ねをぱぁく

公園みたいにふらっと立ち寄って、ほっと一息して欲しい、そんな演劇ユニットです。

矢内原美邦という人は…

2017-03-16 18:50:32 | 演劇

初めて会ったのは、アジア女性舞台芸術会議のワークショップ。

新潟と長野の県境にある廃校になった中学校をリノベーションして滞在制作を行うというもの。

アジア女性舞台芸術会議(略称:亜女会)のメンバーの中には、20年近く付き合いのある方もいて

実行委員の方々は錚々たる顔ぶれ。

実家に帰省する前に参加しようと、大阪から6時間かけて行ったのだ。

初めて観たときから好きな、東京タンバリンの高井浩子さんの演出も受けられるまたとない機会だった。

 

妻有に着くと、高井さん、青年団の永井くん、指輪ホテルの羊屋さんという仲良しの顔を見つけ

参加者の中には共演したこともある、清水さとちゃんもいた。

さとぴーと共演した公演で舞台美術をして下さった加藤ちかさんや、様々な戯曲を翻訳している常田景子さんも!

太田省吾さんとずっと一緒にやっていた安藤朋子さんが何故かおさんどんをして下さっている。

なんて贅沢なワークショップだろうか。

その中に、えくぼの魅力的な眼光鋭い人がいた。

 

山の中なのに、真っ赤なアルファロメオが駐めてあった。

「誰だよ、こんな山奥にあんな車で来たのは(笑)」

と驚きの声を上げたとき

「わたしー」

って声がした。

それが矢内原美邦との出会いだった。

 

朝から晩まで休むことなく戯曲に向き合い、矢内原の振付を覚え、セリフを怒涛のように喋りまくる。

全然うまくいかないし、ミスばっかりだ。

でも、何故かそれが心地よく、そしてダメ出しをされているわけではないのに、自分の弱点や欠点があからさまになっていく。

 

稽古中、彼女はずっと立ちっぱなしで、自分のスピードを身ぶり手ぶりで伝えていく。

頭の中も、身体もずーっと動いている。

それを見ながら、そのスピードに合わせるように頑張る、とにかく頑張る。

戯曲リーディングのはずだったのに、普通の芝居よりずっとハードで、ずっと楽しかった。

 

終わったら汗だくで、喉も身体もカラカラで、他のWS参加者はお部屋で戯曲読んだり各々で行動していたけれど

さとぴーと私は食堂でビールを飲むのが日課になっていた。

周りにはコンビニも何もないから、亜女会のメンバーが買い置きしてくれていて200円で飲めたのだ。

一息つく頃、食堂では実行委員会議が始まる。

羊屋と高井が私がご飯を作れると朋子さんに伝えてくれたので、その間、仕込みのお手伝いを任命され

会議中も食堂にいる事が出来たのだった。

全くお酒を飲まない美邦さんは、稽古中とは全然違う愛らしさでたまに毒舌を吐く。

そのギャップが面白い。

私が苦手とするお金持ちのお嬢のはずなのに、そこいらの小金持ちのお嬢とは次元が違う。

しっかりとした芯のある、魅力的な人なのだ。

たまーに日本語おかしいけど。

 

最終日、高速バスで帰る参加者を見送り、そう急いでもいない私は、朋子さんや美邦さん、高井さん達と

芸術祭のメイン会場に行って、展示を見たり、ランチをした。

帰りに和服の古着屋を見つけたメンバーはそれに夢中になり、私はメイン会場の最寄駅から実家に帰る予定だったのに

離れ難さもあり最終電車に乗れなかった(最終って言っても16時頃ね)

さてどうしたもんかとぼんやり考えていたら

「ねをちゃん、電車間に合う?」

って聞いて来たんだ、矢内原美邦が。

「とっくに間に合わねぇ(笑)でもここから車で30分くらいの長野県の飯山って駅までたどり着けたら帰れるよ」

って答えたら、

「じゃ、そこまで送ってく!」

って言ってくれたんだよ、矢内原美邦が。

車の中で色々話した。

とてつもなくお嬢だった(笑)

そして想像以上に面白い天才だったのだ、矢内原美邦って人は。

 

電車まで時間があったから、運転してくれていたプリコグの水野さんと三人でお茶して「またね」と別れた。

週に二日は近畿大学で教えているので大阪でも会えるねって。

 

それから海外と日本を行ったり来たりしている彼女の活躍をFBで見ながら

また会いたいなーといつも思っていた。

数ヶ月後、近大の卒業生で制作をやっている竹内桃子ちゃんに現場で会ったとき

「ねをさん、矢内原先生と何かやるんですね!」

と言われたけど何も聞いてなかったので電話をかけてみた。

「何かやるって聞いたけどー」

「うん、そう!」

 

あはははははは!

なんて事だろう。

なんて面白い人なんだろう。

この人に巻き込まれるの、めちゃくちゃ楽しい!!!!!!

なんで呼んでくれたのかさっぱりわからないけど、こうして今回の公演は始まったのだ。

 

あのたった5日間の中で、きっと何かが生まれたのだった。

 

火曜日に劇場入りして三日目。

役者の一人(相方ね)は稽古中に怪我してダブルキャストになったと思ったら、結果三人芝居になるし、

車に足轢かれた子もいるし(幸いかすり傷だったけど)

出来ない役者に毎日私はイライラするし

なんだけど

あのえくぼの愛らしい顔見たら本当に幸せな気持ちになるんだよ。

そして作品の素晴らしさよ!

映像、音響、照明を一人で創っている啓祐さんにも新潟以来の再会で嬉しい限り。

また啓祐さんの飄々とした感じがいいんだよね。

作品創りに関しての二人のバトルも面白いし。

 

さていよいよ明日は初日。

連休の最中だけど、土日はもう少しお客様に来て頂きたい!

北加賀屋、ブラックチェンバーでお待ちしております!

 

http://www.nibroll.com

 

 

 

 

 

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3月15日(水)のつぶやき

2017-03-16 05:23:22 | つぶやき
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