有馬と日経賞ではジワジワきているものの秋天や青葉でみせた弾けるようなストライドが影を潜めていたので、「ペルーサは母系の重々しさが発現してきて、ここへきて走りが重厚になってきたのではないか?」というような説をたてようかと思ったんですが、いやちょっと待てよ…と若葉SのVTRを見直してみたら、一つ気づいたことがありました
若葉ではヒルノダムールの外から馬ナリで捲って、ついでに内に押し込めてしまうという着差以上の完勝
この4角を回るとき、つまり右手前で走っているときの加速は素晴らしいのですが、直線で追い比べになって左手前に替えてからの走りは、有馬や日経賞と同じでイマイチ伸びやかさがなくて、しかもゴールイン手前でまた右手前に替えていました
そして一昨日の日経賞でも、ゴール前で右手前に替えているのです
右手前のほうが走りがスムーズで、右手前で走りたがるのだとすると、この馬は東京で追い込むか、右回りだと若葉のように捲りで決めてしまうかという競馬が一番強いということになりますが、さてはて…?
他の重賞の回顧は明日やります~
「よく、ブログのなかでFair Trial的という表現があるのですが、どういう意味なのでしょうか?」
という馬好きさんの質問がありましたが、ここではHyperion、Nasrullah、Fair Trialの3血脈を比較することでお答えしたいと思います
その際に非常にわかりやすい好サンプルとして取り上げたいのが、アグネスタキオンの代表産駒、ダイワスカーレットとディープスカイとキャプテントゥーレの3頭
アグネスタキオンは母父ロイヤルスキーがNasrullah3×4で、母母アグネスレディーがHyperion5×5、Lady Juror(Fair Trialの母)5×5で、しかも自身は5代アウトなので、Hyperion的な牝馬ともNasrullah的な牝馬ともFair Trial的な牝馬とも仲良くできるという、実に羨ましい奴なのです(配合の受けが広く相手牝馬の特長を引き出す能力に長けている)
ダイワスカーレットの母スカーレットブーケはHyperion4・5×6で、他にダイワメジャーをはじめ、ダイワルージュ(阪神JF2着,桜花賞3着)、スリリングサンデー(5勝)、グロリアスサンデー(5勝)、レッドバトラー(5勝)、ブーケフレグランス(4勝)、シャガール(現役3勝)を産んでおり、長打力とアベレージの両方に秀でた名繁殖牝馬ですが、こうしてみると産駒は概ね先行粘りや好位差しの脚質になることが多く、Hyperionの特長である“抜かせない強さ”“競り合っての粘り強さ”を大なり小なり受け継いでいることがわかります
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2004103198/
トゥザグローリーの母母フェアリードールはHyperion5・5×5・6・6・7・7・7ですが、古馬になって一皮むけた成長力や、前受け脚質に完成して本格化したところもHyperion的といえます
ディープスカイの母アビはSix Crowns≒Carmelize2×2という凄い3/4同血クロスを持っていて、この共通する3/4の部分はBold RulerとMiss CarmieとともにNasrullah系で、Six CrownsはNasrullah3×5、CarmelizeはNasrullah3×4ですから、かなりNasrullah的な繁殖牝馬といえるでしょう
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005101358/
そしてディープスカイは母父ロイヤルスキーがNasrullah3×4で、自身はロイヤルスキーとSix CrownsとCarmelizeを通じるNasrullah6・7×6・6・7・8
4歳の2月から急激に力をつけてNHKマイルCとダービーをぶっこ抜いた馬ですが、通算【5.7.3.2】のうち東京と外回りでは【5.4.2.0】で、大阪杯と宝塚ではドリームジャーニーの超ピッチ走法に屈してしまったように、柔らかさしなやかさでストライドを伸ばして長い直線で斬れるところがNasrullah的でした
オペラハウスはSadler's Wells×High Topという欧州の力馬が出るニックス配合で、活躍産駒は母系から柔らかさを補うような配合をしていることが多いのですが、メイショウサムオンの場合は母母ウイルプリンセスがNasrullah3×4で、あの独特の柔らかくストライドを伸ばして走るフォームはNasrullah的といえるでしょう
キャプテントゥーレの母エアトゥーレは阪神牝馬S(阪神内1600m)の勝ち馬で、トニービン×LyphardでCourt Martial6×4、Fair Trial5・7・7×5
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2005102216/
娘のアルティマトゥーレは一流スプリンターとしてならしましたが、セントウルSやシルクロードS勝ちを見てのとおり、先行して4角回りながら突き放してしまうのが勝ちパターンで、この実直で前向きな性格と小回りでの加速に秀でた小脚のきいた走りはFair Trial的といえます
ネオユニヴァースとハーツクライが東京より中山向きの産駒を出すのも、母にFair Trial的なクロスがあるからというのが大きな理由で、ポインテッドパスはFair Tria7×5、Lady Juror7・8×6、アイリッシュダンスはCourt Martial6×4、Fair Trial5・7・7×5
キャプテントゥーレも内回り小回りの1600~2000mでは弥生4着、皐月1着、朝日CC1着×2、中山記念2着、そして昨日の大阪杯が5着で、ロイヤルスキー3×4のクロスの影響でアグネスフローラやスキーパラダイスのマイラーっぽさも受け継いでいるので、内回り小回りの1800m前後というカテゴリでみるとだいたいベストに近いパフォーマンスは出していることがわかります
以前指摘したように、2000mだと1000m通過が60秒以上のスローでないと、たとえ内回りでも踏ん張りがきかないところはあります(皐月賞と朝日CC連覇のラップを参照してください)