イースターにタコ? ―反転したキリストの姿―
4月。イースターにまつわる絵本を紹介できればと思って、つらつらと考えていたのですが、この名作しか思い浮かびませんでした。
この、救世主のようなタコのお話です。
あるいは、タコになりすました救世主の話、なのかも?
西洋では本来、タコは「悪魔の化身」。
救世主とは、真逆のイメージです。
(ほら、ディズニー映画では、醜くて情け容赦ない海の悪者!)
そんなタコのエミールが、深海から陸へ上がって来るのです。
キリストが、天から地に降りて来られたように。
八本足エミールは、陸地で八面六臂の活躍をします。
それでも、エミールと人々の間の、独特の距離感は埋まりません。
だって、タコだもの!
…手をつないだり、ハグしたりするのは、ためらっちゃう。
『すてきな三人組』『ゼラルダと人喰い鬼』『ほうし』。
巨匠ウンゲラーの名作にはそれぞれ、「救い」のメッセージが、明るく、
それも、あっ!?と言わせる手口で描かれています。
特にこの“EMILE”(原題)には、聖書に描かれているイエスその人の姿を、反転させて見せてもらったような驚きがあります。あるいは、福音書の行間に読み取るべきキリストの姿が、この軟体動物を通して浮き出てくる…。
なーんて解説したら、ウンゲラーさんには笑い飛ばされただろうなぁ~
「これだから、クリスチャンって奴は、**の穴が小さい!」ってね。
なーんていうのは、私の勝手な想像です。
「はい、すみません!」
というわけで。
今年(2022年)のイースターは4月17日でしたので、
全然、間に合ってませんけどぉ、
「イースターおめでとう!」
「エミール君、本当によくがんばりました! ありがとう。」