わたしも、とびたい
この前、久しぶりに会った高校生の女の子が、はにかみながら「将来の夢をみつけた」と話していた。「航空パイロットになりたい」のだそうだ。映画「トップガン」を観て、「空を飛んでみたいと思った」と。それからいろいろと調べ始め、勉強にも前向きになった、という。
映画のような華やかさはなくても、この絵本にも、心に憧れや願いを抱かせるに充分な、広やかさ、伸びやかさがある。充分に、ある。
「わたしも、こんなふうに、とんでみたい…」
幼い人、若い人の心の中に、どれだけ「願い」を呼び覚ますことができるか?
おとなたちの作る絵本は、いつも、そこが問われているのだと思う。
作者は、村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」に始まり、一連の村上作品の表紙カバーを作っていたイラストレーターでもある。この絵本でも、シュールなとぼけた風合いとリアルが同居している。引き込まれる。一緒に、とべる。
ところで最近、聖書の詩編37編4節には、訳が二つあることを知りました。
「主を みずからの喜びとせよ。
主は あなたの心の願いを かなえてくださる。」新改訳2017
「エホバによりて 喜びをなせ。
エホバは 汝が心の願いを 汝に与えたまはん」文語訳
心に願いを与えてくださるのも主。
その願いをかなえてくださるのも主。
ハレルヤ!
この春。新しい出会いの季節。
子どもたちのそれぞれの心に、絵本を通して、
善き「願い」が与えられますように。