平成17年3月8日(火)
第9話
大地震後の東京には、国内だけでなく世界各国からの救援物資も届き始めた。物資は、東都中央病院にも運ばれてくる。
そんな時、救命救急センターは転落事故に見舞われた2名の消防官、平野斉(山下徹大)、滝浦一平(三宅弘城)を受け入れた。二人は、進藤一生(江口洋介)や小島楓(松嶋菜々子)たち医師の治療を受けて一命を取り留める。
その頃、首相官邸での記者会見に臨んだ寺泉隼人(仲村トオル)は記者からショッキングな質問を浴びる。それは、災害時に消防が人命救助を怠ったというもの。寺泉は否定しようとするのだが、官僚の三上健一(近江谷太朗)に止められる。三上は、寺泉に記者の質問には答えなくて良いと言うのだ。
滝浦たちはICUに移される。
黒木春正(香川照之)が目覚めた滝浦の検査をしていると、平野が「すみません、許してください」と、うわごとを言い始める。その異常な様子に、進藤や河野純介(川岡大次郎)たちが駆けつける。平野に付き添う、妻の聡子(小林愛)は寝ている時はいつもこうだと言う。佐倉亮太(大泉洋)が、怪我する以前からかと聞くと、代わりに答えたのは滝浦。滝浦は、何人もの同僚が平野と同じ症状を持っていると言い出す。災害時に火災の延焼を食い止めるため、消防官が助けを求める人々に手を貸せなかったことが原因だった。
病院スタッフや千尋(福田麻由子)のもとに来ていた寺泉も滝浦の話にショックを受ける。純介は他の人たちよりも動揺している様子。
それ以来、純介の様子がおかしくなる。純介は楓に自分も災害時に多くの人を見捨てたとこぼす。弟の和也(小栗旬)も純介の異常を知る。そして、ついに純介は薬品の投与量を間違えてしまう。磯部望(京野ことみ)が気付いたため事なきを得るが、進藤は楓に純介の行動に注意を払うよう指示する。
楓は、睡眠薬の服用も始めた純介とゆっくり話す機会を作った。
純介は、楓に震災後の出来事を良く覚えていないと言う。ただ、覚えているのは死んでいった者たちだけだと。そこに和也が来ると、楓は純介に休むよう命じる。和也は、純介の無気力な様子に、ますます不安が募る。一方、佐倉は災害時のトラウマを抱えた平野を元気付けようとしていたが失敗してしまう。
そんな時、再び記者会見に臨んだ寺泉は、消防官が人命救助をしなかったという事実確認をした記者たちから政府の公式見解を求められる。だが、官僚に口止めされている寺泉には答えることができなかった。
医局では、楓に和也が呼ばれた。楓は、純介の一時帰宅を勧める。日比谷学(小市慢太郎)は、和也に純介に着いて行くよう促す。
救命センターに来た寺泉は、千尋から平野を助けて欲しいと言われる。困惑する寺泉は、進藤に平野が回復できるかと聞く。体の傷は治ると答えた進藤は、平野たち消防士が災害時にきちんと責任を果たしたことを国民に伝えるべきだと言う。
官邸に戻った寺泉は、ある決意をしていた。記者たちに、災害時の消防官の行動を伝え始める。そして、震災消防活動マニュアルにより、消防官の任務は救急救助でなく、消化活動が優先されたこと、さらに今回の震災時に何が起きていたかを克明に語りだす。
病院のラジオで寺泉の発表を聞いていた進藤は、ボリュームを上げる。寺泉は、消防官たちがどんな思いで消火活動にあたり、なぜ救命が出来なかったのか…。平野を例に話し出す。そして、そんな消防官たちを責めることは出来ないと記者たちに訴えかけた。寺泉の声は、平野にも届く。進藤は、消防官に味方する政治家や感謝している人もたくさんいると平野を励ます。さらに、佐倉からも別の励ましを受けた平野は、妻と滝浦に消防官として復帰する決意を伝えた。
その頃、純介と和也は河野医院に帰っていた。家は、焼けずに残っていたが…。