもらう。
丁稚が持ってきた酒を飲む二人だったが。

刺青もしたワルな愛之助さんでしたが、まるで一代男の世之介みたいでした。
翫雀さんもコミカルな演技はお手の物なんですが、あやしい大阪弁は頑張ってほしいです。

亀鶴さん全身まっ黄色でらくだ。よかったなあ。
ばたんと倒されたり、ひきずられた拍子に家主のおかみさんの裾つかんでるし。
家主の場は場内大爆笑でした。

しかし、もっと笑ってしまったのが、丁稚の壱太郎さんが登場の場面。
「めりいくりすます」の文字とサンタさんのアップリケの前掛けに、サンタのくまさんを頭に着けて登場〜。「今日は特別な日だからっておかみさんが作ってくれたんだ。」
そして、手ぬぐい投げまでありました。
女形の台詞を言ったり、「あ、季節はずれの雪。」と下座から「しゃんしゃんしゃんしゃん。」という音まで聞こえるし。大はしゃぎ。

翫雀さん「何だっか?あのけったいのは。親苦労しまっせ。」の台詞で大爆笑。
それから、持ってきたお酒にはディズニーシーのミニーが持ってるくまさん(サンタの格好をしてる)マスコットがついていました。怪訝そうに取る愛之助さんも面白かった。

そして愛之助さんも最後翫雀さんにサンタ帽被らされてかんかんのう踊らされて、幕でした。


今年の顔見世は昨年より1時間早く終わって、しかも滑稽話が最後で楽に観劇できました。
壱太郎さん、実盛以外ですべて出演。女形でない、さまざまな立役(?)が観れて良かったです。
まさかのクリスマス気分も味わえ、楽しい顔見世でした。
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11/5 『永楽館大歌舞伎』昼の部

2011年11月06日 | 歌舞伎
昨日(11/5)兵庫県豊岡市出石の永楽館大歌舞伎、昼の部に行ってきました。

昨年に引き続き、今年も行ってしまいました。
2週間前に新橋を見に行って、愛之助さんの義賢をたっぷり堪能した後なので
「行くの面倒くさいなあ。ちょっとやめようかなあ。」と思っておりましたが!

今年も同様、チラシの裏に書いてあった列車の通りに行きました。
行き:こうのとり1号→八鹿→バス→出石営業所
帰り:バス→八鹿→きのさき20号→福知山→こうのとり22号

大阪では曇っておりましたが、だんだん雨模様になってまいりました。

八鹿についたころにはもう雨が本降り。

出石のバス停からすぐさま永楽館に入りました。

入り口では靴袋だけでなく傘袋もくださいました。

今年も2000円のお弁当を予約してましたので、それを受け取ってから、
そのままずんずん場内へ入っていきました。

今年は一階平場中央♪
おお~!一階には畳が敷いてあるのねん♪
金丸座より一人のスペースがちょっと広そうな。
舞台も視界内にぴったり入る、近すぎず遠すぎず。なんとすばらしい。(もともとかぶりつきは苦手)
今年は座席で感動しまくりで開演を待ちました。


■□■


11時開演。

1.双蝶々曲輪日記 引窓 (くるわちょうちょうくるわにっき ひきまど)一幕

町人から武士(役人)に取り立てられた与兵衛の家では、母と女房が帰りを待っている。
そこに侍を二人殺してしまった関取濡髪長五郎が訪ねてくる。
実は与兵衛の母の先夫の子。殺してしまった事情を話さぬ間に、二階座敷へ案内される。
そこに、濡髪が敵という侍二人を連れて、与兵衛が帰ってくる。さあ、濡髪は…。

トノコの老け役の吉弥さんにびっくり。いつも白塗りで美人さんなのに。
壱太郎さんも眉毛なし、お歯黒の女房。これまたびっくり。
お互いを思いやってる姑嫁という感じがでてました。

花道からむしろで姿を隠した濡髪の錦之助さん登場。
七三で、ぱっとむしろを取ると、むちゃくちゃ男前の関取が
錦之助さんもしゅっとした二枚目役しかイメージになかったので、びっくり。
体を大きく見せるために、いろいろ着てはるんやろうなあとか、脚も腕も白いタイツ(?)をつけてはってお暑いやろうなあとか、そんなのが目に入ってしまいました。だって、近いんですもん。

濡髪が二階座敷へ…舞台狭いから二階に見えなかったですが…。
入った後、花道から二人の侍の當十郎さんと隼人さん登場。
當十郎さんって先月一心太助で鳥居側の武士でむちゃくちゃ嫌な役されてた方ですよね。
いつも声が悪役っぽくて嫌な声やなあ(いい意味ですよ)と思っていましたが、今回は悪役でなかったようで。
隼人さん、おおおおおお。美しい若侍って感じでした。どんどん成長してねんって。

そして、与兵衛の愛之助さん登場。
やっぱり七三でぐるっと回られました。
家に入るとつい、町人言葉でただいま、おっと今は武士だった、今帰ったぞ。
愛之助さんはやっぱりこんなアホな役が上手いなあ。感心してしまいました。

与兵衛の家は八幡、二人の侍はそれぞれ、橋本、樟葉へ探しに行くと言う。
京阪電車で行けばみたいな台詞でしたねえ。ああつまらないところで反応してしまいます。

しかしまあ、お母さんは濡髪を救うために与兵衛に人相書きを売ってくれ、と頼んだかと思うと、濡髪は捕まるというと、母と女房は私も死ぬといってみたり、そしたら人相変えなあかん、ほくろも剃らないとというところで、母は嫁にさせようとするし、でもやっぱり捕まりますお母さんという濡髪に母は濡髪を縛ったり。

母、濡髪、与兵衛の心情の移り変わりをものすごく感じ取ることができました。
前回は正直半分睡魔が襲ってきていて、話をちゃんと理解してなかったんです。
今回の役者さんのお芝居が素晴らしいのはいうまでもなく、この永楽館の独特の雰囲気でしょうね。

錦之助さんのドスのきいた台詞回しにぞくっと来て、眉毛なしお歯黒の壱太郎くんにドキっとして、二人の息子たちのために葛藤する吉弥さんにウルウルして、心優しい愛之助さんにほろっとした、そんな一幕でした。



幕間30分。

席でお弁当をいただきました。
畳の上だと食べやすいですね♪
今年はお腹いっぱいになってしまいました。




それから、お手洗いへ。

下手側に隣接されたお手洗い。数が少ないのでずらずらずら~。

お茶子さんが「次の口上は20分、その後20分幕間です。」という昨年同様の案内に「そしたら次にするわ。」と席に戻られるかた続出でした。

2.お目見得 口上

幕が開くと、

吉弥、隼人、愛之助、壱太郎、錦之助

の並び舞台に座られていました。

愛之助さん
今年で4回目となる永楽館大歌舞伎、今年は錦之助の兄さん、隼人さんが来てくださいました。皆さんありがとうございます。のようなお礼から始まって、1回目は秀太郎さんと車の中から出石を見て、誰も歩いていないから不安だったけどお練が始まるとどこからか人が集まってきたとか(昨年とかぶってるやん)、まだまだ公演があるからまた来てください(どうやって?)とか、出石のことについては昨年壱太郎さんがいろいろ回ってこられたからお話があるでしょう(笑)とか、次の茶壷は舞踊劇で初めて歌舞伎をご覧の方にも楽しんでいただけると思います。私は熊鷹太郎、悪のワルですね、私が悪いわけではありません。お役がですけど(と笑い)、今回のお役(与兵衛)は我當さんに手取り足取り教えてもらい、これからも何百回も演じていきたいとか、ベンチ席に座られていた豊岡市の市長さんに向かって「来年もお願いします。」なんて笑いを取られていました。

壱太郎さん
男の格好なのに、なぜか口元赤い紅。不思議な感じがしました。
昨年は吉野山ひとつの出番だったのでいろいろ回りました。皿そば、喫茶店、お饅頭、洋食屋さん、たくさんいいところがあります。となんだか観光親善大使みたいな台詞が続き、さて本題ですがと笑いを誘って、先ほどの引窓のお早は携帯のテキストメモにやりたいお役に保存しているほどのやりたいお役でとても嬉しかったとのこと。

錦之助さん
「なかむらきんのすけでございます~。」と挨拶されて(当たり前ですが)、なんだか不思議な気分がしました。
今回出たい出たいと愛之助さんにお願いしたら出させてもらえました。嬉しいというお話から、吉弥さんとは以前ラブシーンを演じたことがあって、稽古のときなかなかできなくて、ほかの方が「吉弥さん、いつも通りすればいいんだよ。」と言われるとすぐ上手くできました。と笑いを誘ったり、あそこに控えます隼人は実は私の息子で、母親の実家が鹿児島だから「薩摩隼人」から隼人と名づけたとか(へぇ~)、愛之助さんとは先代の仁左衛門さんと先代時蔵が親戚になりまして(明治大正ぐらいにつながっています)、西の片岡、東の小川は子沢山といわれておりました(へえ~)、愛之助さんにも良い伴侶を見つけていただいてですね(会場大爆笑。愛之助さん苦笑い)。と、むちゃくちゃ饒舌な方なんですね。いい意味でイメージ崩れました。

吉弥さん
錦之介さん、あとでラブシーンの練習しましょうね。と笑いを誘われてから、今回初めて老け役を勤めた。(場内「へぇ~。」という声。美男子さんだから初めての方は驚かれたようです。)引窓のお幸は先代吉弥の当たり役でこれからも大事にしていきたい。市長の中貝さんを「ナカガワ」さんと何度も間違え、愛之助さん、ほかの方たちに「ナカガイさん、ナカガイさん」と注意されていました。やっぱり吉弥さんは面白い。

隼人さん
私は高校三年、17歳です。(場内「へぇ~。」の声。知らない方多いんですねえ。)最近中間テストが終わったばかりなんです。前回は赤点を取ってしまったのですが、今回は赤点がありませんでした。(で、場内拍手。なんじゃそりゃ。)応援よろしくお願いします。とかわいいご挨拶でした。

愛之助さん
「長らくのご清聴ありがとうございました。」と今回もまた大笑い。
そして、かっこいい口上で締められました。

約20分間、口上という名のトークショー。
今年も、むちゃくちゃ楽しませていただきました。


幕間20分。


3.茶壷

私の大好きなジャンル、狂言からの舞踊劇。
中国地方に住む麻胡六はお茶好きの主人の命をうけて茶の名所京の栂尾に茶を仕入れに行ったが、その帰り摂津国昆陽野(こやの)で酒を飲み、酔っ払ってまどろんでいると、盗人の熊鷹太郎が茶壷を奪おうとする。
二人騒ぎになっていると目代がやってきてどちらの茶壷か詮議を始める。

花道から茶壷を背負ったへべれけな壱太郎さん登場。
お酒によってべろんべろんな間抜けな目つきがすごくいい。

また花道から、盗人の熊鷹太郎の愛之助さん登場。
むちゃくちゃ悪人のお化粧なんですが、どこか間抜けな感じ。
愛之助さんほんとアホな役上手いなあ。

茶壷を奪おう、奪われまいとする二人に目代の吉弥さん登場。
先ほどの老け役と違い、爽やかなハンサムさん。別人みたい。
目代はこんな仕事なんやでえ、と踊り。
酔っ払いの仲裁とかでひっぱたかれたりするそうだ。面白い。

詮議の件。自分は何者、お茶の銘柄、重さなどすらすら説明する麻胡六。
盗み聞きをして真似をする熊鷹太郎。

二人一緒に舞う件では、愛之助さんすごかったなあ。
音にあわせて舞う壱太郎さんにちょっとずつずれたり、同じ振りを続けたり、だんだんっって(なんていうんですかね?)鳴らすときは何拍かずれて、必ずひとつ多かったり。
よほど踊りが上手くないとできないでしょうね。つられて一緒に踊ってしまいそうですよね。

最後、お茶の重さを耳元で囁くという件では熊鷹太郎が目代に「上村吉弥は飲みすぎでござぁる。」と言って目代を怒らせていたなあ。面白い。

熊鷹太郎が茶壷を奪おうとすると、三人同じ振りに。
コサックダンスみたいに三人そろったときは圧巻だったなあ。

上手く熊鷹太郎が茶壷を奪い花道を掛けていく、それを追いかける麻胡六、舞台でへなへなっとする目代で幕でした。

終わっても拍手が鳴り止みません。
「本日の公演はこれにて終了いたしました。」のアナウンスが流れてもなおとまりません。
すると、カーテンコールがありました。
吉弥さんはすでに袴を取られていたので、ひざ下丈くらいのお着物すがたで恥ずかしそう。
愛之助さん、「ありがとうございました。」
壱太郎さん「暑い。」
吉弥さんもお礼をされて幕が閉じられました。
そのときお三人舞台に向かって手を振ってくださいました。

14時25分ごろ終演。

冒頭のように今年も、面倒くさいなあと思っていたのですが、やっぱり楽しかったです。

永楽館には魔物が潜んでいるようです。おそらく役者さん、裏方さん方々楽しい、楽しんでね感満載だからだと思います。
なかなか行きずらい所ですが、歌舞伎好きな方は一度は行ってみていただきたいです。
来年も開催されますように…。
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10/23新橋演舞場「芸術祭十月花形歌舞伎」昼の部 一心太助 第三幕

2011年10月29日 | 歌舞伎
第三幕 第一場 城中御座の場

御前会議が行われている城中。

彦三が一度咳払いするとと太助は「よきに計らえ~。」←言い方が面白い。
二度すると「その儀は改めて吟味するがよいぞぉ。」

この調子で続いていくが、件の信濃屋の件になると「だめだよ、だめっ!さし止め!」
甲斐守が「上様は何ゆえ魚河岸のことにのみ吟味とおおせられる。上様はいつから魚屋になられたのですか。魚屋太助であろう。」と食いつく。
「左腕に一心如鏡(いっしんかがみのごとし)の彫り物があるはずじゃぁ!」と彦三一同危機。
そのとき、御台所登場。
「わが夫の体を知らずとか。夜の勤めを怠っておるとな。」と甲斐守たちをやり過ごす。
「一同、大儀ぃ~。」の御台所の一声で御前会議終了。
一同礼をするなか、太助も礼をしてしまう。彦三がこれっと。(笑)

家光の命が危ないと、彦三と共に家に向かう太助。
七三で刀を抜いて見得を切ってました。かっこよかったなあ。なんか獅童さん、歌舞伎っぽい。


第二場 源兵衛長屋の場

大根を買って帰ってきたお仲が花道から登場。
亭主はどこだと聞かれたが、やり過ごす。

信濃屋救出しに向かったと聞き、追いかける。

甲斐守は家光を魚屋一心太助として斬れと配下に命じる。


第三場 千住あたりの道の場

護送される信濃屋を魚河岸の有志たちと救おうとする家光。

「飛んで火にいる夏の虫とはこのことだぁ~、みな、やっちまえ~。」と丹波屋。
おお~、時代劇だあ。いいですねぇ。この台詞。うれしくなりました♪

甲斐守一味もやってきて立ち回り。
獅童さんかっこいい。
又十と小文吾も素手て応戦。やっつけたあと、1,2,3,4、v(^^)(^^)vイエイ、とVサイン。かわいい猿三郎さん♪

お仲もやってきて大変大変。

尺八と鼓のテーマにのって、十兵衛が敵をやっつける。刀は合わせないし、ツケも入ったけど、ほぼ時代劇っぽい立ち回り。かっこよかった~拍手~。

家光姿の太助も刀を持ってぐるぐるぐるぐる…。

甲斐守をやっつけた家光。甲斐守は縛につく。

伊豆守登場。甲斐守たちの悪事を正す。

太助姿の家光。達者で暮らせと仲間たちに別れを告げる。
お仲をはじめ魚河岸仲間は太助だと思っているので呆然。

本物の太助が戻ってくる。

腕の刺青を見せる太助。
拭いても消えないのを確かめたお仲。
「きゃぁ~あんたぁっ!」と抱きつく。むちゃくちゃかわいい。

「あんな病気は(ちょん。萬屋!)まっぴらだあよお~。」

大拍手~。で幕が引かれました。


■□■

幕間なしの約2時間のお芝居でした。

場が変わるごとに暗くなって、裏方さん大変だったでしょう。

できれば途中10分ぐらい幕間があってもよかったかなあと思いますが、私はあっという間でした。
終始笑いっぱなし。

もう少し太助とお仲、又十さんたちの立ち回りと、甲斐守と豊野の関係を見たかったような気がします。
どうせならもう少し場面を増やして、幕間30分、10分ぐらいで、通し狂言にしてしまってもいいんじゃないでしょうか。

出演者の皆さん楽しんで演じられてるような気がしました。
亀治郎さん、猿弥さん、高麗蔵さんお役にぴったりでした。

特に主役の獅童さん、錦之介さんの代表作のひとつを演じられたわけなのでかなりのプレッシャーもおありだったと思いますが、やっぱり楽しそうに演じられてるようでした。
獅童さんの代表作にもなるんではと思います。

再演熱望です。でもお仲と彦三と御台所は変えないでほしいです。


今回は愛之助さん、右近さん、獅童さん、亀治郎さんとそれぞれ主役の演目あり、そしてそれぞれに脇で出演とファンとすれば全部楽しみな演目ばかりとなりました。

頑張って(?)東京まで観にいってよかったです。

是非こんなすばらしい公演を関西でもどんどん催していただきたいと思います。
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10/23新橋演舞場「芸術祭十月花形歌舞伎」昼の部 一心太助 第二幕

2011年10月29日 | 歌舞伎
第二幕 第一場 神田三河町源兵衛長屋太助の家

お仲たちが3日ぶりに彦三の屋敷から戻ってくるというので、家の前で待ちかねている。
悲しそうなお仲ちゃんかわいい。

彦三につれられた太助に化けた家光。

家光「太助の住まいはどこじゃ。」
彦三「あれでございます。」
家光「おぉ~、あの辺り一帯かぁ!」
どこまでも面白い家光。

待ちかねたお仲。「あんたぁ~。」と太助に抱きつく。かわいい。
太助「何者じゃっ。」
お仲「女房のお仲じゃないか。」
太助「お仲と申すか、世話になるぞ。」(笑)

困ったお仲ちゃんかわいい。

彦三に「大儀であった。」という太助。
皆に「殿様病」と言って、彦三は去って行く。

家に入った太助。ずずずずずっと通りぬけていこうとする。
「ここまでか!」場内大爆笑。

お仲にいつもどおりに接するようにいう喜内。
鰹を勧めるお仲。
「毒見をっ!」(笑)

そしてご飯をお茶碗に盛るお仲。
むちゃくちゃ山盛り。落ちたご飯つぶも拾って。場内大爆笑
ご飯を食べる家光「そのようにほかほかしたものかのお。」

そして天秤を持たそうとするお仲。
家光はへっぴり腰。がたん、ごとん、がたん、ごとん。
持てたかと思うと、首をひくひく。場内大爆笑。

心配そうなお仲ちゃん、本当かわいい。


第二場 城中将軍寝所

家光に化けた太助の様子を見に、城内寝所に来た彦三。
傍らには十兵衛が見張っている。

鼻歌を歌いながら戻ってきた太助。
彦三にお仲たちの様子を聞く。

首から方に掛けたびろびろ~んとしたのは何かとたずねる太助。
彦三「エリマキトカゲ。」場内大爆笑

布団がホカホカして気持ちいいと飛び跳ねる太助。

そうこうしていると、御台所がお見舞いに。
奥に隠れる彦三。

上着を脱いで布団まで迫る御台所。
困った太助、思わず「お仲~!」
奥から出てきた彦三。

ほんとに、高麗蔵さん上手い。まじめに面白い。

その晩、刺客が太助を襲う。
十兵衛が手際よく峰打ちでやっつける。
十兵衛のテーマ?っぽい尺八の音がまたかっこよかったですぅ。


第三場 神社境内

神社境内では甲斐守と豊野が密会。
将軍寝所に刺客を手引きしたのは豊野。

豊野と甲斐守は家光が替え玉と見抜いていた。

「事成就の暁には…。」
ちょっとラブラブな甲斐守と豊野。
豊野が迫っていくのを、ふんっと払いのけて去っていく甲斐守。

頑張って悪をやってはったなあ。愛之助さん。


第四場 魚河岸

又十と小文吾をつれて魚河岸に行く家光。

差配役の信濃屋が丹波屋の差し金で捕まろうとなる。
魚河岸は騒然。

そのときに家光は桶に殿様座り。
側に控える又十と小文吾。おもしろい。

思わず「待てい。」と役人に命じてしまう家光。

丹波屋と甲斐守が通じていると察する家光。奉行所に一緒に参ろうと提案。

「あっしはき○○○ではない。おろかはおろか~、あんぽんたん。家光はあんぽんたんではない。続け~。」

やっぱり、太助の家光がおもしろいなあ。
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10/23新橋演舞場「芸術祭十月花形歌舞伎」昼の部 一心太助 第一幕

2011年10月29日 | 歌舞伎
もう一週間前になってしまいましたが、一心太助 第一幕。
番附のあらすじと舞台写真、そしてひたすら書きなぐった感想メモ、自身の記憶を辿ってたどって…。
面白かったので長くなります

第一場 江戸日本橋

うすぐらい夜明け近くの日本橋。
威勢よく花道から魚屋さん登場。
一心太助の獅童さん。
七三で「一心太助でございます。本日は芸術祭十月花形歌舞伎ご来場賜りましてありがとうございます。篤いご声援をお願い奉り申しあげまする~。それでは皆さん、いってまいります。」とさわやか笑顔でご挨拶されてお芝居が始まりました。
もう、これだけでわくわくでした♪

すると、後から忘れ物だと、お仲(亀治郎)が追っかけて花道から登場。
手ぬぐいを太助にかけて「いい男だよお~。」「私だってさみしいんだよぉ。」
太助に惚れまくっているお仲。かわいい。
魚のかご(?)を担ごうとするお仲ちゃんもかわいい。
太助が「腰をいれるんだよぉっ。」仲がいい様子を仲間たちに冷やかされる。

鮨勝(薪車)が最新ニュースと。
アメリカのでっかい15万のハンバーガーの話。
太助「それが最新ニュースか。」(笑)

鮨勝「新橋演舞場で花形歌舞伎があるそうだぜ。イキのいい役者獅童が出てるそうだぜ。」
太助「中村獅童ってのが大嫌ぇなんだよ。女のケツばっかり追い回してよぉ。」(笑)

そして本編。うわさでは家光と忠長とでお家騒動があるらしいとの話。


第二場 魚河岸

魚屋さんがたくさん。男性の生脚がたくさん。
獅童さん、脚いいなあとついつい目が行ってしまうのでした。

太助が魚を仕入れようとするとどの魚も同じ値段。
丹波屋が魚河岸を乗っ取ろうとしているらしい。
太助がひと騒動しようとするところに、差配役の信濃屋五郎兵衛がその場を納める。

啖呵を切るところで一心鏡の如しの刺青見せるかなと思ってたのですが、なかったなあ。

でも魚屋さんがたくさん。威勢のいい元気な場でした。


第三場 江戸城中書院

江戸城中。老中松平伊豆守(我當)や酒井忠勝(友右衛門)、鳥居甲斐守(愛之助)らが詮議している。

甲斐守の裃の紋が鳥居。悪役やのにかわいい♪
愛之助さん一所懸命悪っぽくしてるけどなあ……。

家光(獅童)登場。

忠長の手紙を読んだ家光。家康公を見習って民百姓を厳しく取り締まれと。
世は世の道を行くと宣言する家光。

獅童さん、かっこいい。
なんかこっちのほうが歌舞伎っぽい。

大久保彦左衛門(猿弥)花道から天下の一大事と登場。
家光公を亡き者にしようとする者が城中におるとの噂が世間で広まっている一大事と馳せ参じたと。
どよめく一同。伊豆守が中断。

退場する老中たち。鳥居だけ「ふんっ」といかにも悔しそう。

彦左衛門と酒井、伊豆守が残る。
鳥居が何かたくらんでいるとにらむが、証拠がない。

彦左衛門は毎日の毒見で十分に食事ができない家光のために鮨勝の鮨を差し入れ。

彦左がひとくち。うらやましそうな家光。

そして家光が何個もぱくぱくぱくぱく…。

彦左が話している間もぱくぱく…。

食べている様子を覗き込む彦左。

彦左の目に家光がせりふを言ったとき(もごもごしていた)にご飯粒が目に入ったやらで、場内大爆笑。

御台所(高麗蔵)登場。
自ら作った料理を食べてほしいとのこと。
一口食べる家光。ものすごぉくまずそう。はたまた場内大爆笑。

そして側近が作った料理を食べさせようとして、侍女がお毒見。
するとそれには毒が入って、一同愕然。

高麗蔵さんいいですね。品があって、まじめに面白い台詞で場内を沸かせてくれます。


第四場 大久保彦左衛門屋敷居室・裏木戸

花道から用人喜内(右近)登場。
猿弥さんと右近さん、やっぱりバッチリ。息があってます。おもしろい。

喜内に呼ばれて寝ていた太助が呼ばれる。
彦左は天下の一大事と太助に家光の身代わりになるよう頼む。

家光を上手く城内からお連れしたと柳生十兵衛(門之助)登場。
眼帯もしてるし、かっこいい~。門之助さん、むっちゃ似合ってます。

そして弟の又十郎(猿三郎)と小文吾(笑三)も登場。
剣豪なのに魚屋さんの格好してます。

太助に化けた家光登場。
衿あわせがきちっとなって、太助の助の字が下前隠れてしまってます。
歩き方も武士歩き(?)面白い。

家光「言葉遣いも気をつけねば。」
又十「急にはご無理。太助には脳病を患ったということで。」(笑)
家光「何と呼ぶかのうぉ。」
又十「又さん、文さんと恐悦ながら。」
家光「又さん、文さん。参る。」←恥ずかしそうでかわいいい。
又十「このようなときは『おぉっ、又さん一緒に来い。』と。」←急に武家言葉から町人言葉になるから面白い。
家光「おぉっ、又さん一緒に来い。」またかわいい。

それを見た彦三は太助だと間違い。早くしろととバシバシたたく。
家光「じい、痛いぞ。」
彦三「その調子じゃ。」
家光「じい、世じゃ世じゃ。」
彦三「参る参る。」(大爆笑)

やがて、家光に化けた太助登場。
籠に入れられた太助。十兵衛の案内で江戸城へ。
お仲に別れを告げられないまま来たので、「あばよっ。お仲ぁ~っ」。と籠から叫んだ途端、十兵衛、ぱしんっと籠の戸を閉めてしまいます。(笑)

そして花道を行く籠。

彦三の猿弥さんと又十の猿三郎さん面白いと思った場でございました。
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10/23新橋演舞場「芸術祭十月花形歌舞伎」昼の部 義賢最期/京人形

2011年10月23日 | 歌舞伎
今日(10/23)新橋演舞場に初めて行ってきました。

1.義賢最期 一幕

昨年のこんぴら歌舞伎でかぶりつきで観た演目。
今回はとちりの真ん中でしたので、どんな感じなのか楽しみでした。

待宵姫の坂東新悟さん、初めて拝見。さわやかな感じのするお姫さんでした。
葵御前の春猿さん。春猿さんってどちらかというと待宵姫のイメージだったのですが、こんなお役をされるようになったんですね。
落ち着きのある奥方さんでしたね。たたずまいがそんな感じでした。そして義賢と一緒に残りたいけどわかりました、行きますの件はよかったなあ。
折平の獅童さん、義賢の白旗を前に源氏再興を誓う件が良かったです。

さて、主人公義賢の愛之助さん。
昨年こんぴらで拝見したよりさらに貫禄でていたような気がしました。
兄の義朝のどくろを踏め、踏まなかったら白旗あるだろの詮議の場が特にそんな気がしました。

後半の立ち回りにも凄みが増していました。
奥からぶわぁんと障子を蹴っ飛ばして血まみれの義賢。
戸板倒しはすごかったですね。
何度もいうようですが、前回は金丸座のかぶりつきだったので、何がなんだかわからなかったんですよ。
板に乗って上に上がるんですね。それで両端を板で支えられて、そして立って見得を切ってたんですね。ひゃ~。
なんか微妙にぷるぷるしてるのでひやひや。
そして支えている人が一人になって、「はっ!」というと、下手のほうにちょっと押されて、板が平行四辺形に。
でもその前に一瞬、長方形のまま止まってるんですよ。
そして、ばすんっ。
ひゃぁ、怖かったです。

クライマックスの進野次郎との相打ち(?)壮絶でした。
いつの間にか感情移入してしまっていました。
その時の小万の笑三郎さんになってたような気がします。
「義賢さまぁっ!」

もうひとつの仏倒れ。
これは前回のほうが迫力ありすぎたので、今回は階段から落ちはったなあという印象だったのですが、
落ちる前の、またもう死んじゃってるのに源氏の魂は生きていますという気迫がものすごく感じられました。そっちのほうが印象的でした。

やっぱり愛之助さんは歌舞伎役者やなあと、ごく当たり前のことを再認識したこの演目でした。


2.京人形

さて、待ってました。大好きな演目。
「右近、笑三郎、春猿、猿弥、笑也」という配役。
歌舞伎組ファンの私とすればすごくうれしい演目でした。

気分よく帰ってきた左甚五郎(右近)、女房のおとく(笑三郎)に仲居役をさせながらお酒を楽しむ。
なんかもう、このお二人しっぽり落ち着きます。似合いすぎ。うますぎ笑三郎さん。

そして、京人形の笑也さん。
かわいい、かわいい、かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーっ!
お人形さんなので、目線がうつろでまたかわいい。
お年52歳ですよ。奇跡です、この可憐さ。

右近さんとの踊りも息があってるような気がしました。
いや~、夢のようですね。このお二人で京人形なんて。うれしすぎ。
鏡を懐に入れると人間の女っぽくなって、取ると人形の男になってしまう。
見てる分にはものすごく楽しいですが、踊られている笑也さんは大変だろうなあと。
でも楽しいです。
かわいいかんざしが、おもだかでした。

そして、かくまってる井筒姫が春猿さん。
やっぱり赤姫。かわいい。ぴったり。

奴照平の猿也さん、イメージ通り。ぴったり~。

お二人が花道の七三で立ったとき「えんや、しゅんえんっ!」と掛け声が。
うぉ~、久しぶりに聞きました。
だって、全員おもだかやですもんね。

最期はなぜか姫を追う大工と立ち回り。
何回とんぼきってらしたかしらん。
とんかちとか、カンナとか、大工道具をあれこれ使った、これまた楽しい立ち回り。
おしまいは人の上に右近さんが乗っかって、かっこよく決まって幕。

あっという間でした。
また観たい。同じ配役で再演希望です。
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10/8 南座『十月大歌舞伎』昼の部

2011年10月08日 | 歌舞伎
今日(10/8)、南座『十月大歌舞伎』昼の部に行ってきました。



上手側でしたが、前から2列目。たっぷり堪能できました。

出演者か、演目だからかわかりませんが、観客のみなさん、いつもよりさらに平均年齢高めでした。

1.矢の根(11:00~11:30)

上手には「歌舞伎十八番矢の根」下手には「中村橋之助曽我五郎時致相勤めし候」とありました。
大薩摩の語りでした。後見さんとともに三升の肩衣でした。

背後には朱色の太い紐で淡路結びがもうちょっと増えたような結びに、2本垂れ下がった紐にバッテン結びが三つあって、その間に刀が三振かけてあったのが気になってしまいました。

身長くらいある大きな矢の根を研ぐ五郎(橋之助)。文太夫(男女蔵)が正月の祝いを持ってくる。
その中に宝船を描いた絵が。砥石を枕に一眠り。すると兄の十郎(翫雀)が敵に幽閉されているから助けてくれという夢を見る。助けようと思い立つと、そこへ大根をのせた馬士(亀鶴)が通りかかる。馬を奪って助けに向かう五郎。

橋之助さんかっこいいなあ。道具が大きいから荒事の主人公がお似合い。隈も映えます。
柱巻きの見得はやっぱりかわいいなあ。元禄見得はかっこいい。

いつもながら後見さんすごかった。むちゃくちゃ太いタスキ(?)みたいなのを解いたり結んだり。一眠りするときは五郎を支えたり。

祝いの品を持ってきた男女蔵さん、すべて大薩摩さんの語りで声が聞けず…。

馬士の亀鶴さんいいなあ。かっこいいのにコミカルな演技がほんとお上手。

最後の馬を奪って、大根落として、大根を鞭代わりに馬に乗って花道の引っ込みは大迫力。
揚幕近くでは頭を下げてましたが、あんな大きなお衣装で大変でしょうねえ。

橋之助さんのかっこよさをたっぷり堪能できた一幕でした。



2.墨染念仏聖 法然上人譚(すみぞめのねんぶつひじり ほうねんしょうにんものがたり)

法然上人(藤十郎)が亡くなって1年がたとうとしている。弟子の源智上人(翫雀)は阿弥陀如来を建立。
亡き師の面影を偲んでいた。
法然の教えに救われた熊谷次郎(橋之助)や式子内親王(壱太郎)。捕らえられようとする法然を助けようと奔走する九条兼実(亀鶴)も彼の教えのすばらしさを知った一人。
法然のすばらしさを表現した新作歌舞伎。

幕が開くや否や場内お経を使った音楽が。そして舞台は黒い幕で覆われ、太い柱が6本、その周りに蓮をかたちどった明かりを持つお坊さんが12人、中央には金の阿弥陀如来像が釣り下がっていました。
基本、そのセットで物語は進行していきました。

熊谷次郎の橋之助さん、すでに出家している僧になっていましたが、義太夫(?)風の唄にのって踊られていました。わが子を討った苦しみがよく表現されているようでした。

式子内親王の壱太郎さん、髪を下ろした、女房の姿(←十二単じゃないお公家さんの格好。呼び方がわからない)は初めて見ました。
んもう、かわいくて、色っぽくて。美しい。法然さまお慕い申しております。の気持ちを長唄風(?)の唄にのせて踊りで表現されていました。よかった~(ため息)。

最後に出てこられた兼実の亀鶴さんもかっこよかったです。僧じゃなくて、鎌倉時代のお公家さんのお姿(?)がお似合いでした。お声もいいし、ほれぼれ。

最後はせりが階段状にあがって、真ん中に法然、その横にその他の登場人物たちが数珠を持って手を合わせていました。
キラキラの紙吹雪が舞って幕が引かれました。

セットは真っ暗で、時おりドライアイスがもくもく、青や紫、ピンク系のライトで、あとは6本の太い可動式の柱を僧たちがゴロゴロと運ぶだけ。
自然と役者さんに注目がいきますし、それに役者さんの表現力だけに頼った演出で力量が問われる一幕だったと思いますが、法然上人の藤十郎さんをはじめ、みなさん素晴らしかったです。

ただ、お経がモチーフの音楽だったので、まぶたが重くなって大変でした。


3.連獅子

たぶん、本当の親子、親類での連獅子は初めてだったような気がします。たぶん。
翫雀さんと壱太郎さん、大好きな親子での連獅子。楽しみでした。

やはり注目は壱太郎さんの仔獅子でした。前髪がかわいい。
でも、顔よりも腰と脚ばっかり見てしまいました。

獅子の精になってからも、かわいい。目が大きくてかわいい。

最後の気振りは早かった。翫雀さん、以前見たときもものすごく早かったんですが、それ以上に壱太郎さん早かった。
ちょっとからんでしまいましたが、お愛嬌ですね。

2列目でしたので、蝶の差し金の音が聞こえてきて、新鮮でした。
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7/16松竹座『七月大歌舞伎』夜の部

2011年07月18日 | 歌舞伎
一昨日(7/16)松竹座『七月大歌舞伎』夜の部にいってきました。
今回はとちりよりも前の真ん中の席でたっぷり堪能してきました。

1.菅原伝授手習鑑 車引(16:30~17:00)

松王丸に進之介さん、梅王丸に愛之助さん、桜丸に孝太郎さん、時平に我當さんと松嶋屋従弟スペシャル
なんてったって進之介さんが舞台中央に来るお役って初めてじゃないですか?台詞もたくさん聞けるかと思うと、いや~楽しみで楽しみで。

吉田神社の近く、編み笠をかぶった梅王丸と桜丸。お互いの近況を語り合う。
桜丸が梅王丸の手をとって、おいおいおいおいと泣き出したり。
早く編み笠とってくれい。と思ってしまいました。

仇の時平が参詣にやってくると聞くと、義太夫に乗って編み笠を取ると…。
筋がいっぱいの隈の愛之助さん、想像以上に迫力満点。
桜丸の孝太郎さん、おや?なんかお顔が真っ白のような…。
あとからわかったのですが、上方では隈はとらないそうです。
男っぽい孝太郎さんも初めて見ましたが、かっこいいですね。

しょーもないことなんですが、舞台は平安時代なのにどうして太刀の反りが上向きなんでしょうね。
気になって仕方なかったです。

七三で見得を切ったあと、飛び六方で花道をひっこむ愛之助さん。
うゎん、かっこいい

場面が変わって吉田神社。舞台中央には牛車が。
梅王丸と桜丸、行列に割り込もうとすると、杉王丸が登場。
最近お気に入りの巳之助さん。思いっきり拍手をしようとすると、誰もされないんです
しかし勢いが止められず、「ぱちっ。」とやってしまいました。
ひとしきり台詞が終わったあと、ずっと右腕をあげたままじーーーーーーーーーっと。大変そう。

そしてお待ちかねの松王丸、進之助さん登場。
ものすごーーーーく目つきが悪くて、お口もひん曲がって、悪そうな様相。
むっちゃ大きな声で台詞を言ってられて、おおお、こんなお声だったのかと。
見得も初めて見ました。男前さんだからサマになってて、おおおおお。
いろんな意味で釘付けでした。

肩脱ぎもいいですね。松、梅、桜の大きな刺繍の襦袢が綺麗です。
孝太郎さんが、肩脱ぎ前に手をぱんっとたたかれたんですが、その時に白粉がぱふっと飛んでました。
それから、桜丸の襦袢が桃色?(番附で確認すると鴇色)で、これも上方だから?とか思ったり。

時平公の我當さんもすごい存在感でした。
真っ赤な舌をだして、妖術?で梅王丸、桜丸をこてんぱんにやっつける件はかっこいい。

愛之助さんのぐごごごご、ぐゎあ、ごごご。っていうのもかっこいい。
目が落ちませんか?というぐらいいろんな見得を切ってられてもう、最高。

最後の絵面もたまりませんね。
梅王丸のあの体勢はすごく体力いりそうでした。
体は舞台のほうでねじって上手を向いて、顔は舞台の方を向いていて。

松嶋屋従弟スペシャル。次回はあるのでしょうか?
楽しかったです。


2.伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)(17:25~20:15 幕間30分)

前半は騙し取られた名刀の折紙(おりかみ 鑑定書)を取り返すため、一味を追いかける奴・林平(愛之助)がみどころで、後半は廓の油屋で騙された上、汚名を着せられた福岡貢(仁左衛門)の殺しの場面がみどころ。

序幕第一場 伊勢街道相の山の場

つっころばしの秀太郎さん初めて見ました。すごくぴったり。上手い方は何をやっても上手いんですね。
花道から駕籠に乗って登場の梅枝さん、一瞬、春猿さんかと思いました。
見る度に色っぽくなっていかれているような。びっくりしました。

序幕第二場 妙見町宿屋の場

福岡貢(仁左衛門)と藤浪左膳(我當)、万次郎(秀太郎)に奴・林平(愛之助)が同じ舞台に。
ひゃ~、松嶋屋三兄弟スペシャル。松嶋屋ご贔屓さんならたまりませんね。
我當さん、脚がお悪いんですね。正座ができないらしく、ひざまずいてらっしゃいました。

序幕第三場 野道追駆けの場
序幕代四場 野原地蔵前の場

実に楽しい二場でした。密書を持って逃げる大蔵と丈四郎を追う林平。客席に降りてこられて追いかけっこ。
愛之助さん、お客さんに「どちらへ逃げたか?」と聞かれたり。
ふと後ろを見たら、大蔵か丈四郎が席に座ってるんですよ、それを見つけた林平が「こら~出て来い。」とひっ捕まえるのが、間近で見れて嬉しかったです
肉襦袢?肌色のタイツ?が汗で色が変わっていました。大熱演でした。

大蔵と丈四郎は井戸に隠れたり、お地蔵さんに化けたり。その化けたお地蔵さんを拝む林平だったり。
爆笑コントでしたねえ。

序幕第五場 二見ヶ浦の場

背景には二見ヶ浦が。
暗い夜道を貢が行灯を持って万次郎と歩いていると、密書を持った大蔵と丈四郎がぶつかって、さっきのはあの一味やった。と万次郎。それを早くいいなさいよと貢のやり取りが笑いを誘ってました。

追い駆けてる林平がやってきて、そこでだんまり。
仁左衛門さんかっこいいし、愛之助さんも気になるし、どちらを見ればよいのやら。困ってしまいました。

二幕目第一場 古市油屋店先の場

なぜか刀は手に入っていて、後は折紙だけという福岡貢。
万次郎を探して油屋に毎日通っている。

さっきまで、つっころばしの万次郎だった秀太郎さんが、意地の悪い万野の二役で出演されていました。
封印切の八右衛門みたいな、ひたすら大勢の人の前で恥をかかせる憎たらしい仲居でした。
関西弁なので、よけい意地悪さがでるんでしょうね。

貢が恥をかかされてぐぐぐぐってなって、羽織をつかむ件はかっこよかったです。
よくこの演目紹介で写真が載ってる場面ですね。

その脱いだ羽織をたたんで、貢が出て行くときに着せてあげるお岸の梅枝さん、色っぽかった。

お紺の時蔵さんの愛想尽かしも、くゎぁ~んと胡弓の音色に合ってよかったですね。

またしょーもないことなんですが、お岸とお紺の肌襦袢の衿が右側だけ折り曲がって、立っていたのですがあれはなんでしょうか?気になるなあ。

その間、ずーーーっと座ったままの大勢の仲居さん、しんどくないかなあ。
亀蔵さんだけ「俺は眠る」なんて言って、枕で横になってましたが、楽そうやなあって思ってしまいました。

二幕目第二場 油屋奥庭の場

奥座敷で伊勢音頭を踊る踊り子たち。障子の窓をバリーんと破って血まみれの福岡貢。
「ひとごろしぃ~」と逃げ惑う若い者たちを、斬っていく。
七三での若い者の手が貢の頬に触れて血の線が3本。

一息つこうとした貢の元へ折紙を持ったお紺が現れ、折紙があっても刀が偽物、腹を切るというところに喜助(三津五郎)が、お持ちの刀は本物です。と行灯を貢のところへ。
ああ、本物だ。良かった良かった。チョン。

てっきり、お紺の前で切腹して、そして喜助が「貢さん、この刀は本物やったんですよ。」って、言っておしまいかと思ってました。

着物血まみれ、頬には血がある貢さん。お紺、喜助も喜びの顔で幕。
なんともかんとも、ものすごく強引な展開ですね。いつもの通りですが。
さっきの惨劇はなんやったんって思いました。

本とかによると、油屋と奥庭が中心に演じられることが多いとか。
相の山の場とかのおかげでわかりやすかったですし、途中幕間30分だけであとは暗くなってのすばやい場面転換で、ダラダラせず楽しめました。

松嶋屋たっぷり堪能な夜でした。
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5/14 松竹座「團菊祭五月大歌舞伎」夜の部

2011年05月15日 | 歌舞伎
昨日(5/14)松竹座「團菊祭五月大歌舞伎」夜の部に行ってきました。



今回は今まで観てきていちばん後ろの席。
チケットとってから「うわぁ~最悪や~。せっかく菊之助さんの鏡獅子やのに」なんて劇場に行く前まで、ほんとブルーでございました。

しかしながら、そうではございませんでした。

■□■

1.蘭平物狂(らんぺいものぐるい)(16:00~17:30)

在原行平に仕える奴の蘭平だが、実は父の仇として行平の命を狙っている。
それが、もともと行平にはばれているは、見方だと思っていた実の兄まで敵で、実の息子に捕まえられようとする、どうする蘭平?というお話。

初めて観る松緑さん主演の演目。
実は、そんなに楽しみじゃなかったんです。
ただお目目と声が大きいだけの役者さんやなあ…と。
これまの感想もそんなのだったと思います。
が、しかしですね、いや、それがそれが。

第一場 在原行平館の場

須磨で別れた松風が忘れられない行平(翫雀)。奥方の水無瀬御前(梅枝)は蘭平(松緑)に松風に瓜二つのおりく(菊之助)を引き合わせる。

梅枝さん、綺麗でした。
松緑さんは奴姿で、黒のお着物に金の刺繍がしてあって「蘭」の紋があるんです。かわいい。
花道からの出はびっくりしました。やっぱり「目が大きい」って。

また、花道から登場の頬かむりをした菊之助さん、横顔が綺麗でした。
赤いお着物でまあ、これがまたかわいいのです。
行平から何を聞かれても「はいはい、左様左様。」もかわいい。

曲者退治を命じられた蘭平の息子繁蔵(吉太朗)いや私が行きます、いや私が行きます。
吉太朗くん、紫の着物に金の刺繍で「繁」の紋、かわいい。
所作もいいし、いやあ、セリフもいいし、先月の鑑賞教室で上手さは認識してましたが、いや、いいですねえ。
さて、捕まえて参りますの花道の引っ込みでは、私、思わず手を振ってしまいそうでした。
かわいくて。子役さんをかわいいと思ったのはこの方初めてですよ。

行平の声に耳を貸さず、不忠者として成敗されようとしたら、奇病で踊りだす件、松緑さんの踊りの上手さにもうメロメロでした。
安定した下半身としなやかな上半身と手の動き。そして力強さ。たまりません。
踊りは初めて観たのですが、いや~、びっくりしました。
いつまでも観ていたかったです。
早速そこから松緑さんに対する見方が変わっていきました。

おりくの主人の与茂作が行平に襲い掛かって、蘭平が成敗しようとすると兄弟だということがわかって一緒に行平を倒そうというところで、場面転換。

第二場 在原行平館奥庭の場

幕が開くといきなり捕り手に囲まれている蘭平。顔にも血がついていてもうやられそう。
大体17時くらいから20分くらい、大勢の捕り手さんたちとの大立ち回り。
やっつけてもやっつけても捕り手がやって来る。
梯子で囲まれたり、トンボも何回切ってらしたことか。

下馬の見得とかかっこよかった~

花道に来てぶっかえりもありました。薄い水色に孔雀の羽の刺繍がかっこよかったです。
そのとき、「はぁ~、はぁ」されてました。

そして、捕り手さんたちが10人くらいどたどたどたどた~っと花道に走ってこられて私びっくりしました。
そしてその時の風がもわぁ~んと。私の前髪が動いたかも。
昨年のこんぴらのかぶりつき観劇を思い出しました。
そしたら大きな梯子が出てきて、上には捕り手さんが一人出初式みたいな逆さ向いて脚広げてらっしゃるし、松緑さんはそのいちばん高いところで見得を切って、なんとまあ、かっこいいこと。
ほれぼれ

あとは、舞台で梯子の上に座った松緑さん、ああ、これは良くあるなあと思っていたらぐるんと一回転。お尻が~。
重い衣装やカツラをつけて、逆さにされても落ちないなんて、どんな脚力されてるのかしらと思いました。

大立ち回りはまだまだあって、今度は舞台上手にある井戸。
蘭平が水をくんで頭の傷を冷やしているところに捕り手が下から上から。
屋根の上に上った蘭平が2人の捕り手をやっつけて(捕り手さん屋根から腕だけで下りられるんです、
また見得。

「繁蔵~、しげぞぉ~っ」とわが子をさがす蘭平。

ああ、やっとおしまいか。お疲れ様だなあと思ったら、まだまだ続くよ立ち回り、でした。

今度は踊りを踊ってるみたいにスピードアップした殺陣でした。
ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほっ、ほ…って。

1年分の立ち回りを見た感じがしました。
むちゃくちゃ疲れてしまいました。

しかし松緑さんも大変だと思いますが、ツケウチさんが大変でしょうね。
適当に打てばいいわけじゃないですから。合ってないと台無しですもんね。
こんなにツケウチを聞いたのは初めてかもです。

大詰めは実はみんな裏切り者だった、4人が登場。
おりく(菊之助)は地味な奥方の着物に変わっていました。
それはそれで色っぽい
そしたら蘭平さん以外、合引にお座りに。
話に関係なく、うわぁ、蘭平さんにも座らせてあげてよぉって思ってしまいました。

そしたら、行平の呼び出しに繁蔵がまた花道から登場。
こんどはお顔に勇ましい隈取が。ものすごくかわいい
父親の蘭平に縄を掛けようとすると「ぐわぁ~」とされて怖気づく繁蔵。
どうやっても実の父親に縄は掛けられない。
この親子の件は良かったです。松緑さんの表情が良かった。
お父さんしてらした。

結末は、蘭平が捕まるのかと思いきや、隠し持っていた朝廷の重刀をそっと繁蔵に手渡し、手柄にさせようとすると、行平が許してしまう。しかも伴の再興もいいと。
で、結局どうなるんだという。

話はどうでも良くて、踊りと大立ち回りが見所の演目ってことでしょうか。

とにかく、今回この演目で松緑さんも好きな役者さんになっちゃいました。
思い込みは良くないですね。
やっぱりお家芸を見てから判断しようと思います。


2.弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)(18:00~19:10)

「わが心の歌舞伎座」で菊五郎さんの「しらざぁいってきかせやしょぉ」を観てから一度は観ておかねば、と思ったら今回の團菊祭に。
嬉しいったらありゃしない。

第一場 浜松屋見世先の場

花道から女形の菊五郎さんと、お供の左團次さん。
すみません、菊五郎さんのあまりの迫力に私びっくりしました。ひゃぁ~。

七三で「いやぁ、恥ずかしいわいなぁ」って菊五郎さん。
女形初見でしたので、なんとまあ、かわいいお声なんでしょう。

店に入ってから、いろいろ品を選ぶ仕草もむちゃくちゃかわいい。
10代の娘さんになってました。すごいなあ。

やっぱり、すぐにそろばんでたたかれて、男に変身中。
何回観ても思うのですが、もう少し女の時間が長くしてもらいたいもんです。

賠償金がどうのこうのの時に後ろの障子から團十郎さんが覗いています。
多分、10数センチしか開いていないと思うのですが、目ヂカラがすごいので存在感抜群でした。

100両もらって帰ろうとすると、覗いていた團十郎さんが、男だろということで「ばれちゃぁしかたがねえ」と菊五郎さん。
その前の、かんざしがぼてっと落ちるときの緊張感がなんともいえませんね。
客席もしーーーーーーーーんってなりますもんね。
女と男のメリハリがありましたね。さっきはすごくかわいらしかったのに
今度はちゃきちゃきの男前さん。菊五郎さん、すごい、すごい、すごい。

「しらざぁ言ってきかせやしょぉ~」
「待ってました!」「七代目!」とかの大向こうさんの掛け声がまたいいですね。
やっぱり、菊五郎さん。声に惚れ惚れ、何回惚れ直していますかねえ。好きですね、お声が。
かっこいいとか、そういう言葉では言い表せませんね。すごいですわ。

左團次さんが名乗ってる間の簪でキセル掃除してたり、手持ちぶたさな様子も絶品でございました。

薬代を手にして、花道から引っ込むとき、菊五郎さんは何か唄ってらっしゃいました。
一瞬、下座から聞こえてくるのかと思いきや、菊五郎さんでした。
声がいいから、ほんと最高。
坊主が来たら荷物取替えのやりとりも想像以上で。

今回初めて、揚幕寸前までの役者さんのお芝居を間近で観ることができました。
菊五郎さんの「一杯やろぉぜぇ。」みたいなセリフだったのですが、ほんと今から楽しく呑もうという表情で。
多分、私と、あともう後ろの席の方で3人ぐらいしか見えないはずなのですが、お芝居されてるんですよね。
当たり前と言えばそれまでなんですが、やっぱり揚幕まできちんとお芝居されてるんですね。
勉強になりました。

第二場 稲瀬川勢揃いの場

さて、浅葱幕の振り落としで桜満開の稲瀬川。
五人男の登場を揚幕をじいいいいいいいいっと見て楽しみにまっていたら…

ばさっ!

私の方向に向かっていきなり揚幕から「志ら浪」の傘が開きながら出てくるではないですか。

一瞬びくんとして、「あぁ~びっくりしたあ。」と声を出してしまいました。
ああして出てこられてたんですね。知りませんでした。
今まで、揚幕のちゃりんという音か、下駄のカツカツカツという音で花道のほうを見てましたから。

それが×5回。はい、とか何か言ってくださらないと、びっくりするではないですか。って私だけですが。

颯爽と出てこられる五人男さんたち。素敵すぎ。

何気に腰でゆれる煙草入れがおしゃれ~。
大きな根付が力強さいっぱい。

五人揃って、舞台側を向かれたときの横から見た光景は、思わず写真を撮りたくなるほどのかっこよさ。
正面から見るのもいいですが、五人の横顔もいいですね~。

そして待ってましたツラネ。
團十郎さん、菊五郎さんはもとより、権十郎さんもいいお声でした。
時蔵さんも色っぽいし、左團次さんもかっこいい。

揚幕から漂ってきた、番傘の油っぽい匂いがいちばん印象的でした。


3.春興鏡獅子(19:30~20:30)

おそらく今回観に来られたお客様はこの演目が目的だったのではないでしょうか。
菊之助さんの鏡獅子。
かくいう私もそうでした。

舞台一面に牡丹の絵、上には蝶の絵が。
舞台正面にずらっと、長唄さんたちが。肩衣には三升紋。なんでかなあ。

江戸城の鏡曳きが行われ、その余興に小姓の弥生に踊りを披露させることとなり、老女や局、用人たちが楽しみだと話している。
しばらくして老女と局に手を引かれて出てくる弥生。しかし恥ずかしくて出て行ってしまう。
また引っ張り出されて、襖を閉められた弥生。一礼のあと、舞を披露する。

藤色のお着物に金色の帯。帯には蝶の模様が。なんとも綺麗というか、かわいらしいというか。
手踊りのあと、帯にはさんだ袱紗を持った踊り、扇を持った踊り。
そして二枚扇の踊り。重ねてぐるぐる回したり、ひとつを後ろの後見さんにひょいとなげて、
後見さんは見事キャッチ。すごいですね。

最近、歌詞が少しだけ聞き取れるようになってきて、それにあわせて踊ってはるんやなあというのがほんの少しだけわかってきたような気がするのですが、それよりも、菊之助さんの美しさにうっとりでした。

お鏡のそばにあった獅子頭をおもむろに持つと、いきなり動き出して、なぜか蝶々が飛んできてそれにつられた獅子頭、蝶の後を追うように花道に引っ込んでいく弥生。

花道のひっこみ、早かったですよ。後見さんは蝶々をヒラヒラさせながら走ってるし、菊之助さんは獅子頭に連れて行かれるような「何、ちょっと待ってよ」みたいな表情でした。
もう、汗だくでしたね。

その後、20時頃から胡蝶の舞。太鼓や鈴太鼓を鳴らしながらかわいい踊りでした。
しかし、揚幕がザワザワし始めたらワクワクして胡蝶さんたちみてなかったです。ごめんなさい。

15分くらいたってから、鳴り物が よぉ~、ポンっ、よぉ~、ポンっと静かになった頃、客席も花道に注目という雰囲気でした。

私も後ろの揚幕をじっと見つめておりました。
すると、はいっと掛け声と共に揚幕が開いて、そこには獅子の精が立っておりました。
なんとも勇ましい。そしてばばばばばばばばばばっと花道を走ってきたかと思うと、また、ばばばばばばばばばばばばっと後ろ向きに走って引っ込まれていきました。
あんなに重たいだろう頭にお衣装。ものすごい迫力でした。

そして、またはいっで揚幕が開いて出てこられて、胡蝶に戯れながら中央の台に鎮座。
胡蝶に両肩をたたかれると、はっと起きて毛振り。

テレビによると、毛の両を増やしたとか。重いだろうなあ。すごいなあ。
弥生の時にあんなに汗だくだったのに、あの毛振り。

だんっと足を鳴らして、気振り終わり。
そして緞帳が下りました。ものすごい拍手でした。


■□■

いちばん最悪だと思った席が、今回は超特別席でございました。
何せ、揚幕の側でしたから。
今回は登場人物がすべて花道から出て引っ込むという演出でしたから、ある意味かぶりつきみたいなものでした。

それに、初めて揚幕を開閉する方のお顔を拝見しました。
とっても真剣な面持ちでいらっしゃいました。

それから、五色の揚幕には模様があるのを初めて知りました。それから、それをあけるのは何か棒を使って下から上げるんですね。

鳥屋で準備される役者さんの気配を感じたり…。

なんと言っても、獅子の精の菊之助さんの鳥屋の入り口での勇ましく立っていらっしゃるのが印象的でした。

ほんと楽しかったです。
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5/8 松竹座「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部

2011年05月08日 | 歌舞伎
今日(5/8)松竹座「團菊祭五月大歌舞伎」昼の部に行ってきました。

1.女暫(11:00~11:55)

映画「お役者文七捕物暦」で三代目時蔵さんの女暫を見てから、見たいと思っていました。
当代時蔵さん、今回が初演だそうです。これまでされてなかったのが意外でした。

北野天満宮の境内で蒲冠者範頼が家来たち(?)を引き連れて宴をしている。
帝の位を手に入れようとする範頼は、無茶を言ってそれを反対する家来たち(?)の首をはねようとする。
そこへ「しばらく、しばらくぅ~」と止めに入る巴御前。

公家悪、腹出し、鯰さんなど、「これぞ歌舞伎です」という個性的な面々がずらずら~っと。
老若男女、色とりどりのお衣装、華やかで、ほんといいですね。
あまりにも舞台いっぱいにならばれているので、誰が誰だか5分くらいわかりませんでした。
巴御前が出てくるまでは、菊之助さんと梅枝さんと右近さん、竹三郎さんばっかり見ていました。
菊之助さんがもう、綺麗で。黒のは織物の金糸の刺繍が綺麗でした。でも足袋は紫。色使いがたまりません。
しっかし、なまずの松緑さん、声大っきいですねえ。範頼さんより貫禄あるかも。

舞台の上を見れば提灯がかかっていて、松竹と桐蝶の紋が交互にありました。

成田が首をはねようとすると、しばらく~っと巴御前が花道から登場。
あの両腕の凧みたいなの(何ていうんですか?)に桐蝶が。
大きな太刀もさして、頭には桜(?)が咲いてるし、もうかっこいいんだか、かわいいんだか、わからない格好ですね。
歌舞伎だ、カブキ! わぁ~っい

範頼が追い払えとなって、若菜(菊之助)が震斎(松緑)に推されてしぶしぶ巴御前のところへ行って
「萬屋のおねえさん」と声をかけると「あら、音羽屋のお菊ちゃん」と返事。
「ちょっと、揚幕の方へ下がってくれますか。」「それはできない。」
美女二人のやりとり、最高でした。

今度は震斎がかっこつけて下がるよう頼んでもだめ、その他手下達が行ってもだめ、
さあ、宝剣は何処だ!と問いただすと巴御前。
すると若菜が知ってます、ほれ、光盛(萬太郎)と言うと、彼の手には宝剣が。

萬太郎さん、台詞が前より良くなってたような気がします。声がよく通ってました。

うぬぅ~やってしまえ、と範頼。手下がぐるぐる取り囲むと、一太刀ぐるっと巴御前。
すると首がごろごろごろと。
この首、糸でつながっているんですよね。おもしろい

そして、善人たちが花道から引っ込んでいく。梅枝さんと菊之助さんだけ七三で止まってました。
いや~綺麗です。

そして、幕が引かれて幕外の巴御前、ひゃ~疲れたと太刀も放り出して倒れこんでしまいます。
左團次さんが出てきて、この太刀重いから、持って帰っておくれよと。
大変なときにご覧に来てくださったお客様のために六方をしなくっちゃ。
じゃあ、高島屋の兄さん、市川家なんだから六方教えておくれよ。
やったことがないんだけど、知ってるから教えるよ。よっとこな。
六方を披露する時蔵さん。そのあと「ひゃぁ恥ずかしい。」と袖で顔を隠して、花道を引っ込んでいきました。かわいい~
やれやれと、左團次さんが引っ込んで、おしまいでした。

幕外でこんなお芝居が付いてるとは知らなかったので、面白かったです。
これ、楽しいです。また見たいです。
今度は菊之助さんがいいかなあ。出来れば舞台番欣次を菊五郎さんで。


2.汐汲(12:30~12:48)

藤十郎さんがセリから登場。青のグラデーションが綺麗なお衣装でした。
桶を携えて汐汲み。
引き抜きで赤のお衣装に。これまた綺麗。

翫雀さんが登場。好きなんだよ、好きなんだよ。
嫌、いや、イヤ。
という内に、肩脱ぎで白い襦袢の藤十郎さん。

そしたら、二人の立ち回り。翫雀さんは刀で、藤十郎さんは櫂を持って。

あっという間の踊りでした。
これもまた見てみたいです。壱太郎さんがいいかなあ


3.極付幡随長兵衛(13:13~14:50)

時代劇「幡随院長兵衛お待ちなせえ」を見ていたので、もう見たくって見たくって。
長兵衛を團十郎さん、水野十郎左衛門を菊五郎さんだなんて、もう嬉しいではないですか

序幕 村山座舞台の場

舞台の上にまた能舞台のような舞台があって、そこでは『公平法問諍』が演じられています。
物語がいいところで、白柄組の中間が酔って花道にやってくる。それを留場が収めて、舞台は再開。
すると今度は水野の家臣が怒って留場の背に腰をかけて見るという始末。
そこへ客席から長兵衛登場。今度は家臣がやられて去っていく。
桟敷席で見物していた水野と綱九郎。覚えておけと綱九郎。そこへ長兵衛の子分たちがわらわらと。
幕を引いてその場は収める。

『公平法問諍』面白そうなんですが、どなたかきちんと上演してくださいませんでしょうか。

客席から登場の團十郎さん、かっこよすぎ。
何です、あの風格は。びっくりしました。

二幕目 花川戸長兵衛内の場

長兵衛の女房お時(時蔵)と清兵衛(翫雀)に背負われた倅が祭りから
家へ帰ってくる。
その時、水野の使いがやってきて、酒宴に招きたいとのこと。
子分達が反対する中、長兵衛は顔が立たないと水野の屋敷へ向かう。

子分の中に男女蔵さんと右近さんが。
男女蔵さん久しぶり。
さっきは女形だった右近さん、今度は男だ。わーい。

お時さんが晴れ着を長兵衛に着せる件はよかったなあ。
いくら反対しても行くものは行くという長兵衛さんの気持ちを汲んで行かせるんですよね。

水野邸に向かうときの倅との今生の別れ、見得を切ってないのに切ってるようだったなあ。
ほんと目が大きいなあ。
すごく表情がわかってよかったです。


三幕目 第一場 水野邸座敷の場

酒宴に招かれた長兵衛、過去に武家に奉公したことがあるだろうと
剣の腕を試され、そして用人がわざと粗相をしたようにみせかけて、お酒をこぼされる。
風呂に入れと水野。断れずに、湯殿へと向かう長兵衛。
水野の指図で、跡を追う用人たち。

「着物が乾くまで風呂に入れ」って、なんて強引な。
すごいお話です。ほんと。
長兵衛さんがかわいそうに思えてならないです。

第二場 水野邸湯殿の場

舞台が廻って湯殿の場。
腰元が案内していたのになぜか用人に交代。
お湯の具合をみようとふたを開けたら、もくもく湯気が。ドライアイスかしら?

隙を見て斬りかかる用人たちを交わした長兵衛。
そこに槍を持った水野が現れ、長兵衛は柄杓で応戦。
しかし、用人に背後から斬りつけられると覚悟を決めた長兵衛。

そこに用人が長兵衛の子分が早桶を持ってきたと告げる。

「敵ながら天晴」「殺すのに惜しい男だぁ、ここで殺されるのは幸せな奴だ。」
なんと勝手な、水野なんでしょ。

ほんと、とっても長兵衛が可哀相な場。
團十郎さんの七五調の台詞がとっても清々しく、気持ちよかったです。
菊五郎さんの水野も旗本の品があって、お声もいいし、最高です。
ずっと槍を持って長兵衛を狙っているので、横向きに立ってらしたのですが、
横顔がまたかっこいいですね。鼻がしゅっとしていて。
見るたびに菊五郎さんが良く見えて仕方ないです。

多分、時代劇を見ていなかったらあまりよくわからなかったと思います。
なんだか、水野が悪くて、長兵衛さんが可哀相っていう話になってますもんね。
過去に長兵衛さんが武家の出だったとか、町奴と旗本奴の対立などの背景がわからないと理解しにくいんじゃないでしょうか。
もう少し長くして、その辺りのお話も上演してくだされば嬉しいですね。

でも、念願叶って嬉しかったですし、楽しかったです。
しかしまあ、歌舞伎ってめちゃくちゃですわ。
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南座「猿之助歌舞伎の魅力」展に行ってきました。

2011年05月04日 | 歌舞伎
今日(5/4)京都・南座で催されている「猿之助歌舞伎の魅力」展に行ってきました。



GWだから込み合っているかなあと思っていましたが、そうでもなく
自分の見たいように見れて良かったです。

入り口を入ると2番扉から入るように促されて、劇場内に入ると舞台には南座の前の絵の幕がかかっていて、
座席の両脇には黒いマネキンさん(?)が7、8体並んでいました。
知盛、華果西遊記、新三国志、源九郎狐…。
かぶりつきでもじっくり見ることが出来ない衣装の数々。
知盛の縄は縄かと思っていたら、綿の入った太い紐で出来ていたり、
アップリケかとおもったら、実は刺繍だったとか、いかに衣装が繊細で美しいかを改めて感じました。
いちばんすごいと思ったのが、源九郎狐の白い毛、小さい房がひとつひとつ縫いつけられているんです。それで狐六方のときにふさふさっと揺れるんですね。
何個ぐらいついてるのかとても気になりました。

花道の上を見上げると、ヤマトタケルのラストの宙乗り。白鷺が綺麗でした。

そして舞台から客席のほうを見ると、2階、3階席にも衣装がずらり。
何着あったんでしょう。圧巻でした。
それらも実際に上に上がって見ることができました。

ロビーには猿之助さんの海外公演やプライベート写真を紹介するコーナーや
押隈がたくさん展示してあって、思わず大騒ぎ。
すると、係員さんに「お静かに願います」と注意されてしまいましたスミマセン…。

ポスターも貼られていました。ヤマトタケルの初演のポスター(初見)には児太郎さん、先代門之助さん、實川延若さん、澤村宗十郎さんが写っていて懐かしかったです。
新三国志2は横尾忠則さんの斬新なデザインも印象的。

そして舞台では、1時間ごとに猿之助さんの足跡をたどる上映と、川連法連館のセットの組み立ての実演が行われていました。
セットの組み立てなんて、いつも幕間に「ドンドン、カンカン」と聞こえてくるだけで実際はどうなっているかなんて知らなかったんですが、
生で見るとやっぱりすごかったです。あっという間に館が出来てしまうんですもの。大きな脚立(?)を運んでは組み立てて、カンカンと打ったり。
本当大変な作業ですね。

スーパー歌舞伎で歌舞伎の楽しさを知った私にとっては、当時のワクワク、ドキドキ感を思い出させていただいたのと同時に、やっぱり私は猿之助歌舞伎が好きなんだなあということを改めて実感いたしました。
全部見て、あっという間に2時間が過ぎていました。

これまで猿之助歌舞伎をご覧になられたことのない方も、きっと楽しんでいただける催しだと思います。
歌舞伎はもとより、舞台に興味のある方は、是非足を運んでいただきたいです。
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4/24 南座『歌舞伎鑑賞教室 釣女』

2011年04月24日 | 歌舞伎
今日(4/24)初めて南座の歌舞伎鑑賞教室(午後2時半の部)へ行ってきました。

南座へは午後1時半に着いたのですが、自由席だったので開演を待つ人たちの長い列。
南座の前を2往復して、そこから鴨川沿いへ出て、南座も通り越していました。

午後2時前に開場。

1.解説 南座と歌舞伎(14:30~15:20)

幕が開いて、10分ほど上村純弥さんの舞踊「越後獅子」がありました。
一本歯の下駄に履き替えて、さらしをはたはたはたはた…。
しんどいやろおなあ…と思った瞬間、昨年の顔見世の翫雀さんの「越後獅子」を思い出してしまいました。
あのだる~~~~~~っとした気分から一瞬にしてカラ元気が出たあの感じ。
省略版のようでしたが、楽しいですね、この踊り。

セリから純弥さんがひっこんでいかれたかと思うと、スッポンから解説の桂九雀さん登場。

「午前の部は良いお天気でとご挨拶したのに、お帰りのころはすごい雷で…」と笑いを誘っていました。

「越後獅子」の解説をされたあと、客席からお染の衣装を着ていただく方を選びたいと思いますということで
かぶりつきの女性の方が選ばれました。
ものすごくハキハキとした方で、ご自身でマイクを持ってお話されてました。

その方が着替えられている間に、歌舞伎に出てくる商売人を次々後見さんが演じられて、
九雀さんがおもしろおかしく解説されていました。
魚屋さん、飴屋さん、うどんやさん、お餅やさん。うどんの屋台では「時うどん」を演じられて面白かったです。

そして、先ほどのお染の衣装を着られた客席の方が花道から登場。
すごい度胸だなあと思います。
ものすごく重いんだそうです。裾を持ってる手が大変なんだとか。なるほどねぇ。

そのあと、セリや廻り舞台、スッポンの説明。
舞台からモクモクと煙がでてきて、舞台上の全てのセリが出たり入ったりしてました。
それはそれで楽しいですね。
そして今度は場内が真っ暗になって、九雀さんが長い髪のカツラをかぶって幽霊みたく登場したり。

最後はその後の「釣女」の解説。

あっという間の50分でした。


2.釣女(15:35~16:18)

身替座禅と同じくらい好きな松羽目物です。楽しいですよねえ。

大名某に片岡松次郎さん、上に片岡りき彌さん、太郎冠者に片岡亀蔵さん、醜女に上村吉弥さん、恵比寿三郎に上村吉太朗さん。
今回特別に恵比寿さまがでてくる件が付け加えられたそうです。

妻が欲しい大名某、太郎冠者と一緒に西宮の恵比寿神社へ。そこでまどろんでいると恵比寿様のお告げが。
釣竿で妻が釣れるという。大名は美女を釣あげるが、太郎冠者はものすごい顔の女性を釣り上げる。


松次郎さんの大名、すごくかっこよかったです。声もいいし、大名ぴったり。

亀蔵さんの太郎冠者はほんとに絶品ですね。
昨年の御園座の「身替座禅」での太郎冠者が良かったので、楽しみにしていました。
想像通り、やっぱり上手い。
大名と上の三々九度のところで、うらめしそぉ~に見る仕草が最高でした。

最高と言えば、吉太朗さんの恵比寿様。
スッポンから釣竿を持って登場して、「お嫁さんほしかったらこの釣竿で釣ったらええよ。」みたいな台詞(だったと思います)が、まず上手い!!!

そして、それを舞っていくのですが、またスゴイ
下半身はしっかりしてるし、腰もずっしりしているし、上半身ぶれてないし、手先はキレイし。
素人100%の私から見てもこりゃ上手いと思いました。
どこぞの未成年、声変わり完了御曹司より上手いと思いました。
子役さんってあんまり昔から注目しないほうなんですが、今回初めて釘付けになりました。
多分、今回のお客様みなさんそうだと思います。
将来が楽しみです。きっと人気者になるよ

待ちかねの醜女の吉弥さん、あんただれ?ってぐらいのおたふくメイク。
特に嫌がっている太郎冠者にまばたきをバシバシバシバシってするのがいちばん面白かったです。

幕が引かれたあと、拍手が鳴り止みません。

するとカーテンコールがありました。

吉太朗さんはすっかり着替え中で浴衣に羽二重姿でした。かわいいなあ。
楽日じゃないのに大サービスでしたね。


今回は松次郎さんと吉太朗さんが良かったなあ。
行ってみて良かったです。
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4/9 第二十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居 第二部 その2

2011年04月10日 | 歌舞伎
昨日(4/9)こんぴら歌舞伎に行ってきました。

続きです。

幕間 約30分の間に花道には川の模様の布が敷かれるは
上の宙乗りの装置のところに人は上られるは、
10分前くらいから、天井に4人くらい準備されてるは、これはすごい演目かもって
だんだん楽しみになってきました。
金丸座の天井って竹(多分)の格子になっていて、スカスカに下が見えるんです。
こわいだろうなあ。って。

3.鯉つかみ(16:55~18:03)

・第一場 江州琵琶湖畔市女ヶ原蛍狩りの場

仮花道から登場されたのは芝雀さんたち姫の一行。
琵琶湖畔にホタル狩にやってきた。

すると急に胸の痛みを訴える姫。
湖に鯉が。侍女の呉竹(高麗蔵)と共に倒れる姫。
すると花道に稚児(染五郎)が。
姫が恋焦がれていた志賀之助だった。再会を喜ぶ姫や呉竹たち。

舞台には緑のLEDライトでホタルが飛んでいて、幻想的な雰囲気。
姫一行が仮花道から出てきて、七三あたりで琵琶湖畔を見渡すようにぐるっと回ってくださって
お客さん大喜び。
芝雀さんは赤、侍女さんたちはピンクに黄緑、くすんだ青等、春っぽい衣装で綺麗でした。

稚児姿の染五郎さんかわいい。
金の袴に紫の着物、鯉のうろこっぽい金糸の刺繍がまたかわいい。

見どころは何と言っても稚児の引っ込みでしょう。
花道でえいっと念ずると「心」と書かれた幕が引かれて、真っ暗に。
面明かりに照らされた稚児は笛を吹く。
客席には15匹くらいのホタルが飛んでいて、とっても幻想的な雰囲気。
(天井に裏方さんがいらっしゃったのは、このためだったんですね!)

その中を幻想的な笛の音でゆっくりゆっくり引っ込んでいく稚児。
誰がやられてもかっこいいとは思いますが、染五郎さんぴったり。
今まで観た中でいちばん美男子だと思いました。かっこよすぎ。


・第二場 釣家下館の場

屋敷で、病鉢巻をした姫、「きっと恋煩いで寝込んでいるのね」なんて思っていました。
志賀之助さまが恋しい、恋しい。
それを慰める侍女の呉竹さんがよくって。

すると、下手から水にのって志賀之助登場。
どろんどろんどろんという音にのって、ほんの1mほどですよ
それなのに横滑りで登場。なんの前触れもないからおかしいやら、びっくりするやら。

「きゃ~志賀之助さま~、会いたかった、会いたかった」と大喜びの姫。かわいいよお、芝雀さん。
「いや~、えへへへへへ(いや~実は鯉だよボク)」と志賀之助。すけべぇな染五郎さん。
「うふっ。お二人奥へどうぞ」と呉竹。これからオ・タ・ノ・シ・ミ♪表情がたまらない、高麗蔵さん。

なんかコントみたいで面白すぎ。特に高麗蔵さん、ええ味出してはりました。

そして、二人が奥の座敷で逢瀬を楽しんでいると、仮花道から家臣の猿弥さんとどこかの家の使者、門之助さん登場。
かっこいいお二人でございました。

七三でまたお二人、ぐるっと回ってくださって、嬉しかったなあ。
このお二人を観ると、一瞬猿之助歌舞伎が思い出されてきました。
いや~金丸座で観れるとは。うれしい、うれしい。

「姫をわが家の嫁に。」と門之助さん。
「いやいや、姫はいま…。」と姫の家臣の東蔵さん。
「無礼であるぞ!」門之助さん。
「それでは、わが家の家宝、名刀○○丸を献上するからよろしいでしょう」と
東蔵さんが刀を抜くと、雷が鳴って、逢瀬中の座敷から巨大な鯉と姫の影が。

「浮気をするとは何事ぞ!」門之助さん。
するとなんと門之助さんはもとより、家臣の猿弥さんまで斬ってしまう東蔵さん。
高麗蔵さんに「大丈夫ですか?」と心配されても、「大丈夫」なんて言ってる東蔵さん。
そこのところが気になったのですが、もう鯉の影が出たもんですからどーでもよい訳で(苦笑)

染五郎さんを疑った東蔵さん「お前は何者だ?」
「バレたら仕方がないな」と染五郎さんは、すぐさま空井戸へ飛び込まれました。びっくりしたよぉ。

すぐに、スッポンからどろんどろんとドライアイスの煙がもくもく。
鯉の精の姿を現した染五郎さん。全身うろこ模様の動きやすそうなお衣装です。
多分、カツラと隈取が一緒になったマスクみたいなのをかぶってらしたんでしょうね。
遠くてわからなかったんですが、頬骨から上と下で白さが違っていましたし、ほんの十数秒で無理でしょう。
「いひゃひゃひゃ。オレは鯉だ、お前の家に恨みがあるんだぁ」とそこで宙乗り。
体を持ち上げているのはモーターでしょうけど、前後に動かすのは「かけすじ」に上ってらっしゃる裏方さんお二人。
引っ張っていました。
ゆっくりと二階席の方へ。
普通の劇場だったら、3階席に引っ込んでいくんですが、それがない!
二階席のところで止まって、「うぎゃ~」と見得を切る染五郎さん。
二階席のお客さん大喜び、大騒ぎ。
で、どうするんだろうと思っていたら、そのまま後ろに下がっていきました。
いや~、まぬけだなあ…と思っていたらですよ、

ぐるん、ぐるん、ぐるん、ぐるん…

染五郎さん、吊られたままバク転し始められたんです。
こんなの初めて観て、ひや~って大拍手。

七三まで来ると、うわっっと矢が刺さった鯉の精。
縄がいつの間にか吊るされていて、それを持って今度は頭を下に向けてスッポンへ入っていかれました。
最後はまたぐるんとなって脚から引っ込まれましたけど。

すごい筋力だなあと、歌舞伎役者さんってほんと体力すごいなあと、染ちゃんかっこいいなあと
何を今さらなのですが、しみじみ思ってしまいました。

また、そんなに時間もかかってないのに、東座敷の戸が開いたかと思うと
後見さんと灰色の布で覆われた人がばたばたばたばたと走っているのが見えました。
何なにナニ?

仮花道から、本物の志賀之助が矢を持って登場。
鯉の精に矢を放ったのは彼だったのです。

姫の居る屋敷に入って、これから鯉退治に向かいます!
というところで、ちょんちょんちょんと析が打たれて幕が引かれました。

一瞬そこでおしまいかなっと思いました。
お手洗いに立つお客様もいらっしゃったり。


・第三場 琵琶湖中鯉退治の場

すると、幕外で三味線さんと唄の方が登場して演奏が始まりました。
舞台では「どんどん、カンカン」と大急ぎで舞台変更する音が聞こえていました。
金丸座のような小屋で聴くのはいいですね。ほんと三味線習いたくなってきました。

幕が開いたら、舞台は真っ青な湖になっていました。
ドライアイスがもくもくとたかれていました。本水の代わりなんでしょう。
大きな目をした大きな鯉が大暴れ。それがかわいいのなんのって。

すると、花道から板に腹ばいになって引かれていく染五郎さんが泳ぎながら登場。
スゴイな!コントだ!面白い!

大きな鯉と大格闘。
たまに人の入っていない中くらいの鯉を客席のほうに向かってぶんぶん振り回したり、
空井戸に鯉を放り投げてから、空井戸からなまず、カニ、海老なんか取り出してきて
カニなんて、手をはさまれていたい、痛いなんて。
はあ、疲れたと空井戸に座る染五郎さん。舞台上手には、ほくそ笑む鯉が。
なにくそ!と向かう染五郎さん。

空井戸から出てくるときは、ドライアイスの煙を口から吐いて水を表現したり、ものすごく芸が細かかったです。

舞台でも泳ぐフリして腕を回したり。ほんと真剣。

大詰めになると、鯉が滝登りしていくのを、神輿台みたいなのに乗って鯉のしっぽをつかんで大見得。
立ってまた見得。すごい、スゴイ!かっこいいぞぉ染ちゃん

ついに鯉を仕留めると、舞台の上からしゃーっと白い糸がたくさんでてきて幕。

場内大拍手の渦です。

しまいにはカーテンコールに変わっていき、鳴り止みません。


しかし…

「本日の演目はこれにて終了いたしました。」という場内放送で終わりました。


今年のこんぴらも予想以上に楽しかったです。
染五郎ファンの方は是非第二部を。
第一部は今年は観ませんが、幸四郎さんの河内山がちょっと気になったりしています。

二階席で残念と思いましたが、面明かりの染五郎さんの場面では特等席かと思いました。

花道と仮花道を同じぐらい使っていたり、必ずそこではぐるっと見回す演出で
お客さんを喜ばすことに気を遣ってくださったんだなと思いました。

しかし、染ちゃんかっこよすぎ。


■□■

小屋を出ると、今年もこんぴー君が出迎えていました。

坂道のサクラが今度はさようならと言ってくれているようでした。



すでにシャッターが閉まっている参道のおみやげ物屋さん。
屋根の上に猫ちゃんが



今晩泊まって明日の昼の部を観られる方も多いだろうなあ…。
なんて考えながら帰路に着きました。

特急南風はアンパンマン列車でした。



岡山で乗り換えた新幹線はなんと出来立てほやほや「さくら」でした。

車両写真は撮れませんでしたが、その記念の駅弁を車内で食べました。





2人掛けシートが2列でゆったりした座席。
木目調の壁であたたかい雰囲気の車内でした。

今年は日帰りでしたが、やっぱり温泉にゆったり浸かりながら
お芝居の余韻に浸りたかったかなあ。

来年はまた行ける様に頑張ります(←何を?)
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4/9 第二十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居 第二部 その1

2011年04月10日 | 歌舞伎
4/9(土)こんぴら歌舞伎 第二部に行ってきました。

今年は幸四郎さんに、梅玉さん、芝雀さんに、染五郎さん。
そしてさらに門之助さん、猿弥さん、猿三郎さんまでご出演(チケット予約してから知った事実ですが)
とのことで、昨年に続き今年も思い切って行ってきました。

特に、昨年の顔見世からお気に入りの芝雀さんが藤娘を踊られるというので
すぐに行くのを決めてしまいました。
それから、染五郎さんが宙乗りをされるとのことで、あそこでどうやって?
って気になって、気になって。

■□■

11時ごろ、琴平駅到着。




桜が咲いていて綺麗でした。
「ほぉ~~、ほけきょっ!」っていうウグイスの声も聞こえてきて
テンション

今回は日帰りですので、そのまま商店街を通って参道のほうへ向かいました。

商店街入り口にも、のぼりがはためいていました。



参道でおみやげを物色して、お昼は中野うどん学校のお店に入りました。
11時半すぎぐらいでしたので、ゆったりいただけました。



また参道のおみやげやさんを散策して、13時ごろ金丸座へ向かいました。


金丸座前の坂道。
桜が私たち観客をお出迎えしてくれているようでした

階段を上って、金丸座前到着。



旅行会社のテントへ行き、座席券と引き換えました。
今年は2階の西桟敷席。よし、花道がちゃんと正面で見れる

入り口前ではすでに15人くらいの方が並ばれていました。
2階の桟敷席っていうことは絶対前列に座らないといけないので
開場まで1時間以上ありましたが並ぶことにしました。
お天気が良くて、日焼けしたかもしれません

初日だったせいか、報道、とくに中四国地方のテレビ局のカメラがうろうろされてました。
わたしも映ったかな?

14時半、開場。
木戸口はやっぱりかがんで入らないといけません。

入り口にはたくさんのお茶子さんがいらっしゃって、2階の西桟敷席へ。
しっかり前列げっと★です

昨年は1階東桟敷席だったり、かぶりつきだったのでわかりませんでしたが、
1階席って緩やかに後ろのほうが高くなっているんですね。
そして、宙乗り用の装置も枠(?)だけ木製でできているんですね!
ばっちり花道が正面に見えてよいお席だと思いました。

青田組は報道席になっていて、カメラが8台ぐらいありました。

■□■

15時開演

1.御存 鈴ヶ森(15:00~15:38)

薄暗い鈴ヶ森。雲助たちが通りかかる旅人から金を巻き上げている。
通りかかった飛脚(松江)も身包みはがされ、雲助の仲間に入る。
持っていた書状には家臣を殺害した白井権八を捕まえれば褒美の金を与える。と記されていた。
そこへ通りかかった白井権八だが…。

戸が全部しめられていて、真っ暗じゃないんですが薄暗~い雰囲気が良かったです。
金丸座ならではないでしょうか。

梅玉さん演じる白井権八、かっこよかったです。声がいいなあ。
雲助たちにかこまれて、「ほんとはやっつけたくないんだけど、向かってくるから仕方ないか。」
みたいな感じで、雲助たちを斬っていくのですが、顔、腕、脚、お尻、首とスパスパ斬れていきました。
かっこいい演出かと思いきや、コミカル路線だたんですね。

さて、やっつけたし行こうか、というところで花道から駕籠が登場。
「待たっせえやし。」と、幡随院長兵衛(幸四郎)。
こう、偉そーな雰囲気、かっこいいですね。いや~、こういう登場大好きです。

舞台に来た長兵衛さん、自ら木の根(?)をよっこいしょ、よっこいしょって運んできて座るんですよね。
なんか芸が細かいなって思いました。

それから、飛脚の手紙を提灯の火で燃やすんですが、その燃えたのをどうするのかなって思っていると、水の絵立っている後ろに防火マットのようなものあ敷かれてあってそこに投げていました。また芸が細かいなあと。

独特の薄暗い中での権八と長兵衛のやりとり。贅沢なひと時だなあって思いました。

「そしたら江戸で…」という話になると、舞台の暗幕がばっと落ちて、ぱっと明るくなりました。
権八さん、黄緑色のお着物だったんですね。「ひゃ~綺麗。」とか思った瞬間、幕が引かれました。
もう少し明るい時間がほしかったかなあ。
でも、「よっしゃ、江戸で待ってるぜぃ。」と二人の明るくなった気持ちを表しているんならこれくらいでもいいかなあ。


2.藤娘(16:03~16:24)

さて、お待ちかねの藤娘です。
上手には唄と三味線の方、下手には鼓と笛の方がいらっしゃいました。

最初どんな演出かな、と楽しみだったんですが、舞台が真っ暗で、中央に準備されてる藤娘さんも黒い幕で覆われていました。

曲が始まって、暫くすると、藤娘さんを覆った幕が払われたかと思うと、小屋全体がぱぁっと明るくなって
「ひやぁ~」という声と同時に、拍手、はくしゅ、ハクシュ~!!!

半分がオレンジと黄緑色のお着物に金色の帯、かんざしも藤、ふじ、フジ。
手にも藤の枝を持った芝雀さん。
想像以上に可憐です。かわいいい~

しばらくすると、藤の枝に隠れられて、今度は藤色のお着物に黒の帯で登場。
上手、下手、中央とおじぎされる芝雀さん。
向かってくる歩き方がまたかわいくて、いや~、だめですって、かわいいですって。

そのあとは、何も持たずに踊られて、また藤の大木に隠れられて、肩脱ぎで今度は赤に。
そして、藤の枝を持って、花道から引っ込まれていきました。
その時の藤娘さんは「あ~、恥ずかしかった~。」みたいな感じがしました。
すいません、歌詞を全く理解していないもので。

もっと見ていたいと思いました。
曲も楽しくて、もっと聴いていたいと思いました。

久々に観た藤娘、やっぱり昔の感想と同じなので私は全く進歩していないです

長くなりましたので、続きは後ほど…
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