平成17年3月22日(火)
第11話(最終話)
東都中央病院で集団食中毒が発生。進藤一生(江口洋介)や小島楓(松嶋菜々子)たち、食中毒から免れた医師や看護師は同僚の治療にあたる。だが、中毒を起こしたスタッフの数は、健康なスタッフの数をはるかに上回っていた。
そんな時、黒木春正(香川照之)は全身熱傷患者の受け入れの連絡を受けた。黒木は、進藤を見やる。だが、進藤も答えに詰まってしまう。と、そこに河野純介(川岡大次郎)が現れた。進んで治療に加わる純介を見た進藤は、熱傷患者受け入れを黒木に促す。
ほどなく救急車が到着。患者は8歳の少年、高槻信(宮川宏介)。信は仮説シャワー用のボイラーの蒸気を全身に浴びてしまったのだ。付き添ってきた信の両親、守(嶋尾康史)と今日子(岩橋道子)は息子を助けて欲しいと医師たちに懇願する。しかし、信は重体だった。楓も容態の悪さに驚くのだが、その手を痛みにうめく信に強く握り締められて…。
信の応急処置が終わる頃、食中毒で倒れたスタッフの数が須藤昌代(鷲尾真知子)から黒木に伝えられる。それは、全スタッフの3分の2にあたる数だった。一方、和也(小栗旬)は自分の不注意で食中毒を出してしまったことを悔やんでいた。そんな和也に日比谷学(小市慢太郎)は仕事をしろと厳しい。
楓と純介は、信の両親に病状を説明する。また、黒木は首相官邸の寺泉隼人(仲村トオル)に電話をかけて窮状を訴える。寺泉は、医師会に連絡を取るが埒が明かず、厚生労働省に念を押して欲しいと三上健一郎(近江谷太朗)に頼むが医師の派遣には4、5日かかると言われてしまう。
黒木は、健康な医師を集めて病院の現状を説明する。そして、少人数で24時間の患者受け入れの可能性を図る。進藤は、第3次救命救急の看板を上げている以上、受け入れるのが当然とさらりと言う。他のスタッフも了承するのだが、昌代の勤務ローテーションに驚く。派遣医師が来るまでの5日間、スタッフは22時間労働を強いられることになるのだ。それでも、スタッフの決意は固かった。
黒木は、進藤から片肺切除した立松幸夫(菊池均也)の担当を頼まれる。早速、ICUのベッドに行くが立松がいない。黒木が探すと、立松は点滴を片手に階段を昇っていた。無理なリハビリを辞めさせようとする黒木だが、立松は早く退院したいと続ける。
運びこまれ続ける患者。スタッフの体力は限界を超えようとしていた。だが、新たな医師が派遣されるという連絡は来ない。そんな中、楓は容態の安定してきた信の挿管を抜く。
寺泉は、病院への早急なスタッフ派遣を三上に迫る。だが、三上たち官僚も窮地に立っていた。災害により経済状況は逼迫し、日本自体が危うい状況にあったのだ。そして、三上たちの仕事を邪魔しているのが政治家たちだとも寺泉に突きつけた。
信の容態が急変した。楓は、感染症を疑う。両親は、皮膚移植手術を迫るが、東都中央病院だけでなく移植用の皮膚は各病院で底をついていた。
楓は、信の生命力を信じようと両親を勇気付けることしか出来ない。その様子を見ていた進藤は、とある新聞社に連絡をする。
寺泉たちが病院に戻ると、閑散としている。黒木が、寺泉に早急な応援を頼んでいると急患が運ばれてきた。復旧作業中に事故に遭った男性だ。付き添ってきた同僚の小宮山裕一(相島一之)は、仙台から来たと告げる。しかし、進藤たちの処置もむなしく、男性は死亡してしまう。
小宮山は、東京の復旧なんて無理だと進藤たちに訴える。スタッフに無力感が広がる。和也も、自分はどうしたら良いのかと進藤にすがる。進藤は、和也に希望を捨てるなと告げるだけだった。
官邸では、海外からの医療支援中止の声が上がる。寺泉は、もちろん反対するのだが、その声はむなしくも無視されてしまう。寺泉もまた無力感にさいなまれる。
そんな時、病院に郵便が届く。それは、進藤が取り寄せた神戸の写真。昌代は、2枚の写真をICUに張り出す。
震災直後と、現在の神戸。写真を見るスタッフに、進藤は人間ががんばっている限り、町は復興すると告げる。スタッフたちは、希望に向けて気持ちを新たにするのだった。
仮眠していた楓は、進藤に起こされICUに行くよう促される。信の容態が好転してきたのだ。また、黒木には寺泉から応援スタッフが到着すると連絡が…。こうして、東都中央病院に明かりが灯った。
黒木と話す寺泉も、これからも政治家としてがんばり続けると話す。楓は、2枚の写真に救われたと進藤に告げる。進藤は、病院に希望の光を見出した。そんな時、国際人道支援医師団から連絡があり…。
2年後。東都中央病院に新たな研修医が迎えられた。
純介に付き添われてやってきたのは和也だ。和也は、兄と同じく楓のもとで研修を始めることになる。ICUの壁には、災害を乗り切ったスタッフたちの似顔絵。その中心には、進藤がいた。今も進藤は、どこかの国で患者たちのために…。