平成17年3月15日(火)
第10話
東都中央病院救命救急センターに、バイクで二人乗りをしていて転倒した城丸克男(綿引勝彦)、克英(伊崎充則)親子が運び込まれた。
克英は軽傷だが、克男は胸部の痛みと苦しさを訴える。進藤一生(江口洋介)は緊張性気胸と判断。多発肋骨骨折も確認。胸を切開し、ドレナージするが多量の空気が流れ出して止まらず、サチュレーションが下がっていく。
黒木春正(香川照之)の判断で胸部レントゲンが撮影されるが、ここまでの処置に間違いは無い。進藤が気管支断裂を疑うと、やはり気管支に裂け目があった。克男は、応急処置を終えて手術室に運ばれる。その時、進藤は黒木に克男のレントゲン写真を見せる。克男の左肺には、癌と思われる影が出ていた。
一方、克英を診た小島楓(松嶋菜々子)は、親子が持っていたカバンに多額の現金が入っていることに驚く。また、大友葉月(MEGUMI)は克男の顔に見覚えがあった。そんなことを伊坂千秋(田村たがめ)たちに話していると、磯部望(京野ことみ)が克男の写真が掲載されている週刊誌を発見。克男は、ディスカウント商法で儲ける城丸屋の社長だった。
その頃、首相官邸では寺泉隼人(仲村トオル)が青木杜夫(小須田康人)に記者会見から外されたことを話していた。
青木は、官僚の三上健一郎(近江谷太朗)たちの差し金とみる。そこに当の三上が現れた。寺泉が直接疑問をぶつけると、震災を人気取りのチャンスとみる政治家もどうかと思うと、逆に三上に言われてしまう。
翌朝、ICUで克男が目を覚ました。すると傍らで心配していた克英に、商品の仕入れに行けと怒鳴り散らす。
克英が追いやられるように出て行くと、克男は千尋(福田麻由子)と木村省吾(広田亮平)に声をかける。先ほど、克英を怒鳴った時とは打って変わった優しい表情だ。と、そんな克男を黒木が呼びに来た。病状説明室で、克男は進藤と黒木から末期癌を告知される。克男の余命は、かなり短いものだった。
楓は克男の癌を知って、千尋たちからベッドを離すことを黒木に相談。すると、克男が克英を叱る声が聞こえてくる。
商売を継がなくてはいけない克英に商品を安く、早く仕入れるよう命じる克男。しかし、強欲そうに見えた克男だが、震災後の東京で商売に固執することには別の理由があった。利益優先で、暴利をむさぼろうとする他の商人たちから被災者を守りたかったのだ。また、兄の河野純介(川岡大次郎)と一時帰宅していた和也(小栗旬)はボランティアの不足から病院に呼び戻される。
数日後、克英が病院に帰ってきた。トラックには、生活必需品が満載されている。さらに、大阪から毎日、品物を直送させる契約に成功したと言う克英に、克男は喜ぶ。
夜、純介が医院に残っていると、ドアがノックされる。それは、定雄(平田満)の古くからの患者。純介は、その患者から定雄が大学病院の助教授のポストを蹴って、町医者になったと教えられる。純介は、自分の未熟さを痛感させられた。
一方、克男は黒木にもう少し克英と一緒に仕事をしたいと延命を請う。そこに、克英がやってきて城丸屋の全店補再開を報告。克男は、喜ぶのだがその声に力はない。進藤は克英に、克男の命が今日明日をも知れぬと話す。
翌朝から克男が混沌状態に入った。克英も呼ばれる。ようやくやって来た克英に、安心して引退できると言い残し、克男は永遠の眠りについた。
寺泉は、千尋ら子供たちに、克男の死を見せまいと官邸に戻らずにいた。だが、結局最期を見せてしまう。楓は、千尋たちは彼らなりに克男の死を受け止めたと寺泉に話す。また、進藤も官邸に戻って、子供たちの未来を考えて欲しいと寺泉を促した。
そんな時、スタッフに配られたおにぎりの包装を見た和也が賞味期限切れに気づく。そして、和也に続いて純介も病院に呼び戻される。スタッフに食中毒が発生してしまったのだ。