エイシンブルズアイの父BelgraviaはMr.Greeley産駒らしいスピード馬で、2歳時にハリウッドプレヴューS(米G3・AW7F)に勝った程度の競走実績しかないですが、ブルズアイの場合は母父がSiphonというだけでボコッとオバケが出ても驚けないバックボーンがあり、新馬戦の勝ちっぷりやピクシープリンセスをあおった直前追い切りも含め、これは先々どんな馬に完成するのか、非常に楽しみになってきました
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011110099/
3代母のGregorian Winlocから見ていきましょうか、ここはNasrullah4×3・4、Flower Bowl≒Swaps3×3とかなりクロスがうるさく、そこに配されたのがA.P.Indyの半兄でプリークネスSに勝ったSummer Squall
Summer Squallの母はSecretariat≒Sir Gaylord1×3の名繁殖Weekend Surpriseで、産まれたPuddlejumpはNasrullah≒Royal Charger5・7×4・5・5となりました
このようにNasrullah血脈が重ねられてきたPuddlejumpに配されたのが、まさに南米アウトサイダー血脈の塊のような血統で、ブラジルで2歳チャンピオンとなった後北米にトレードされ、ハリウッドGCとサンタアニタHに勝ちドバイWCで2着となったSiphon
Siphonの血統がどれぐらいアウトサイダーかというと、血統表中にNorthern DancerやNasrullahは皆無、Nearcoまでさかのぼっても一本しか持たないというものすごさで、自身はIrish Song≒Eridan3×3のニアリークロス(どちらも父Maki,母父Daron Blancの組み合わせ)
つまりブルズアイの母Miss Fear Factorは、代々Nasrullah血脈のクロスを重ねて緊張状態にあったPuddlejunpに対し、Nasrullahとは無縁のSiphonをもってくるという強烈な「緊張→緩和」になっていて、こういう配合の繁殖は一発大ホームランの魅力があるから目を離せません
そこに父がBold Ruler4×3で自身はSecretariat≒Sir Gaylord4×4のBelgraviaが配されて生まれたのがエイシンブルズアイで、自身はSecretariat≒Sir Gaylord5・5×5・7
まあBelgraviaがそんなに凄い種牡馬とは思えないですが、Gregorian WinlocのNasrullah4×3・4、Weekend SurpriseのSecretariat≒Sir Gaylord1×3、Mr.GreeleyのBold Ruler4×3、これらNasrullah的緊張のなかに異彩を放つSiphonのIrish Song≒Eridan3×3、この「緊張と緩和」「3/4と1/4」の物語はいったいどんな結末を迎えるのか、しかし面白い配合を買ってきたもんですわ
■『2013~14年種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』で望田潤と栗山求がダブル推奨したベルキャニオン(牡2歳)が土曜東京4R未勝利戦(芝2000m)を勝ち上がりました。コメントは以下のとおり。
◎ベルキャニオン(牡・母クロウキャニオン)
母はNorthern Dancerとナスキロラトロをクロスする相似配合で、自身はBurghclere≒Aureoleのニアリークロスが隠し味。ボレアス、マウントシャスタ、カミノタサハラの全弟だが、体型体質脚質が異なる発現をしてもみんなオープンに出世しているという事実が、この配合の優秀さを証明している。(望田)
◎ベルキャニオン(牡・母クロウキャニオン)
母方に入るCaerleon、Vaguely Nobleは父とニックス。母の父フレンチデピュティも相性がいい。ボレアス、マウントシャスタ、カミノタサハラが連続で走ったのは偶然ではなく、この馬もまともに出れば兄同様に重賞級の活躍が見込める。上記三兄弟のなかで最も能力が高いと思われたカミノタサハラは馬体重が518kg(皐月賞時)。ディープインパクト産駒全般に言えることだが、馬体重と能力はおおむね正の相関関係にあり、兄弟のなかで最も大きいカミノタサハラが最も素質に恵まれていた。この馬がどれくらいの大きさに出たのかぜひチェックしたい。(栗山)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103836/
「ディープインパクト好配合」で私が取り上げた馬(計22頭)でこれまで勝ち上がったのは、アトム、キミノナハセンター、ゼウスバローズ、テスタメント、ノボリレジェンド、フェイブルネージュ、ベルキャニオン、ミッキーアイルの8頭で、ここにハープスターが入ってないのがなんとも悲しいところですが(^ ^;)、まあそれでも来春のクラシックを戦うには十二分なラインナップではないかと思っとります
■『望田潤のPOG好配合馬リスト キングカメハメハ編』で取り上げたファイヤーロック(牡2歳)が日曜京都3Rの未勝利戦(ダ1800m)を勝ち上がりました。コメントは以下のとおり。
◎ファイヤーロック(牡・母ディアマンブルー)
リトルオードリーやココナッツパンチでおなじみのゲートドクールの牝系で、母はHalo≒Up Spirits2×3。母父にサンデーを配し、ラストタイクーンとLomondを通じるNorthern Dancerとナスキロラトロのクロスというキンカメの教科書的配合で、この牝系だから仕上がり早さやマイルのスピードもある程度計算できる。
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103965/
■土曜福島8R500万下 シンジュボシ1着(一口・望田)
★ユニオンオーナーズクラブ
父ダイワメジャー
母ツルマルオトメ(タイキシャトル)
募集価格:1680万円
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2010104871/
母は芝1200mで4勝のスピード馬で、その弟ツルマルジャパンも小倉2歳Sで3着するなど、仕上がり早でスピード豊富な牝系。Caerleon,Secretariat,Sir Gaylordと母系にナスキロ血脈が3本入りますが、ダイワメジャーはこういうナスキロ血脈豊富な牝馬との配合が合うようで、ここまで勝ち上がった産駒の多くはそういう配合です。この配合ならば2歳夏からスピード全開でしょう。1400mベスト。
そのうちエントリ一つ立ち上げて書いておくべきことではあるのですが、「Lyphardは前で受けてナンボ」という自説を曲げる気はさらさらないのですが、「ダンシングブレーヴとディープインパクトに関しては、Lyphardのカテゴリから逸脱した、オリジナルな爆発力でレースを勝てる血なのである」という分類でいきたいということを、今日ここで明言したいと思います
まあそのあたりは血統表全体の構成にもよりますが、ようするにこやつらはLyphardではなくオリジナルだということで(^ ^;)
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「Netkeiba.com(PC版)」と携帯スマホの「競馬総合チャンネル」では、「血統クリニック」と題してメインレースの出走予定馬の血統解説をしています(毎週木曜18時更新)
マイルCSはこんな感じです
近年の芝マイル路線は確たる主役不在で、だからマイルG1はロードカナロア、サダムパテック、エイシンアポロン、カンパニーと、別路線からの転戦組が格で勝ちきるケースがよくある。
◆母は名配合、格は最上位
トーセンラーは母プリンセスオリビアが父母相似の名配合。全弟スピルバーグと比較しても母父Lyciusのマイラーっぽさがオンになっていて、だから春天で2着に踏ん張ったのには驚かされた。今でもベストは1800mぐらいではないかと思っているし、京都外回りはとにかく斬れる馬だから、ここは格で◎といってみたい。
◆上がりがかかれば復権
カレンブラックヒルも母が強力な相似配合で、自身はスカーレットブーケ≒Storm Cat2×3のニアリークロスだからダイワメジャー産駒としては最高の配合だ。春の連敗をみると、最近は脚質が渋くなってきて、上がりが速すぎる決着では鋭さ負け軽さ負けしてしまうのだろう。少し馬場が渋るか、Hペースで上がりのかかる決着が理想か。
◆高速馬場なら今年も怖い
グランプリボスは昨年の2着馬で、国内の芝マイルG1は[2.2.0.2]。母にサンデーとナスキロが入って、バクシンオーが胴長で柔らかな体質になったので、スプリンターではなくマイラーになった。京都の高速馬場は合っているので、良馬場なら今年も怖い。
サダムパテックは「サンデー×Seattle Slew×ミスプロ」の配合形だからリーチザクラウンを軽くしたイメージの馬で、2歳時から東京や外回りで斬れるタイプだと書いてきた。ただし昨年はほぼ完ぺきに運べての辛勝だから、決して抜けた存在ではない。
レッドオーヴァルはストロングリターンの半妹で、桜花賞2着を見てのとおり長いところよりはマイルのほうが斬れる。ここは真価が問われる場。
ダノンシャークはディープにCaerleon、Mill Reefとナスキロ血脈を重ね、東京や外回りで斬れる好マイラー。G1で突き抜けるにはもうワンパンチ足りないので、そこを補うファインプレーが欲しい。
ダイワマッジョーレも母がナスキロ血脈を3本引くので、ダイワメジャー産駒にしては外回りで斬れる脚質になった。前崩れなら食い込み十分。
クラレントは兄弟にリディルやレッドアリオンがいるが、こちらは父がダンスインザダークで「スタミナ×スピード」の配合形。ベストは1800mのスローを流れ込む形だろう。
ドナウブルーはジェンティルドンナの全姉で地力のあるマイラー。馬群を嫌うところがあって、昨年は外枠で揉まれなかったので3着と踏ん張った。混合G1ではあれが精一杯か。
リアルインパクトは安田記念の勝ち馬だが、マイラーではなく1800m型だとずっと書いてきた。これも1600mだと富士Sのように緩い流れがベター。
コパノリチャードは3代母アルガリーがWild Risk3×4でここからカッとなりやすい気性を受け継いで、他馬に絡まれたり突つかれたりするとエキサイトしてしまうところがまだある。距離適性も1400m寄りだし、スワンSのように単騎逃げで抜いて走れないと苦しいか。
マイネイサベルはHyperionベースの配合らしく晩成の成長カーブを描いて今が充実期。ただベストは1800mなのと、いかにもトニービン系らしいコクのある斬れは京都より東京向きだろう。父もマイルCSは[0.0.1.4]と振るわなかった。
サクラゴスペルはスプリンターではなく1400mベストだと書いてきた。マイルのG1となると、母母父Cure the Bluesがちょっと爆発力に欠ける血なのも減点材料だ。
京都11R マイルCS
◎5.トーセンラー
○16.グランプリボス
▲8.カレンブラックヒル
△4.ダイワマッジョーレ
×2.サダムパテック
×13.ダノンシャーク
注3.レッドオーヴァル
近年の芝マイル路線はチャンピオン不在の混迷状態がつづいており、だからマイルG1はロードカナロア、サダムパテック、エイシンアポロン、カンパニーと、別路線からの転戦組が格で勝ちきるケースがよくある。◎の母プリンセスオリビアは父母相似の名配合で、トラヴァーズSのフラワーアレイなどを産んで繁殖として成功、本馬は全弟スピルバーグと比較しても母父リシウス(英2000ギニー2着)のマイラーっぽさがオンになっていて、だから春天や菊で頑張りをみせたのには驚かされた。今でもベストは1800mぐらいではないかと思っているし、京都外回りはとにかく斬れる馬。仮に毎日王冠に出ていたらエイシンフラッシュやジャスタウェイと叩き合いになったと思っているし、カンパニーとまではいかなくともエイシンアポロンぐらいの格はある馬だ。今年も別路線組から入る手はあるだろう。
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締切まであと2分、そろそろレース観にいこかと友人をうながしたら、「…やっぱりダークシャドウがどうしても気になる」と突然マークカードを塗りはじめたので、それを待って馬場に向かったらもうファンファーレが
もう見晴らしのいい場所を確保する時間はなく、仕方なく地上のゴール前200mぐらいのところで、4角まではモニター観戦となりましたが、浜中がガッチリ押さえてコパノリチャードがスローで逃げ、ダイワマッジョーレがその直後をまんまと取ったのもわかったし、そして後方でジッとしていたユタカが、4角でできたスペースにここしかないと斜めに切り込んでいくのもわかりました
そこからはコースに目を切り替えて、ラーは外にいるはずや、外から伸びてくるトーセンラーはどこやと探していたら、残りの17頭がまるで壁紙や背景のようにみえたほど、一頭だけしなやかで優雅で、一頭だけG1級という反応と躍動で、ユタカとトーセンラーは私の目の前を駆け抜けていきました
「あれ?ユタカさん、これG1じゃないの?こんな楽に差してしまっていいの?」とでも言いたげな涼しい表情で、名繁殖プリンセスオリビアの息子は淀の直線を駆け抜けていきました
「やっぱり中距離馬や!トーセンラーとダークシャドウで筋は合ってたんや!…で、ダークはどこいった?」
トーセンラーの刻んだラップは58.9-33.3、1800mベストの馬が1800mの競馬で差し切ったという内容だったと思いますが、これはポッカリ空いた最内に潜り込みながら「よしいけ!毎日王冠ぐらい伸びたら楽に届くぞ!」とノリが追い出したら一頭だけ違う脚で楽々と突き抜けてしまった、あのカンパニーの末脚がオーバーラップする完勝
「芝マイル路線はここ数年ずっと確たる主役不在の混迷状態で、近2年のマイルCSはエイシンアポロンやサダムパテックといった中距離からの転向組が、フィフスペトルやグランプリボスといったマイル路線の常連を押さえて油揚げをさらっていきました」(芝マイル路線)
ダイワマッジョーレもダノンシャークも血統は一流だし、ダイワメジャーやディープインパクトのセオリーを踏襲した好配合ですが、勝てば官軍、当たれば官軍で言わせてもらうならば、ファンジカもカーラパワーも子供はみんな走るし素晴らしい繁殖牝馬ですが、やっぱり名配合の名繁殖プリンセスオリビアはちょっと格が違う、芯に当たったときの飛距離が違うというべきでしょう
ダイワマッジョーレもダノンシャークも血統の美点や配合の良さはきちんと表現されていて、一流のマイラーだということを今日も証明してみせましたが、でもプリンセスオリビアの血が爆発したら、やっぱりちょっと格が違った
下記エントリでも書いたように、ニホンピロウイナーやニッポーテイオーやノースフライトやダイタクヘリオスやトロットサンダーやタイキシャトルやエアジハードやアグネスデジタルで丼飯2杯モリモリ食って育ってきた、競馬歴二十数年体脂肪率20%後半ウエスト84cmのオッサンは、ダイワマッジョーレやダノンシャークやグランプリボスではもうお代わりできないです…
そしてこれもまた同じことを書きますが、上にあげた芝1600mならいつ何時でもうなりをあげて抜け出してきて圧倒的な説得力でねじ伏せてしまう満場一致のチャンピオンマイラーたちは、みんなサンデーの血を引いてはいないのです
2011年のクラシック路線はシンザン記念からずっとオルフェーヴルが◎でしたが、一度だけ◎を譲ったのが皐月賞の◎トーセンラーで、それはきさらぎ賞の好内容はもちろん、LyciusのマイラーっぽさもONになっているだけにオルフェを負かせるとしたらダービーではなく皐月ではないか、と考えたからでもあります
だからいくら得意の京都とはいえ春天で2着に踏ん張ったのが今でも信じられず、今でもベストは1800mだと思っているし、とするとこの馬が格と京都適性だけで勝ち負けしてしまうあたりに、マイルG1と長距離G1のレベル低下がみてとれるのではないか…とも
サンデーサイレンスの血は高速馬場の中距離を走るのにあまりにも適していてあまりにも優れているがゆえに、今の日本のサラブレッドは2000m前後に適性が集中しすぎているのかもしれません
ユタカがスランプのどん底にいた2011年春、トーセンラーで負けるはずのないエリカと福寿草を取りこぼし、ローズキングダムでも冴えない騎乗連発でついに社台の馬から降ろされはじめたのが2011年の春、次走きさらぎ賞でミルコに乗り替わったトーセンラーはオルフェーヴルとウインバリアシオンを完封、あれが「ああ、ユタカはもうダメだ…」という決定打のひとつになったことは否めないでしょう
最終レースのパドックに向かいながらふと場内モニターをみると、ユタカと藤原師と吉田照哉氏が満面の笑みで、手をつないで万歳のポーズで記念撮影におさまっている姿が映し出されてました
「勝てば官軍やなあ…ユタカおめでとう」
芝マイル路線
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/1b5a21aa5e3e0a21563b70f31b30a7af