ねぎ置き場~ひっそり貯えるネタの貯蔵庫~

(自称!)青春系ダンスユニット○~まる~の左。ダンスやったり、表現したがりな三十路が送るブログエンターテイメント

とあるライダーの詩

2016-01-20 18:24:00 | ねぎ詩


小さい頃、車が通った後の匂いが好きでよく追いかけていた


それに共感できる仲間はいなかったが、

それを口にしないでできた仲間はたくさんいた

仲間といってもただ一緒にいる人達のことで、
本音を語ったことはない 

車が好きだった

いろんなスポーツカーの切り抜きを集めるのが好きだった


リアルの車だけ


チョロQには興味がない


きっと僕は車やバイクに関する仕事に就くのだろう

ものすごく軽い感覚で
そう思ってた

やがて、車の匂いも吸うことがなくなり、

代わりに渇いた仲間達とタバコを吸うようになった

幼い頃描いた僕の中の輝いたコアは煙で黒くなり、
初めから無かったかのように僕は毎日何かを求めて暴れまわった

僕の渇きは潤うわけがなくて
街の景色はだんだんぼやけていって

欲しいものと全く違うものを求めて
僕の中が潤うわけがない

こういうお祭り騒ぎは永遠には続かない
花火のように弾けて消える
僕の青春時代は結局煙たいまま終わり、


結局は仲間も1人もいなくなってしまった


手元に残っているのは
免許証とバイク

仲間と無茶してよく走った
ただ、群をなして大きく見せようとするランは
思っていたよりも気持ち良くなかった
風を切ってどんなにスピードを出しても心にまではエンジンの振動は伝わらなかった


手元に残っているのは
免許証とバイク


僕は真夜中のランに出た
バイクにまたがり、海を目指す
自分と決着をつける


僕のあごひもがぶるぶる震えて
街の景色はだんだんぼやけていって
さっきまで点だった街の光は、高速の中線になっていった


やんちゃしたことに後悔しているわけじゃない
仲間に固執しているわけじゃない
自分に無力さを感じたわけじゃない


ただ


僕の中の
幼い僕の中の僕の中の輝いたコアがまだ残っていたとしたら


まだ間に合うかな
まだそこにあるかな

このまま自動的に人生進みたくないから
今日は僕の意志でアクセルを踏ませて


まだ間に合うかな
僕はまだ生きてるかな


ひさしぶりに独りで走る夜の街は、とんでもなく輝いて見えた


今日は会える気がする
だから、スピードを緩めたくない
今日はエンジンと心がリンクしている
地面を素足で踏んでいるように
僕とバイクが一体化している

確かこの感覚だ
僕の会いたかったのはこの感激だ


幼い頃スーパーカーを切り取った心
僕にはマシンが欲しかった
仲間よりもスピードに憧れていたんだ

今までの人生を悔いるわけじゃないけど
もうすぐ早く出会いたかった
でも、もう大丈夫
もうウソをつかなくて良さそうだから

幼い頃の自分は確かにいて
僕の夢は車・バイクに関わること

街の光が線になり
線の導く先に
僕の目的地があった


ひさしぶり
本当の自分

でもまだ一つ不思議なことがある

バイクを降りても
街の風景はぼやけたままだ

目の下が風に当たって涼しい


夜のふ頭にバイクが一台
そこにはガソリンの匂いが漂っていた


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