金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

プロポーズ小作戦60

2009-05-01 22:41:31 | コードギアス
プロポーズ小作戦60
2020年8月


スザクは携帯電話を手の中に隠した。縮小されたデータを拡大する。
そこには一枚の写真。1メートルもある大きなケーキにたくさんのろうそくが刺さっている。
20センチのチョコプレートには7月生まれおめでとうの大きな文字。
懐かしいアッシュフォードの誕生会のケーキ。
ろうそくの数は85本。
シャーリー スザク リヴァル ミレイ
みんなの分がちゃんとある。


その映像がアーニャのブログに上がったのは7月25日。キカイダーのネット名を持つ青年からの投稿。
なぜだか、一日だけで消えてしまった。       入力者注。ここでわかる人にはわかっただろう。何故キカイダーなのか。


同じ画像を藤堂も見ていた。
スザク君、声をかけることはできなくても、君達を思ってくれている誰かがいる。


同じ画像を中華の大司馬も見ていた。テストパイロットを乗せた白虎5体を相手に模擬戦闘訓練をしている最中に。
5体の白虎からスラッシュハーケンが飛ぶ。神虎はほとんど足場を動かさずに避ける。
慣れたものが見ればわかるが、白虎の動きは完全に同調している。
(リンクプログラムを改善した方がいい。)
白虎には神虎のデータから作られた操縦補助プログラムが使われている。
パイロットの腕がレベル以下なら、補助プログラムは自律し操縦をカバーする。
どうやら、テストパイロットは誰一人として、補助プログラムよりいい腕ではないらしい。
ナイトメアで戦場を駆けていた傭兵上がりとはいえ、乗っていたのはグラスゴーである。無理な要求はできない。
まだ、航空訓練のデータも必要だ。
胃が、重い。
星刻は誕生ケーキの画像データを縮小する。見ているだけでも胃に重そうな映像だ。ケーキの映像が消える。
代わりに浮かび上がるのは幼い天子の映像。星刻の秘蔵の宝物である。
ゼロ・レクイエムの後、ようやく修理を終えた神虎に乗って最初にしたことは秘蔵映像のデータが無事かどうかの確認だった。



「天子様、あなたを御守りするモノを必ず創り」
誓いの言葉が途中で消える。
5番の番号を打たれた白虎が猛然と突っ込んでくる。他の機体は逆に後退している。
当然の判断である。訓練だから主砲は封じてあるが、神虎のスラッシュハーケンは健在だ。
補助プログラムが自動的に退避行動を採る。
では5番だけ何故別の行動を採れる?
星刻は訓練用のハーケンで5番の機体を倒した。
同時に残りのハーケンを打った。
4番の機体が戦闘不能サインを出す。
そのサインを確認すると同時に星刻は剣をはらった。2・3番機が倒れた。その背後から守られるようにして突っ込んでくる1番機。さすがにこれには星刻も少しあせった。
傭兵上がり達には給料以外に、神虎に傷を付けたらご褒美として最高級娼婦との一夜を約束している。幻の存在とうたわれる纏足の娼婦。星刻も一度抱いた事があるが・・・あれは快楽というより・・・苦痛だった。

突っ込んできた1番機はすでに剣を振り上げている。
いくら星刻でも今から剣で受けるのは不可能だ。
「修理代がかさむのは好きではないが、この請求はラクシャータにまわすべきだな」
つぶやいた星刻は剣の角度はそのままに、柄を1番機のコクピットにたたきつけた。
おそらくパイロットは気絶か失禁かを起こしているだろう。
もし訓練でなければ、完全破壊していたな。
星刻はそう考えながら、剣を鞘に収めた。


ナイトメア自身が仲間意識を持ち、目的のために行動する。今回の白虎の行動にはそういう要素が見えた。
なるほど計算された犠牲。最も効率的に神虎を倒す方法。確かに自分が白虎に乗って、自分の乗っている神虎を相手に戦うなら、この方法もありだろう。
星刻は今回のプログラムを白虎の基本に据える事に決めた。

これからの戦いにナイトメアはますますメインの兵器として使われるだろう。
その使われ方は、戦車軍団のような集団戦闘をメインとするはずだ。
ならば機体そのものにリンク機能を搭載し、もしもパイロットが死んでも、友軍が近くにいる場合自動的に戦闘に参加するようにしたい。いずれは親となる機体にだけパイロットを乗せ、子機体は無人化したいが、おそらく10年はかかるだろう。
今のゼロが見せている戦場のポイントを超絶スペック機で単機で押さえるやり方は、天才にしかできない。
中華に必要なのは平凡でも粒が揃った兵士達。
星刻が兵士達に要求するのは天子様への忠誠。足りない腕前は「私が補おう」

プロポーズ小作戦59

2009-05-01 22:40:14 | コードギアス
プロポーズ小作戦59
2020年8月
夜陰にまぎれて若者達は姿を消した。一人残った藤堂は道場がこのまま消えてしまわないかと、半ば本気で考えていた。

翌朝、日がまぶしくなっても、道場は解けてなくなったりしなかった。
月の魔法でも、狐狸のいたずらでもなかった証拠に、ぞろぞろやってきた工事人が教えてくれた。
つまりは町おこしだと。
このあたりは田舎の事でろくな産業は無い。これといった観光名所も無い。
一体どうやって復興したら良いやらと頭をひねる年寄りに若者が言い出した。
「奇跡の藤堂の道場を再建し、それを中心に観光化しよう」
たまたま完成間近だった道場で3人の男は出会い、新たな同盟という顛末になった。

最初は偶然、2度目は必然、3度目は作為、4度目からは普通の事になる。
はたして、この出会いはどこまで行くだろうか。