今日は休みやけど、主人が家で仕事して企画書を作ってるから
邪魔にならないように昼寝でもしてようと思ったけど
雑念ばかり浮かんできて、眠れそうにもないので
一念発起で久々にピアノを弾いてみることにした。
毎年、夏になると弾いてた曲がある。
ショパンのエチュードOp.25No.1や。
通称エオリアンハープ。
全部弾けるわけではなく、ゆっくり譜読みしながら弾くに過ぎないから
弾くというより『練習する』いうべきか。
この曲を弾いてると、夏山でバイクで事故って脳死で死んだ弟のことが
頭に浮かんでくる。
夏の空と、そびえる山々が浮かんでくるねん。
吉野、十津川の険しい道に続く幾つもの薄暗いトンネルを越えて、
ぱっと視界に広がる、夏の光線とゆるやかなカーブ。
そのカーブを曲がりきれずに、ガードレールに突っ込んでいく一台のバイクとライダーの姿。
救命救急センターの集中治療室で人工呼吸器につながれてた姿。
病院を出たら、真っ白な入道雲が夏空に輝いてたこと。
そういう光景が、映画かドラマみたいに次々に浮かんでくる。
昔はこの曲を弾きながら、よく涙してたけど、
いまはもう泣かない。
もう全部が遠い昔のことや。
でも、夏が来ると、この曲を弾きたくなる。
弟は産業用ロボットの設計をやる技術者やった。
生きてたら、今頃何を作ってたんやろう。
Chopin Etude Op.25 no.1
大抵の演奏者は猛スピードで演奏するけど、ゆっくりめに弾いても実に美しい曲です。
Chopin Etude op.25 no.1, "Aeolian Harp"
CHOPIN - Etude n°1 op.25 (Horowitz)