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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「あたまにつまった石ころが」                  キャロル・オーティス・ハースト:文              ジェイムズ・スティーブンソン;絵 千葉茂樹:訳 光村教育図書

頭の中の「あれ」も「これ」も

淡路島の、あるホテルを訪ねたときのこと。
ロビーの壁に、有名人のサイン色紙がいくつも飾られていた。
その中に、ひときわギョギョっと目を引く一枚があった。

サインというより、それは、魚の絵。
彼がそのホテルで食べたという魚が、黒のサインペンで
でーんと描かれていて、まわりには、ヒレの特徴や味の感想まで
ところ狭しと書き込まれていた。
タレントの「さかなクン」が描いた色紙だった。

色紙からは、彼の「さかな愛」が溢れ、伝えたい思いが溢れ、
ホテルへの感謝と喜びが溢れ、周りの色紙を圧倒していた。
-この人、すごい。 そう思った。

さかなクンの頭の中には、「魚」がいっぱいつまっている。
そして、この絵本の主人公の頭の中につまっていたのは、「石ころ」である。

きっと、どんな人の頭の中にも、あれこれ、いくつもの「好きなもの」がつまっているのだと思う。さかなクンのように、一つに絞り切れないけれど。

それら「好きなもの」を、「あれ」も「これ」も大事にできれば、幸せなのだと思う。
そして、お互いに相手の頭の中の「好きなもの」に気づいて、
大事にしてあげられたら、なお幸せなのだと思う。

私の場合(気づくのが、けっこう遅かったけど)、「好きなもの」の一つが、「絵本」でした。好きな「絵本」を通して、こうして、あなたと、つながることも許されました、ハレルヤ!

さて、あなたの頭の中には、どんな「好きなもの」が、
何と、何と、何が、詰まっているのでしょうか?
そして、あなたのそばにいる、お子さんの頭の中には?

気づいて、大事にしてあげてくださいね。
それぞれの頭につまった、「好きなもの」を。











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