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月子のティーハウス
(moon child's tea house)
第3話 ひ と み
夏の大雨も過ぎ去り
大気の粒子が少しずつ変わり始めていた
風返しの坂の上は、夏が過ぎようとしている
「月子さんですね、お邪魔してもいいですか?」
「はい、いらっしゃいませ」
「私、ひとみです」
「ひとみさん、お近くの方でしょうか?」
「ひとみ川の近くに住んでいました」
月子は頷いた
「私、冷たかったから温かい飲み物がほしいです」
「はい、只今ご用意いたします」
◇
アッサムとアールグレイの茶葉を月子は取り出した
ティースプーンに一杯ずつポットに入れ
それから熱湯を注いだ
「…ずっと前に、大雨があったの」ひとみは話し始めた
「どなたかが、お怒りになったらしいって」
ミルクパン/鍋に紅茶を移すと、月子はさらに牛乳を加えた
そしてミルクパンを火にかけ、ぐらりとするとマグカップに注いだ
「気が付いたら、私…手を挙げていたの」
「ひとみさん、お待たせいたしました」
メイプルシロップの小瓶と共に、月子は飲み物をお持ちした
「こちらをお飲みになり、温まってください」
「美味しい牛乳、これ何ていう飲み物?」
「ロイヤルミルクティーです」
「この干菓子も美味しい」
「そちらはビスケットです」月子は微笑んだ
飲み終えると、ひとみはホッとした様子だった
「やっぱり来てよかった、月子さんごちそうさまでした」
「ひとみさん、ありがとうございました」
ティーハウスのドアを出ると
雑木林のけもの道へ、ひとみは帰って行った
ご一読ありがとうございました